測量士とネット検索すると、「やめておけ」「きつい」といったネガティブなワードが並ぶことが増えています。
しかし、私たちが現在活用している道路や公共施設から個人的な家に至るまで、建設工事には欠かせないはずの測量士になぜここまでマイナス意見が多いのでしょうか?
この記事では、測量士の仕事内容をご紹介しながら、きつい、やりがいが無い、将来性が無いと言われている理由を解説していきます。
測量士の平均年収はどのくらい?年齢別の比較や年収アップの方法も紹介
測量士の仕事内容を簡単にご紹介!
測量士は、建物を建てたり道路を作る前に、その場所を計測する仕事をしています。
具体的な仕事内容は主に以下の2つになっています。
・外業
外業は測量チームで現場に向かい、実際に測量をする仕事です。
測量方法は勤め先によっ て異なり、ドローンのような新しい技術を取り入れている所もあれば、昔ながらのやり方 で測量している所もあります。
・内業
内業は事務作業のことで、測量計画を立てたり測量したデータをまとめる作業になります。
測量する場所に関しては、道路やトンネルなどの公共の場所や、個人が家を立てる際に土地を測量するといった民間の場所もあるようです。
測量士が辞めとけと言われる理由
「測量士はきついからやめとけと言われる」これは間違いない一面ではありますが、測量士はやめとけと言われる理由は他にもあります。
ここではきつい以外の理由についても触れていますので、測量士を目指している方は是非参考にしてみて下さい。
仕事はきついが給料がそこまで高くない
サラリーマンの平均年収は461万円となっていますが、測量士の平均年収は460万円であり一般的なサラリーマンとほとんど変わりません。
しかし、仕事内容は一般的なサラリーマンより仕事内容は測量士の方がきついと言われています。
そういった面で、測量士はやめておけと言われているようです。
また、今の若い人から人気が薄れているのも給料面での魅力の少なさが影響しているようです。
測量士になるまでに時間がかかる可能性がある
測量士の資格を取得しても、そこからいきなり測量士として働くことはできません。
企業に就職後、まずは測量士補としてキャリアをスタートします。
測量士補と測量士は、できる業務の範囲に大きな差があり、年収にも差があります。
そして測量士になるためには、約3年の実務経験が必要で事務所や企業によっては測量士になるまでにかなり時間がかかってしまいます。
女性の場合はさらに厳しい
女性が測量士を目指すほとんどの場合やめとけと言われます。
理由は2つで、力仕事が多いことと、現場にトイレがあるかどうかが分からないことです。
力仕事が多いことは女性でも慣れれば解決するかもしれませんが、トイレ問題に関しては測量場所によるため完全に解決することは難しいでしょう。
もしどうしても女性で測量関係に勤めたいのであれば、事務でのデータ解析の仕事を請け負うようにすることをお勧めします。
測量士はきつい仕事って本当?
現在、測量士と検索して真っ先に出てくるワードが「きつい」となっています。
一般的なサラリーマンも上司にきつく怒られたり、取引先から理不尽な要求を受けたりときついことはあると考えられますが、測量士は一体何がそこまできついと言われているのでしょうか?
勤め先によっては長時間拘束されることがある
測量士の仕事がきついかどうかは、どこを測量するかに大きく左右されます。
例えば、住宅街に一軒家を建てる場合、機材を車で運んできて少人数で測量が出来ます。
休憩時間には近くにコンビニなどもあるでしょうし、事務所からもそこまで移動時間はかからないでしょう。
しかし、勤め先がトンネルや未開拓の土地の依頼をよく引き受ける場合、当然仕事場は山奥や道路がしっかり整備されていないような場所になります。
すると、機材を途中から人力で運ぶことになったり、移動時間が大幅に増えたりと長時間の拘束を強いられることになります。
こういった経緯から測量士はきついと言われているようです。
屋外での作業を厳しいと感じる人が多い
測量士の仕事は屋外で行うことになりますが、近年は地球温暖化の影響もあり夏は外気温が40℃に届く勢いで、屋外での作業が厳しくなっています。
かといって冬はまだまだ寒く、春は花粉症などの影響もあります。
さらに、整備されていない場所での仕事もあるので、害虫との戦いも避けられません。
気温の影響を受けやすい方や、虫がどうしても苦手だという方にとっては、厳しすぎる現場になるでしょう。
測量士の仕事にはやりがいがない?
