宅建士とは、土地や建物などの不動産が関わるあらゆる場面において重要な役割を担っている職業です。
実際に宅建士になるには、国家資格である宅建試験に合格しなければなりません。
しかし、宅建士の試験は高度なスキルと知識の取得が絶対であり、合格率が低いことでも有名です。
ここでは、宅建士の難易度について解説します。
出題範囲や勉強時間の目安についても紹介しているため、宅建士の資格取得を目指している人はぜひ参考にしてください。
- この記事で分かること
- 宅建試験の難易度
- 宅建試験合格の勉強時間
- 宅建試験に合格するためのコツ
宅建士試験講座ならアガルートアカデミーがおすすめ!
宅建士試験合格を目指すならアガルートアカデミーがおすすめです!
フルカラーで見やすいテキスト教材と分かりやすい動画講義で、初めて資格勉強をする方でも充分合格が目指せるカリキュラムになっています。
合格者には受講費全額返金orお祝い金1万円の特典もあるのでモチベーションの維持も期待できます!
最短ルートで合格が目指せる!
アガルート公式HPはこちら
宅建士の難易度は国家試験の中では低い
宅建士は国家資格の中では比較的難易度の低い資格です。
宅建の合格率は例年約17%程度と、数字だけ見れば合格が難しいように見えます。
開催年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年度 | 17.2% |
令和4年度 | 17.0% |
令和3年度12月 | 15.6% |
令和3年度10月 | 17.9% |
令和2年度12月 | 13.1% |
しかし例年の過去問や試験の頻出問題をしっかり対策すれば、知識のない状態の人でも十分に合格できる可能性はあります。
宅建士の合格率が17%と低い理由
宅建士の合格率の数字だけを見ると、受験人数や知名度に対して合格率が低いようにみえるでしょう。
しかし宅建士の合格率が低いのには、以下のような理由があります。
- 受験資格に制限がなく誰でも受験可能
- 合格点が相対評価で決まる
- 合格には300時間以上の勉強時間が必要
- 法律改正に対応する必要がある
そのため数字に対して難易度が高い、というわけではありませんので注意が必要です。
以下で詳しく解説していきます。
受験資格に制限がなく誰でも受験可能
宅建士は国家資格でありながら受験資格に制限が設けられていません。
日本国内に居住する人であれば、年齢や学歴に関係なく誰でも受験が可能です。
そのため毎年3万人を超える受験者の中には、就活でのアピール目的で受験している学生や、まったく法律関連の知識のない層の受験もあります。
さまざまなバックグラウンドの人が受験しているので、試験の結果にも大きく差が出てしまうのです。
合格点が相対評価で決まる
宅建士の試験の合格ラインは、合格基準点が定められておらず、他の受験者の点数を元に相対評価で合否が決まります。
行政書士試験やファイナンシャルプランナーでは具体的に合格点が決められていますが、結果が出るまで分からないのです。
例年35点以上の得点で合格している人が多いですが、問題の難易度や他の受験者との比較要素も入ります。
そのため得点率がギリギリの状態で受験してしまい、惜しくも不合格になってしまった、という人も多いのです。
合格には300時間以上の勉強時間が必要
宅建士の合格には、資格試験に慣れていない人を基準として、ゼロから挑戦して合格するためにおよそ300時間程度の勉強は必要です。
まったくの未経験からの挑戦での300時間の勉強時間の確保ですので、受験者本人の予備知識・実力次第ではさらに少ない勉強時間でも合格できる可能性があります。
しかし300時間の勉強時間というと、1日に1時間の勉強時間を確保したとしても、10か月以上かかる計算になります。
学生時代に資格を取得するのであればある程度の時間を捻出できますが、働きながら資格を取得しようとすると勉強時間の確保が難しくなるのです。
勉強時間が上手く確保できないがために、合格までこぎつけない人も中にはいます。
法律改正に対応する必要がある
受験の際に近いタイミングで法律改正が行われた際に、宅建士の試験でも出題される可能性画高いです。
出題範囲が変更される可能性もあり、最新の情報を常に追っておく必要があります。
特に独学で宅建士資格の取得をねらっている場合には、法律に関連する新しい情報のキャッチアップが上手くいかない可能性も十分にあります。
通信講座を活用して資格勉強をしている人など、受験者間で問題に対する情報量の新鮮さが異なるため注意が必要です。
宅建士の試験概要
宅建士の試験概要は以下の通りです。
申込〆切 | 例年7月中 |
---|---|
試験日 | 例年10月第3日曜日 |
受験手数料 | 8,200円 |
