司法試験には法律基本7科目と選択科目があり、選択科目の中に知的財産法があります。
基本科目の勉強は進めているが選択科目に対してはどの程度のウエイトで勉強すれば良いか、迷う方もいるのではないでしょうか。
科目や範囲が膨大な司法試験の勉強において、選択科目の1つである知的財産法がどのような科目か知ることは勉強を進める上で重要です。
そこでこの記事では、司法試験における知的財産法の特徴・試験範囲・勉強法などを解説します。
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司法試験の知的財産法とは?
知的財産権法とは知的財産に関わる法律の総称で、1つの法律名ではありません。
知的財産に関わる法律には特許法・実用新案法・意匠法・著作権法・商標法などがあります。
司法試験ではこの中の特許法と著作権法のみが論述式の問題として出題されます。
知的財産の保護は現代社会において重要性を増しており、知的財産法を理解することは司法試験だけではなく弁護士として実務を行う上でも必要となります。
知的財産法として扱われる主な法律
特許法
司法試験の知的財産法で出題される特許法は、発明の公開と実施の独占により発明を保護することを目的とした法律です。
判例に関する問題が多く出題される傾向にあるため、最高裁判例の理解が必要となります。
最高裁の結論と結論に対する理由付けを理解しておくと良いでしょう。
著作権法
特許法と同じく知的財産法の試験で出題される著作権法は、著作物の権利を保護することを目的とした法律です。
最高裁判例に関する問題も出題されますが、下級審の判例に関する問題が多くなっています。
判例を基準にして説得力のある論述を行えるようになれば高い得点を得ることができます。
知的財産法の司法試験での出題範囲
前述の通り知的財産法は司法試験の選択科目の1つであり、知的財産権法の中に特許法と著作権法の問題が出ます。
出題対象が2つの法律に絞られているため、出題範囲としては少なめと言えます。
出題範囲は特許法と著作権法に関する内容であり、どちらの内容が問われるかは年によって違います。
両方の問題が出題される可能性もあるため、特許法・著作権法いずれもきちんと勉強するようにしましょう。
知的財産法の司法試験での重要性
知的財産法は司法試験の選択科目のうちの1つであることが分かりました。
選択科目ということで、各科目の中でどのくらい重要性があるのかピンとこない方もいるかと思います。
ここからは知的財産法の配点や司法試験における知的財産法の重要性についてご説明します。
知的財産法の配点は800点中100点
司法試験は短答式試験・論述式試験に分かれており、知的財産法は後者の論述式試験に該当します。
選択式科目の配点は800点中100点となっているため、知的財産法を選んだ場合も同様の配点です。
また選択式科目の試験時間は3時間となっており、他の科目の2時間よりも1時間長めの設定となっています。
1題50点の配点で2題出題され、特許法・著作権法のいずれかもしくは両方から問題が出題されます。
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しっかりと対策すれば司法試験の得点源になる
知的財産法を含む選択科目は配点が800点中100点と大きなウエイトを占めており、重要な科目の1つです。
知的財産権法は身近な著作物などに関わる法律のため、なじみが深く理解しやすいので比較的学びやすい科目と言えます。
出題範囲も2つの法律に絞られているため、対策がしやすく得点源になり得る科目です。
ただし知的財産法は出題範囲が狭いながらも他の選択科目と比べて必要な勉強量が多い傾向にあり、合格率は中程度です。
そのため、知的財産法と相性が悪いと感じる方は倒産法など別の科目を選ぶのも有効です。
知的財産法を効率よく勉強する方法
ここまで、知的財産法は合格のために重要な科目の1つであるということを述べてきました。
学習しやすい科目であることもお伝えしましたが、実際どのように学習を進めれば良いのでしょうか。
ここからは知的財産法の学習に関するポイントについてご紹介します。
ポイント①まずは判例を重点的に学習する
前述したように、知的財産法の問題では裁判の判例に関する問題が出題されることが多いです。
そのため最高裁や下級審の判例を重点的に勉強していきましょう。
ただ判例を知るだけではなく「なぜそのような結論に至ったのか」という理由付けを学ぶことが重要です。
また答えを論述する際は相手を説得させるつもりで回答を行いましょう。
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ポイント②特許法・著作権法の両方を学ぶ
これまで解説してきた通り、知的財産法には特許法と著作権法の問題が出題されます。
年によってどちらか片方しか出題されないこともあれば両方出題される場合もあります。
そのためどちらか一方だけを勉強すると予想が外れた際に100点分を丸ごと落とすことになりかねません。
