ホームインスペクターは住宅診断士とも呼ばれています。
平成21年に始まった建築不動産系の資格です。近年のリフォーム数の増加など、長期にわたってに使用する住宅の診断を中立的な立場で行うとして需要が高まりつつある資格となります。
宅建や建築士の資格を取得されている方や目指している方の受験が多い資格でもあります。
なお、ホームインスペクターは「民間資格」であり、建築士や宅建士などといった資格の有無は問われません。
今回はそんなホームインスペクター試験について、難易度や勉強方法、合格発表等の日程と費用について総合的にまとめました。
ホームインスペクター(住宅診断士)ってどんな資格?
住宅に関する不備や欠陥等の問題は年々増えてきています。理由の一つにはバブルや高度経済成長時期に建築された住宅が多く、経年劣化が目立つようになってきたことなどがあると思われます。
こういった住宅に関する悩みに対し中立的な立場で劣化状況や欠陥の有無をチェックし、メンテナンスが必要な時期や費用などを診断するのがホームインスペクターの仕事となります。
一般的には2~3時間をかけて屋根、外壁、室内、床下などを目視による一次診断を行い、その後機材を使用した詳細診断や調査結果をまとめてお客様に報告といった業務を行います。
ホームインスペクター(住宅診断士)取得のために必要な知識
住宅に関するリフォームの方法や建築の設計方法などの知識が必要となります。また、不動産としての取引や流通、法規に関する知識も必要となります。
ホームインスペクターは、住居診断(ホームインスペクション)のスペシャリストとして活躍できる資格で、住居の劣化状態や修復などにかかる費用などの見積もりなどを見極めて、住居の変更や販売などのアドバイスを行うお仕事に就くことが出来ます。
独学合格も可能な資格で、住居学を学んでいる人であれば取得していて損はない資格となっています。
ホームインスペクターは「NPO法人日本ホームインスペクターズ協会」という団体が運営管理を行っており、毎年試験の開催などをしています。
ホームインスペクターの取得に向いている人
中立的な立場に立ってアドバイスを行うことになりますので物事の結論をしっかりと伝えることができる人がよいでしょう。
また、不動産から建築まで幅広い知識を必要として、お互いの架け橋となる仕事にもなりますので柔軟性のある考えを持てる方がよいでしょう。
ホームインスペクター取得の為の勉強法
建築関係で仕事をされている方は不動産取引や流通について、不動産業界で仕事をされている方は建築の設計や構法など、実務経験のある方は分野の違う科目を中心に学習することが重要となります。
合格の基準が高く設定されておりますので、過去問などを行った場合、正答率は9割を目標として学習されることがよいでしょう。過去8回試験を行っておりますので過去問はしっかりと行うことが重要です。協会から公認のテキストや過去問題集が販売されておりますのでそれを入手し学習していくのがおすすめです。
配点は調査診断での分野が一番多く半分ほどとなっていますのでここでしっかりと得点を稼ぐことが必要となります。
ホームインスペクターの専門学校や通信講座について
ホームインスペクターの資格対策は、何かしら通信講座や大学に通わなけれ通わなければいけない訳ではなく、独学での合格も難易度は高くありません。
宅建などの資格と併せて、住居学を学ぶ人は少なくなく、住居・不動産関係の資格を数個取得すれば、キャリアアップにも繋がります!
住居学を大学や専門学校などで学びたいと思っている学生・社会人の皆さんは、住居学が学べる学校を上のボタンから探すことが出来ます!
さらに上位の国家資格を目指すなら
ホームインスペクターの資格と一緒に、宅建の資格を取得する人も多いです!
宅建は独学での勉強が少し難しい為、通信講座を利用して取得するのが一般的です。
住居を取り扱う不動産の業種に就職するのであれば、両方とも取得しておくことをおすすめします!
ホームインスペクター(住宅診断士)の試験内容・難易度について
では、ホームインスペクターの資格を取得するための試験の難易度はどれぐらいになるのでしょうか?
