アニメーターはアニメの制作に関わる職業です。
アニメーターは主に映画やテレビで放映されるアニメ番組の制作に携わりますが、それ以外にもネット動画や短編制作・DVD作品などに関わることがあります。
最近では、制作技術のデジタル化が進んでいるためイラストレーターなどのソフトウェアを使う作業も当たり前になってきました。
一般的にアニメーターの年収は低いといわれていますが、実際はどうなのでしょうか?
当記事では、気になるアニメーターの平均年収・給料事情・年齢ごとの年収の推移などについて、公開情報をもとに調べてみました。
アニメーターの平均年収は低い?
アニメーターの平均年収については、業界団体による本格的な調査があります。
「一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)」は「アニメーション制作者実態調査報告書2019」をJAniCAの公式サイト上で発表しました。
この調査の中で、同協会はアニメーターの平均年収についても公表していますので、以下の記事ではその調査結果を中心に
アニメーターの収入事情について紹介していきます。
アニメーターの平均年収は440万円
調査結果によると、アニメーション制作による
アニメーターの平均年収はおよそ440万円であることが判明しました。
年収階層別の詳細な内訳は以下の表のとおりとなっています。
年収 | 割合 |
---|---|
100万円以下 | 8.3% |
100万円超150万円以下 | 5.3% |
150万円超200万円以下 | 9.2% |
250万円超300万円以下 | 7.2% |
300万円超350万円以下 | 11.1% |
350万円超400万円以下 | 6.1% |
400万円超450万円以下 | 7.5% |
450万円超500万円以下 | 4.7% |
500万円超550万円以下 | 9.2% |
550万円超600万円以下 | 11.1% |
660万円超 | 19.4% |
出典:アニメーション制作者実態調査 報告書2019:日本アニメーター・演出協会
この表を見ると、年収200万円以下のアニメーターが23%ほどいる一方で、600万円超の方も2割近くいることが分かります。
日本人の平均年収はおよそ420万円ですので、全体の5割弱のアニメーターは日本人のサラリーマンの平均以上に稼いでいると言えます。
このように、調査結果によれば決して年収が低すぎるということはないのです。
なお同調査では、最大で1,500万円を稼いでいると回答したアニメーターもいました。
アニメーターの給料事情は?
次に、アニメーターの毎月の給料事情についてご紹介します。
アニメーターの収入の形態・月収の水準・低いと感じる理由・年齢による推移などについてまとめてみました。
アニメーターの収入は歩合制が一般的
そもそも、アニメーターの給料は出来高に応じた歩合制が多く、割合としてはフリーランスで働く方が多いようです。
先ほどご紹介した業界団体の調査によると、フリーランスで働く人は5割を超えています。
中には、制作会社に所属し、正社員や契約社員として固定給をもらうアニメーターもいます。
同調査によれば、正社員や契約社員はアニメーターの2割ほどであり、完全固定給の場合もあれば、基本給に出来高がプラスされる形態もあるようです。
一般的な作業単価の目安は次のようになっています。
そのため、収入を増やすためには単価が低いうちはたくさん作業をこなし腕を磨いて単価を上げてもらえるよう努力する必要があります。
なお、作画監督を任されるようになると1作品25万円ほどの収入になり、予算が潤沢なプロジェクトであれば50万円ほどとされています。
例えば、1か月に2本の監督を担当すると月50万~100万円の収入になります。
なぜアニメーターの収入は低いと感じるのか
以上のように、アニメーターの収入は必ずしも低いわけではありません。
では、なぜアニメーターの収入は低いといわれるのでしょうか?
それは、高い技術を身に着けるまでは作業単価の安い仕事をたくさんこなす必要があるからではないかと考えられます。
調査結果によると、1か月あたりの作業時間を260時間~300時間と回答した方が全体の2割も存在していました。
月20日労働に換算すると、1日平均13時間~15時間働いていることになります。
300時間を超える方も全体の9%と長時間働いている実態が見えてきます。
アニメーターの仕事は大きなやりがいがあるものだと思いますが、このような実情から仕事の大変さに比べて年収が低いと感じても不思議ではないでしょう。
アニメーターの収入と年齢による推移は?
同調査によると、アニメーターの年齢層は
20代から50代まで幅広くなっています。
意外なことに、50歳以上のアニメーターが全体の2割と最も多いことがわかりました。
では、アニメーターの年収は年齢によってどうなるのでしょうか?
この点については具体的な統計がなく、会社員のような客観的データがそろっていません。
おそらく、正社員や契約社員として雇用されている2割のアニメーターであれば、
年齢を重ねていくにつれて一定の昇給が見込めます。
しかし、全体の5割を占めるフリーランスの場合は出来高による歩合制がほとんどであり、
実力次第で稼ぎが変わってきます。
仕事の内容や実力によって作業単価が上がり年収が変わってくるため、年齢はあまり関係ないかもしれません。
アニメーターの月収の水準
アニメーターの毎月の収入は「1か月あたりの拘束料収入」という項目で、ある程度推測することが可能です。
「拘束料」とは、作画の数をこなした歩合のほかに、腕の良いアニメーターに対して特定の作品に集中してもらいたい制作会社が支払う給料のようなものです。
先ほどご紹介した調査結果をもとに以下の表に整理しました。
1か月あたりの拘束料 | 割合 |
---|---|
5万円以下 | 8.7% |
5万円超10万円以下 | 12.1% |
10万円超15万円以下 | 8.7% |
15万円超20万円以下 | 9.4% |
20万円超25万円以下 | 10.7% |
25万円超30万円以下 | 12.1% |
30万円超35万円以下 | 8.7% |
35万円超40万円以下 | 6.7% |
40万円超45万円以下 | 4.0% |
45万円超 | 18.1% |
出典:アニメーション制作者実態調査 報告書2019:日本アニメーター・演出協会
この調査によると、拘束料で45万円以上稼いでいるアニメーターが18%いる一方で、10万円以下の方も20%いるという結果になりました。
新人のうちは単価の安い仕事が中心ですが、経験を積んで多くの仕事をこなし動画や原画の作成で認められたら若いうちに作画監督を任されるようになることもあるでしょう。
最終的に演出や監督にまでになり、有名になって多くの仕事を依頼されるようになれば、
さらなる高収入が期待できます。
アニメーターの年収は低い?調査まとめ
アニメーターの仕事は、最初のうちは単価も安く大変かもしれません。
しかし、昔のように制作スタジオに出勤するスタイルだけでなく、最近は完全在宅での仕事も可能になっているので、このような働き方が適した方にとっては
悪くない環境ともいえます。
アニメーターはコツコツと仕事に取組み、腕を磨いて経験を積むことが収入アップにつながります。
有名な作品にかかわることができ、作家さんや制作会社の信頼を勝ち取れば大きなチャンスが舞い込んでくるかもしれません。
夢のある仕事であることは間違いないでしょう。
この記事がアニメーターを目指す方の参考になれば幸いです。