一級建築士は建設業会の中では最上級の資格になり、建設士法で定められている基準値以上の建造物を建設する際に必要となる資格です。
独占業務になるので非常にニーズがあり、独立しても十分に需要がある資格となりますが仕事と並行して受験勉強をしなければならないことから資格取得の難易度はとても難しいものです。
本記事ではそんな一級建築士の試験にの難易度や合格率、試験日、受験資格や年収などについて総合的にまとめました。
一級建築士ってどんな仕事?
一級建築士は、主に建設会社や住宅メーカー、設計事務所などで働いていることが多く、個人の事務所を開いている人も多数います。建築物の設計、工事監理等はもちろん、建築士法で定められる基準値以上の建築物を建造する際に必要となる資格です。
CADを使用し建築物の設計やデザインを行なったり、建築士法で定められる基準値以上の建築物を他の建築資格保持者が設計した場合のその確認作業を行います。
一級建築士は設計できる建築物の大きさに制限がなく、大きなビルから一般住宅まで幅広く設計・工事監理をすることができます。
人の生活や命に係わるものに携わることから、試験の難易度が高く国家資格でもあり、試験の範囲も建築計画から法規、構造や施工等幅広く出題されるので、相応の知識や設計製図の技能が必要です。
高い難易度をクリアする為には仕事のスキマ時間を利用した通信講座の受講が適切になるので、通学講座と同様の教材を使った1発合格を目指せる総合コースや苦手分野のみ受講できる個別コース等、自分に合う学習コースを選んでください。
通信講座の資料は1度に無料で複数請求できるので、ぜひ利用して毎年の出題傾向の変更に強い通信講座を受講してみましょう。
一級建築士の資格は「公益財団法人建築技術教育普及センター」が運営・管理しています。
公益財団法人建築技術教育普及センターとは
公益財団法人建築技術教育普及センターは、建築士の試験の実施・調査・研究を行っています。
建築士を対象とした定期講習も実施しています。
一級建築士に向いている人
一級建築士は、建築設計に関して制限がなく大きな建物から一般住宅まで幅広く設計することができます。
設計に必要になるのが美的センスです。建物の形から材料、色合いや配置などさまざまな角度からセンスが問われます。
デザインに関して興味があり、自身のセンスを磨き続けられる人は一級建築士に向いていると言えます。
一級建築士になるために必要な知識
一級建築士試験は学科と設計製図に分かれています。学科試験は施工から計画まで幅広い知識が問われます。
学科試験の合格者のみ設計製図試験に進むことができ、設計製図試験は近年では環境配慮なども要求されています。
実務ではCADが主流ですが、試験は製図板を使った手書きですので短時間での作図能力も必要です。
一級建築士の受験資格
一級建築士の試験には受験資格が建築士法第14条によって定められています。
建築に関する学歴によって、建築にかかわる実務経験の必要年数が変わってくる仕組みとなっています。
建築士法第14条 | 学歴又は資格 | 建築の実務経験 |
---|---|---|
第一号 | 大学において指定学科を修めて卒業 | 卒業後2年以上 |
第二号 | 3年制短大において指定学科を修めて卒業 | 卒業後3年以上 |
第三号 | 2年制短大・高専において指定学科を修めて卒業 | 卒業後4年以上 |
第四号 | 二級建築士 | 二級建築士として4年以上 |
第五号 | その他国土交通大臣が特に認める者 |
学歴又は資格 | 建築の実務経験 |
---|---|
大学において 指定学科を修めて卒業 |
卒業後2年以上 |
3年制短大において 指定学科を修めて卒業 |
卒業後3年以上 |
2年制短大・高専において 指定学科を修めて卒業 |
卒業後4年以上 |
二級建築士 | 二級建築士 として4年以上 |
その他国土交通大臣が特に認める者 |
2018年12月に建築士法が一部改正された為、早ければ2020年から施行される試験では4年制大学建築学科で指定科目を修了し卒業した方、二級建築士の方は実務経験無しで受験可能になります。現行の実務経験は免許登録の際に必要な実務経験になり、試験合格以前の実務経験も通算する事が認められています。
一級建築士資格取得の為の勉強法
学科はマーク方式、設計製図試験は筆記問題となります。
今までは学科問題は約60%が過去問題と似た内容になっており、独学でも過去問題だけやり抜けば試験は合格するとも言われていました。
しかし最近では新傾向の問題が多く過去問題だけでは合格しづらくなってきています。
それでも過去問題に似た問題は出題されやすいので、点数を取るべきところでいかに落とさないようにするかがポイントになります。
製図試験の問題は学科試験の前日に発表される為対策が難しくなっています。
専門学校や資格予備校の活用もいいですが、通学では学費で70万円ほど必要になる場合もあります。
一級建築士の専門学校や通信講座について
一級建築士の試験を受けるためには、受験資格が設定されているため、独学や講座を利用して勉強をすること自体は可能ですが試験を受けること自体が一つの壁となります。