ここ数年で急激に需要が増えたホームインスペクターの資格ですが、実際の合格率はどれぐらいなのかまとめてみました。
ホームインスペクター試験科目等の内容
四肢択一式のマークシート方式となっており、90分の50問となっております。
- 「住宅に関わる建築の法規や実務範囲ガイドラインに関すること(建築基準法、建築士法、住宅の品質確保の促進等に関する法律)」
- 「主に木造住宅、マンションの構造部材等の名称に関すること」
- 「住宅の給排水、衛生、空調、電気設備に関する呼称や一般的な仕様に関すること」
- 「木造住宅、マンションの施工に関すること」
- 「木造住宅、マンションの劣化の判断に関すること」
- 「調査・診断方法に関すること」
- 「マンションの管理に関すること」
- 「報告書の作成に関すること」
- 「一般的な住宅の売買・取引の形態や契約に関すること」
- 「業務に関するコンプライアンス、モラル、マナーに関すること」
の10項目となります。合格基準点は年ごとに異なりますが、7割~8割ほどが基準点となってくるでしょう。
ホームインスペクターの難易度と合格率
建築系や不動産系の実務経験者としては比較的易しい試験となります。
また、受験資格が特に指定されていない資格試験となっていますので、実務経験がない方でも宅建取得を目指している方などはスキルアップとして受験することも可能です。
合格率については以下のようになっており、30%台で推移しています。
開催年 | 合格率 |
---|---|
2018年 | 31.9% |
2017年 | 31.5% |
2016年 | 30.5% |
2015年 | 31.2% |
ホームインスペクター(住宅診断士)試験の費用・合格発表などについて
ホームインスペクターの試験料や、試験日、合格発表等のスケジュールなどについてもここで紹介しておきましょう。
ホームインスペクター試験の費用
ホームインスペクターの試験を受けるための費用は、14,000円(税込)です。
しかし、10名以上の団体の申込の場合は1名あたり13,300円(税込)となります。
ホームインスペクターの年間試験回数と試験日
例年、申込期間は7月~9月の3か月ほどで、試験日は11月の中旬の1回です。
2019年の試験日日程は、2019年11月17日(日)となっています。
ホームインスペクター試験の合格発表
合格発表に関しては、12月の中旬~下旬ごろに協会ホームページにて発表され、受験者全員に合否の郵送も行われます。
ただし、合格後はJSHIの認定会員として、入会して資格登録を済ませなければ、公認ホームインスペクターとして名乗ることはできません。
ホームインスペクター取得後の就職先・年収・報酬相場
ホームインスペクターの資格を取得した後の仕事や収入の傾向についてまとめています。
リフォーム会社の場合、ホームインスペクターの年収は平均で300万円~400万円ほどとなるでしょう。
不動産系の仕事に就く場合は、宅建などの資格と一緒に保持していることで収入アップ・キャリアアップにもつながります。
ホームインスペクター所持者の職業例
- リフォーム施工会社
- 建築設計会社
- 不動産業
- 建物調査・検査会社
ホームインスペクターと同じ分野の他の資格
- 宅地建物取引士
- 建築士
- マンションリフォームマネージャー
ホームインスペクターの現状と将来性
平成21年に始まった資格ですが、新築住宅の販売戸数が減少する中でリフォームやリノベーションの受注数は増加してきており、住宅診断士の必要性が高まったことが試験が始まった要因でもあります。
毎年の受験者数は1,000名前後となっておりますが、平成28年の受験者数は2,000名近くと一気に増え、不動産業界と建築業界の橋渡しとなるべく認知度と需要度が高まりつつある資格でもあります。
ホームインスペクターの将来性
平成28年5月には「インスペクションの説明義務化」など宅建業法の一部改正が行われました。それにより不動産仲介業者が物件の状況を消費者の説明するためにホームインスペクターを活用し、消費者が安心して住宅の取引を行えるようになりつつあります。
アメリカでは住宅取引などではホームインスペクションを行うことは常識となっており、日本でも今後は普及していくことになりそうです。建築士や宅建の資格と合わせ取得しておいて損はしない資格といえるでしょう。
ホームインスペクター所持者の独立について
住宅診断士としての需要は高まりつつありますので独立をすることも可能かもしれません。しかし、現状ではまだホームインスペクターの認知度は低く、この資格だけでの独立はまだまだ大変だと思われます。
一次診断だけでは現在の受注単価と件数では利益を確保することは難しいので、建築士や宅建などの資格を主としたり、リフォーム会社において消費者の安心感を増す資格としての価値のほうが高いでしょう。
また、上位資格の取得により機材を使用しての詳細診断を行う二次診断を行えるように対策していくことで、住居に関するプロとしての独立の道はより開けやすくなります。
ホームインスペクター(住居診断士)の資格試験難易度や勉強方法まとめ
ホームインスペクター(住居診断士)の試験難易度や勉強方法、合格発表等のスケジュールについてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
ホームインスペクターの資格自体は年々需要が高まっており、収入アップやキャリアアップにもつながる資格です!
建築士や宅建士などの高難易度な国家資格と比較して取得しやすい所も強みでしょう。大学で住居学を学ぼうと考えている方、不動産関係の仕事に就職しようと考えている方にもオススメの資格なので、気になる方は是非挑戦してみて下さい。