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宮大工になるには高校から?大学から?目指せる学校やスクール情報

更新日:2019-07-19

宮大工になるには高校から?大学から?目指せる学校やスクール情報

皆さんは宮大工という職業がどんな仕事か知っていますか?

現代では神社仏閣や宮殿、神輿の建築・補修だけに限らず一般住居の建築も手掛ける事もある、大工の中でも技術がトップクラスの伝統技法を持つ大工で、現在職人人口の減少が問題になっています。

そんな宮大工になるには高校卒業から?それとも大学を出る必要があるのか?その他専門学校や養成スクール情報等を皆さんに説明・解説していきます。

宮大工は担い手が減少傾向にある?

宮大工の体験授業、受けてみませんか?

宮大工とは神社・仏閣・宮殿の建築と補修を主に専門とする大工の事です。その始まりは古く飛鳥時代に僧侶が神社仏閣の補修・修繕を行っていた事に起因しています。

そして神社仏閣が「お宮さん」と呼ばれていたので「宮の専門の大工」が短くなり「宮大工」と呼ばれるようになり、全国各地の神社仏閣を補修・修繕していました。

現在、宮大工と名乗る会社や職人も沢山いますが、本物の宮大工は100~200人程度ではないかとも言われるほどに少なくなり、後継者問題が叫ばれています

職人の世界では師匠・親方に弟子入り(徒弟制度)し、人としての心の強さを教えてもらいながら技術を学んでいくのですが、現代の若者はついていくことが出来ない事が多く、宮大工の育成を目指しているにもかかわらず、後継者が育たないという職人減少問題があるのです。

その為、日本の伝統工芸、技術を守る為に宮大工と言う仕事を少しでも知ってもらおうと、宮大工養成塾では半日・1泊2日の体験が出来る体験入学を行っています。

将来大工・宮大工を目指している方、現在大工の職人で宮大工の技法が気になる方は1度体験入学をしてみましょう!

宮大工の仕事内容とは

宮大工の仕事

まず、宮大工になるにはどんな仕事をしているのかを理解する必要があります。

使う道具も12種類、その種類から細かく用途に別れ使い分けしていく必要もあり、1つの道具を使いこなせるようになるまでには長期間の練習が必要です。

そんな沢山の道具を使う宮大工の仕事内容にはどういったものがあるのかをご紹介しましょう。

宮大工の仕事内容①神社仏閣の建築・修繕

日本には数多くの神社や寺院が存在します。その全てが宮大工の仕事場になるので、出張になる事も多くあります。

神社・寺院だけでなく、城や重要文化財に指定されている建築物はごく一部の宮大工しか手掛けられない仕事でもあり、専門的な伝統木造建築技術が必要です。

釘を使わない(※現代においては全てではありません)木組み工法という手法や継手工法、仕口工法等を使っている建築物ばかりなので知識や技術、それにまつわる計算が出来る事も必須条件になります。

宮大工の仕事内容②木工彫刻

宮大工の仕事には建築だけではなく、神社・寺院等の中にある装飾や彫刻も手掛けます。

糸鋸や数種類のノミなどを使い、欄間や像などを制作していく芸術センスを問われる作業でもあります。

柱の上にある蟇股(上の荷重を支える材)や木鼻、虹梁、懸魚等、宮大工ならではの建築物を飾る内部の細工も大事な作業なのです。

宮大工になるには学歴は必要?

伝統的な宮大工の仕事を知るには

宮大工になるには学歴や学科の専攻も気になりますよね?最初に言いますが、宮大工になるには学歴は必須条件ではありません。

高校卒業でも大学卒業でも、最初は工務店などで一般住宅建築の修行をしてから宮大工の親方に弟子入りするか、卒業後すぐに宮大工の工務店に就職するかの2つの方法しか無かったのです。

ですが、今では専門学校やスクールで宮大工の専門コースがある学校等もあるので、まずは知識と基礎を身につけてから宮大工の工務店に就職を斡旋してもらう方法もあります。

伝統技法を守り、100年後、1000年後まで保てる建造物を作る事が出来る宮大工という仕事に少しでも興味を持たれたら、体験入学をしてみませんか?

