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技術士の受験資格とは?試験ごとの受験資格や試験の内容を徹底解説

更新日:2024-07-26

技術士の受験資格とは?試験ごとの受験資格や試験の内容を徹底解説

技術士試験は、その名の通り、技術者としての専門知識と実務経験を問う国家資格です。

これから技術士を目指そうとしている方や、既に技術者として働きながらさらなるキャリアアップを目指す方もいることでしょう。

しかし、技術士試験には受験資格があり、試験内容も広範囲にわたるため、受験前に詳しく理解することが重要です。

そこで今回は、技術士試験の受験資格から試験内容、さらには受験者の平均年齢について、初めて技術士試験の受験を検討する方向けに徹底的に解説していきます。

技術士に受験資格はある?

技術士の資格を取得するにあたり、一次試験に挑戦するのみであれば受験資格はありません。

そのため学生でも社会人でも一次試験を受けることは可能です。

しかし一次試験突破後の二次試験の場合、業務経験の条件が設けられています。

一次試験の合格後、一定期間の科学技術に関する実務経験を積むことで第二次試験の受験資格を得られます。

二次試験合格のために必要な実務経験は以下の通りです。

  • 技術士補として登録し指導技術士の下で4年を超える実務経験
  • 職務上の監督者の下での4年を超える実務経験修習技術者となったあとの経験
  • 7年を超える実務経験修習技術者となる前の経験も算入できる

いずれかに該当していれば、技術士試験を受験する資格を得られます。

技術士の一次・二次試験の出題内容

技術士にチャレンジするのであれば、一次試験・二次試験の出題内容を把握しておく必要があります。

以下では技術士試験の各試験内容の出題内容を解説していきます。

技術士の一次試験の出題内容

技術士の一次試験の出題内容は基礎科目・適性科目・専門科目の3つの科目から出題されます。

基礎科目は科学技術全体の知識を問うもので、以下の5つの項目の中から出題されます。

  1. 設計・計画に関するもの(設計理論・システム設計・品質管理等)
  2. 情報・論理に関するもの(アルゴリズム・情報ネットワーク等)
  3. 解析に関するもの(力学・電磁気学等)
  4. 材料・科学・バイオに関するもの(材料特性・バイオテクノロジー等)
  5. 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境・エネルギー・技術史等)

適性科目は、技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の順守に関する特性について出題されます。

専門科目は、下記表の20部門の中から自分の専門である1部門を選択して受験します。

技術部門 専門科目 専門科目の範囲
01.機械部門 機械 材料力学/機械力学・制御/熱工学/流体工学
02.船舶・海洋部門 船舶・海洋 材料・構造力学/浮体の力学/計測・制御/機械及びシステム
03.航空・宇宙部門 航空・宇宙 機体システム/航行援助施設/宇宙環境利用
04.電気電子部門 電気電子 発送配変電/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備
05.化学部門 化学 セラミックス及び無機化学製品/有機化学製品/燃料及び潤滑油/高分子製品/化学装置及び設備
06.繊維部門 繊維 繊維製品の製造及び評価
07.金属部門 金属 鉄鋼生産システム/非鉄生産システム/金属材料/表面技術/金属加工
08.資源工学部門 資源工学 資源の開発及び生産/資源循環及び環境
09.建設部門 建設 土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/都市及び地方計画/河川、砂防及び海岸・海洋/港湾及び空港/電力土木/道 路/鉄 道/トンネル/施工計画、施工設備及び積算/建設環境
10.上下水道部門 上下水道 上水道及び工業用水道/下水道/水道環境
11.衛生工学部門 衛生工学 大気管理/水質管理/環境衛生工学(廃棄物管理を含む。)/建築衛生工学(空気調和施設及び建築環境施設を含む。)
12.農業部門 農業 畜 産/農芸化学/農業土木/農業及び蚕糸/農村地域計画/農村環境/植物保護
13.森林部門 森林 林 業/森林土木/林 産/森林環境
14.水産部門 水産 漁業及び増養殖/水産加工/水産土木/水産水域環境
15.経営工学部門 経営工学 経営管理/数理・情報
16.情報工学部門 情報工学 コンピュータ科学/コンピュータ工学/ソフトウェア工学/情報システム・データ工学/情報ネットワーク
17.応用理学部門 応用理学 物理及び化学/地球物理及び地球化学/地 質
18.生物工学部門 生物工学 細胞遺伝子工学/生物化学工学/生物環境工学
19.環境部門 環境 大気、水、土壌等の環境の保全/地球環境の保全/廃棄物等の物質循環の管理/環境の状況の測定分析及び監視/自然生態系及び風景の保全/自然環境の再生・修復及び自然とのふれあい推進
20.原子力・放射線部門 原子力・放射線 原子力/放射線/エネルギー

