自衛隊の誰もが経験するのが「転勤」です。
自衛隊では「転属」や「異動」と言いますが、既婚者であれば家族同伴で引っ越しをしなければなりません。
家庭の状況によっては単身赴任になる事もあり、二重生活を送る事もあります。
いつどこに転勤するか分からないので、家族がいる場合、子供の転校や様々な手続きなど家族も大変慌ただしくなります。
今回はそんな自衛隊の転勤事情についてご紹介します!
自衛隊の転勤頻度・期間について
自衛隊員の転勤の頻度は階級により変わってきます。
自衛隊であれば誰もが転勤は経験しますが、その年数・回数は大きく違ってきます。
自衛隊員の勤務先は全国に約260ヶ所あり、転勤頻度は早くて1年間で、遅くて10年間も勤務する事もあります。
自衛官ならば誰もが転勤する可能性があり、内示が出される日付も決まっています。
自衛隊の転勤は早くて1年で、階級によって変わりますが、一生のうち10回以上は転勤経験のある人が多いようです。
自衛官幹部でない場合には転勤は少なく数年に1回の頻度で定年まで2回程度の人もいます。
幹部自衛官は転勤頻度が多い
階級が低い自衛官の場合は転勤の可能性は比較的低く、幹部自衛官は大体1~3年おきに転勤があります。
特に若い自衛官幹部は更に早い頻度で転勤があるので、家族が引っ越しに間に合わずに、後日引っ越しするというケースも多いようです。
急に転勤が決定してしまった場合に引っ越し準備や業者の見積もりなど、どうしても間に合わない事もあるので、同伴しなければならない家族は大変ですね。
曹階級の自衛官は転勤が比較的少ない
もちろん曹階級の自衛官にも転勤はありますが、幹部の自衛官より転勤の頻度が少ない傾向にあります。
曹階級に必須なのが約3年おきの転勤を2回以上するか、6年以上の転勤を1回するかが必要です。
曹階級の自衛官は部隊に配属されてから、約2年~10年で転勤になる可能性があり、人によって4年で転勤する事もあります。
中には幹部の自衛官とあまり変わらない頻度で転勤になる人もいるようです!
通常では初期の配属無頼から近隣などの部隊へ転勤になり、曹階級の自衛官は比較的同じ地方の転勤が多くなります。
曹は部隊を整える役割があるので、10年間勤務地が変わらないなど比較的長期間になる事が多く、引っ越し回数が少ないのです。
転勤の内示はいつ?
自衛官の転勤は辞令が出る前に「内示」と呼ばれるものがあり、殆どが内示通りに辞令が出ます。
転勤を通告する内示の日付は決まっています。
急遽転勤・引っ越しとなると家族も大変ですが、様々な理由から急な転勤となる場合もあるようです。
どのようにして転勤が決定し、また家庭の都合によりどうしても行けない場合はどうするのでしょう?
以下で内示について見ていきましょう。
転勤の内示の期間は?
自衛官の転勤は基本的には年2回あり、3月下旬~4月1日と8月1日です。
転勤の内示は約1ヵ月前には出され、4月1日の転勤であれば2月後半には正式な内示があります。
この時期になると部隊内の誰もが転勤の話題になるようです。
家族同伴の引っ越しになるので、それぞれ自衛官の家庭は引っ越し準備に慌ただしくなります。
転勤が無くなる事はある?
基本的には内示通りに転勤が決まる訳ですが、「内々示」というものがあります。
転勤する2~3ヵ月前に本人へと直接打診が来ます。
なので、打診があったために転勤だと思っていても、内示の時期に転勤が無くなるという事もあるのです。
いつ急に転勤の都合が変更されるか分からないので、それによって家庭環境が左右されてしまうのは大変ですね。
内々示は家族の承諾が必要
内々示は転勤する2~3ヵ月前に伝えられますが、その時点では確定ではありません。
隊員から家族へ転勤の確認を取らなければならず、病気や要介護など、やむ負えない家庭の事情などによって自衛隊が考慮し、異動取り消しになる場合があります。
転勤先は選べるの?
では全国約260ヶ所の勤務地から転勤先は選べるのでしょうか?
もし選べたなら家族は非常に助かるのですが、結論としては希望通りに転勤する事はできません。
転勤はあくまで任務の為、部隊の事情や人員の調整が最優先されます。
なのでどんな理由であれ勤務地を選ぶことはできず、行きたくない場所にも行かなければならないのです。
希望転勤先の提出はする
自衛隊では隊員の希望する異動地を第三希望まで提出しています。
ある程度自衛隊の転勤は希望が通るようですが、思いもしない場所への転勤をする人もいます。
幹部であれば自衛官としての任務がある限り、必ず行かなければならない異動先もあるのです。
なので、期待するよりはどこへでも行けるように覚悟しておいた方がよさそうですね。
勤務地の優先度は?
