社労士は社会保険労務士の略語で、取得するのが難しい国家資格の一つです。
難関な国家資格の場合、実際の業務はしたことがなくても、その資格を持っているだけで就職で有利になることが多いですが、社労士だけは実務経験が必要だと言われています。
「社労士の就職で実務経験なしだと難しい?」
「社労士の実務経験はないけれど、採用されるためにはどうしたらいいの?」
社労士の資格は持っているけれどまだ就職していない方や、社労士を目指している方に、このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、社労士の就職に実務経験がどのように関わってくるのか?ということから実務経験なしでも採用される方法についてご紹介・解説していきます。
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社労士になる流れ
最初に、社労士になるための基本的な流れをご紹介します。
社労士として働くためには、「社労士試験(社会保険労務士試験)に合格」と「社労士登録」という二つのステップを経ないといけません。
ここでは、その社労士試験と社労士登録がどのようなものなのか、それぞれ簡単にまとめました。
社労士試験
社労士になるために最初に受けなければいけない試験で、この試験に合格すると社労士の資格を得られます。
労働基準法や様々な保険法に関する問題が出題され、試験ごとに定められる合格基準に達したら合格です。
また、受験資格については「大学卒業」や「行政書士の資格の保持」、または「公務員として3年以上の実務経験」など、定められた10の条件をどれか1つでも満たしたら受験することができます。
一.学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学において学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わった者又は同法による短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者
二.旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)による高等学校高等科、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学予科又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を卒業し、又は修了した者
三.司法試験予備試験又は高等試験予備試験に合格した者
四.削除
五.国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び特定独立行政法人又は特定地方独立行政法人又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して三年以上になる者
六.行政書士となる資格を有する者
七.社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人(第二十五条の六に規定する社会保険労務士法人をいう。次章から第四章までにおいて同じ。)又は弁護士若しくは弁護士法人の業務補助の事務に従事した期間が通算して三年以上になる者
八.労働組合の役員として労働組合の業務に専ら従事した期間が通算して三年以上になる者又は会社その他の法人(法人でない社団または財団を含む。)(労働組合を除く。次号において「法人等」という。)の役員として労務を担当した期間が通算して三年以上になる者
九.労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が通算して三年以上になる者
十.厚生労働大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
社労士試験の合格率は約5%
社労士試験に合格するのは非常に難しく、その合格率は5%前後と狭き門と言えるでしょう。
独学での合格も不可能ではありませんが体力・精神的に苦しい時期が長く続いてしまうので、通信講座を利用して学習する方が効率的です。
社労士試験対策の講座がある通信講座の中でも、お得に受講でき最短で合格を目指せるアガルートアカデミーが最もおすすめとなります。
社労士登録
社労士試験に合格したら、次は「社労士登録」です。
社労士試験に合格して社労士の資格を持っていても、この社労士登録をしないと社労士として働くことはできません。
社労士登録とは、全国社会保険労務士連合会の名簿に登録することを指し、登録の際には「開業登録」「勤務登録」「その他登録」のどれかに登録することになります。
開業したい場合は「開業登録」、どこかの事務所や企業に勤務する場合は「勤務登録」、またそのどちらにも当てはまらない場合は「その他の登録」です。
社労士登録することで、社労士の研修会に参加して様々な知識を得られたり、社労士のネットワークを作り情報を集めやすくするなどのメリットがあります。
この社労士登録をするためには、社労士試験に合格していることに加えて2年以上の実務経験が必要とされます。
社労士に実務経験は必要?
社労士になるのに実務経験が必要だと言われていますが、実は、社労士として働くために、必ずしも実務経験がないといけない訳ではありません。
ここでは、そもそも実務経験とは何を指すのかと云うところから、実務経験が必要でない訳を解説していきます。
実務経験とは?
