ネイリストは一見、オシャレで華やかなイメージですが、苦労する場面も多くあります。
実際、ネイリストとして働く上で退職を検討する人も少なくありません。
そこで今回は、ネイリストにある苦労や退職理由、解消法などについて紹介します。
ネイリストとは
ネイリストは、爪の手入れやデザインを行い、爪をより美しく見せすための施術を行う仕事です。
具体的な施術内容としてネイルケア・ネイルカラー・ネイルアートなどが挙げられます。
ネイルケアは、爪の長さを整え、表面を磨いて健康的な状態を保つ作業です。
ネイルカラーは爪に色を塗ったり、ジェルを施したりする作業を指し、ネイルアートはシールやアクリルカラーを用いて装飾を行ったりします。
ネイリストはネイルサロンで働くのが一般的ですが、ある程度のキャリアを積めば独立や開業をする人もいます。
またネイリストになるには美容師などと違い資格は必要ではありません。
しかし、ネイリスト検定などの上級資格を持っておけば就職などが有利になる面があります。
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ネイリストによくある苦労
ここでは、ネイリストによくある苦労について紹介します。
接客業としての難しさ
ネイリストは技術的な職業であると同時に、接客業の面もあります。
施術にかかる時間はデザインやアートの内容によって異なりますが、一般的には1時間から1時間半程度。
お客さんに居心地の良さを感じてもらうためには技術面だけではなく、お客さんとのコミュニケーションも重要となります。
たとえば施術前のカウンセリングでは相手のニーズや好みを引き出し、それをデザインに反映させなければいけません。
中には、デザインをネイリストに任せるケースもあり、その中からお客さんの好みなどをキャッチして満足させる必要があります。
ネイル技術の向上だけでなく、お客様とのコミュニケーション能力を高めることも仕事であることから、ネイリストの仕事の難しさの一因となっています。
ネイルの技術を高め続けなければいけない
ネイリストは資格取得やサロン所属になってもつねにネイルの技術を高め続けなければいけません。
とくに新人ネイリストは、ネイルサロンでのキャリアをスタートする際、アシスタントや見習いとしての役割を担うことになります。
一人前のネイリストになるまでの道のりは簡単なものではなく、初期段階では練習に多くの時間を割くため、プライベートな時間が制限されることもしばしばです。
また、一人前になった後も競争相手となるネイリストや流行は常に変わるので向上心を持ち続ける必要があります。
さらに独立や開業をするのであれば、顧客からの指名を増やさなければいけないので経営面などにも工夫が求められるでしょう。
ネイルサロン内の人間関係
ネイルサロンは基本的に店舗としての規模が小さいことがほとんどで、各店舗で雇用されるネイリストやスタッフの人数は少ないので閉鎖駅な環境となります。
さらに、ネイリストの多くは女性であり、職場によっては女性特有の陰口や噂に悩まされることがあります。
合わない人間関係や劣悪な職場環境で働くことはつねにストレスを感じ、出勤そのものが苦痛に感じることもあります。
人間関係は実際に働いてみないとわからない部分が多いですが、立地や待遇だけで職場を選ぶのではなく、自分に適した雰囲気のサロンを見つけることが大事です。
もしくは、フリーランスや自宅でサロンを経営するなどを検討してみるのもひとつです。
身体的な負担が大きい
ネイリストは施術中、基本的に長時間椅子に座って作業を行っており、1回の施術で2時間弱程度ほとんど動かないことも珍しくありません。
たとえば、フルタイムで働くネイリストは1日8時間以上の施術を行うこともあります。
施術は前屈みの姿勢で行われるため、腰痛や肩こり、眼精疲労などの慢性的な問題に悩まされるネイリストは実際たくさんいます。
また、ネイル施術ではアクリルリキッドやポリッシュリムーバーといった化学薬品が使われることがあります。
薬品は少量であれば基本的に人体に影響を与えない安全なものではありますが、日常的に薬品に接触するネイリストは健康への影響を受けるリスクが高くなります。
症状が全く出ない方もいれば、なかにはアレルギーを発症し手に水疱や蕁麻疹が現れることもあります。
ネイリストとして継続したいのであれば皮膚科などで対処してもらったり、勤務時間を見直してみるのもいいでしょう。
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ネイリストのよくある退職理由
ここでは、実際にネイリストのよくある退職理由について紹介します。
給料が低い
ネイリストとして正社員で働く場合、初任給は月収15万円~20万円程度となっており、平均的な年収は約300万円程度です。
とくに小規模なネイルサロンでは福利厚生やボーナスが充実していないことが多く、年収自体はほかの職種とそこまで大きく変わらないものの一般企業と比較すると待遇面は劣ります。