勤務地の優先度については勤務地と職種どちらを優先するか選択する事ができ、勤務地を優先した隊員の多くは希望通りの勤務地に配置されているようです。
職種を優先に選択すると、適性検査の結果により左右されるので難しいとされています。
引っ越しにかかる手当ては?
自衛隊である限りは転勤は避けられず、全国転勤族なので、引っ越し費用もかなりの出費になります。
自衛隊の転勤は春と夏に内示がありますが、春になると引っ越し業者の料金設定も高くなり、転勤の多い隊員の家族としては、それ以外にも子供の学費やあたらしい居住地などに様々な費用がかかってきますよね?
何度も転勤があるのなら尚更、自衛隊の手当てには種類があり、その引っ越し手当ての種類をご紹介します。
引っ越し手当て
引っ越しの際に引っ越し手当てが支給されます。
転勤先までの距離や隊員の階級などを元にして算出されるので、定められた金額ではありません。
(A自衛隊家族の引っ越し費用例)
- 勤務先:800km以上
- 引っ越しセンター代金:約26万円
- 官舎撤去費用:約11万円
- 合計:約37万円
- 引っ越し手当て支給額:約28万円
住居である官舎の撤去費用については自腹になってしまいますので、引っ越し費用の自腹出費は10万円~20万円は覚悟しておかなければなりませんね。
以上のようにあくまで手当であって、引っ越しにかかる実費ではありません。
赴任旅費手当て
引っ越し先に到着するまでの交通費・宿泊費も支給されます。
最も経済的なルートを想定して算出されます。
赴任旅費の手当ては片道分で扶養家族全員の分が支給されますが、移動に新幹線や飛行機などの公共機関を利用しても普通電車の運賃分が支給されます。
自衛隊員は公務員という事で仕方のない事ですが、この算出方法だとなるべく最小限の費用で移動したい所ですね。
広域異動手当て
60km以上の異動である場合は、広域移動手当てが支給され、この手当ては引っ越してから3年間の間支給されるようです。
3年間の支給はなるべく出費を抑えたい家族としては嬉しい手当てですね。
- 広域手当ての支給割合
- 異動距離が60km以上で300km未満の場合:5%
- 異動距離が300km以上の場合:10%
広域異動手当ても階級によって金額が変化し、扶養家族分が支給されます。
広域異動手当ての計算方法
- 広域異動手当て=(基本給+扶養手当て+管理職手当て+営外手当て)×支給割合=支給手当て
- 例:(287,000円+19,500円+0+6,350円)×5%=15,642円の支給
上記の例の様に算出された支給額が3年間支給されます。
この広域異動手当てを利用せず、次回の異動費用に利用するという方もいるようです。
単身赴任手当て
家庭の都合などにより、単身赴任を選択する自衛官もいます。
単身赴任は自分と家族の二重生活になるので負担も大きくなるので、そんな時に助けになるのが単身赴任手当です。
単身赴任手当の支給の条件とは?
単身赴任手当は単独で済むだけで支給されるものではなく、単身赴任手当を支給されるには条件があります。
単身赴任手当ての支給条件
- 異動等に伴う転居
- やむを得ない事情による別居
- 単身を常況
- 通勤が困難
以上の4点を満たす必要があります。
単身赴任手当ての支給額
単身赴任手当の支給額は自宅から勤務先までの距離から算出されます。
基本支給額が3万円なので、そこに加算されていきます。
支給額は以下になります。
単身赴任手当て支給額(基礎額+加算額の金額)
- 100km以上300km未満:38,000円
- 300km以上500km未満:46,000円
- 500km以上700km未満:54,000円
- 700km以上900km未満:62,000円
- 900km以上1,100km未満:70,000円
- 1,100km以上1,300km未満:76,000円
- 1,300km以上1,500km未満:82,000円
- 1,500km以上2,000km未満:88,000円
- 2,000km以上2,500km未満:94,000円
- 2,500km以上:100,000円
自衛隊の転勤や期間は?引っ越し・単身赴任の手当てまとめ
自衛隊の転勤事情についてご紹介しました。
自衛隊である限り転勤は避けられないので、単身赴任や引っ越しにかかる費用や家族の都合など色々大変な部分が見えましたね?
常に自衛官の家族は引っ越しを意識していて、官舎でも家族付き合いの為に階級などを把握し心掛けているようです。
自衛官という仕事は国の為といえど私生活を捧げているので、我々には見えない苦労が沢山あり、自衛官家族の存在は隊員を支える力となり偉大な存在ですね。