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司法試験論文式試験のおすすめの勉強法とは?科目別の対策でも解説

更新日:2024-06-12

司法試験論文式試験のおすすめの勉強法とは?科目別の対策でも解説

司法試験は短答式試験と論文式試験の2つの試験に突破する必要があり、論文式試験は制限時間内に一定水準の論文を書き上げなければいけません。

論文式試験はマークシート式の短答式試験と違い、一から法律の論文答案を書き上げる必要があるため難易度は高いといえます。

そこで今回は司法試験論文式試験の勉強方法についてご紹介します。

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司法試験論文式試験とは

司法試験には先ほど述べたように、短答式試験と記述の論文式試験で構成されます。

短答式試験で足切り点数をクリアすると論文式試験が採点対象になります。

論文式試験は3日間にわたり、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目に加え、選択科目1つ(倒産法、租税法、経済法、知財法、労働法、環境法、国際私法、国際公法)が含まれます。

試験は全て手書きで、選択科目はA4サイズの解答用紙4枚分、その他の科目は8枚分の解答が求められます。

論文式試験は司法試験の合否を決める上で最も重要な部分を占め、短答式と論文式の配点比率は1:8程度といわれているので十分な対策が求められます。

なお法務省のホームページには論文式試験の答案用紙のサンプルが掲載されているのでチェックしておくといいでしょう。

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司法試験論文式試験の勉強法

ここでは、司法試験論文式試験のおすすめの勉強法についてご紹介します。

まずは、論文式の「型」を身につける方法を確認しましょう。

模範解答の入手方法や分析についても詳しくまとめました。

模範解答をチェックする

模範解答をチェックし、文章がどのように作られているのか確認してください。

司法試験論文式試験の模範解答は、予備校や問題集のものを参考にしましょう。

専門家やプロの講師が監修したテキストを使って、解答例をチェックしてください。

このとき、模範となる解答例がない問題に時間をかけることは避けましょう。

参考になる解答例がないものは、ほとんどの場合試験で重視される問題ではありません

解答例を詳しく分析する

模範解答をブロックごとに分け、マーカーで囲いましょう。

「問題提起」「定義」「規範定立」「あてはめ」「結論」といった種類に分けてください。

マーカーを使って解答を詳しく分析することで、視覚的に分かりやすくなります。

ブロックの意味と順番をチェックすれば、解答例の構成が確認できます。

接続詞にも別の色のマーカーで線を引けば、定番の型がチェックできるでしょう。

司法試験・予備試験のおすすめ過去問集・論証集15選!短答・論文それぞれにおすすめな一冊

なるべく多くの解答例を分析する

論文問題は、解答ごとに型が決まっています。

型は解答例を1問分析しただけでは判断できません。

論文問題をクリアするためにも、なるべく多くの解答例を分析しましょう

多くの解答例を分析すると、共通点を見出すことにつながります。

科目ごとの「型」をみつけて、論文問題対策を練ってください。

視覚的に解答例の構造をチェックする方法は、対策としておすすめです。

早い段階で論文を書いてみる

早い段階で論文を書いてみましょう。

インプットが1回終わった時点で、早めにアウトプットに入ることがおすすめです。

「少々早い」と感じる人もいるかもしれませんが、論文対策はアウトプットが重要と言えます。

テキストや過去問を読んでインプットするだけでは、論文は上達しません。

実際に書いてみて間違えたうえで、改善点を見つけてください。

学習はアウトプットしなければ、基礎が理解できません。

徹底的にアウトプットに注力すれば、論文を書くコツも掴めるようになります。

司法試験の配点と採点方法・採点基準は?合格点や足切り点など気になるポイントも併せて解説

論文の型の例を身につける

法律に関わる論文の型には以下の2種類があります

  • IRAC(アイラック)
  • 憲法論文の型

それぞれの構成を確認しましょう

IRAC(アイラック)

  • I=Issue(問題提起)事実関係は何かを明らかにする
  • R=Rule(規範)争いとなっている事実に適用すべき法律を解説する
  • A=Application(あてはめ)議論を通じて「真実」と「正しい法」の適用に近い解説をする
  • C=Concludion(結論)得られる結論

IRAC(アイラック)は、法的三段論法の典型的な型です。

法律家を目指す人なら覚えておきたい論文の型と言えるでしょう。

憲法論文の型

憲法論文の型は以下の順序で文章が作られています。

  1. 権利の保障=権利の内容は具体的に書く
  2. 権利の制限=審査基準の設定
  3. 権利の制限の正当化=権利の性質に従い無理な筋は立てない
  4. あてはめ=事実の摘示、社会通念、法の趣旨から自分で考える。最も力を入れて書く
  5. 結論=「憲法~条に反し違憲である」といった文章で締める