半日であれば3時間程度ですし、もう少し詳しく知りたい方向けの1泊2日の体験もあります。

宮大工になるには仕事にも環境にも覚悟を持って向き合う事が必要なので、現役宮大工さんのお話を聞けるチャンスを活かしてみてはいかがでしょうか。

それでは学歴別、宮大工への道のりをご紹介していきましょう。

宮大工になるには①高校卒業から

まずは高校卒業後、宮大工になるにはどういう風に目指せばいいのかを解説します。

高校で建築を学んだ人なら、学校から工務店を斡旋してもらえますし、普通科や建築科以外なら自身で工務店を選び、就職する必要があります。

そして仕事で経験を積み、知識と技術を身につけてから宮大工の工務店で修行をして先輩や親方から技術を学ぶという方法です。

現在高校生の方であれば、大学や専門学校、養成スクールに入学し、建築士や施工管理士の資格を取得できるコースで学ぶのも一つの方法ですし、宮大工養成に特化した専門学校や養成スクールを選択するのもよいでしょう。

宮大工になるには②大学卒業から

続いて大学卒業後、宮大工になるにはどういった方法があるのかをご紹介します。

建築学科で知識と実務経験を積んでいる方なら、そのまま宮大工の工務店に就職するのが良いです。就職センターやキャリアセンターで聞いてみると宮大工の工務店からの求人等を紹介してくれます。

建築に関係のない大学、学科の方は、まずは建築知識を勉強する必要がありますし、大工道具の技術も磨かなければいけませんので、専門学校や養成スクールで学ぶか一般建築の工務店に就職し、建築の本を購入し知識と基礎を学ぶ必要があるでしょう。

大工道具を実際に購入し、自宅で刃物を研いだり使ってみて、慣れていけば実務にも良い影響が出て、宮大工の工務店への転職も早くなるでしょう。

宮大工になるには③一般建築の大工から

一般建築の大工から宮大工になるには、宮大工の工務店への転職することです。この場合は宮大工という特殊な作業場においても即戦力に繋がるので、合格率も格段に上がります。

基礎的な技術は一般の大工と同じことが多いので、後は宮大工ならではの特殊技術を覚えるだけで済みます。

宮大工の世界でも、一般建築の大工と同じように「技術は見て覚える」の世界なので、一度苦労している一般大工の方ならさほど難しい事は無いでしょうし、覚えるのは時間と観察眼の問題なだけです。

一般建築の大工からなら基本的な技術は出来ているので、言葉と目で伝統的な特殊技術を覚えられる養成スクールはとてもおすすめです。

宮大工になるには④養成スクールから

新しい宮大工になる方法

代々宮大工になるには内弟子と言われる師匠や親方の家に住み込み、家事を手伝いながら仕事を覚えるというのが主流でした。

ですがプライベートも無く睡眠時間も確保できず、怒鳴られる事ばかりが続くという過酷な時代を10年程続けなければならない事に嫌気がさし、宮大工への道を諦め辞めていく人が多かったのです。

そういった昔ながらの方法では現代には通用しないと、新しい修行方法で宮大工の育成を始めようと設立されたのが宮大工養成スクールです。

昔ながらの方法の良い所は残し、現代の手法を取り入れて、強い精神力を養いながら基礎を学び一人立ちさせるための教育に力を入れています。宮大工と言う仕事に興味がある方は、一度体験入学をしてみるのも一つの手です。

宮大工に必要な資格は?

宮大工資格

宮大工になるには特に資格は必要ではありませんが、知識や技術を証明するものとして、取得しておくと有利な資格を代表として3つご紹介します。

一般大工の職を経て宮大工になるなら、先に取得しておく事で一般大工の時にも給料・年収アップに繋がるので取得しておく事をオススメします。

二級建築士

二級建築士の資格は国土交通省が管轄している国家資格であり、現場に出る作業員というよりは管理・監督する方向けの資格で、中規模程度の建築物の設計・管理が出来ます。

戸建てに限らず、木造だけでない小規模な建築物の担当も出来ますので、一般的な工務店に就職している大工は二級建築士の取得を求められることも多いです。

受験資格は建築に対する学歴が無い、普通科等の高校生や大学生であれば実務経験が7年以上必要ですが、大学や高等専門学校で建築を学び卒業した人なら受験する事が可能で、高校・中高一貫校で学んだ人は卒業後3年間の実務経験で受験可能です。

試験の内容は下記の通りです。

二級建築士 出題科目、出題数等
試験の種類 試験の区分 演題形式 出題科目 出題数 試験時間
二級建築士試験 学科の試験 五肢択一式 学科I(建築学科) 25問 計3時間
学科II(建築法規) 25問
学科III(建築構造) 25問 計3時間
学科IV(建築施工) 25問
設計製図の試験 あらかじめ公表する課題の建築物についての設計書の作成 設計製図 1課題 5時間

