少子化が進む現代社会で、「子どもが減ると保育士の今後の将来性は平気なの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、保育士の今後の将来性や需要は「ある」と判断されており、様々な場面で活躍が見込まれています。
こちらの記事では、そんな保育士の将来性や需要、現状についての情報を詳しく解説します。
保育士の今後の展望に興味がある方や保育士を目指そうとお考えの方、現職の方も参考にしてみてください。
保育士業界の現状は?
保育士業界の現状は、保育士の人手不足が問題視されています。
保育士の人手不足の結果、保育園に入れない「待機児童」の問題が特に多くなり、社会問題にまで発展しています
保育士の人手不足問題を解決するために、国や各地域の自治体によって保育士の処遇改善が進められている現状です。
保育士は約7.4万人足りない
年度 | 求人倍率が最も高い月の値 |
---|---|
2017 | 3.40倍 |
2018 | 3.64倍 |
2019 | 3.86倍 |
2020 | 2.94倍 |
2021 | 2.93倍 |
参考:厚生労働省 保育分野における人材確保の必要性
出典:厚生労働省 保育分野における人材不足の現状
厚生労働省の資料を参考にすると、在職中の保育士38.6万人に対し、必要な人数は46.0万人とされているため、現状約7.4万人の保育士が不足している状態です。
「給料が安い」「責任が重い」などの理由から、保育士を目指す人が少なくなっていることが原因です。
保育士不足の解消のために国が動いた
保育士の人手不足の問題は深刻で、社会問題としてたびたびニュースでも取り上げられています。
この保育士不足を解決するために、政府は全国の保育士を対象に給料手当や役職追加などの処遇改善を導入しました。
保育士不足の地域は、国の処遇改善に加えて家賃補助や独自の給料手当を支給するなど、独自の処遇改善も行っています。
保育士の需要は高い?
少子化にも関わらず、保育施設の利用者は増えてきている一方で、必要な保育士は不足しているため、保育の需要は拡大し続けています。
少子化が進んでいるはずなのに、なぜ保育の需要は上がったいるか気になった方も多いのではないでしょうか。
保育施設の利用者の増加は、共働き世帯の増加が原因と言われています。
保育士の求人倍率
年度 | 求人倍率が最も高い月の値 |
---|---|
2017 | 3.40倍 |
2018 | 3.64倍 |
2019 | 3.86倍 |
2020 | 2.94倍 |
2021 | 2.93倍 |
出典:保育士の有効求人倍率の推移(全国)-厚生労働省
参考:保育士等における現状-厚生労働省
厚生労働省が公開している「保育士の有効求人倍率」を見ると、常に3倍程度の求人倍率が確認できました。
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかの数値なので、保育士の需要の高さが見てとれます。
保育士は、自分に合ったより良い条件の求人を選別できる売り手市場である反面、人手不足の深刻さが問題視されています。
共働き世帯の増加
保育士の需要が高まっている理由は、子どもがいる夫婦の共働き世帯が増えたことが原因と考えられています。
共働き世帯は子どもの世話をする時間を十分に取れないので、子どもを長時間預けられる保育施設を求めます。
結果的に保育園で引き受けきれない「待機児童」が発生しており、社会問題になっています。
保育士の将来性はある!その背景と理由を解説
国の処遇改善が進んでいる保育士の将来性は「ある」と判断されます。
将来性があると判断される理由は前述した需要の拡大だけでなく、いくつかの理由があります。
こちらでは、そんな保育士の将来性があるとされる理由をご紹介します。
- お給料が上がりやすくなっている
- 保育施設が増えてきている
- AIに取って変われない
お給料が上がりやすくなっている
過去の保育士には役職が「園長」「主任保育士」「役職なし」の3種類しかなく、キャリアアップのビジョンが見えづらい点やモチベーションの維持が難しい事が問題でした。
政府はこの問題を解決するために、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務別リーダー」の役職の追加をしました。
新設された役職は、研修を受けると上がることが可能で、1度修了すれば保育園を変えても認められます。
このように、保育士は以前よりキャリアアップによって給料が上がりやすくなったことから、今後の将来性は「ある」と判断されています。
参考:保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について-厚生労働省
保育施設が増えている
近年、保育士の職場が保育園以外にもある事をご存じでしょうか?