知的財産法を選んで勉強する際は特許法・著作権法の両方を勉強するようにしましょう。
ポイント③物権的請求権に関する要件について理解する
知的財産法では特許権の権利による差止請求などの内容が問われます。
差止請求については物権的請求権に関する要件を理解していると学習が進めやすくなります。
物権的請求権とは所有権から発生する権利であり、所有権の妨害や排除を予防することができるというものです。
どのような場合に物権的請求権を発動することができるのか、要件を勉強して理解しましょう。
ポイント④民法の不法行為に関する理解を進める
特許の侵害など、知的財産が侵害された場合には損害賠償が発生することがあります。
損害賠償請求は不法行為に関連するものであるため、民法の不法行為に関する理解があれば学習が進めやすくなるでしょう。
基本科目である民法の勉強を完了させてから知的財産法の勉強に取り掛かると効率良く学べます。
ポイント⑤行政法や民事訴訟法の理解を進める
特許の取得手続きや民事訴訟の手続きについての問題が出題されることもあります。
これらの問題は行政法や民事訴訟法を理解しておくことでスムーズに回答することができるようになるでしょう。
民法と同じく行政法・民事訴訟法も基本科目に含まれるため、先行して勉強しておくと効率が良いです。
知的財産法の勉強の大まかな流れ
司法試験の学習は一連の流れを把握した上で始めた方が効率よく進めることができます。
ここからは実際にどのような流れで学習を進めていけば良いのかについて見ていきましょう。
[Step1]学習計画を立てる
司法試験の勉強ではまず学習計画を立てることが重要です。
司法試験全体の試験範囲は膨大なため、各科目をどのような順番で勉強するか計画を立てましょう。
学習のポイントで解説した通り知的財産法は民法・行政法などを理解しておくことで学習が進めやすくなるという側面があります。
基本科目を一通り勉強した後に知的財産法に取り掛かるというように戦略を練ってから勉強を始めることをおすすめします。
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[Step2]基本書の読み込み
計画を立て終えたら、基本書を使用して特許法・著作権法の知識をつけるところから勉強を始めましょう。
基本書は様々な出版書から出ていますが、全体が網羅された本を使用することをおすすめします。
初めは基本書の全体をざっくりと勉強しても良いですが、2周目以降はしっかり読み込んで覚えるようにしましょう。
流れ③判例を学ぶ
学習のポイントでも解説したとおり、司法試験の知的財産法では判例に対する理解が求められます。
判例集を勉強して説得力のある論述ができるように練習しましょう。
判例に特化したテキストや参考書が市販されているため、それらを勉強に活用すると良いでしょう。
流れ④問題演習をおこなう
基本書や判例集を使用して知識が固まったら、問題を解く練習を行いましょう。
司法試験の知的財産法は論述式の問題で、選択式とは違って自分で文章を作成する必要があります。
慣れていない方にとってはいきなり文章を記述することが難しく感じるかもしれません。
しかし数をこなせばこなすほど文章力は上がっていくため、問題集を購入して問題演習を繰り返すようにしましょう。
流れ⑤過去問を解く
特許法・著作権法の知識を基本書で固めて問題演習も完了したら、最後は過去問で仕上げを行いましょう。
過去問を解くことで当日の問題形式に慣れるため、落ち着いて本番に臨むことができます。
当日の試験時間を想定して時間内に解答できるように練習しておくと良いでしょう。
また論述問題の参考答案を見ることは法令や判例の理解・文章の書き方の勉強にも繋がります。
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知的財産法は重要な得点源!効率よく学習を進めよう
この記事では司法試験における知的財産法の特徴・試験範囲・勉強法について解説してきました。
記事内容のまとめは下記の通りです。
- 司法試験の知的財産法とは選択科目の一つであり、論述式問題が出題される
- 出題範囲は特許法と著作権法のみのため、範囲としては少なめである
- 司法試験における知的財産法の配点は800点中の100点を占めるため、重要性の高い科目である
- 知的財産法の学習のポイントとして裁判例を勉強する、特許権・著作権法の両方を学ぶ、民法の不法行為・行政法・民事訴訟法についても理解しておくなどがある
- 知的財産法の学習は学習計画を立てる・基本書の読み込み・判例の勉強・問題演習・過去問を解くの流れで進めると良い
司法試験の知的財産法は選択科目の1つということで、勉強が後回しになっている方もいるのではないでしょうか。
しかし選択科目は配点が高く、知的財産法は出題範囲も少なめのため得点源として重要な科目です。
この記事を参考に、知的財産法で高得点を目指していきましょう。