先述の通り、社労士登録には2年以上の実務経験が必要ですが、ここで言うところの実務経験とは一体何を指すのか気になる方も多いと思います。
社労士登録するために必要な実務経験は、ただ一般企業に就職して働いたものや、アルバイトやパートの経験ではありません。
社会保険労務士法で定められた業務のみ実務経験と認められ、簡単にまとめると公務員や一般企業での保険に関する業務や、弁護士事務所や社労士事務所での業務補佐などが当てはまります。
気になる方は以下を参考にしてください。
一 国又は地方公共団体の公務員として従事する法別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)の施行事務
二 労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人及び日本年金機構の役員(非常勤の者を除く。)又は従業者として従事する労働社会保険諸法令の実施事務
三 旧港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第四十四条第三項の納付金事務組合、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第三十三条第三項の労働保険事務組合、船員保険法(昭和十四年法律第 七十三号)第百四十五条第一項の指定を受けた団体又は国民年金法(昭和三 十四年法律第百四十一号)第百九条第二項の国民年金事務組合の役員(非常勤の者を除く。)又は従業者として従事するこれらの法律の規定に基づく事務
四 国若しくは地方公共団体の公務員、労働組合の職員又は会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含み、労働組合を除く。以下「法人等」という。)若しくは事業を営む個人の従業者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要しない単純な事務を除く。)
五 労働組合の役員として専ら従事する労働組合の業務
六 法人等の労務を担当する役員として従事する業務
七 社会保険労務士又は社会保険労務士法人の補助者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務
実務経験なしでも社労士になれる
社労士になるためには社労士試験に合格し、2年以上の実務経験を経て社労士登録をすることが必要です。
しかし、実務経験なしでも社労士になる方法があります。
2年以上の実務経験なしでも、事務指定講習という講習を受けることで、社労士登録をすることができるのです。
そのため、必ずしも社労士になるのに実務経験がなければいけない、ということはありません。
実務経験なしで社労士になる方法
先述の通り、社労士として働くためには2年以上の実務経験を経て社労士登録するのが一般的な方法ですが、実務経験なしでも社労士登録する方法があります。
全国社会保険労務士連合会が開いている事務指定講習を受けることで、実務経験なしでも社労士名簿に登録することができるのです。
ここでは、その事務指定講習について詳しく解説していきます。
事務指定講習の基本情報
事務指定講習の基本情報を簡単に表にまとめました。
受講条件 | 社会保険労務試験合格者
実務経験が2年に満たないもの |
---|---|
講習内容 | 通信指導課程 eラーニング講習or面接指導課程 |
受講料 | 77,000円(税込み) |
事務指定講習は社会保険労務試験の合格者で実務経験が2年未満の者を対象とした講習で、通信指導課程と、eラーニング講習か、指定された会場で面接指導課程を受けるカリキュラムとなっています。
受講料が税込みで77,000円かかる他に、面接指導課程を受ける方は交通費や宿泊費が別途かかるので、気を付けてください。
講習①通信指導課程
通信指導課程は2月〜5月の4ヵ月間かけて行われます。
課題の教材が1月下旬に送られて来て、それを基に研究したものを60枚程度の用紙で報告し、指導官から添削したものが返ってきて完了です。
課題の用紙を送る時に、白紙や内容がほとんど記載されていない場合は再提出の可能性もあります。
講習②eラーニング講習
4ヵ月間の通信指導が終わると、次はeラーニングによる講習です。
eラーニングの講習では、労働基準法や様々な保険法、年金法などの8科目を、1科目3時間の講習で進められていきます。
eラーニングは、2ヵ月間配信され、期間中であればいつでも受講することができるので、時間の都合をつけるのが難しい方におすすめです。
以下が講習で受ける8科目になります。
(1)労働基準法及び労働安全衛生法
(2)労働者災害補償保険法
(3)雇用保険法
(4)労働保険の保険料の徴収等に関する法律
(5)健康保険法
(6)厚生年金保険法
(7)国民年金法
(8)年金裁定請求等の手続
講習③面接指導課程
eラーニング講習を受けるインターネット環境がない方のために、指定された会場で受ける面接指導課程という講習もあります。
こちらの講習は2ヵ月間いつでも受講できるeラーニング講習と違い、4日間の短期集中で行われます。
昨今の情勢を踏まえて、指導官と対面では行われず映像による講習になり、また、人数によっては会場が変更になる場合もあるので、気を付けてください。
実務経験なしで社労士を目指す際の注意点
ここまで実務経験なしで社労士になる方法について解説してきましたが、その方法で社労士を目指す際に注意点があります。
ここでは、その実務経験なしで社労士を目指す際の注意点について解説していきます。
また、こちらの記事で社労士の仕事内容や将来性、社労士の置かれている状況についてご紹介しているので、気になる方は合わせてお読みください。
⇒社会保険労務士はやめとけ?食えない役に立たない悲惨な資格?