憲法の論文問題が出たら、以上に当てはめて解答を作ることをおすすめします。

すでにあるベースの型通りに答えれば、大きくずれることは防げるでしょう。

論文答練を一元化して勉強する

講師作成答案を、2アップ両面・A3でコピーしましょう。

講義中にコピーしたA3の紙にメモをとり、情報を1枚にまとめます

次に、規範や条文の文言などをマーカーで囲み、四角的に見やすく加工。

答案例の余白に論点を書き出し、一元化してください。

大きく論点を書いておくことで、あとから答練の内容が思い出しやすくなります

答案はファイリングし、見返せるように保管することをおすすめします。

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大元となる条文をチェックする

大元となる条文をチェックしましょう。

問題で問われている条文は、解答で重要な要素です。

会社法論文式試験を例にすると、大元となる条文は以下があります。

9条 自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任
13条 表見支配人
22条 譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等
23条の2 詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求
52条 出資された財産等の価額が不足する場合の責任
52条の2 出資の履行を仮装した場合の責任等
53条 発起人等の損害賠償責任

以上は、本筋となる条文のほんの一例です。

条文を引きながら読んでおけば、記憶の定着につながるでしょう。

過去問を繰り返し解く

司法試験は法律知識の単なる吐き出しではなく、具体的な事案解決をどう行うかを評価する試験です。
知識をインプットしても、それを実際の事案に適用できなければ問題解決は難しいため、学習ではインプットを速やかに終え、過去問演習などアウトプットに重点を置くことが重要です。
なるべく早い段階から論文答案の練習を始め、過去問を中心に演習を積むことが、司法試験合格に向けた勉強法として推奨されます。
知識と実践の両立することでより深い理解を実現できるでしょう。

司法試験論文式試験の勉強で気を付けたいこと

司法試験論文式試験の勉強で気を付けたいことをまとめました。

学習を始める際は、スケジュールの設定に気を付けましょう。

テキストや参考書はひとつに絞って勉強することも重要です。

司法試験・予備試験合格に向けた憲法の勉強法とは?短答式・論文式ごとに解説

合格までのスケジュールを立てる

司法試験の論文式試験は8科目で構成され、範囲の広さと難易度から学習期間が長期に及びます。
そのため、効率的な学習計画を立てることが何よりも重要です。
ゴールから逆算して綿密なスケジュールを作成し、勉強の進捗を可視化することで、進捗が明確になりモチベーションを維持できます。
スケジュール作成には、合格者のアドバイスを参考にするか、予備校のスケジューリングサービスを利用するのが有効です。

テキストや参考書はひとつに絞る

司法試験は、2,000時間前後の勉強時間で合格する人もいれば、5,000時間勉強したとしてもなかなか合格まで辿り着けないといったケースも少なくありません。

つまり長期間勉強すればそれに比例して合格率が上がるわけではなく、短時間でも質の高い効率のいい学習をするのが合格への道ということですね。

効率的な学習方法には、「勉強する範囲をあらかじめ絞る」「教材をいくつか並行するのではなく、決まったものを繰り返し解く」ことが挙げられます。

長年勉強をしていると、その不安からさまざまな教材に手を出してしまいがちですが、結局基本書や演習書を一冊も完璧にすることが出来ず実力が身に付かないことはあるからです。

もし自身の学習方法や進め方に色々不安がある場合には、予備校でのサポートを受けるのもひとつです。

アウトプット重視の勉強を行う

司法試験は、法律知識が初期の段階で不安でも、問題を解き始めることで具体的な事案への適用方法を学ぶことが重要です。

法律知識だけでなく、実際の事案に法をどう適用するかを評価するからです。

したがって早期からの答案練習が効果的。

また、インプットでは基本書の精読よりも、実際に問題を解く過程での知識吸収の方が記憶に残りやすく、応用力も身につきます。

対策としては、インプットとアウトプットを並行して進め、できるだけ早く答案の練習に取り組むことが合格への近道と言えるでしょう。

制限時間を意識しながら解く

論文式試験は各科目に2時間(選択科目は3時間)という厳しい制限時間が設けられています。

制限時間内に長い問題文を読み解き、詳細な事案に基づいて答案を構成し、A4サイズの答案用紙8ページ以内に書き上げる必要があるため過去問を解く際も制限時間を意識するようにしましょう。

