技術士とは、科学技術に関する高い専門的能力を認定する国家資格です。
一括りに技術士と言っても、21もの部門に分かれており、試験も部門ごとに行われます。
技術士は「五大国家資格」の一つでもあり、「弁護士」「弁理士」「医師」「公認会計士」とともに名を連ねるほど難関資格ではありますが、
実際どんなことをしているのか疑問に持たれる方もいると思います。
今回は、技術士の年収や業務についてまとめましたので、ご紹介します。
技術士とは
そもそも技術士とは、
各分野の技術者(科学技術に関する高度な知識と応用能力を有する技術者)を国(文部科学省)が「技術士」として認定するものです。
技術士の歴史は、第二次世界大戦時まで遡ります。
敗戦を喫した日本は、復興と世界平和への貢献を達成するために、「社会的責任をもって活動できる権威ある技術者」の存在が必要となりました。
そうした背景によりアメリカに倣って「技術士制度」が創設され、1951年に日本技術士会が誕生、1957年に「技術士法」が制定され、現在も優れた技術士の育成がなされています。
技術士の平均年収は615万円
技術士の平均年収は、615万円で推移しています。
男性の場合は約630万円、女性の技術士の場合は約490万円の数値です。
※厚生労働省賃金構造基本統計調査に内容を参考に、決まって支給する現金給与額×12ヵ月+年間賞与その他特別給与額を合算したもの
日本全体の平均給与額が約430万円程度であることを踏まえると、男女双方共に平均給与を超えていることが分かります。
また年齢別にみてみると、以下の数値となります。
年代 | 年収(男性) | 年収(女性) |
---|---|---|
20~24歳 | 407万円 | - |
25~29歳 | 515万円 | 492万円 |
30~34歳 | 624万円 | 683万円 |
34~39歳 | 646万円 | 628万円 |
40~44歳 | 749万円 | 501万円 |
45~49歳 | 760万円 | 662万円 |
50~54歳 | 770万円 | 634万円 |
55~59歳 | 757万円 | 510万円 |
60~64歳 | 612万円 | 287万円 |
65~69歳 | 529万円 | - |
70歳~ | 335万円 | - |
(「令和元年賃金基本統計」より作成)
技術士は企業によって年収の格差がある
技術士は科学・技術関連のスペシャリストとして認定される資格であり、ある程度高い年収が得られる職業としても知られています。
しかし実は所属する企業によって収入に差が出てくるのです。
以下では技術士の年収が職種や企業によって差がある理由を解説していきます。
企業規模によってベースの給与が異なる
技術士の資格は難易度の高い資格ですので、一般社員と比較して資格手当が付けられることが多いです。
しかしそもそものベースの給与が異なることもあり、企業規模によって給与に差がついてしまいがちです。
また実際の手取りや使用できる金額にも差が生まれることも。
大手企業であるほど社員の流出を無くすために、福利厚生を充実させていることが多いです。
福利厚生の中には基本的なものから、生活に直結する金銭的な補助、食事の補助等多彩にあります。
そのため実際に生活で必要になるお金もある程度抑えられるため、コスパよく働くことが可能になるのです。
所属する業界によっても年収が変わる
技術士は建設業界等の専門性の高い業界で活躍できる資格ですが、活躍できる業界内でも収入の差が発生します。
技術士が所属できる業界では、建設関連のコンサルタントの給与が最も高い傾向にあります。
その他インフラ系も高い給与の支給が見込めますが、やはり業界によって企業内の重要度も変わりますので、年収に差が出てしまいます。
企業の規模と合わせて業界や業界内での技術士の重要性を事前に調べておくことをおすすめします。
技術士の資格を活かして年収アップする方法
技術士の資格を取得して更に年収アップを検討しているのであれば、以下の方法を試してみて屈獺祭。
- 建設・コンサル・情報通信業界へ転職する
- 資格手当の高い企業に転職する
- 同時に複数の資格を取得する
以下で詳しく解説していきます。
建設・コンサル・情報通信業界へ転職する
技術士が早く年収を上げたいのであれば、建設・コンサル・情報通信業界への転職を検討することも大切です。
建設業界では工事の入札の場で、技術士同席が求められることもあるため、企業単位で雇うことを重視されます。
また、コンサルティング業界は建設コンサルタントや都市計画コンサルタントとして、技術士の資格の需要が高いです。
またコンサル業界は他の業界と比較して給与が高く設定されているため、年収アップが可能になります。
情報通信業界は、技術士の在籍割合が非常に高い業界として知られています。
平均賃金が高く、情報工学や情報電子関連の知識が活きる分野です。
技術士の認知度も高く需要の高い業界ですので、年収アップや働きやすさを求めて転職するのもおすすめです。
資格手当の高い企業に転職する
技術士の資格を活かして働くのであれば、資格手当の高い企業に転職することも大切です。
技術士は国家資格ですから、取得していることで企業から資格手当をもらえることもあります。
しかし資格手当の金額は企業によって異なるため、企業選択によっては資格手当の金額が他社と比較して少ないこともあるでしょう。
資格手当の金額を事前に調べておいて、より自社よりも金額の高い企業に転職することをおすすめします。
同時に複数の資格を取得する
技術士の資格だけではなく、同時に自分の担当分野に関連する資格を複数取得しておくこともおすすめです。
同時に学習を進めるのは難しいですが、複数の資格を取得しておくことで資格の種類によっては企業内でもらえる資格手当の金額が増える可能性もあります。
また資格を取得しておくことで、より業界や業務に関する知識も深まりますので転職活動に多いに役立つ可能性があります。
技術士の年収を把握して資格を取得するべきかを判断しよう
技術士は国家資格の一つであり、実務経験や知識量の問われる非常に難易度の高い資格です。
日本の年収相場からみてみても、技術士の年収は比較的高い傾向にあります。
しかし一般からみて年収が高いとしても、更に高い年収を狙いたいと思いますよね。
今後のキャリアパスや資格取得後に年収を上げる方法もチェックして、資格取得すべきかまでよく考えてみましょう。