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公務員の定年延長はいつから始まる?早見表や平均退職金額・年金受給額の相場について解説

更新日:2024-06-11

公務員の定年延長はいつから始まる?早見表や平均退職金額・年金受給額の相場について解説

公務員は安定して働ける人気の職業の一つです。

一般的な職業では、リストラや早期退職を求められる可能性があったり、年金が削減されたりするなど昔と比べると安心して働きにくくなっています。

しかし、公務員についても、定年が延長されるなど今までと違う働き方が求められつつあります。

具体的には、60歳だった定年が段階的に延長されることが決定され、令和5年からスタートしました。

その他にも、以下の項目が変更になります。

令和5年度から変わること
●段階的な定年延長
●役職定年制により管理監督職から降任
●給与は7割に減少
●退職金は保証
●再任用で短時間での勤務が可能

本記事では、公務員の定年延長がいつからどのようにして行われるのか、60歳を超えて働いたときにどのような変化があるのかなど、詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 公務員の定年延長がいつから行われるのか
  • 公務員の定年延長後の待遇について
  • 公務員の定年延長と再任用の違い
  • 公務員の定年延長のメリット・デメリットについて

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公務員の定年延長スケジュール

公務員の定年は令和5年から2年に1歳ずつ引き上げられ、最終的には65歳が定年となります。

定年延長のスケジュール
年度 定年の年齢
令和4年 60歳
令和5年度〜6年度 61歳
令和7年度〜8年度 62歳
令和9年度〜10年度 63歳
令和11年度〜12年度 64歳
令和13年度〜 65歳

このように、1年ずつ定年延長がなされ、令和13年度からは65歳が定年となります。

生年月日ごとの定年の年齢ごとの早見表は以下のようになります。

年齢ごとの定年の年齢
生年月日 定年の年齢
昭和37年4月2日〜
昭和38年4月1日
60歳
昭和38年4月2日〜
昭和39年4月1日
61歳
昭和39年4月2日〜
昭和40年4月1日
62歳
昭和40年4月2日〜
昭和41年4月1日
63歳
昭和41年4月2日〜
昭和42年4月1日
64歳
昭和42年4月2日〜
昭和43年4月1日
65歳

昭和38年〜43年生まれの方はこれまで想定していた定年から延長されるため、ライフプランの見直しなどが必要となってくるでしょう。

また、矯正施設などで仕事をする医師・歯科医師や検察官・防衛省の事務官なども同様に定年延長がされ、最大70歳までとなります。

公務員の定年延長の対象になる生まれ年

公務員の定年延長の対象になるのは、昭和38年(1963年)に生まれた方からです。

公務員の定年延長の対象となる生まれ年
生まれた年 定年時の年齢 定年となる年度
昭和37年(1962年) 60歳 令和4年度(2022年)
昭和38年(1963年) 61歳 令和6年度(2024年)
昭和39年(1964年) 62歳 令和8年度(2026年)
昭和40年(1965年) 63歳 令和10年度(2028年)
昭和41年(1966年) 64歳 令和12年度(2030年)
昭和42年(1967年) 65歳 令和14年度(2032年)

