あん摩マッサージ指圧師は、それぞれの手技(なでる・揉む・押す・さする等)を使って体の各部位の血行を良くし、凝りや痛みをやわらげて体の不調を改善する仕事です。
国家資格が必要となっている資格ですが、国家試験の受験資格を得られる学校が非常に少ないため、専門学校の倍率が高くなる傾向にあります。
今回はそんなあん摩マッサージ指圧師の資格取得の難易度や年収、専門学校についてまとめていきます。
あん摩マッサージ指圧師ってどんな仕事?(仕事内容など)
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、その名のとおり、あん摩・マッサージ・指圧の3つから成り立っています。
それぞれの手技(なでる・揉む・押す・さする等)を使って、身体をなでたり押したり揉んだりすることによって、血行の流れをよくし、こりや痛みを和らげ、人の体の不調を改善する仕事です。
東洋医学に基づく施術であり、基本的には器具は用いず、手のみを使います。
また、自然治癒力や免疫力を高めることを目的として、治療を行います。
かつては視覚障害者の割合が多い職業でしたが、近年は視覚障害者の割合は約2割程度となっています。
あん摩マッサージ指圧師に向いている人
- コミュニケーション力
- 癒やしを提供する心
- 体力と健康
この3点があん摩マッサージ指圧師になるのに大切なポイントです。
【コミュニケーション能力】
この仕事は、技術が大切なのはもちろんですが、何より「人と直接ふれあう仕事」です。
技術はあっても、慣れないうちはとくに、患者さんとのコミュニケーションに苦労する人が多いようです。
体のどこが、どのようにつらいのかを、すべての患者さんから聞き出すのは難しいものです。
経験も重要ですが、もとから人と接することが苦ではない人や、会話が好きな人のほうが、向いているといえるかもしれません。
また、相手の反応から、痛がっているかどうかなどを察知できるセンスも大切でしょう。
施術時間が長く、患者さんと多くのコミュニケーションを取ることになるため、人当たりが良く、接客能力が高いことが望まれます。
【癒やしを提供できること】
患者さんは、体の痛みを訴えて来る人がほとんどです。
優しい話し方や、いたわりの気持ち、痛みなどに共感できる感受性も大切な資質といえます。
また、お店によっては、リラクゼーションを求めて来る人も多いでしょう。
日常を離れて、ストレスから解放されるような空間づくりや、疲れを癒してあげられる能力も求められます。
現時点では、あん摩マッサージ指圧師は男性の割合が高くなっていますが、癒しの観点からも、今後は女性の活躍も増えるのではないかと考えられます。
【体力と健康】
あん摩マッサージ指圧師は、施術に器械を使わないため、当然のことながら腕や指を酷使する仕事です。
ほとんどが立ち仕事なので、足腰にかかる負担も大きいでしょう。丈夫で疲れにくい体と、体力はもちろん必要です。
もともとあまり筋力がなくても仕事をしていく中で、自然と筋肉や握力がアップする人も多いようです。
また、体が資本となるため、自分の体の健康も、つねに保つことが求められます。
あん摩マッサージ指圧師になるために必要な知識・受験資格
最低でも3年間学ばなければ国家試験受験資格は与えられません。4年制大学の場合、3年時に受験する大学もありますが、あん摩マッサージ指圧師の国家試験受験資格を取得出来る普通の大学は存在しません。
あん摩マッサージ指圧師の資格は「公益財団法人東洋療法研修試験財団」が運営管理を行っております。公益財団法人東洋療法研修試験財団は、あん摩マッサージ指圧師試験のほかに、はり師・きゅう師の資格試験も行っている団体で、国家試験の受験資格を得るために通う学校の中にははり・きゅうの勉強も同時にしている所があったりするなど、あん摩マッサージ指圧師とはり・きゅう師は互いに近しい資格だったりします。
あん摩マッサージ指圧師試験の試験内容と合格率・難易度は?
あん摩マッサージ指圧師試験の内容とその範囲は多岐に渡ります。
ここでは試験科目・試験内容と、合格率や資格取得の難易度についてまとめます。
あん摩マッサージ指圧師試験科目等の内容
専門基礎分野
専門分野
- 東洋医学概論・経絡経穴概論
- あん摩マッサージ指圧理論
- 東洋医学臨床論
出題形式はすべて客観式四肢択一による筆記試験です。実技試験はありません。
視覚障害者については申請することにより、により拡大文字、超拡大文字または点字のいずれかによる受験を認めています。
また、学校長または施設長の承認を受けた者に限り試験問題を録音したCD又は読み上げの併用や照明器具、拡大読書器および点字タイプライターの持ち込みが可能です。
あん摩マッサージ指圧師資格の合格率
合格率は毎年80%以上で、平成27年度を例にすれば合格率84.3%です。
また第一回試験からの平均合格率を見ていくと、86.5%というデータもあります。
これらのデータで判断すると、試験の難易度はそれほど高くないのでは?思われるかもしれません。
あん摩マッサージ指圧師資格の難易度
上記の合格率のように、実際の試験自体は選択式の筆記試験となっており、養成学校での授業をしっかりと受けて理解していけば合格できる程度の難易度となっているでしょう。
また、養成学校ではあん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格するための対策授業もしっかりと行っているため、在学生は試験の合格に向けた勉強をしっかりと積んだ上で受験していることになります。
これは国内最難関クラスである医師の国家試験の合格率が資格試験全体で見ると比較的高い数字で推移している理由とよく似ています。
しかし、あん摩マッサージ指圧師の専門学校自体が少なく、入学者の募集人数も少ないため、国家試験よりもあん摩マッサージ師指圧師の専門学校に入学する方が難しいとまで言われていたりする側面もあり、あん摩マッサージ指圧師資格取得の難易度は難しい方になるでしょう。
あん摩マッサージ指圧師の専門学校や通信講座について
あん摩マッサージ、指圧師を目指すには養成学校でしっかりと学ぶ必要があります。
国家試験受験資格を得るためには厚生労働省や文部科学省が認定している、あん摩マッサージ指圧師の養成課程を設置している専門学校もしくは大学で3年間以上学ぶ必要があるため、通信講座などで取得する事はできない資格です。
あん摩マッサージ指圧師を目指せる専門学校は?