また、新人や未経験者がサロンに入社する際にはアルバイトから始まることが一般的で、数年間の経験を経てようやく一般企業の新入社員と同等の給与を得られるようになります。
さらに 練習用の資材を自己負担で購入する必要があり、自由に使える資金が限られているため、経済的に厳しい状況に直面することもあります。
もちろん、技術や経験を積むことで年収が向上する可能性はありますが、新人の時期は勤務後に雑用や練習に時間を取られることが多くなることから挫折する人も多くいます。
体力・精神面の負担によるもの
先にも述べたようにネイリストは以外にも体力のいる仕事です。
実際、体力的や精神的な負担が原因で退職を選ぶネイリストも少なくありません。
開店準備のために早朝から出社し、顧客の施術内容や予約状況によっては昼食を取る暇もなく働くことが多く、勤務後には技術向上のための練習に励む日々が続くこともあります。
さらに、ネイリストは同じ姿勢で施術を行うため、腰痛や肩こり、腱鞘炎といった職業病に悩まされるケースも。
体調が優れない時でもプロフェッショナルとしての意識を持ち続け、常に顧客に笑顔を向け、円滑なコミュニケーションをとらなければいけません。
もし体力や精神面の負担がかかっているのであれば、シフトを調整していくか違う職場に転職するなど働き方を見直してみることをおすすめします。
接客業ならではの悩み
ネイル施術はお客さん一人あたり1時間半から最長で3時間程度の間コミュニケーションをとらなければいけません。
高い集中力をもって施術する技術力も必要ですが、同時にお客様への配慮も必要です。
ネイリストはお客様の手を美しく仕上げるだけでなく、快適な時間を過ごせるような努力もしなければいけません。
適切な距離感を保ちながら施術を行うためには、高度なコミュニケーション能力と対人スキルが求められます。
また、中には不満を抱えたお客様が理不尽な要求をすることもあり、精神的に疲れてしまうこともあります。
このように接客自体がストレスとなり、ネイリストを辞めたいと感じる方は少なくないのです。
人間関係がよくない
ほとんどのネイルサロンは規模が小さく、働くネイリストの人数も限られているため、狭い人間関係が形成されやすい傾向にあります。
職場の雰囲気が良好であれば、深い人間関係を築くことができます。
しかし、女性特有の人間関係やネイルサロン独自の決まりや風習などに上手く適応できない方にとっては続けていくのが難しいでしょう。
サロンによっては先輩ネイリストや派閥があり、繊細な人間関係に辟易する方も。
このような環境は精神的なストレスを引き起こし、最終的には離職に至ってしまうのです。
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ネイリストの離職率は高い?
ネイルサロンに勤務するネイリストの中で、約50~80%が1年以内に退職するというデータがあります。
厚生労働省のデータの新卒者に関する離職状況によれば、短大卒業者の1年以内の離職率は16.2%、大学卒業者の離職率は10.6%となっています。
上記のように一般的な離職率と比較すると、ネイリストの離職率の高いことがわかります。
転職を考える際には、待遇や福利厚生が充実していることが、仕事への意欲を高める要因となります。
運営会社によっては研修制度が整備されていることが多いため、その内容を確認することで理想的なサロンかどうかを判断しやすくなります。
ほかにもサロン経営において重視されているポイントを理解し、オーナーや先輩との相性が良いかどうかを見ておくとミスマッチが減らせるでしょう。
求人サイトでは「勤務地」「雇用形態」「オープニングスタッフ」「講師業」「主婦歓迎」「日曜休み」などの条件で絞り込むことができるため、事前にチェックしてみてください。
ネイリストの苦労を解消する方法
ネイリストが退職したり苦労する点は糸によってさまざまです。
そこでここでは、ネイリストの苦労を解消する方法についていくつかご紹介します。
自分なりのストレス解消方法を見つける
ネイリストの苦労を解消するにはまず、自分なりのストレス解消方法を見つけるのが良いでしょう、
たとえば、「おいしいものを食べる」「ショッピングを楽しむ」「旅行に行く」「運動をする」など。
ストレス解消方法は人によって異なるので、自分が好きなことをいつけてみるといいでしょう。
ストレス解消方法があれば普段の仕事で上手くいかなかったときでも切り替えができるはずです。
モチベーションを上げる努力をする
モチベーションが低下することは、ネイリストとして誰にでも起こり得ることです。
特に新人の頃は技術がなかなか上がらなかったり、新しい環境に慣れずにやる気を失うことが多くあります。
また、ある程度の経験を積んだあとにも、次に何を目指すべきか分からなくなり再びモチベーションが下がる人も少なくありません。
常に高いモチベーションを維持することは簡単なことではありませんが、やる気が失われた際には初心を思い出したり、新たな目標を設定することがおすすめです。
さらに、仕事以外のプライベートな予定や旅行の計画を立てることもモチベーションを高めるきっかけにもなるのでぜひ試してみて下さい。