昭和37年(1962年)に生まれた方は定年が60歳のままとなります。

その後は2年ごとに1歳ずつ定年となる年度が引き上げられて、昭和42年(1967年)生まれの方から定年が65歳となるのです。

2年間同じ定年が続くのではなく、1年毎に定年が1歳ずつ上がっていくということですので注意してください。

定年が段階的に上がっていく昭和38年(1963年)~昭和42年(1967年)生まれの方は、暫定的再任用制度を利用して65歳までの期間まで働くこともできます。

定年延長の対象になる公務員

公務員の定年延長の対象は国家公務員・地方公務員です

公務員の定年延長はシニア層の公務員が持つ知識や経験を活かす目的や、少子高齢化が進む将来の人手不足への対応するためといった背景が影響しているといわれています。

さらに公務員だけではなく、今後民間企業も合わせて同様の動きを行うのではないかともささやかれています。

公務員の定年延長後の役職

公務員として60歳まで勤めていた場合、役職はそれなりのものとなっていることでしょう。

定年延長された60歳以後の公務員は、必ずしも同じ役職に就けるとは限りません。

管理監督職に就いていた公務員は、60歳以後非管理監督職に降任することになります。

これが役職定年制であり、例えば事務次官や局長、部長などに就いていた方は課長補佐級以下に降任します。

これは組織の活性力を維持させるための措置であるため、仕方のないことと言えるでしょう。

公務員の定年延長後の給料

役職が変わる他に、定年延長後の60歳以上の公務員は給料も変化します。

給料はそれまでの7割となり、役職が降任した場合は降任前の給料の7割となります。

たとえば内閣官房内閣人事局が示す「国家公務員の60歳以降の働き方いついて」には、行政職(一)6級85号に就いていた場合の月給は410,200円ですが、61歳以後は287,100円と掲載されています。

定年延長で働く年数は増えますが、給料はそれまでより減るといった点には考慮が必要となります。

公務員の定年延長後の退職金

65歳まで働かず、60歳で退職したいと思った時の退職金がどういう扱いになるのかは気になるところですよね。

退職金については、60歳以降、定年前に退職したとしても退職自由は「定年退職」として扱われ、定年による退職金と同じ退職金がもらえます

また、60歳までに算定される退職金と61歳以降に算定される退職金は別に計算されるため、給料が減ることによる退職金の減少もありません。

しかし、退職金をもらえるのは定年退職のタイミングとなるため、定年延長によりもらえる時期が遅くなる点は注意が必要です。

公務員の定年延長後のボーナス

定年後に給料が減るのに比例し、ボーナスも減額されます

公務員の定年後は給料が7割となりますから、ボーナスも同じように7割になるのです。

このようにボーナスを含む手当も7割水準となるので注意しましょう。

ただし、公務員のボーナスは「期末・勤勉手当」と呼ばれ、地域手当とともに7割となるものの、住居手当・扶養手当・通勤手当などは7割の対象とはなりません。

参考:人事院「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)

公務員の定年延長と再任用の違い

定年後にそのまま働き続ける他に、「再任用制度」を利用することも可能です。

再任用制度とは定年などによって一度退職した職員を、再任用により新たなポストに就くことができる制度です。

再任用制度には「定年前再任用短時間勤務制」と「暫定再任用制度」の2種類があります。

そこでここでは、それぞれの制度について詳しくご紹介します。

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公務員の定年前再任用短時間勤務制

定年前再任用短時間勤務制とは令和3年にできた、国家公務員法等の一部を改正する法律が施行された際にできた新制度です。

65歳までの再任用期間中に、定年前に退職した者を、短時間勤務の官職に採用することができる制度のことを指します。

具体的な内容については以下の通りとなります。

対象 2023年4月1日以降に、60歳に達した日(60歳の誕生日の前日)以後、定年前に退職した公務員
採用 採用されるか否かは、採用時期も含め任命権者の裁量
任期 定年前再任用の日から定年退職日相当日(常勤職員の定年退職日)まで
(定年が65歳に引き上がるまでの間は、任期満了後は暫定再任用としての採用の対象)
勤務形態 再任用制度(暫定再任用)の短時間勤務と同様
条件 給与や勤務条件については、現行の短時間勤務の再任用制度(暫定再任用)と同様

参照:人事院

公務員の暫定再任用制度

暫定再任用制度とは、2023年4月に廃止された再任用制度にかわってできたもので、令和5年度から定年が65歳に引き上げられる間に設けられた制度のことを指します。

具体的な内容については以下の通りとなります。

採用 従前の勤務実績等に基づく選考により採用されます。
任期 1年を超えない範囲内で任命権者が定めます。※勤務実績等を考慮し、1年を超えない範囲内で更新できます。※65歳に達する日以後の最初の3月31日が上限です。
勤務形態 フルタイム勤務と短時間勤務のいずれか

