衛生管理者試験は、その名の通り、労働環境における衛生管理の知識とスキルを評価する資格試験です。
結論、衛生管理者試験の難易度はそれほど高くありません。
この記事では、衛生管理者試験の全体的な難易度から合格率、効率的な勉強法や勉強時間、そして合格基準について徹底的に解説します。
これから初めて衛生管理者試験の受験を検討している方は必見です。
衛生管理者の試験難易度はそこまで高くない
衛生管理者には第一種・第二種のランクが設けられていますが、どちらとも合格率が4~5割程度と、国家資格の中では比較的難易度が低い傾向にあります。
国家資格の中では合格率が1割を切るものもありますから、その中で見ても難易度はそこまで高くないといえるでしょう。
ただし各科目で4割以上かつ合計点が6割以上でなければ合格できないので注意が必要です。
衛生管理者試験の合格率
衛生管理者試験の合格率は、平均で4~5割程度を推移しています。
もちろん第一種と第二種を比較すると、第一種の方が試験範囲の広さから合格率が低い傾向にあります。
以下で各種衛生管理者試験の合格率について、解説していきます。
第一種衛生管理者の合格率
第一種衛生管理者の難易度は、以下の通りです。
| 年度 | 合格率 | 合格者数 | 受験者数 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 46.8% | 32,026名 | 68,498名 |
| 2020年 | 43.8％ | 18,916名 | 43,157名 |
| 2021年 | 42.7％ | 29,113名 | 68,210名 |
| 2022年 | 45.8% | 31,207名 | 68,066名 |
第一種衛生管理者の試験は、幅広い知識と高度な専門性が求められるため、第二種と比較して難易度が高い傾向にあります。
第一種衛生管理者では、以下業種の衛生管理者を選任できます。
- 建設業
- 製造業
- 鉱業
- 農林畜水産業
- 自動車整備業
- 機械修理業
- 医療業
- 清掃業など
幅広い業種で衛生管理者として活動できることから、出題範囲をカバーするのに時間を要します。
第二種衛生管理者の合格率
| 年度 | 合格率 | 合格者数 | 受験者数 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 55.2% | 18,511名 | 33,559名 |
| 2020年 | 52.8％ | 11,729名 | 22,220名 |
| 2021年 | 49.7％ | 17,922名 | 36,057名 |
| 2022年 | 51.4% | 18,089名 | 35,199名 |
第二種衛生管理者の試験も難易度は高いですが、第一種と比べると若干易しいとされています。
試験範囲は同様に労働衛生、労働安全衛生法、健康管理ですが、第一種ほどの高度な専門性は求められません。
それでも、試験範囲が広く、包括的な理解が必要であるため、しっかりとした学習が不可欠です。
特に、基本的な法律知識や安全管理の基本原則を理解しておくことが重要です。
衛生管理者に必要な勉強時間は60～100時間
衛生管理者に合格するために必要な勉強時間は、第2種で60時間、第1種で100時間です。
おおよそ2~3ヵ月で取得できる計算です。
1日に1時間の勉強時間をとり、毎日コツコツ学習することで取得できるので、難易度が高い資格ではありません。
しかし目安の勉強時間が指定されているからといって、この時間勉強すれば確実に合格できるわけではありません。
勉強時間をだらだらと取るのではなく、集中して学習に取り組むことをおすすめします。
衛生管理者試験の試験は若干難化している
衛生管理者試験は、国家資格の一つではあるものの、他の資格と比較して難易度は低い傾向にあります。
しかし従来の衛生管理者試験と比較すると、最近では難化傾向にあるといわれています。
過去問対策だけではなく、最近の社会課題であるメンタルヘルス領域の設問もありストレスチェックに関連した出題もあります。
さまざまな観点から衛生管理の知識が問われるようになってきているので、過去よりも学習範囲が広い傾向にあります。
衛生管理者試験に合格するための勉強法
衛生管理者試験に合格するためには、効果的な勉強法が必要です。
以下に、具体的な勉強法を示します。
- 衛生管理者の知識をインプットする
- 模擬試験を解いてみる
- 通信講座を活用してみる
これらの勉強法を実践することで、衛生管理者試験の合格に向けた準備を効果的に進めることができます。
衛生管理者の知識をインプットする
衛生管理者試験に合格するためには、まず基礎知識をインプットすることが大切です。
テキストをしっかりと読み込んで、問題を解くのに必要な知識を体系的に学んでいきましょう。
ただし常にインプットするのではなく、定期的に問題演習を活用してインプットした内容が定着しているかを試していきましょう。
模擬試験を解いてみる
模擬試験を活用することで、試験本番の環境に慣れることができます。
模擬試験は、実際の試験形式や出題傾向を反映しているため、本番の試験に対する準備が整います。
また、模擬試験を解くことで、自分の弱点を把握し、重点的に学習することができます。
模擬試験の活用方法としては、定期的に模擬試験を実施し、結果を分析して学習計画を立てることが有効です。
以下に、模擬試験の活用方法を示します。
| 活用方法 | 効果 |
|---|---|
| 定期的な実施 | 試験環境への慣れ |
| 結果の分析 | 弱点の把握 |
| 学習計画の立案 | 重点的な学習 |
このように、模擬試験を効果的に活用することで、衛生管理者試験の合格に向けた準備を進めることができます。
通信講座を活用してみる
衛生管理者の資格取得を目指すためには、通信講座を活用してみるのも一つの手です。
通信講座では無駄なく試験に必要な内容をインプットできるように、カリキュラムが設計されています。