合わなければ転職するのもひとつ
ネイリストとしての仕事に対する情熱があるにもかかわらず、悩みやストレスを抱えることがある場合、現在の職場が自分に合っていない可能性が高いです。
たとえば人間関係や給与、待遇、経営方針など自分の努力次第では買わないものもたくさんあります。
上司に相談したり自分なりに対処してもなかなか変わらないのであれば、思い切って転職を検討してみるのもひとつです。
もし転職する際は現状の不満を明確にし、自分の理想とする働き方が実現できる職場を探してみましょう。
給与や勤務形態、福利厚生、休暇の取りやすさなど人によって何を重視するかどうかは違うので、優先順位をつけて探してみてください。
できるだけ具体的かつ細かく条件を設定することで、より理想に近い求人を見つけやすくなるでしょう。
ネイリスト以外の転職ならスキルを活かせる仕事がおすすめ
ネイリスト以外の職種を希望する場合、ネイリストとしての経験やスキルを活かせる職業を選ぶことがおすすめです。
例えば、接客スキルやネイルに関する知識を活かせるメーカーであれば、アパレル業界やネイル関連商品を扱う仕事だと重宝されるでしょう。
なぜならネイルはファッションと同様にトレンドがあり、流行を把握することが求められるからです。
ネイリストとしての経験があり、身だしなみに気を配りながら接客を行ってきた方はアパレル業界への転職も視野に入れてみてください。
ほかにもネイル商品を取り扱う店舗ではあれば、ネイリストならではの知識を活かした提案や質問への対応できるので強みになります。
独立・開業する
ネイルサロンでの勤務が向かないのであれば、独立・開業するのもおすすめです。
サロンでの人間関係や閉鎖的な環境、決まりごとなどが原因の場合は自分で独立・開業することで改善する可能性があります。
自宅で開業すればそこまで費用は掛かりませんし、勤務時間なども自分の裁量で決められるので理想的な働き方を実現できます。
しかし、独立・開業は集客しなければ売り上げにつながりませんし、初期投資などでお金がかかることもあります。
気軽にできるものではないのであくまで選択肢のひとつとして考えてみてください。
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ネイリストが転職を決めるタイミングとは
仕事が辛くてすぐに辞めるのは簡単ですが、目的もなく辞めるのはリスクが高いです。
またすぐに転職先が決まる保証もないのでよく吟味してから転職を決めることをおすすめします。
そこでここでは、ネイリストが転職を決めるタイミングについて紹介します。
スキルアップをしたいと思ったとき
ある程度の経験を積んだ後に「さらなるスキル向上を目指したい」「ここでは得られない経験をしたい」と考え始めたら転職するタイミングです。
とくに低価格のネイルサロンで働いているともともとデザインや色の選択肢が限られていることから、 どうしても同じ作品を繰り返し作ることが多くスキルアップにはつながりません。
「オリジナルの作品をつくりたい」「もっと複雑なデザインに挑戦したい」のであれば個人で活動するのもひとつですが、平均単価の高い高級ネイルサロンへの転職がおすすめです。
また、日本のネイル技術は非常に高く、世界で活躍する人々も多いため、SNSなどで成功している先輩たちの姿を見て海外での挑戦を希望する方もいます。
さらに、ネイルだけでなく美容全般を極めたいといった目的で美容師免許を取得したいなど、メイクアップやヘアアレンジ、まつ毛エクステなど他の分野の技術を習得するために転職する人もいます
独立を考えたタイミング
ある程度の経験を重ね自分のお客さんが増えてくると、「いつか自分のネイルサロンを開きたい」と考えるネイリストはたくさんいます。
ネイルサロンの開業は自分の選んだ場所やインテリア、こだわりのネイルを揃えて店舗を作ることができる魅力があります。
一部のネイルサロンでは就職時に将来的な独立の意向を伝えると、独立支援を行ってくれるところもあります。
一人前になった後に卒業し、自分の店舗を開業する方が少なくありません。
さらに、リピート客がいる場合、雇われているよりも収入が増える可能性が高いです。
独立の経験を重ねられるネイルサロンに転職する方やそのまま独立するネイリストも少なくありません。
ネイリスト資格を取得するのにかかる費用とは?スクール選びのポイントについても紹介
自分に合ったネイルサロンを見つけよう
今回は、ネイリストにある苦労や退職理由、解消法などについて紹介してきました。
ネイリストが退職する理由として、高度な技術を維持しつつ適切なコミュニケーションが求められることや体力・精神面の負担が大きい、給料が少ないなど様々な理由が挙げられます。
長く働き続けるためにはまず、自分なりのストレス解消法を見つけたり、先輩や上司に相談してみるのもひとつです。
しかし、現状の改善が見込めずどうしても辛いと感じる場合には、他のネイルサロンに転職するのがおすすめです。
新しい人間関係や環境、給料面などが改善する可能性もあるので、自分が大事にしたいポイントや優先順位をつけて探してみて下さい。