試験時間 | 午後1時~3時 |
開催場所 | オンライン申込の場合マイページでの確認・郵送申し込みの場合専用の問い合わせダイヤルあるいは受験票での確認 |
宅建士は例年10月の第三日曜日に開催され、2時間の試験時間で問題を解くことになります。
開催場所はオンライン申込の場合、専用のマイページでの確認が可能です。
一方で郵送での申し込みの場合は、専用のダイヤルで会場について問い合わせるか、10月初旬に送付される受験票で確認が可能です。
宅建士の試験出題内容
宅建の試験は、4肢択一式の問題が出されます。
マークシート式で記述式の問題は出題されません。
出題科目は以下の4つに分かれています。
- 宅建業法
- 権利関係(民法)
- 法令上の制限
- 税・その他
宅建業法
「宅地建物取引業法」に関わる問題です。
50問中20問の配分で、点が取りやすいでしょう。
不動産取引の買主・借主を保護する目的で定められた特別法に関わる問題が出題されます。
- 重要事項の説明
- 免許の効力
- クーリングオフなど
以上のように宅建士の基本となる知識が試されます。
権利関係(民法)
宅建(宅地建物取引士)試験では不動産に関わる民法の問題が出題されます。
50問中14問を占める点数配分です。
借地借家法、不動産登記法だけでなく、区分所有法などの問題が多いです。
権利関係(民法)の基本事項に関わる勉強をしてください。
法令上の制限
法令上の制限では、以下に関する問題が出題されます。
- 国土利用計画法
- 都市計画法
- 建築基準法
- 土地区画整理法
- 農地法
- 宅地造成等規制法
土地や建物ごとに法令で決められた制限を学びましょう。
ただし50問中8問と割合が少ない科目です。
税・その他
宅建(宅地建物取引士)試験は固定資産税や登録免許税など、宅建士の仕事に関わる出題がされます。
不動産関係の税に関する情報を学びましょう。
加えて、鑑定評価基準や土地・建物の知識も重要です。
50問中8問と割合が少ない科目なので、あまりに深掘りした勉強はおすすめしません。
宅建(宅地建物取引士)試験の勉強法
続いて、宅建試験に合格するためのコツを紹介します。
注目すべき7つのポイント
- 宅建業法と法令上の制限を得点源にする
- 権利関係は理屈を理解する
- 過去問を有効活用する
- 余裕があれば過去問や予想問題を解く
- 普段の演習では40点を目指す
- ある程度の苦手は許容する
- 予備校や通信講座を利用する
宅建士試験は合格率が15~18%程度の難関試験ではありますが、しっかりと勉強すれば誰でも合格を狙うことが可能です。
宅建試験で効率よく得点するためのコツはいくつかあるため、得点が伸びずに悩んでいる方は参考にしてみてください。
コツ①宅建業法と法令上の制限を得点源にする
宅建試験の科目
- 権利関係:14問前後
- 宅建業法:20問前後
- 法令上の制限8問前後
- 税・その他:8問前後
中でも、「宅建業法」と「法令上の制限」は暗記しているだけで解ける問題が多いため、得点しやすい特徴があります。
特に、宅建業法の出題数は20問前後と多く、宅建試験における最重要科目です。
宅建業法と法令上の制限は問題の難易度も低いため、インプットとアウトプットの量をこなせば自然と得点源にできるでしょう。
実際に、宅建業法と法令上の制限は判断に迷うような引っかけ問題も少ない(出題側も出しづらい)ことから、「とにかく勉強量をこなす」ことで自然と得点力を高めることができます。
コツ②権利関係は理屈を理解する
権利関係の科目では、民法上のルールに関する問題が中心に出題されます。
具体的には、不動産売買における権利関係や詐欺、脅迫、錯誤などの場合における権利変動のルールが出題内容となっています。
宅建業法と法令上の制限とは異なり、権利関係は暗記だけで対応するのは難しい科目なので、権利関係に関しては「条文を読んで理屈を理解する」ことを意識することが効果的な対策です。
権利関係は毎年14問前後が出題される重要科目ではありますが、学ぶ内容が難解なので「本質的な部分」を理解できないと得点するのは難しいです。
また、権利関係は勉強範囲が広い特徴があり、宅建士試験で最も難易度が高い科目と言えます。
特に、法律に関する勉強が初めての方にとって、権利関係は鬼門となるため、じっくりと時間を割いて勉強することが大切です。
権利関係で10問以上の得点ができれば十分ですが、もし苦手意識が拭えない方は「半分の7点以上」を目標にすると良いでしょう。
コツ③過去問を有効活用する
宅建試験は過去問の焼き直しや類似問題が多く出題されるため、過去問演習をこなすことで得点力アップに繋がります。
宅建試験のポイント
- 宅建業法と法令上の制限は完璧を目指す
- 権利関係はインプットとアウトプットを繰り返す