木造建築士

木造建築士も国土交通省の管轄で国家資格です。戸建て住宅くらいの木造建築物(2階建て以下・延べ床面積300平方メートル以下)に限った設計・工事管理をする事が出来ます。

住宅以外でも、上記の建築物程度のものであれば店舗や公共施設の建築に携わる事が出来ます。

受験資格は建築に対する学歴が無い、普通科等の高校生や大学生であれば実務経験が7年以上必要ですが、大学や高等専門学校で建築を学び卒業した人なら受験する事が可能です。高校・中高一貫校で学んだ人は卒業後3年間の実務経験で受験可能です。

木造建築士の試験内容は二級建築士と似通っていますが、下記に記します。

木造建築士 出題科目、出題数等
試験の種類 試験の区分 演題形式 出題科目 出題数 試験時間
木造建築士試験 学科の試験 五肢択一式 学科I(建築学科) 25問 計3時間
学科II(建築法規) 25問
学科III(建築構造) 25問 計3時間
学科IV(建築施工) 25問
設計製図の試験 あらかじめ公表する課題の建築物についての設計書の作成 設計製図 1課題 5時間

建築大工技能士

宮大工になるには木工の技量が必要であり、その技量の証明とされるのが建築大工技能士で、1~3級まであり、実務経験に応じて受験できる級が上がります。

ですので、高校生や大学生では受験する事も出来ません。3級でも実務経験6ヶ月以上が必要となります。

建築士と同じように国家資格ではありますが、こちらは都道府県の職業開発能力協会が実施する建築大工に関する学科・実技試験で行う技能検定です。

建築大工技能士の試験内容も下記に記します。

建築大工技能士 出題科目、受験する級における範囲
学科・実技 科目 1級 2級 3級
学科 建築構造
規矩術
施工法
材料
製図
関係法規 無し
安全衛生
実技 大工工事作業

3~1級で学科の内容も増え、実技試験の内容も難しくなっていきます。

宮大工の給料・年収は?

宮大工 給料

ものづくりに関する職業全てに言える事ではありますが、宮大工は神様・仏様のお社を作り修繕していきます。それらが出来上がったときの達成感はひとしおで、やりがいという点では給料・年収以上のものがあり、特に宮大工は数百年も残る建造物を扱うという醍醐味を味わえるのです。

続いてはそんな宮大工の気になる給料・年収事情をお話していきましょう。

宮大工の給料・年収について

基本的に日給月給で、見習いからベテラン、棟梁で日当は段違いですので、高い給料・年収を目指すのであれば棟梁や工務店の社長を目指す必要があります。

日当(1日の給料)としては見習いで約1万円程度、ある程度技術が上がって認められるようになれば約1万5000円程、棟梁までいけば約3万円くらいになりますが、先述した通り天候に左右されるので、この通りの金額になるとは限りません。

ですので、月25日働けたとして見習いで月の給料は約25万円(年収で約300~350万円)、認められた宮大工で月の給料が約35~38万円(年収で約450万円)、棟梁で約75万円(年収で約800~900万円)となります。

一般的な企業の会社員とさほど変わらない給料・年収ですが、中には年収1,000万円を越える棟梁もいるので、宮大工の中でも差はかなりあると言えます。

一般的な大工との差は?

一般的な大工も基本的には日給月給で、天候に左右されやすい職業です。工務店に就職しても見習い~一人立ちしている程度までは日給制で、現場を仕切れるくらいにならなければ月給制になりません。

大工の月の給料の平均は見習いで約20万程度、一人立ちして約30~40万、現場監督になれば45~50万円程になるようです。

宮大工は大工の中でも技術力はもちろん、神社仏閣・重要文化財や城、神輿等に携わる上で必要な責任を持つ為、その分給料・年収が高くなる傾向にあります

宮大工の独立について

既に馴染みの工務店がある神社仏閣が多いので、これから独立して工務店を新規開業するとなると、お得意様がいない状態から始めるので難しい状況ともいえるので勤務している工務店の中で出世するか、技能を磨いて棟梁になり色んな現場へ呼ばれるようになると一人親方・棟梁として名も上がるでしょう。