テキストから問題演習まで、インプットとアウトプットを交互にできるように対応されているので安心です。
通信講座となると少々料金はかかりますが、独学で学ぶよりも合格できる可能性を高められます。
衛生管理者試験の試験科目とは
衛生管理者試験では、ビジネスに関する幅広い知識が問われます。
以下に、主要な試験科目を示します。
- 労働衛生
- 労働安全衛生法
- 健康管理
これらの科目は、ビジネスの基本的な概念と実践的なスキルを評価するものであり、衛生管理者プログラムにおいても重要な役割を果たします。
それぞれの科目について、詳しく解説します。
労働衛生
労働衛生は、衛生管理者試験の主要な科目の一つであり、作業環境の改善や有害物質の管理に関する知識が求められます。
例えば、作業環境測定や化学物質のリスク評価、適切な防護対策などが含まれます。
これらの知識は、労働者の健康を守るために重要です。
以下の表は、労働衛生の主なトピックを示します。
| トピック | 内容 |
|---|---|
| 作業環境測定 | 有害物質の測定方法と基準 |
| 化学物質のリスク評価 | 化学物質の特性と影響 |
| 防護対策 | 適切な防護具とその使用方法 |
労働衛生の知識は、労働者の安全と健康を確保するために不可欠です。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、衛生管理者試験においても重要な科目です。
労働安全衛生法では、労働環境における法規制や基準に関する深い理解が求められます。
これには、労働条件の改善、安全管理の基準、労働災害の予防策などが含まれます。
労働安全衛生法の知識は、法的に適正な労働環境を整備するために重要です。
以下の表は、労働安全衛生法の主なトピックを示します。
| トピック | 内容 |
|---|---|
| 労働条件の改善 | 労働時間、休憩、賃金などの基準 |
| 安全管理の基準 | 安全衛生管理体制の構築 |
| 労働災害の予防策 | 事故防止対策と安全教育 |
労働安全衛生法の知識は、安全で健全な労働環境を確保するために必要です。
健康管理
健康管理は、衛生管理者試験のもう一つの重要な科目です。
健康管理では、労働者の健康状態を適切に管理し、予防的な健康対策を実施するための知識が求められます。
これには、定期健康診断の実施、メンタルヘルス対策、健康増進プログラムの策定などが含まれます。
健康管理の知識は、労働者の健康を維持し、生産性を向上させるために重要です。
衛生管理者試験の受験資格
衛生管理者試験を受けるためには、以下のいずれかの受検資格を保有している必要があります。
これから受験を検討されている方は、自分が当てはまるかを事前に確認しておくことをおすすめします。
- 学校教育法による大学（短期大学を含む。）又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者又は専門職大学前期課程を修了した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 省庁大学校を卒業（修了）した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 10年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けた者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 高等学校卒業程度認定試験に合格した者、外国において学校教育における12年の課程を修了した者など学校教育法施行規則第150条に規定する者で、その後３年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 専門課程又は特定専門課程の高度職業訓練のうち能開則別表第6により行われるものを修了した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 応用課程の高度職業訓練のうち能開則別表第7により行われるものを修了した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 普通課程の普通職業訓練のうち能開則別表第2により行われるものを修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 旧専修訓練課程の普通職業訓練を修了した者で、その後4年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 外国において、学校教育における14年以上の課程を修了した者で、その後１年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 特別支援学校(旧盲学校、聾(ろう)学校又は養護学校)の高等部を卒業した者など学校教育法第90条第１項の通常の課程による12年の学校教育を修了した者で、その後３年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
- 朝鮮大学校(4年制学科)を140単位以上取得して卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
各種要件を把握したうえで、現時点で当てはまる項目があるかを確認してから申し込みをすることをおすすめします。
衛生管理者試験の合格に向けた勉強スケジュールの立て方
衛生管理者試験に合格するためには、計画的に勉強をすすめる必要があります。
そこで勉強スケジュールを立てて、合格までの導線をしっかりと作る必要があります。
以下では衛生管理者試験の合格に向けた勉強スケジュールの立て方を解説していきます。
勉強時間管理を徹底的に行う
効率的に勉強時間を管理するためには、時間管理ツールやテクニックを活用することが有効です。