制限時間内に解ききるためには、「論文の過去問を繰り返し解き問題文の読み込みや答案構成のスピードを上げる」「事前に準備した論証パターンを活用し、答案作成時の無駄を省く」「最も効率的に使用できる筆記用具を選び、筆記速度を上げる訓練を行う。」などが有効です。

上記の準備により、本番で時間に追われることなく、答案を書き上げることができます。

また、答案は試験官が読める程度にきれいな字で書くことも忘れてはいけません。

時間を優先しすぎて試験委員が読み取れない字であれば、減点やそもそも採点の対象にならないおそれがあります。

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論文の書き方の基本を身に付ける

論文式試験では、無制限に何を書いても良いわけではありません。

各科目ごとに答案の型や流れが決まっており、それに沿って答案を作成する必要があるからです。

したがって、読み手(試験委員)にとって読みやすい法律文書を作るため、論文の基本や作法を学ぶことが重要です。

予備校が提供する参考答案や再現答案を参照し、まずは文章構成について学んでみてください。

特に注意すべき点としては、「適切なナンバリング」「法的三段論法の適用」「司法試験の答案で頻出の接続詞の正確な使用」の項目に注目してみましょう。

さらに、各科目にはその科目特有の答案の流れが存在するため、科目ごとの特徴を理解し、それに基づいて答案を作成することが求められます。

論文の書き方の基本ルールを踏まえた上での答案作成を行うことで、司法試験での合格点を目指す論文を作成することができます。

あらかじめ論証を準備しておく

司法試験では、特定の論点に対して事前に答案で使える文章を準備しておくことで、実際の試験時に時間を短縮することができます。

六法を参照できるものの、条文から直接答えを導き出すことは難しく、学説の対立や判例の解釈が必要になります。

したがって、論証を試験時に即座に使用できるように準備しておくことは、制限時間内での効率的な答案作成につながります。

また、論証に関しては、入門講座や予備校が提供する論証集を活用することで、効率的に学べます。

ただし、論証を暗記するだけでなく、実際の問題を解きながら論証を身につけることが重要。

制限時間の厳しい司法試験では、思考する時間をできるだけ確保するためにも、事前の準備として論証を使い慣れておくことが重要です。

司法試験・予備試験のおすすめ過去問集・論証集15選!短答・論文それぞれにおすすめな一冊

各科目別!司法試験論文式試験の勉強方法

ここでは、各科目の司法試験論文式試験の勉強方法についてご紹介します。

現在苦手科目がある方やある程度学習してきた方はぜひ参考にしてみてください。

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憲法

司法試験や予備試験の憲法において、判例に基づく問題が頻出するため、判例学習が重要です。
ただし、判例を暗記するだけではなく、使いこなせるようになることが求められます。
先にも述べたように判例の事案と判旨を正確に把握し、三段論法で処理できるように学ぶことが効果的です。

特に、憲法でよく見られる「法令が憲法に反するか」の問題に対処する際は、類似の判例を引き合いに出して、違憲審査基準を明確にして論理を展開します。

重要なのは、判例を具体的に示すことよりも、適切な論証を通じて問題を解析し、適切に三段論法を適用する能力です。

また答案作成では、以下のステップで進めることが有効です

  1. 問題法が憲法条項に違反しているかの確認
  2. 違憲審査基準の確立
  3. 具体的な事例への適用
  4. 結論

上記のフレームワーク内で、学んだ判例の知識を活用し、それぞれのステップにおいて論理的かつ明確に意見を展開することが求められます。

具体的な判例名を正確に記載するよりも、判例の論理を適切に理解し、それを問題解決に応用するしてみてください。

民法

民法は、司法試験や予備試験において未知の問題が出題されやすく、対策が難しい科目の一つです。
民法の学習には、まず論文式試験の範囲内で必要な知識を着実に身につけることが基本です。
また、未知の問題に対応するため、典型問題の理解を深めることが重要となります。
他科目にも共通する学習アプローチですが、特に民法では焦らず地道に学習を進めることが求められるでしょう。