上記のポイントを意識すれば、着実に得点力は伸びていくでしょう。
インプットをしただけでは理解できなかった箇所も、実際に問題を解いて解説を読むことで理解できるケースは多いです。
「過去問5年分3周」を目安にして、できるだけ多くの問題演習に取り組むことを意識してみてください。
コツ④余裕があれば模擬試験や予想問題を解く
同じ過去問を解いていると、解答を覚えてしまい勉強がマンネリ化してしまうことがあります。
そこでおすすめなのが、模試や予想問題の活用です。
模試や予想問題は、いわゆる「初見の問題」なので、自分の今の学力を試すことができる優良な学習教材です。
本試験で解く問題はいずれも初見ですから、本番前に初見問題に取り組んで「自分が何点採れるのか」を把握することは非常に有効です。
もしうろ覚えの箇所や理解不足の箇所が見つかった場合は、本番前に対策して万全の状態に仕上げることを目標にしましょう。
コツ⑤普段の演習では40点を目指す
過去の試験データを見ても、40点以上取れれば安全圏と言えるため、普段の演習では40点の獲得を目標にすると良いでしょう。
宅建試験は相対試験なので、合格基準点が発表されるまで自分が合格できたかどうか分かりません。
つまり、同じ35点でも「去年の基準であれば合格できたのに、今年は合格できなかった」という事態が起こる可能性はあるため、合格基準スレスレを狙うのは危険です。
宅建試験では「1点に泣く受験生」が非常に多いため、日頃から高いレベルを目指して勉強する意識を持ちましょう。
コツ⑥ある程度の苦手は許容する
宅建試験には、他の資格試験のような「科目ごと」の合格点(足切り基準)はありません。
そのため、「どれだけ勉強しても理解できない超苦手箇所」がある場合は、捨ててしまっても大丈夫です。
苦手分野が多すぎるのは問題ですが、限られた勉強時間を使って効率よく得点力を伸ばすためには、ある程度の苦手を許容することも大切です。
完璧を求める余り、重要な箇所の対策がおろそかになってしまうのは本末転倒なので、非効率な勉強をしないように意識してみてください。
コツ⑦予備校や通信講座を利用する
宅建試験は、合格率が15~18%程度の難関試験です。
独学での合格は不可能ではありませんが、「独学だと不安がある」という方は躊躇なく予備校や通信講座を利用すると良いでしょう。
予備校や通信講座には、分かりやすく教えてくれる講師がいる上に、市販の教材よりも理解しやすい教材で勉強できるメリットがあります。
また、多くの講座では不明点や疑問点があるときに質問できるサポートを備えているため、独学よりも効率よく勉強できるでしょう。
宅建士とはどんな仕事?
宅建士とはどんな仕事内容なのでしょうか。
資格を取った後どのような業務に活かせるのか、詳しい内容をまとめました。
主な仕事内容
宅建士の仕事は、不動産契約を進める業務が多いです。
不動産契約の内容の説明や契約締結などが主な仕事でしょう。
契約に関わる知識だけでなく、お客様とのコミュニケーション能力も必要です。
不動産取引のスペシャリストとして、技術が発揮できる仕事と言えるでしょう。
宅建士の平均年収・給料
厚生労働省令和4年分賃金構造基本統計調査によると、宅建士の平均年収は578.3万円と判断できます。
宅建士を含む不動産業界の平均年収は、日本人全体の年収よりもやや高めですね。
ただし、男性の平均年収と比べると非常に高いとは言えません。
宅建士に向いている人
宅建士に向いている人の特徴は以下の通りです。
- 不動産や法律に興味がある人
- 複数の営業先を担当しても問題なく仕事ができる人
- 正確に仕事を進められる人
- 土日祝日の勤務に抵抗がない人
- コミュニケーションが得意な社交的な人
宅建士が勤務する不動産業界では、土日祝日も勤務が基本です。
人とのコミュニケーションが苦手な人は、宅建士が活躍できる不動産営業職に向いていないでしょう。
宅建士の現状と将来性
宅建士の資格保持者は不動産業界で需要があります。
企業に入社した後も、資格がない人より良い待遇やスキルアップが期待できるでしょう。
宅建士は AI やロボットにはできない仕事です。
不動産も需要が下がった場合でも、職種自体がなくなることはほぼありません。
宅建士の得点を7割まで上げて合格を目指そう
宅建試験の合格点は、ここ10年「31~38点」で推移しています。
試験が難しい年度は合格点も低い特徴がありますが、試験が終わってみないと合格点が分からない、という点が厄介なポイントです。
日頃の勉強では40点を目指しつつ、本試験では1点でも多く取る意識を持って勉強すれば合格できる可能性が高まります。
こちらの記事でご紹介した合格点の決まり方や合格するためのコツを参考にしながら、宅建士試験の合格を目指してみてください。