それは学歴が高くても実務経験が課される為、基本的には仕事をしながら受験勉強をする事が必要な資格試験ですので、勉強のために時間を割く必要があるからです。
基礎的な能力や知識はもちろんですが、学歴が良いからと言って受かる試験ではなく、スキマ時間を利用して地道に学習を重ね、効率よく合格ラインに達する為の学習をする事が大切な試験なのです。
学歴が満たされていない場合でも二級建築士から上り詰めるという道は残されていますので、二級建築士と一級建築士の資料を比較してみるのも面白いでしょう。
一級建築士や二級建築士の専門学校や通信講座の受講に興味がある方は、是非上のボタンから資料をチェックしてみてください。
一級建築士の試験内容・難易度や試験日などについて
では早速、一級建築士試験の試験内容について、詳しく見ていきましょう!試験の難易度や合格率についてもご説明します。
一級建築士試験科目等の内容
一級建築士試験 | |||
---|---|---|---|
区分 | 科目 | 問題数 | 時間 |
学科 | 学科I (計画) |
20 | 計2時間 |
学科II (環境・設備) |
20 | ||
学科III (法規) |
30 | 1時間45分 | |
学科IV (構造) |
25 | 計2時間45分 | |
学科V (施工) |
25 | ||
製図 | 設計製図 | 1 | 6時間30分 |
一級建築士の筆記試験試験内容は、建築計画などの問題が20問、環境・設備関する問題が20問、そして法令集の持ち込みが許可されている建築法規の問題が30問、構造に関する問題が30問、施工に関する問題が25問となっています。
設計製図問題では、あらかじめ公表される課題1本に対して、6時間半という時間をかけて実際に製図します。
学科合格点は総得点91点となっていますが、さらに5科目のそれぞれも下記のように合格点が設けられており、91点以上を取りつつ全科目の合格点をもクリアする必要があります。
- 学科I:11点
- 学科II:11点
- 学科III:16点
- 学科IV:16点
- 学科V:13点
一級建築士資格の合格率
学科 | 製図 | 総合合格率 | |
---|---|---|---|
平成26年 | 18.3% | 40.4% | 12.6% |
平成27年 | 18.6% | 40.5% | 12.4% |
平成28年 | 16.1% | 42.4% | 12.0% |
平成29年 | 18.4% | 37.7% | 10.8% |
平成30年 | 18.3% | 41.4% | 12.5% |
試験の合格率は過去5年をみても例年同じくらいの推移を保っています。
おおよそ学科では16~18%程度、製図では40%程度の合格率で、総合合格率は12%となっています。
数字で見ると9割近い人が落とされる試験であり、合格率が低く難易度の高い試験であることが分かります。
一級建築士資格の難易度
一級建築士の試験は上記で紹介した通りの受験資格があります。
大学や専門学校などで指定科目を修めて卒業した人、もしくは実務経験を指定の年数勤めた人となっており、すぐに受験することができません。
つまり一級建築士試験を受験する人は仕事をしながらの受験勉強となります。
十分な勉強時間を取ることができれば合格するのはさほど難しくはないと思いますが、片手間にするには難易度の高い部類のハイレベルな知識も要求される事、合格率から見ても仕事と勉強の両立は難しいと言えます。
一級建築士の資格試験料
試験料は19,700円です。
建築技術教育普及センターの指定するクレジットカード又はコンビニエンスストア決済により納付が必要です。
納付の際にかかる事務手数料も別途で必要になるので注意が必要です。
一級建築士試験の日程・試験日
試験は毎年1回だけ行われています。
学科試験は7月の下旬に行われ合格発表は9月、設計製図試験は10月に行われ合格発表は12月です。
2019年の試験日は、
- 学科試験:7月28日
- 製図試験:10月13日
です。
一級建築士試験の合格発表
一級建築士の合格発表は3通りあります。
- 合格発表当日に建築技術教育普及センターの事務所掲示板に掲示されるものを確認する
- 合否通知所が届くのを待ち確認する
- 建築技術教育普及センターのホームページで確認する
なお、行政書士試験研究センターにて掲示・反映されるのは合格発表当日の午前10時頃です。
一級建築士資格取得後の就職先・年収・報酬相場
一級建築士試験に合格すれば独立開業する事も大手ハウスメーカーに就職する事も可能になり、就職先の幅も広がりますし、資格手当も見込めます。
そんな夢を叶えるためにはまずは一級建築士試験に合格しなくてはなりません。合格する為の有効的手段は仕事をしながらでもスキマ時間を利用して学習を進める事やwebで学べる講義で知識や技能を高める事です。
それらが可能になるのは通信講座です!通信講座では通学スタイルの予備校と同じテキストや問題集を使っていて、毎年の出題傾向に合わせたものに作り変えている事が多いので、確実に合格に近づく事が出来るのです。
通信講座の資料は無料で複数請求出来ますから、ぜひ利用して一級建築士に合格してください!