例えば、ポモドーロ・テクニックを使用して25分の勉強と5分の休憩を繰り返す方法や、スケジュールアプリを活用して勉強時間を管理する方法があります。
以下に、効率的な時間管理の例を示します。
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| ポモドーロ・テクニック | 集中力の維持と時間の有効活用 |
| スケジュールアプリ | 計画的な勉強時間の確保 |
| タイムトラッキング | 勉強時間の記録と分析 |
これらの方法を活用して、効率的に勉強時間を管理することが、衛生管理者試験の合格に向けた第一歩です。
勉強スケジュールの立て方
効果的な勉強スケジュールを立てるためには、長期的な計画と短期的な目標を組み合わせることが重要です。
以下に、勉強スケジュールの例を示します。
| 期間 | 勉強内容 |
|---|---|
| 1ヶ月目 | 基礎知識の習得 |
| 2ヶ月目 | 過去問演習 |
| 3ヶ月目 | 模擬試験と復習 |
| 試験前1ヶ月 | 総復習と最新情報の収集 |
このように、長期的な計画を立てることで、効率的に勉強を進めることができます。
衛生管理者の基本情報・将来性
衛生管理者とは労働安全衛生法において定められている、労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者です。
一定規模以上の事業場については、衛生管理者免許、医師、労働衛生コンサルタント等の免許、資格を有する者からの選任が義務付けられております。
衛生管理者の基本情報から将来性まで、詳しく紹介します。
- 衛生管理者所持者の職業例
- 衛生管理者に向いている人
- 衛生管理者と同じ分野の他の資格
- 衛生管理者の現状
- 衛生管理者の将来性
衛生管理者所持者の職業例
衛生管理者の国家資格は第１種と第２種の二つに分類されています。
第一種においては様々な業種において有効な資格とされています。
一方で第二種は、農林畜産水産業、鉱業、建築業、製造業といった、衛生管理がやや困難な業種以外の事業場のみに有効です。
衛生管理者に向いている人
衛生管理者は、常に労働環境や衛生面について敏感でなければなりません。
また、人が管理対象であることを忘れてはなりません。
「労働者の安全」のために労働環境を整えること、「労働者の健康」のために衛生面を改善維持することを常に考える必要があります。
衛生管理者の役割は、機械的で事務的な仕事への取り組みでは対応できません。
人間的な心持ちを忘れずに人と接することが重要です。
衛生管理者は、労働者の気持ちになって物事を考えることのできる感性や、人としての思いやり、気配り、優しさなどが強く望まれます。
また、必要な改善個所に対し、その改善の必要性を強く訴える強さや、それらについて真剣に取り組む真面目さも必要です。
もちろん、事務的な仕事を多くこなさなければならない場合もありますが、衛生管理者としての役割の根本的なところからすると、事務的仕事をこなせる手際の良さだけでは難しい、非常に難しい立場であると言えます。
真に人の気持ちを分かろうとする姿勢がある人が向いているでしょう。
衛生管理者と同じ分野の他の資格
- 第一種衛生管理者
- 第二種衛生管理者
- 食品衛生管理者
- 安全衛生管理者
- 衛生工学術生管理者
衛生管理者の現状
衛生管理者を取り巻く環境は日々高いものが求められつつあります。
その根底には企業のコンプライアンス問題があります。
衛生管理者のニーズでも取り上げたように、労働災害は企業にとって致命的な問題となります。
インターネットが普及したこともあり、これまでは企業の労働災害を知るすべが少なかったのですが、今では簡単に調べることができます。
労働災害が起きたときの企業ブランドの低下は計り知れないものがあり、製品の売れ行き、取引停止など大きなリスクを秘めているのです。
衛生管理者の将来性
「労災」と呼ばれる労働災害がたびたびニュースになっていることから分かるように、企業においての衛生管理の必要性はますます見直されてきてます。
とはいえ、衛生管理者の資格取得者は今の時代の需要に対してまだ少ない状態なのです。
そのため、社会的ニーズの高い国家資格の一つだと言われています。
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衛生管理者試験の受験でよくある疑問
衛生管理者試験の受験にあたり、多くの人が抱く疑問について解説します。
これらの疑問を解消することで、安心して受験準備を進めることができます。
- 衛生管理者に免除項目はある？
- 衛生管理者の資格を持っていると有利になる？
以下で詳しく解説していきます。
衛生管理者に免除項目はある？
衛生管理者では第一種の試験を受ける時に免除項目が設定されています。
第二種衛生管理者の資格を持っている人は、第一種の特例第一種衛生管理者試験を受験することが可能です。
第二種と被っている出題範囲が省かれるので、対策の負担も軽減できます。
衛生管理者の資格を持っていると有利になる？
衛生管理者の資格を持っていると、転職の際に有利に働くこともあります。
職務内容にもよりますが、衛生管理者の資格を持っていることで、担当できる業務範囲が広がります。
企業としても労働衛生についての対応は、健全な企業運営のためにも重要視しています。
転職の際に保有スキルの一つとしてアピールできる可能性が高いので、是非活用してみてください。
衛生管理者の難易度は高いので事前対策が重要！
衛生管理者試験の難易度は、それほど高くありません。
合格率は約40～50%前後で推移しており、しっかりとした準備が必要になります。
計画的な学習計画を立て、継続して学習を続ければ合格できる可能性は高いでしょう。
試験では、労働衛生、労働安全衛生法、健康管理などの専門知識が問われます。
実務に即した問題も出題されるため、単なる暗記では不十分です。
計画的に勉強を進め、出題傾向を把握することで、試験の難易度に対応し、合格を目指しましょう。