実務経験なしだと採用されにくい
社労士の就職では即戦力が求められ、社労士としての実務経験が重要視されているので、実務経験なしでは採用されにくいです。
実務経験なしの有資格者と、実務経験がある無資格者の場合は、実務経験がある方が優先されることが多いことを把握しておきましょう。
実務経験なしで社労士の就職や転職を考えている方は、実務経験がある方と比べて、社労士になる道のりが険しいことを覚悟しておく必要があります。
実務経験なしから社労士の経験を積む方法
ここまで、社労士の就職では、実務経験なしよりも実務経験がある方が採用されやすいことを解説してきました。
しかし、誰でも最初は実務経験なしの状態からスタートです。
社労士として採用されるために、実務経験なしの状態からどのように経験を積めばいいのか分からない方も少なくないと思います。
ここでは、実務経験なしからどのように経験を積み、社労士として採用されるか、その方法をご紹介します。
繁忙期の社労士事務所の求人をねらう
先述の通り、社労士登録をしていなくとも、社労士事務所で仕事の補助をすることで、社労士としての実務経験を積むことができます。
社労士事務所の求人はなかなか目にすることはありませんが、ある時期を狙えば、社労士事務所に入ることが可能です。
社労士の繁忙期は春から夏にかけての4月〜7月と言われており、この時期に人手が足りていない小さな事務所が求人を多く募集しています。
実務経験なしでも、忙しく人手が足りていないこの時期なら採用してくれる可能性も高いのでチャンスです。
小さな事務所なので、大手の事務所と比べて待遇は劣るかもしれませんが、そこで社労士としての実務経験を積むことで、そこから大手の事務所や独立などキャリアアップすることができます。
実務経験として認められている仕事に就く
社労士事務所以外の、社労士の実務経験として認められる仕事をするのもおすすめです。
先述の通り、国家・地方公務員や弁護士事務所の補助、法人や労働組合などで、労働・社会保険に関する業務をすることが、社労士の実務経験として認められています。
社労士事務所は求人が少なく、業務の補助でも、繁忙期以外に入ることは難しいです。
しかし、社労士事務所以外でも様々な職種で実務経験を積むことができるので、どこかに採用されれば、そこで社労士としての実務経験を積むことができます。
まとめ|社労士の登録や就職は実務経験なしでは難しい?
こちらの記事では社労士の登録や就職は実務経験なしでは難しいのか?ということから実務経験なしでも社労士として採用される方法についてご紹介・解説してきました。
・社労士として働くには社労士登録が必要
・実務経験なしでも講習を受ければ社労士登録できる
・就職の時に社労士としての実務経験がある方が採用されやすい
・実務経験として認められている仕事に就いて、社労士としての経験を積む
社労士として働くためには、社労士試験に合格するだけではなく、全国社会保険労務士連合会の名簿に社労士登録する必要があり、社労士登録の条件として2年以上の実務経験が求められます。
実務経験は、社会保険労務士法で定められた業務のみ当てはまるので、どんな仕事でも良い訳ではありません。
また、2年以上の実務経験なしでも、事務指定講習を受けて修了することで、社労士登録することもできます。
ただし、社労士としての実務経験はある方が良く、就職の際は、社労士の資格がなくても実務経験がある方が採用されやすくなっています。
社労士としての実務経験を積むには、社労士事務所で補助として働く他に、実務経験として認められている仕事に就くことがおすすめです。