保育の需要が拡大したことで、保護者が保育施設に求める要望も多様化し、ニーズに応えるための保育施設が増えています。
児童養護施設や病院内保育所など、保育士の活躍の場が増えてきているので、今後の保育士の将来性は「ある」と判断されます。
AIに取って変われない
技術革新によるAIなどの発展は、多くの人の職業を奪うと警告されていますが、保育士は例外で今後も安定した職業とされています。
保育士の業務は人間の気持ちを理解できなければ務まらず、AIが得意とする事務処理や計算では変われません。
技術革新によって失われない職業と考えられるので、今後の保育士の将来性は「ある」と判断されます。
保育士の活躍の場
保育施設が保護者の要望に合わせて増えてきていることは前述しましたが、実際にどのような活躍の場が増えてきているか気になりますよね。
保育士資格を活かせる職場を知っておくことで、キャリアプランや就活・転職の参考になるので、ぜひチェックしてみてください。
新しい保育の現場
職場名 | 特徴 |
---|---|
保育園 | 厚生労働省管轄の児童福祉施設、0歳から利用可 |
病院保育室 | 病院で入院している子どもを保育する |
託児所 | 一時保育施設で子どもを保育する |
児童福祉施設 | 福祉施設で子どもの自立能力を付ける保育をする |
ベビーシッター | 依頼者の希望時間内で保育する |
保育士人材会社 | 派遣先で保育する、保育人材サポート |
企業内保育所 | 企業の中で主に企業の従業員の子どもを保育する |
ピアノ講師 | ピアノの教育をする先生をする |
上記の表は、代表的な保育の現場をまとめたものです。
保育士資格を活かして働ける保育現場が増え、保育園だけでなく様々な現場で保育士の専門的な知識とスキルが必要とされています。
求められるスキルも増える
保育士の資格を持っている方は、子どもの成長に必要な高度な知識を持っており、その専門性が様々な場所で必要とされていることがわかりました。
保育施設が増えることで、求められるスキルや技術も増えていくとされています。
保育士に就職した後は、それぞれの職場で必要とされる知識やスキルを勉強・習得すると、今後のキャリアアップや給料アップを狙えるかもしれません。
保育士の年収は?
保育士を目指す方が少なくなった理由の1つに「給料の低さ」があります。
保育士の人材を確保するために、政府の処遇改善によって保育士の年収は年々上がってきています。
こちらでは、保育士の年収はどのくらい上がっているのかご紹介します。
保育士の給料は増加傾向にある
年度 | 平均年収 | 2013年からの上り幅 |
---|---|---|
2013年 | 310万円 | – |
2014年 | 317万円 | +7万円 |
2015年 | 323万円 | +13万円 |
2016年 | 327万円 | +17万円 |
保育士の給料は、政府の処遇改善によって今後も上がっていくとされています。
処遇改善は、上記の表のように着実に年収をアップさせており、2013年から2016年にかけて17万円平均年収が上がっています。
今後の処遇改善次第では、給料面で保育士を諦める方も少なくなっていくのではないでしょうか。
働き口ごとの平均月収・年収
施設名 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
指定認可保育園 | 30.1万円 | 362.1万円 |
公立保育園 | 30.3万円 | 363.7万円 |
認定こども園(私立) | 27.9万円 | 335.9万円 |
小規模保育(A型) | 26.8万円 | 322.5万円 |
事務所内保育(A型) | 23.8万円 | 285.8万円 |
出典:保育士バンク! 「【2022年最新版】保育士さんの平均給料はいくら?引き上げによって今後賃金は上がるのか」
保育士の働き口ごとの平均年収を上記の表にまとめました。
施設によって業務内容や求められるスキルが異なるため、給料に違いがあります。
こちらの数値は全国の平均なので、地域や運営元によって差が生じることもありますが、おおよその収入として覚えておくと職場選びの役に立つこましれません。
保育士になるメリット
様々な処遇改善が進む保育士業界は、今後の将来性に期待できることが分かりました。
こちらでは、保育士になることで受けられるメリットについてご紹介します。
離職後復帰しやすい
保育士資格は一度取得すると更新の必要がなく、働き口は増えているため、簡単に職場復帰ができるメリットがあります。
例えば「出産」「育児」などで職場を一時的に離れる場合が多い女性の方でも、保育士なら簡単に職場復帰できます。
保育士は、働き方も多様化してきているので、ライフスタイルに合った働き方ができます。
幼稚園の資格が簡単に目指せる
保育士資格を持っていると、「幼稚園教諭免許」の資格取得が通常より簡単になるメリットがあります。
政府によって、保育士として実務経験を3年以上積みむと「幼稚園教諭免許」の取得に必要な単位が少なくなる特例が出されています。
例えば保育士資格と幼稚園教諭免許のダブルライセンスがあると、近年増えてきている「認定こども園」で働くことができるようになり、働き先が増えます。
保育士の将来性や需要について|まとめ
- 保育士の将来性は「ある」
- 保育士の現状は人手不足
- 保育士の需要は拡大し続けている
- 保育士の活躍の場は増えてきている
- 保育士の給料は上がってきている
保育士の将来性は「ある」とされる根拠の多くは、「現状の人手不足」と「需要の拡大」の解消に向けた「国の処遇改善」が進められていることが理由でした。
また、保育の需要拡大に合わせて保育施設の多様化が進んでおり、保育士の活躍の場が増えている点も将来性に関係していました。
国の処遇改善によって、今後も給料は上がっていくとされています。
保育士に興味がある方は、この機会に資格取得を目指して勉強してみてはいかがでしょうか。