仕事で頻繁に飛行機に乗るなら、なるべく早く入国審査を通過して、早く休みたいですよね。“入国審査”は、どこの国でも行列。並びながら、仕事の資料に目を通したり、イライラしながら、待つの嫌ですよね。旅プロ筆者が教える裏ワザでスルーして、さらりとスマートに海外出張をこなしましょう。
■:入国審査ってなんなの?
入国審査を行う主な理由は、大きく分けて3つ。
1.防犯
入国審査が行列になってしまうのは、検問の役割を果たしているためです。入国審査官が入国者に対して質問したり、パスポートを調べるのは、犯罪被疑者が国境を越えて移動することを防ぎ、自国の治安を守るためです。
?2.防疫
全く違う国や風土から入ってくる植物や生物により、自国の生態系の乱れを防ぐことも重要な目的の一つです。感染症や感染の疑いがある場合は、入国拒否されることもあります。
3.経済保護
貧富の差が大きい国家間では、大量の移民希望者が押し寄せることもあり、移民受け入れ数は決められています。旅行者を装い、移民希望者が不法に自国へ滞在しようとすることを防ぐ目的もあります。
■:入国審査をスルーできないの?
空港で長い行列に並びながら、入国審査の行列に並ばないで、さらっと通路を抜けていく人を目にしたことありませんか?それは、パイロット、キャビンアテンダントなどのお仕事で飛行機に乗る人です。
「私は、パイロットじゃないから、並ばないといけないんでしょ?」
お仕事ならば、入国審査の行列をスルーできるカードがあるんです。
■:入国審査をスルーできる「APECカード」って何?
日本人が外国に行く場合、通常はその外国に入国するための査証(ビザ)が必要です。短期間の出張や観光であれば、ビザが免除されている例もありますが、APEC域内の国・地域への入国・入域には、まだビザが必要な場合が多いと言えます。
APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)とは、APEC域内を頻繁に出張するビジネス関係者の移動を円滑にするために、制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に発行する特別なカードです(日本人ビジネス関係者には外務省が発行)。
発行に際して、あらかじめ、他の制度参加国・地域の政府の了解(事前審査の承認)を得ておくことで、その国・地域への入国・入域に際して査証が免除される又は査証手続が免除(自動的に査証が発給される)されます。現在、我が国を含む19の国・地域が参加しており、事前審査において承認を受けた国・地域(カード裏面に記載されます)での入国審査(短期商用目的に限る)においてABTCを提示することにより、
(1)ABTCの有効期間内(通常5年間。ただし、旅券の有効期限満了又は旅券更新により、ABTCも失効する)であれば何回でも、ABTCの裏面に記載されたABTC制度参加国・地域において、旅券及びABTCのみ(つまり査証なし)で入国審査を受けることができます。
(2)入国審査の際にABTC制度参加国・地域が主要な国際空港に設置したABTC専用レーン(ブース)を利用することができ、円滑な審査が受けられます(なお、中国、シンガポール及びチャイニーズ・タイペイ(台湾)については、事前承認を受けていないと(ABTC裏面に記載がないと)ABTC専用レーンの使用ができません)。
日本人ビジネス関係者の方で、ABTCを希望される方は、「ABTC申請方法」に従って、申請書類を送付してください。<引用元:APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)Q&A?>
■:入国審査をスルーできる「APECカード」はどこの国で使えるの?
APECカードが使えるのは、オーストラリア、ブルネイ、チリ、中国、中国香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、タイ及びベトナム。
アメリカ、カナダは暫定国メンバーです。
暫定参加メンバーのアメリカとカナダでは、ビザなしで入国できるようになる事前審査は未対応です。しかし、APECカードホルダーは、空港の専用(ビジネス関係者)レーンを使うことができるので、一般入国よりも早く通過できます。
■:入国審査をスルーできる「APECカード」はどうやって作るの?
有効期限:3年
申請手数料:13,100円
要件:日本のパスポート所持、犯罪歴がないこと、所属企業が貿易、投資金額の一定要件を満たしていること。
交付申請書に記入して郵送し、カードが発行されます。
詳しい手続き方法は、こちらから
まとめ
APECカードは、個人事業主には該当しないので、企業である必要があります。取得条件は、厳しいのですが、入国審査の待ち時間を短縮できると、スムーズに仕事に入れるのでオススメです。自分で申請をするのが面倒な人は、行政書士事務所にお願いすると代理申請をしてくれるので、海外出張が多い部署の人をまとめてAPECカードを依頼すると良いでしょう。
Aida Minamoto