参照:人事院

なお勤務地や職務内容、勤務形態などの希望については再任用制度同様、個人の希望に沿わないケースもあります。

また上記の暫定再任用についても65歳定年への移行が終了すれば廃止されるので注意が必要です。

「勤務形態」にあるフルタイム勤務と短時間勤務ですが、それぞれには勤務時間に以下のような違いがあります。

  • フルタイム勤務:修38時間45分
  • 短時間勤務:週15時間30分~31時間

短時間勤務の場合、各省庁や自治体によって多少時間の割り振りが異なるため事前に確認するようにしましょう。

公務員の定年延長のメリット

公務員の定年延長はいつから始まる? メリット

メリット①収入を得られる期間が増える

当然ですが、退職後は収入がなくなります

定年延長により少し長く働くことはできますが、いずれ誰しも収入は無くなることでしょう。

もちろん年金は受け取れるほか、自らお店を立ち上げることもできます。

それまでの経験を活かしてもいいし、全く違った挑戦をしてみてもいいでしょう。

メリット②公務員としての肩書きや価値観を長く持てる

公務員は社会的信頼のある仕事で、ローンを組みやすいなどのメリットがあります。

公務員の肩書きがなくなることは生活に影響を与える可能性もあるため、公務員の方が都合がいいこととは退職前に済ませましょう

また、公務員として働いているときに培った価値観は、退職後は通用しないこともあります。

郷に入っては郷に従えと言いますから、退職後は新たな環境に馴染めるように頑張っていきましょう。

メリット③職場での人間関係を維持できる

職場という環境がなくなることは、人によって良くも悪くもあるでしょう。

家庭や住んでいる場所が過ごしやすい場所でなかった場合、職場がなくなることでストレスが増えてしまう可能性もあります。

逆に、職場がなくなることで解放感に満たされる場合もあるでしょう。

どちらにせよ、職場がなくなることで自分はどうなってしまうか、少し考えておくといいかもしれません。

公務員の定年延長のデメリット

公務員の定年延長はいつから始まる? デメリット

デメリット①人生の中の自由な時間が減る

まず第一に、自分が自由に使える時間が圧倒的に増えます。

通勤に往復1時間かけ、8時間の勤務、出勤のための準備や帰宅後の資料整理などで1時間要していた場合、1日に10時間ほどの時間が生まれます

この10時間は趣味にあててもいいですし、新たな仕事に使ってもいいでしょう。

定年延長による短時間勤務を選択した場合も、これまでよりかなりの時間を使うことができるようになります。

デメリット②家族や友人と過ごす時間が減る

公務員として働いている時は職場の人と共にいることが多かったでしょうが、定年後は家族や友人と過ごす時間が多くなります。

それまでずっと家庭を支えてきた家族と共に家事をおこなったり、共に定年退職した友人と遊びに行くことも大切な時間の使い方です。

仕事をする必要がなくなったら、人との関わりが大事な生活の支えとなります。

これまでに培った交友関係を大切にしつつ、新たな関係を築いてもいいかもしれませんね。

デメリット③職場以外との関わりが減る

また、主な環境が職場ではなくなるため、地域との関わりが増えることでしょう。

職場が自宅から離れていたなら、なおさらこれまでとは全く違う関わりをすることになります。

また、これまで地元の公務員として働いていたなら、今度は自分がその恩恵を受ける番です。

地域に住民としての居場所を新たに見つけることで、日々の生活が楽しくなることでしょう。

公務員の定年延長対象ならライフプランの見直しもすすめよう

公務員の定年についてまとめ
●公務員は65歳まで定年延長される
●定年の場合の退職金は約2,000万円
●自己都合による早期退職の退職金は勤続年数や役職で異なる
●定年後にもらえる年金は約18万〜19万円
●定年退職後は時間が増え収入がなくなる

公務員の定年は令和5年から段階的に引き上げられ、令和13年度からは65歳まで定年延長されます。

それに伴い退職金の額や受給時期も変わるため、あらかじめ計画を立てておくことが大切でしょう。

また、退職金は定年と自己都合による早期退職の場合では受給額も変わってきます。

安定感があるイメージの強い公務員ですが、ライフプランはしっかりと組み立てた上で働いていくことが大切になってくるでしょう。