では、ここからは、一級建築士資格取得後の流れについてご説明いたします。
資格取得者の主な職業例や、気になる年収についても調査しました。
一級建築士所持者の職業例
- 建築士
- 住宅デザイナー
一級建築士と同じ分野の他の資格
- トレーサー
- CADオペレーター
- 土木施工管理技士
- 建築設備士
- 建築施工管理技士
建築士は、建築に関係するという事はもちろんですが、図面を描くという分野と土木工事関連の二つの分野の要素も併せ持っています。
一級建築士の年収・給料相場
一級建築士の平均月収は42万、平均年収は644万円となっています。
努めている会社や、担当している現場によっても年収に多少の幅はありますが専門的な職業となるので、比較的年収自体は高くなっています。
独立開業によって大幅な収入アップも見込めますが、まずは一般企業での勤務で経験や人脈を作ることが一般的だと言えます。
一級建築士の現状と将来性
少子高齢化により、高齢者が住みやすい家づくりや環境に配慮した太陽光パネルなどの普及により、設計においてもさまざまな感性や新たなアイディアが必要になりました。
他にも災害への備えや、被害を受けた地域の復興など様々な局面で、建築士の活躍の場があります。
一級建築士の将来性
建築士は海外展開ができるかできないかで成長と経験が変わってきます。
日本に比べて海外は経済成長のペースが速く、どんどん住宅などの建物を建てている状況なので建築士がフル稼働できる環境にあります。
同じ能力がある建築士でも、海外展開が出来る建築士と出来ない建築士とでは収入が大きく違ってきます。
また、デザイン能力がある建築士もない建築士に比べて大きな仕事がとりやすいです。
なので海外に行けるバイタリティのある人や、デザイン能力がある人には、建築士という仕事は大きな将来性があるといえます。
一級建築士の独立について
多くの一級建築士は独立をしています。
ですが資格を取ってすぐにというわけではなく何年か一般企業で勤務をして、経験と知識をしっかり蓄えたうえで独立をしています。
浅い経験や知識ではやはり顧客獲得は難しいため、しっかりとした基盤を作ってから独立することが望ましいです。
一級建築士試験の受験資格・難易度・合格率や試験日・合格点まとめ
一級建築士試験の難易度や受験資格、合格率や試験日日程などについて総合的にまとめてみましたがいかがでしたか?
試験を受けること自体も建築関連の学歴がなければ非常に大変な一級建築士は、受験資格を満たしていざ試験を受けられたとしても合格率は10%台です。
非常に難関な資格ですが、設計できる建物の制限がないので自分のセンスや創造力を目いっぱいカタチにすることが出来る資格でもあり、建築士として仕事をする上では憧れも多い資格なので未来に残る建築をしたい方には夢を叶えるための資格でもあるでしょう。
4年間の実務を積めば二級建築士からのステップアップというルートで受験することもできるので建築士の上を目指したい方は是非挑戦してほしい資格です。
挑戦する為には確実に合格するラインまで自分のレベルを上げる必要があり、仕事をしながらでも学習可能な通信講座を利用する事が有効な学習方法なので、無料資料請求から通信講座の資料を比較検討する事をおすすめします。