「マンガ家を目指して、有名なマンガ家のアシスタントになって勉強したい」
「イラストが得意なので、マンガ家のアシスタントの仕事を定職にしたい」
と考えている人はいませんか?
夢と希望に溢れたマンガ家ですが、その内情には激務な割に安い給料で有名な厳しい現実があります。
この記事ではマンガ家のアシスタントの厳しい勤務内容や平均給料、 アシスタントに必要な能力について詳しく説明していきます!
立派なブラック企業?マンガ家アシスタントの拘束時間の長さと低賃金
マンガ家のアシスタントの仕事内容は、拘束時間が長く重労働で給料が安いことで有名です。
以下で、マンガ家のアシスタントの拘束時間の長さと、なぜアシスタントが重労働といわれるのかその理由と、給料の安さの3つをお伝えします。
アシスタントの拘束時間の長さ
まず平均的な1日の拘束時間は、8時間~12時間と一般のサラリーマンの拘束時間を軽く超えています。
しかも、基本となる労働時間を超過した分の残業手当が出ないところも多いです。
さらに担当する漫画家先生によって、出勤時間や休日の配分もまちまちです。
漫画の締め切りが迫れば、徹夜での作業も珍しくないですし、私用で休み希望を出すことも許される環境ではありません。
アシスタントが重労働といわれる理由
次に、マンガ家のアシスタントが重労働と言われる所以は、作業部屋の中で缶詰めになった状態で、ずっと同じ姿勢のまま何時間も作業を続けていることにあります。
基本的には座ったままで、作画の作成やデジタル編集を黙々と進めていきます。
使用する道具は様々ですが、目を酷使し続けることと、腕や手の腱鞘炎、慢性的な肩こりや腰痛はアシスタントの持病とも言えます。
これが、マンガ家のアシスタントが重労働だといわれる理由です。
アシスタントの給料
最後にマンガ家のアシスタントの給料について説明しましょう。
アシスタントの給料を時給換算すると、平均して1000円が妥当なところです。
東京都で2018年10月に改定された最低賃金が985円、コンビニでの平均時給が1068円なのに対し、マンガ家のアシスタントの平均時給が仕事内容が厳しいわりに安いことがわかりますね。
このように、安い給料で厳しい労働環境がマンガ家のアシスタントでは通例になっていて、「それでもやりたいなら入っておいで」と、求人の段階でふるいにかけられているような厳しい世界なのです。
では次からはもっと具体的に、アシスタントの仕事内容の詳細に触れていきます。
こんなことまで?マンガ家のアシスタントの仕事
アシスタントに求められる仕事の範囲は実は多いのが現状です。
そこで、ここでは漫画家のアシスタントの具体的な仕事内容と、アシスタントになるために求められる能力について見ていきましょう。
意外に広いアシスタントの仕事内容
マンガ家のアシスタントの仕事は、プロの先生が書いた作画を補助する仕事と、先生の身の回りのお世話をすることです。
例えば作画の補助の仕事であれば、
・ペン入れ
・ベタ塗り
・ホワイト
・消しゴム
・トーン貼り
・効果線
などといった、先生が描いたキャラクターの下絵に背景や効果線を加えていく作業が一番メインとなる仕事です。
ただしこれだけがアシスタントの仕事ではありません。
他にも、
・作品に使う題材の資料集め
・絵の参考になるような写真の撮影
・著作権についての調査
・事務所に必要な道具の買い出し
・先生やスタッフの飲食物の手配
・電話番
・共有スペースの掃除
など、数えあげられないほど多岐に渡る厳しい業務をこなすことになります。
アシスタントに求められる能力
アシスタントに必要な能力は、求められていることを瞬時に察知して形にできるスキルと、そのために必要なイラストの基本的な知識と道具の使い方をマスターしていることです。
まず、最低限必要なitemに対する知識や、専用ソフトの操作方法はマスターしておく必要があります。
最近ではアシスタントの仕事もデジタル化している所が多く、採用面接の時点でそれらの操作を証明できないと厳しいでしょう。
これらのスキルはあらかじめ、専門のスクールや通信講座で学ぶことができますので、自分の能力をある程度証明できる資格を持つことも強みになるかもしれません。