あん摩マッサージ指圧師の養成学校は、大学の場合筑波技術大学しかありません。
しかしこの大学は視覚障害・聴覚障害を持つ人のための大学ですので、それ以外の人はあん摩マッサージ指圧師の養成学校として指定されている専門学校を探さなくてはなりません。
前述の通りあん摩マッサージ指圧師の専門学校は数が少ないですが、東北なら宮城の仙台に1校だけ、東京や神奈川、埼玉などには数校、そして静岡、愛知、大阪、香川などにも1校ずつ分布しています。
あん摩マッサージ指圧師資格取得の為の勉強法
あん摩マッサージ指圧師試験では「解剖学」と「生理学」が重要になります。
あん摩マッサージ指圧の「解剖学」は、骨・筋のウエイトが大きいです。
「あん摩マッサージ指圧理論」も「東洋医学概論」の話と同じで出るところがパターン化しています。
過去問は最良の練習問題となります。過去の国家試験の全問題を3回程度ずつ解くことが最良の勉強方法です。
あん摩マッサージ指圧師の試験料・スケジュールなど試験概要
あん摩マッサージ指圧師は国家資格のため、その試験は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づいて施行されます。
あん摩マッサージ指圧師の資格試験料
受験手数料は、11,600円とし、受験手数料の額を公益財団法人東洋療法研修試験財団が指定する銀行又は郵便局の口座に振り込みます。
あん摩マッサージ指圧師試験のスケジュール
試験は1年に1回だけ実施されます。平成31年の試験日は2月23日(土曜日)に行われました。
あん摩マッサージ指圧師試験の合格発表については、試験に合格した者に合格証が交付されます。
また、必要がある場合には合格証明書(有料)の交付を申請することができます。
あん摩マッサージ指圧師資格取得後の就職先・年収・報酬相場
治療院や病院などの医療機関に勤務することもできます。
また、マッサージはアスリートに喜ばれるので、スポーツトレーナーとしてプロ野球やJリーグなどのプロスポーツチームでも活躍したり、舞台やステージで歌手や俳優のケアを担当したりすることもできます。
あん摩マッサージ指圧師と同じ分野の他の資格
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、三療師と称されることもあります。他には、
- 整体師
- 鍼灸師
- カイロプラクティック
- リフレクソロジー
などの資格もあります。
あん摩マッサージ指圧師の年収・給料相場
だいたいの初任給の目安としては、病院勤務で約20万、治療院などでは16万前後が多いようです。
年収はおおよそ300~400万ほどになるでしょう。給与の伸びが低い傾向にあります。
あん摩マッサージ指圧師の現状や将来性
治療院やマッサージ店などでは、指名数によって収入が増えるシステムが多く、顧客の確保が大きなカギとなります。
とくに訪問マッサージなどの場合は、基本給+歩合制になることが多いようです。
どの職場であっても、人気が出れば出るほど、収入はアップします。人によっては、月収50万を越えることも珍しくないようです。
あん摩マッサージ指圧師の将来性
あん摩マッサージ指圧師としての職場は、一般的には病院の整形外科や、治療院などの医療機関になります。
また高齢化に伴い、老人ホームや介護サービスステーションなどの介護施設での求人需要が増えてきています。
あん摩マッサージ指圧師の独立について
あん摩マッサージ指圧師は、開業権のあるところが魅力の一つです。
また、医師や歯科医とは異なり、スタッフを置かず、自分ひとりだけで開業できること、特別な機材がいらないので開業資金を抑えることができることが強みです。
とはいえ、資格取得後、最初から開業する人は少ないものです。
実際に患者さんに施術を行っていく中で、スキルを高めていく仕事といえます。
あん摩マッサージ指圧師資格の難易度や年収・専門学校まとめ
あん摩マッサージ指圧師の資格の難易度や年収、専門学校の情報をまとめてみましたがいかがでしたか?
医療機関を開業することができるようになる資格ではありますが、医療機器を揃える必要のある医師や歯科医とは違いあん摩マッサージ師は手の技術一つで開業できるところが強みですね。
開業しなくとも、有資格者の求人は年々増加傾向にあります。試験の挑戦までに3年間の勉強を必要とするので誰でもすぐに取得できる資格ではありませんが、高齢化社会であることも追い風となり将来性のある国家資格と言えるでしょう。