公務員から転職しようと考えた時、業種の異なる公務員に転職することも少なくありません。
その際給料が大きく減少したりするなどのデメリットがあるならば、同じ分野の一般企業に転職する方が有利になるかもしれないと不安になる方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では公務員から公務員への転職について、一般企業と比較して不利になるのか、業種は限定されるのか、退職金の引継ぎはできるのかなどを解説していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
- この記事でわかること
- 公務員から公務員への転職方法
- 公務員から公務員に転職する際の注意点
- 公務員から公務員に転職した場合の退職金について
- 公務員から公務員への転職で志望動機を書くコツ4選
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公務員から公務員への転職は可能
公務員から公務員へ転職することは可能です。
公務員は民間企業への就職も厳しいですし、公務員から公務員へ転職している人も少なくないでしょう。
転職先が現在の仕事と似たものなら、転職対策もしやすいのがメリットです。
次の章では、公務員から公務員へ転職する方法をご紹介します。
公務員から公務員への転職は不利だと言われる理由
公務員から公務員への転職は不利だと言われていますが、そう考えられる理由は下記などがあります。
- 同じ公務員ということがあり、前の職場から情報が共有されている可能性がある
- 何らかの理由で退職にいたった人を、同業界で雇用するのはリスクがある
- 民間出身者の方が、仕事で貢献できる可能性が高い
ただ、上記のような理由はあくまで憶測にすぎず、実際は公務員間での転職は盛んにおこなわれています。
公務員から公務員への転職は実際は有利な理由
結論から申し上げると、公務員から公務員への転職が一般企業から公務員の転職と比較して不利になることはありません。
前述したように、転職で公務員試験を受験する場合は転職の理由・前職で何をしていたかの2つが重要になります。
そしてこれは一般企業での転職と変わりありません。
公務員から公務員への転職の場合もちろん前職の内容は信用がある公務員のため、転職理由が不適切でなければ不利になることはありません。
理由①知識が役立つ
実は、公務員から公務員へ転職する場合有利になるという意見もあります。
これは、既に公務員試験を一度経験しているため面接で何を聞かれたか、またどう受け答えすれば印象が良いかなどの知識が役立つということです。
また筆記試験においても、前職に就く際一度試験を受けている公務員試験経験者が有利になるでしょう。
ただし、転職に成功した後は「前職が公務員だから給料が上がる」といったことは無いようです。
理由②即戦力になれる
公務員から公務員への転職が有利だと言われる2つ目の理由が、即戦力になれるからです。
一般的に、中途採用する目的は既にその仕事を経験している人を取り入れることで即戦力として活躍してもらうことです。
しかし公務員の場合、前職が公務員の仕事と関係が薄いということも多々あり年齢は高いものの能力は新人と同じという方もいらっしゃいます。
そんな中、前職が公務員であれば書類作業やPC上でのデータ整理など業種が違ってもある程度共通している仕事内容も多いため、即戦力になりやすいと言えます。
そのため採用する側としては「前職も公務員だけど、また辞めてしまわないかな?」という不安さえ拭えれば即戦力として迎えたいと考えるのです。
公務員から公務員への転職する方法
まず最初に公務員から公務員への転職方法をご紹介します。
公務員から公務員への転職は、「大卒程度試験」と「社会人経験者採用試験」2通りの方法から選択可能です。
①大卒程度試験 | ②社会人経験者採用試験 |
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公務員には国家公務員・地方公務員・地方上級公務員などの種類がありますが、基本的に転職において公務員の業種が関係することは無いようです。
公務員から公務員へ転職する場合、一般企業から公務員へ転職するのと同じように公務員採用試験を受験して転職します。
この際、20代後半までであれば「大卒程度試験」と「社会人経験者採用試験」の2種類から試験を選ぶことができます。
どちらの試験に合格しても公務員に転職できますが、社会人経験者採用試験は倍率が高く前職の経験内容も問われ、大卒程度試験は筆記試験の勉強量が少し多いといった特徴があります。
自分がどちらの試験で転職に臨むのか、よく考えて決めましょう。
公務員から公務員へ転職するまでの平均期間
公務員になってから1年目で、公務員へ転職するのは一応可能です。
しかしキャリアが短いため、慣れない仕事をしながら転職活動をすることになります。
1年目であれば「社会人経験者採用試験」を受けることも難しいでしょう。
このため公務員へ転職するには、また1から「大卒程度試験」を受ける必要があります。
大卒程度試験は筆記試験も多く、仕事をこなしながらの試験勉強は大変です。
経験が浅いため、面接でのアピールポイントを考えるのも一苦労でしょう。
なるべく経験を積んでから転職活動を始めることをおすすめします。
公務員から公務員に転職する際の注意点
公務員から公務員に転職することは可能ですが、気を付けるべき点もあります。
以下の2点に注意して、転職活動を行いましょう。
転職の理由をしっかりと考える
公務員試験はどの試験を選んでも基本的に面接があります。
そこで重要になるのが転職理由をどうするか、ということです。