(引用:公益財団法人日本技術士会公式サイト

技術士二次試験の出題内容

技術士の二次試験では筆記試験と口頭試験の試験方法が取られます。

筆記試験は技術部門の必須科目と、下記の部門から科目を選んで受検します。

技術部門 選択科目の種類
01.機械部門 機械設計/材料強度・信頼性/機構ダイナミクス・制御/熱・動力エネルギー機器/流体機器/加工・生産システム・産業機械
02.船舶・海洋部門 船舶・海洋
03.航空・宇宙部門 機体システム/航行援助施設/宇宙環境利用
04.電気電子部門 航空宇宙システム
05.化学部門 電力・エネルギーシステム/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備
06.繊維部門 無機化学及びセラミックス/有機化学及び燃料/高分子化学/科学プロセス
07.金属部門 金属材料・生産システム/表面技術/金属加工
08.資源工学部門 資源の開発及び生産/資源循環及び環境浄化
09.建設部門 土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/都市及び地方計画/河川・砂防及び海岸・海洋/港湾及び空港/電力土木/道路/鉄道/トンネル/施工計画・施工設備及び積算/建設環境
10.上下水道部門 上水道及び工業用水道/下水道
11.衛生工学部門 水質管理/廃棄物・資源循環/建築物環境衛生管理
12.農業部門 畜産/農業・食品/農業農村工学/農村地域・資源計画/植物保護
13.森林部門 林業・林産/森林土木/森林環境
14.水産部門 水産資源及び水域環境/水産食品及び流通/水産土木
15.経営工学部門 生産・物流マネジメント/サービスマネジメント
16.情報工学部門 コンピュータ工学/ソフトウェア工学/情報システム/情報基盤
17.応用理学部門 物理及び化学/地球物理及び地球化学/地 質
18.生物工学部門 生物機能工学/生物プロセス工学
19.環境部門 環境保全計画/環境測定/自然環境保全/環境影響評価
20.原子力・放射線部門 原子炉システム・施設/核燃慮須サイクル及び放射性廃棄物の処理・処分/放射線防護及び利用

選択科目では専門知識や応用力に関するII項目と、問題解決能力及び課題遂行能力に関するIII項目の試験が設けられています。

必須科目では、総合技術監理部門に関する以下の内容について問われます。

  1. 安全管理
  2. 社会環境との調和
  3. 経済性
  4. 情報管理
  5. 人的資源管理

筆記試験に合格した場合、口頭試験の受験が認められます。

資格に対する適格性をチェックするために、筆記試験の答案や業務経歴を元に試験内容が変化します。

技術士とのダブルライセンスにおすすめの資格

技術士資格を取得した後、さらにキャリアを広げるためにダブルライセンスを目指す方も多いです。

技術士との相性が良い資格を取得することで、業務の幅が広がり、より高い専門性を発揮することができます。

以下では、中小企業診断士、行政書士、建築士について詳しく解説します。

  • 中小企業診断士
  • 行政書士
  • 建築士

中小企業診断士

中小企業診断士は、企業の経営コンサルティングを行う資格です。

技術士としての技術的な知識に加え、中小企業診断士の資格を持つことで、技術経営や技術戦略の分野でも活躍できるようになります。

技術士と中小企業診断士のダブルライセンスは、特に製造業やIT業界で高く評価されます。

技術的な知識と経営的な視点を持つことで、企業全体の技術戦略を立案・実行する能力が求められます。

行政書士

行政書士は、各種許認可の申請や契約書の作成などを行う資格です。

技術士としての専門知識に行政書士の法的知識を加えることで、建設業や製造業の許認可申請、環境関連の法規制対応など、幅広い業務をサポートできるようになります。

技術士と行政書士の組み合わせは、特に法務や行政対応が必要な業界で重宝されます。

例えば、建設プロジェクトでの法的手続きや環境規制への対応が求められる場面で、大きな力を発揮します。

建築士

建築士は、建築物の設計や工事監理を行う資格です。

技術士としての技術的な知識に建築士の設計・施工の知識を加えることで、建築プロジェクトの全体管理や技術的な問題解決に対応できるようになります。

技術士と建築士のダブルライセンスは、建設業界でのプロジェクトマネジメントや技術コンサルティングにおいて強力な武器となります。

建築士の資格を持つことで、設計から施工管理まで幅広い業務に携わることができ、技術士としての専門性をさらに高めることができます。

技術士の受験資格を満たしているか確認しよう

技術士試験に挑戦するには、まず自分が受験資格を満たしているかを確認することが重要です。

受験資格には、学歴と実務経験の要件が含まれます。

通常、大学卒業以上の学歴が求められますが、専門学校や高等専門学校卒業者も一定の条件を満たせば受験可能です。

さらに、大学卒業後5年以上、高等専門学校卒業後7年以上の実務経験が必要とされます。

また、特定の条件を満たす場合には受験資格が緩和される特例措置もあります。

これらの要件を事前に確認し、自分が技術士試験を受験できるかを確かめましょう。