測量士の仕事にやりがいが無いという意見もありますが、実際のところそんなことはありません。
ここでは、物を作るわけでもなく、クライアントと直接交渉する機会も少ない測量士の仕事のやりがいをご紹介していきます。
公共事業などは多くの人の役に立っている
道路やトンネルの測量を行い、それが完成して実際に多くの人がその場所を利用していると考えると「誰かの役に立っている」と実感できるようです。
この実感は大きな満足感に繋がり、そしてその満足感はやりがいに繋がっていきます。
工事のスタートラインを担うことができる
家を建てるにしろ、道路を作るにしろ、全ての建設工事は測量がスタートラインになります。
測量に失敗すると工事が途中で中断するなどの問題が起きるため、非常にプレッシャーのかかる仕事にはなりますが、予定通り完成するとプレッシャーが大きい分達成感も大きく味わえるようです。
測量機器は最新技術を活用していることも多い
測量に使われる技術は日々進化し続けています。
これは、測量士の負担を軽減することやミスをより減らすことが目的となっており、最近では航空機から撮影したデータを3Dに起こすことも当たり前になりつつあります。
最新の機械を扱っていたい、技術を磨いていたいと思える方にはやりがいの多い職場だと言えますね。
測量士のメリット・やりがい
測量士はハードな仕事であり辞めた方が良いといった声もありますが、一方でメリットややりがいもあります。
ここでは、測量士のメリットややりがいについて紹介します。
需要が安定している
測量士が活動する現場は主にインフラ設備に関連していることから、インフラ設備は人々の生活に不可欠であり、その数は増加の一途をたどっています。
したがって測量士の需要は非常に安定しており、最近ではウェブ上の地図サービスや位置情報アプリの開発に測量士が関与する機会も増加しています。
さらに、法律により「事務所ごとに1名以上の測量士を配置すること」が義務付けられているため、測量士はさまざまな分野からの需要が確保されている職業であると言えます。
社会に貢献している実感をもてる
測量士は道路やトンネル、橋、ダムなどのインフラ整備や、災害後の復旧作業など、人々の生活に密接に関連する現場で活動しており、完成時には大きな誇りを感じることができます。
測量士の社会的貢献度の高さは、仕事に対する充実感をもたらす要因となるでしょう。
また、測量は多様な建設現場において重要な基盤を提供しています。
どのような建設プロジェクトでも、設計前に土地の形状や面積を把握することが不可欠であり、測量結果に基づいて建設計画が策定されます。
わずかな誤差やミスが許されないという厳しい側面はありますが、自らの測量が建設工事の基盤となることは大きなやりがいを感じさせる要素となるでしょう。
直接的に建物を建設するわけではありませんが、完成した建造物を目にした際に喜びを感じる測量士は実際にもたくさんいるようです。
最先端の機材や技術を習得できる
測量機器は日々革新を遂げており、測量士が常に最新の機材を使用できる点が魅力です。
測量機器の進化は著しく、測量士の職務には新しい技術を扱えるといったやりがいがあります。
ドローンの操作やAIカメラを用いた測量など、新技術を習得するためには学習と努力が求められますが、技術者としての喜びを実感できるでしょう。
これまで計測が困難だった場所でも作業が可能になり、より精密な測量が実現するなど、技術の進展を実感することに大きな魅力を感じることでしょう。
測量士の将来性は?
AIやハードウェア技術の発達により多くの仕事が将来的に無くなると言われていますが、測量士もこれらの技術の発展の影響を受けると予想されています。
ここではそんな測量士の将来性について解説してきます。
仕事量が減る可能性は大きい
測量士の仕事は建設工事を行う時は必ず必要とされる仕事であるため、時代が変わっても一定量の仕事はあると考えられます。
しかし、ドローン技術とAIの発展により、その仕事量は大幅に減少することは避けられないでしょう。
ドローンであれば車が通れないような場所や危険地帯でも、軽々と測量が出来るため必要な人員が減ってしまうということですね。
また、AIの発達によりデータ処理の自動化も進むでしょう。
すると、事務作業の人員も少なくなることが予想されるため、外業、内業の両方で仕事が減る可能性は大きいと言えます。
測量士で将来性を確保するためには?