宮大工の現状

新しい形で宮大工の人材育成に貢献

宮大工は日本全国の神社仏閣や城、重要文化財に指定されている木造建築の補修・改善を行っています。

現在神社仏閣専門の宮大工は全国に約1000人程しかおらず、職人の高齢化と若者の建築業離れにより、ますます減少の一途を辿ると予想されているのです。

近年では一般住宅のような簡単に立てられる工法もありますが、宮大工は伝統を重んじ次世代、次々世代まで残せる建造物の為に木を読み、手作業で加工から木組みまで行う作業で1つ1つの建造物を建てていきます。

その技法はこれから需要が高まるリフォーム業にも有効であり、昔ながらの技法を持つベテランの大工や職人が必要とされています。今のうちに技術を学ばなければ神社仏閣や城等の重要文化財の修繕や改修に危機が及んでしまうのです。

宮大工の危機①職人減少問題

土木建築業界全体にも言える事ではあるのですが、現在宮大工の人口減少が危ぶまれています。ベテランの職人達が数年後にはほとんど引退してしまう可能性があり、2020年には大工全体の人数が20万人程になってしまうと予想されているのです。

神社仏閣や重要文化財の保全・修繕にかけられる人員が減るということは、修繕費用を賄えない神社仏閣が淘汰されていくという事にもなりかねないのです。

宮大工の危機②神社仏閣の消滅危機

現在全国には約16万の神社仏閣がありますが、実は毎年減少していっています。もちろん神社本庁が関わらない神社もありますが、全体的に減少傾向にあるのです。

氏子や住職の減少とも関わっていて、彼らが常駐していない神社仏閣が維持・改修されずに朽ちてしまう事も問題になっています。

これには氏子・住職のみならず少子高齢化や過疎化問題、無宗教化といった原因もあり、地方の人口減少を食い止める必要があるのです。

地方の神社仏閣にも将来重要文化財となりうる建造物があるので、それらを守って次世代に繋げていくためにも宮大工という職業が重要なのです。

宮大工のやりがいや向いている人って?

宮大工 やりがい

特殊な技術が必要な宮大工のやりがいにはどんな事があるのでしょうか。

神社仏閣や重要文化財、城や神輿等の大きな木造建築物を手がけることの大切さや、向いている人や適性についてお話させていただきます。

宮大工のやりがい

宮大工のやりがいは何と言っても日本という国や人類にとっての財産である、古来の建築物や文化財を保護・修繕出来る事でしょう。

古来の建築方法である木を加工し組み立てていく「木組み」で必要最低限の金物を使いながら将来何百年も残る木造建築物を手がける事が、後世に引き継がれて行くのです。

自分が加工した木材がぴったりとはまった時、完成に向け出来上がっていく様を見る時にやりがいを感じるという職人もいます。

宮大工の仕事の大切さ

現在日本国内には4,000を超える重要文化財と200件以上の国宝に指定された木造建築物がありますが、海外には有り得ない事なのでこれらを保存する為に宮大工という職業が重要な役割を担っています

現代の建築物にも活かされている伝統工法は、未来にも大切に残すべきものであり、技術や知恵を日本の伝統文化として残していけば、また日本古来の建築方法で家屋を建設することも出来るのです。

これだけ震災の多い日本で4200件以上の国宝や文化財が残っているのは、当時の日本の建築技術のおかげであり、今見直さなくてはいけない技術でもあるのです。

宮大工に向いている人・適性

やはり神社仏閣や城のような昔からの建築物や歴史が好きな方で、未来まで残したいという情熱を持った方が向いていると言えます。木材の加工や装飾等細かい作業も多い為、手先の器用な方やものを作る事が好きな方根気が必要な作業が得意な方も適性があると言えるでしょう。

宮大工は何人もの職人が集まり、集団で作業を行う為、コミュニケーション能力も必要になります。材料の木材も大きく重いものが多いので、体力や筋力が無いと厳しい為、必須の項目でもあります。

宮大工になるには高校卒でもOK?宮大工を目指せる大学やスクール情報まとめ

宮大工の仕事体験はここから

いかがでしたでしょうか?

宮大工になるには高校卒からでも大丈夫だとわかりましたが、資格を取得しておく為には大学や専門学校等を卒業しておく方が有利だとわかりました。

現在では養成スクールも開校され、精神力や基礎から学ぶ事も出来ますし、学費も抑える事が出来るので一番有効なのではないでしょうか。

職人人口が減少傾向にあり、伝統技術の継承が危ぶまれている宮大工という職業は、地方再生にも貢献できる素晴らしい仕事です。

神社仏閣の保存、伝統技術の後継者になりたいという熱意をもって、宮大工という日本の特殊技術者になって誇りを持って仕事をしていただきたいと思います。