一般企業から公務員になる場合は「地域の方の助けになる仕事がしたい」「誰かを危険から守れる仕事がしたい」といった理由を面接で話すことができます。
しかし前職が公務員の場合、転職先の業種がこれまでの業種と大きく異ならない限りそういった理由付けをすることが難しくなります。
前職で何をしていたか伝える
一般企業へ転職する場合は「夢・目標を叶えるために前職を辞めました」といった理由が使えます。
しかし、公務員から公務員に転職する場合はこれも厳しいでしょう。
このため前職で何をしていたのか、その仕事を今後どう活かせるのかを考える必要があります。
公務員から公務員に転職する場合この転職理由をしっかり対策しておくことが転職成功のカギになると言われているため、よく考えておくようにして下さい。
公務員から公務員に転職した場合の退職金
公務員から公務員に転職した場合は「転職したけれど同じ職に就いている」ということになります。
通常退職金は同じ職業を長く続けていると貰える額が大きくなっていくため、退職金を引き継ぐことが出来るならそうしたいと考える人も多いでしょう。
ここでは、公務員から公務員に転職した場合の退職金はどうなるのかについて解説します。
自治体によっては退職金を引き継ぐことが出来る
一般企業では転職をする場合は退職のタイミングで退職金を受け取り、新しい企業でまたキャリアをスタートすることになります。
しかし公務員から公務員に転職する場合、勤務期間を引き継いで退職金をその場では受け取らないということが可能です。
これには転職前の職場・転職後の職場双方にこの引継ぎ制度がある場合に限りますが、公務員のほとんどの職場にこの制度が存在していると言われています。
退職金は出世具合や勤続年数で決定するため、退職金を受け取らずに勤務期間を引き継ぐ方が得になるでしょう。
しかし引っ越しなどの関係から転職のタイミングでまとまったお金が欲しいという場合、すぐに退職金を受け取る方もいらっしゃるようです。
公務員から公務員への転職で退職金を引き継ぐ時は注意が必要
公務員の退職金を引き継ぐ時は、前職の退職日と転職先の入職日を1日も空けないでおく必要があります。
例えば、12月31日付けで退職し、1月4日が入職日となっている場合、退職金は引き継がれません。
入職日までに休みが欲しい場合は、有給休暇などを活用して転職スケジュールをしっかり練りましょう。
公務員を自己都合退職した際の退職金
ここで、公務員から公務員への転職で退職金を引き継ぐか迷う方のために、自己都合退職した場合にいくら退職金が貰えるのかの目安をご紹介します。
まず公務員一般職の平均退職金は以下のようになっています。
自己都合退職 | 260万円 |
---|---|
定年退職 | 2201万円 |
定年退職まで働くとどれだけ退職金の額変わるのか、一目瞭然ですね。
退職金の具体的な計算方法は【退職金=基本額+調整額】となっています。
まず基本額の計算方法について、以下の基本額支給率を参考にしていきます。
1年目 | 0.5022 |
---|---|
2年目 | 1.0044 |
3年目 | 1.5066 |
4年目 | 2.0088 |
5年目 | 2.511 |
6年目 | 3.0132 |
7年目 | 3.5154 |
8年目 | 4.0176 |
9年目 | 4.5198 |
10年目 | 5.022 |
次に調整額ですが、勤続年数が10年未満の場合支給されず、支給された場合でも多く見積もって基本額の20%程だと言われています。
これを基に退職金を計算すると、10年目で基本給30万円で退職金を受け取る場合、
【30万円×5.022×1.2=180.792万円】という結果になります。
退職金を受け取るかどうか、自分の現在の基本給や勤続年数から計算してから判断してみて下さい。
※参考:内閣官房「国家公務員の退職手当」
公務員から公務員に転職した場合の基本給
退職金を引き継ぐことが出来る自治体は多くなっていますが、公務員から公務員に転職した場合基本給がどうなるのかも気になるところです。
公務員から公務員へ転職した場合の基本給は、転職先の業種によります。
公務員に転職する場合「職歴加算」という制度に則って転職前の経歴を考慮して基本給が決定されます。
これは前職が公務員である場合も同様で、各自治体が定めている換算率を基に計算が行われます。
この換算率は転職後の公務員の仕事に対して関係性が大きいほど1.0に近くなっていきます。
例えば公務員に転職する前に換算率0.8の仕事を10年行っていたとすると、転職後の基本給は10年目の公務員の0.8倍になります。
また前職が公務員の場合、業種にもよりますが換算率が1.0の場合が多いため、基本給はほとんど変わらないというのが現状のようです。
公務員から公務員への転職が難しいということはない
今回この記事では公務員から公務員への転職について、一般企業と比較して不利になるのか・業種は限定されるのか・退職金の引継ぎはできるのかなどを解説してきました。
公務員から公務員に転職することは可能で、国家公務員や地方公務員といった種類に関係なく公務員試験を再び受験し、合格する必要があります。
前職が公務員だと公務員試験で不利になるという意見もありますが実際はあまり関係が無く、むしろ有利になることがあると言われています。
退職金に関しては、自治体の制度にもよりますが多くの場合受け取ることも引き継ぐことが出来るようで、自分の基本給や勤続年数から計算して考えることが重要です。
基本給に関しては、前職が公務員であれば次の職場でも即戦力として活躍することが見込まれるため、ほとんど変わらない額を得られるようです。
公務員から公務員への転職は決して珍しいことではないため、公務員転職ハンドブックなどを上手く活用して挑戦してみて下さい!