模試本試験で未知の問題に直面した場合、当事者の主張や法的根拠を特定し、結論の妥当性を考慮するのがポイント。

難問ほど直感的な正解が見えにくいため、当事者の主張から問題の核心に迫り、民法の基本に立ち返ることで、筋道を見出すことができます。

上記の方法で問題解決のアプローチを行うことによって、論点を明確にし、効率的な答案作成ができるようになるでしょう。

刑法

刑法の学習は、総論と各論に分けて進め、犯罪が成立するための条件を理解することが非常に重要です。

具体的には「①構成要件の該当性 → ②違法性の有無 → ③責任の有無という流れで事案を分析するスキルが求められます。

上記の分析の流れをしっかりと把握し、各段階についての理解を深めることが刑法の勉強の鍵を握ります。

さらに、刑法の答案作成時には総論と各論の内容を明確に区別して記述することが重要です。

内容が混在してしまうと、刑法の体系的な理解が不十分であると評価されるリスクがあります。

そのため、インプット段階からどの部分を学んでいるのかを意識し、体系的に情報を整理することが必要です。

また、刑法では「保護法益」という観点も重要。

各犯罪が保護しようとしている具体的な法益(例えば殺人罪の場合は「人の生命」)を理解することで、条文の趣旨や法の適用がより明確になります。

保護法益を常に念頭に置きながら学習を進めることで、より法条の解釈がスムーズに行えるようになるでしょう。

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商法

商法の学習の中核をなす会社法は、その条文の多さと規定の複雑性から、初学者にとっては非常に取り組みにくい科目です。
しかし、司法試験や予備試験の過去問を分析すると、問題にされる条文や必要な知識の範囲はそれほど広くないことが分かります。

このため、商法の勉強では、細かい知識よりも、頻出する条文や典型論点に焦点を当てた学習がおすすめです。

条文の数が多く、規定が複雑なため、条文を頻繁に参照する習慣をつけるように意識してみてください。

商法では、会社法の他に商法総則や商行為、手形小切手法なども対象となりますが、これらは論文式試験での出題頻度が比較的低いため、主要な条文や論点の理解に集中することが効果的です。

過去問で頻出の論点や条文をしっかりと把握し、試験に備えることが商法では効率的な学習方法と言えるでしょう。

行政法

行政法では、有名な判例を題材にした問題が多く出題されるため、判例学習が非常に重要です。

行政法の特徴として、未知の個別法について、法令の趣旨や構造を解釈する仕組み解釈が求められます。

したがって判例を通じてこの技術を身につけることが効果的です。

判例を学ぶ際は、単に事案と判旨を理解するだけでなく、問題となる法令の条文をどのように挙げ、どのような理由で解釈しているかを把握するようにしましょう。

また、司法試験の行政法問題には「誘導」が設けられており、誘導から解答の方向性を読み解く能力も求められます。

行政法をマスターするためには、基本的な知識を身につけた後に、司法試験や予備試験の過去問を繰り返し解くことが推奨されます。

演習を通じて、知識の範囲、問題文の読み方、解答のアプローチが自然と身につくため、実際の試験での対応力を養うことができます。

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民事訴訟法

民事訴訟法は訴訟の手続きの流れと実体法との関係性に焦点を当てた勉強が必要です。

民事訴訟法は特定の問題処理パターンが存在せず、出題形式も多様であるため対策が難しいですが、知識の特定ができる場合解答へのアプローチは比較的容易です。

日常の学習では各分野の知識や論点の理解に注力し、訴訟の各段階や実体法の法律関係とのつながりを明確に捉えるのがポイント。

例えば、訴えの提起から口頭弁論、判決、上訴や確定までの流れを把握し、それに伴う実体法の要件を理解することが求められます。

さらに、民事訴訟法の試験では誘導が設けられており、これに従わないと正解に至らないこともあるため、指示された誘導に対する注意も必要です。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は未知の論点が少なく得点しやすい科目ですが、重要な判例の事案を変更したり、判例の適用範囲を問う問題が出題される傾向にあるため注意が必要です。
刑法と同様に、典型論点に関しては反対意見を取り入れた論述も求められます。
判例学習時には判例の事案を正確に把握し、射程距離を理解することが重要です。
上記の学習方法により、判例がどのような場面で適用されるかを明確にしておく必要があります。

司法試験論文式試験はスケジュール管理が大事!

今回は司法試験論文式試験の勉強方法についてご紹介してきました。

司法試験の論文式試験は8科目で構成され、範囲が広くかつ難易度が高いことから学習期間が長期に及ぶと考えられます。

より効率的に学習を進めるために、司法試験論文式試験突破には徹底したスケジュール管理が求められます。

またインプットも大事ですが、アウトプット重視の勉強が効果的。

「過去問を解く」「論文答案の書き方を学ぶ」「実際に答案を作成する」「制限時間内に解ききる練習をしておく」などが有効です。

今回の記事を参考に、司法試験論文式試験突破を目指してみてください。