技術の発達により、測量士の仕事が大きく減少する可能性があるわけですが、逆にその技術を使う側になれば将来性のある測量士になることが出来ます。
具体的には、ドローンの免許を取得すること、AIを活用したデータ処理ソフトの扱いを勉強しておくことなどが挙げられます。
特にドローンの免許は、持っている人があまり多くないため有効になると考えられます。
測量士の主な就職先
最後に測量士の主な就職先をご紹介していきます。
測量士はきついと言っても、就職先によって待遇や仕事内容が大きく変わるため、就職先を選べるのであれば、十分測量士として活躍できる可能性があります。
測量事務所に勤める
測量事務所は建設工事が行われる際に依頼を受け、現場で測量を行ったり工事の流れを測定データから考える仕事を行っています。
一見建設会社と協力関係にあるように見えますが、実際は下請け会社であることが多く、上の会社からの理不尽な要求もあるでしょう。
しかし、測量のみに従事できるというのは測量士としての経験を積みたい人にとっては魅力的であり、キャリアをスタートさせるには良いかもしれません。
コンサルティング会社
コンサル企業で測量するの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、測量とコンサルは非常に相性が良いとされています。
具体的には、工事を考えている企業や自治体から依頼を受け測量を行います。
そして、測量のデータからどうやって工事を進めていけば良いか、整備の方法、維持管理までをアドバイスしていきます。
こういった分析、アドバイスが最初にしっかりと行われていることにより、災害時にも被害を最小限に抑えることができるようになったりするため、需要が増加しているのです。
公務員
測量士の中で安定かつある程度の好待遇を求めるのであれば、公務員という選択肢があります。
公務員測量士の場合、現場に向かい直接測量を行うわけではなく、測量の発注を行うことになるため、屋外で働く必要がほとんどありません。
そして給料や福利厚生は他の公務員と同じであるため、事務所に勤めるよりも高い給料を得ることが出来る可能性もあります。
測量士に向いている人の特徴
ここでは、測量士に向いている人の特徴について紹介します。
正確な作業が得意な人
測量士の仕事はわずかな誤差も許容されない厳しさがあります。
そのため、緻密な計算能力を持ち、ミスなく正確に業務を遂行できる人だと向いているでしょう。
屋外で行われる測量作業は外業と呼ばれますが、外業では予測困難な出来事が発生することもあるため、迅速に対応する能力や器用さが必要とされます。
また、測量技術や測量機器は常に進化しており、さらなる正確性の向上を目指して新しい技術や機器の習得を続ける向上心も必要です。
体力がある人
測量士の外業における現場は必ずしも市街地に限られず、急な高低差や広大な敷地が現場となることもあります。
調査日が悪天候に見舞われることも考えられます。このような厳しい条件下でも、測量士は重い測量機器や三脚といった機材を携えて現場を移動しなければなりません。
以上のように悪条件の中でも適切に調査を行うための体力を備えていることが、測量士としての活躍に繋がるでしょう。 さ
協調性がある人
現場での測量は通常2~5人のチームで実施され、その際にはトランシーバーなどを用いて状況を共有しながら作業を進めていきます。
ひとりの判断で独自に行動すると、全体の調和が損なわれ、場合によっては最初から測量をやり直さなければならないこともあります。
したがって、測量は社会人としてのコミュニケーション能力や協調性が必要だといえます。
また、現場には外部の業者など、異なる会社に所属するスタッフも存在しますが、相互に協力することで作業が円滑に進行します。
現場ではお互いを尊重し、協調性を持ちながら正確なデータを得ることが必要です。
測量士はやめとけ?まとめ
今回この記事では、測量士の仕事内容をご紹介しながら、きつい、やりがいが無い、将来性が無いと言われている理由を解説してきました。
測量士の仕事は外業と内業に分けられ、外業は実際に現場に向かい測量を行う仕事で、内業は測量したデータを処理したり、工事の流れを決める仕事です。
測量士がきついと言われている理由は、主に外業にあり、屋外での作業が天候や虫の関係で厳しいこと、力仕事がどうしても必要なこと、長時間拘束されることなどが挙げられていました。
これらの理由や、やりがいがあっても給料が一般サラリーマンと大差ないこと、女性には何かと厳しい環境であることなどからやめとけと言われているようです。
また、技術の発展により仕事が減少すると言われている測量士ですが、一定量の仕事はこの先もあると考えられており、技術を使う側の人間になれば安定した職業だと言えます。