正確に早く作業を完成される能力
どんなに仕事が丁寧でも、1枚を仕上げるのに時間がかかっていては意味がありません。
なぜなら、よほど有名な先生の事務所ではない限り、アシスタントの数も少なく(安い経費で抑えるため)、1人のアシスタントでこなせる量を質と同時に求められるからです。
そしてアシスタントとして求められる1番の能力と言ってもいいのが、「察する力」です。
この察する力とは、「自分はあくまでもアシスタントなんだ」という認識をしっかり持っていることで、絵がうまく描けることよりも、先生が求める仕上がりを忠実に再現するスキルのことを言います。
時には、先生が気持ちよく仕事ができる環境に気を配れることも大切でしょう。
これは学校や講座では学ぶことができないスキルで、持って生まれた性格や、育ってきた環境、社会人としての経験や観察力が試される厳しい能力ですね。
マンガ家のアシスタントの安い平均年収
マンガ家のアシスタントには、株式会社化した大手の事務所に所属するプロのアシスタントもいますが、その方々の給料も決して高く安定したものではありません。
また、この手の職種には募集広告にも詳しい情報が書かれいる所は少なく、厳しい現実が隠されてしまっているブラックな部分があります。
正社員雇用のアシスタント収入例
まず、1つの事務所に正社員として採用されているアシスタントを例に見ていきましょう。
月収制で給料をもらっているアシスタントの平均給料は約18万円で、年収に換算すると200万~300万円のラインです。
ここで一般的なサラリーマンと比較してみると、、、東京都の2018年度の平均年収は377万円なので、平均よりもだいぶ安いことがわかると思います。
職種や社歴で変動していくのが一般的な給料の形態ですが、アシスタントの仕事では必ずしも経験年数が年収に比例しないことも多く、その理由としては、アシスタントの年収が高いか安いかは先生の漫画の売れ方に比例するという事が挙げられます。
一方でアシスタントの中には、あえて1つの事務所に所属しないでフリーランスとして単発の仕事をつないでいく人もいます。
自分でスケジュールを調整することができるメリットはありますが、1枚の原稿料に対する報酬は安いため、それだけで生活できる水準に持っていける人はごく一部の人に限られる厳しい世界です。
それでもマンガ家アシスタントには夢がある!
マンガ家のアシスタントになる最大にして唯一の希望は、好きなマンガに一生触れていられることと、将来自分がマンガ家として独り立ちできる可能性に一番近いことです。
具体的には、尊敬する先生の一番近くて学べることと、先生の後押しで出版担当者に原稿を見てもらえることができるので、単独で飛び込むよりもデビューのチャンスは広がります。
これだけ社会的にも安い給料で重労働な厳しい仕事だと認知されているにも関わらず、「やりたい!」と思える人が後を絶たないのは、そこに夢があるからに他ありません。
マンガ家アシスタントになる方法
マンガ家のアシスタントは、普通に一般求人誌で募集されている時もあれば、専用の掲示板で探すことができます。
中でも求人数が多いのはJ・A・Cを代表するアシスタント探しの掲示板や、各種マッチングサービス、編集部のHPなどです。
さらに最近では、TwitterなどのSNSで募集のやりとりを行っていることも多く、日ごろから横のつながりを持っておくと様々な情報をゲットすることができるでしょう。
アンテナを張っておけば、「あそこの事務所は給料が安い」「あの先生はクセが強いそうだ」などの重要な情報を事前に入手できるかもしれません。
マンガ家のアシスタントの給料が安いことと仕事内容の厳しさまとめ
マンガ家アシスタントの厳しい現実について、給料や仕事内容を通して紹介してきました。
「安い」だの「キツイ」だのとテンションが落ちるようなことばかり並べてしまいましたが、だからこそ承知で飛び込める人にだけ夢のような未来が待っています。
きっといつか、あなたが生み出す作品で救われる人がいることでしょう。