一般的に持っていれば就職の際に有利になると言われているMBA。
しかし実際のところはどうなのでしょうか。
MBAの資格を最大限に利用するためにはMBAの種類や就職事情についての知識が必要不可欠となります。
取得者の気になる就職先や人気の就職先ランキング、新卒にもおすすめなのかを紹介します!
MBA取得者にこれからの時代求められるものとは?
Master of BusinessAdministration、通称MBA(経営学修士)とよばれる資格はビジネスパーソンに必要なマネジメントスキルを証明するスキルとして所持していれば就職やスキルアップのための転職の際に有利に働くと一般的には言われています。
しかし、第四次産業と呼ばれていて近年になって著しい発展を見せている人工知能やVR、ロボットテクノロジーの進展によって、従来ヒト・モノ・カネ産業中心の技術力を提供してきたMBAの取得者には時代の変化に応じた技術も必要不可欠となってきました。
そのためこれからそれらの産業分野で就職を考えている方は、新時代に対応したMBA、そして技術力の取得が重要となってきます。
就職先にも関わるMBAの種類とは?
意外と知らない方も多いと思いますが、MBAと一口に言っても学位を取得する経緯や実務経験の長さによって取得できる称号も異なります。
大きく分けて3種類あるMBA関連の名称は就職先や役職に関わる重要なポイントとなるためしっかり理解しましょう。
MBA(Master of Business Administration)
最も一般的に認知されているMBAは、原則大卒以上で実務経験が2年〜5年ある者が取得を目指すことができます。
MBA取得のためのカリキュラムでは主に人的資源管理、財務会計、情報技術、マーケティング、また経済学や統計学などあらゆる分野の事業に携わる人間として必要不可欠な専門スキルと知識を体系的に身に付けます。
EMBA (Executive MBA)
EMBA、エグゼクティブMBAは取得のために通常のMBAよりも長期間の実務経験が必要となり、最低でも10年間、内5年間はマネージャーなどの管理職としての経験が必要不可欠となります。
そのためEMBA取得者の平均年齢も40代〜となっており、カリキュラムでは企業におけるミドル層を対象としたマネジメント業務についての知識とスキルを学びます。
MSc(Master of Science)
MSc、マスターオブサイエンスもMBAの関連資格ですが、取得の目的としては博士課程への進学がメインとなっているのが特徴です。
そのため、MScを取得するための実務経験はほとんど必要なく、将来会計士や税理士を目指している方向けのプログラムとなっております。
MCs取得のためのカリキュラムもMBA関連資格の中でも比較的アカデミック的な内容です。
国内MBAと海外MBAの違い
上記で紹介したMBAの種類とは別に、MBAは「海外MBA」「国内MBA」という分類がなされます。
海外MBAと国内MBAでは企業の扱いや評価、就職先が変わってきますのでこちらも併せて確認しましょう。
海外MBA
海外MBAは海外のMBA大学院に留学してとることのできる学位を指し、MBAホルダーとして活躍する方の多くはこちらの海外MBAを取得していることでしょう。
海外MBAはグローバルなビジネスパーソンには不可欠な英語力も持ち合わせ、幅広い人脈を得られます。
世界的な大企業のCEOのうち、半数以上はMBA取得者とも言われるほど、海外MBAを取得していることは大きなアドバンテージになります。
国内MBA
国内MBAは、経営学を学べる日本の大学院を修了することで取得できる学位です。
修了した際にもらえる学位は、正しくは「経営学修士」となり、世界的な基準を満たしたMBAになりたい場合は、世界で3つある、MBAを評価する認定機関が認定する大学院を修了しなくてはなりません。
日本でこの認定を受けられるのは現在、慶應大学や名古屋商科大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学ビジネススクールなどの一部大学院となります。
経営学を学べる大学院は全国に多くありますが、認定を受けられる大学院は限られるため、目指す就職先によっては注意が必要です。
MBA取得者の就職先や就職事情とは?
MBAの資格はあらゆる産業に携わるビジネスパーソンとしての必要なスキルを証明するための称号であるということは理解していただけたと思いますが、実際にMBA取得者の就職先や就職事情はどのようになっているのでしょうか?
就職先が外資系日本企業の場合
海外MBAの場合
MBA関連資格取得者のほとんどは外資系日本企業へ就職する傾向があります。
外資系日本企業ではMBAを高く評価していて、実際の経営者にもMBAホルダーが多い傾向にあります。
「外資系」ということもあり実務経験やコミュニケーションスキルはもちろんのこと、日本語以外の言語での語学力や海外での営業スキル、またリーダーシップスキルも外資系日本企業への就職の際に必要なスキルとなります。
優れたリーダーシップやプレゼンテーション能力があれば各企業のエグゼクティブとしての業務を任されることもあります。
国内MBAの場合
外資系日本企業の就職においては、国内MBAを取得していることは有利になります。
語学力は海外MBAホルダーより劣っていたとしても、大学院で学んだ経営者としての総合的な能力は企業に大きな利益をもたらしうるでしょう。
国内MBAホルダーも、その実績を生かすために外資系企業に就職する方が多くいます。
就職先が外国企業の場合
海外MBAの場合
MBA関連資格取得者にとって外国企業への就職は花形であると言われていますが、同時に日本人にとって最難関の就職先とも言われております。
というのも、たとえMBAを取得していたとしても現地でのネットワークや就職先のツテがなければほとんど外国企業へ就職することは不可能だからです。
外国企業へ就職を検討されている方は、MBAのビジネススクール等在学中にインターンシップなどを通して早い段階から外国企業とのコネクションを構築し、就職活動を円滑に進めるための準備をする必要があります。
国内MBAの場合
国内MBAを取得していても、外国企業への就職は難しいでしょう。
まずネイティブクラスのビジネス英語が身についていないこと、世界の評価が国内MBAと海外MBAで違うことにより扱いが全く違います。
海外のMBA大学院が日本でおこなっている海外MBAというのも存在しますが、「海外MBA日本版」のような評価を受けることが多く、外国企業への就職へはなかなかつながりません。
コネクションについても、海外MBAよりも困難な状況に置かれることでしょう。
就職先が日系企業の場合
日系企業においては、海外MBAも国内MBAも同じような評価となります。
日系企業ではまだまだMBAの価値があまり重要視されておらず、残念ながらMBAを取得していてもそこまで就職に有利にはなりません。
日系企業では年功序列、実務経験に重きを置かれがちですので、MBAを利用して経てきた経験は転職に生きるかもしれませんが、学位そのものが役に立つことは少ないでしょう。
しかし企業の経営者がMBAホルダーであったり、楽天やユニクロなどの新興企業では有利に働いていることがあります。
その他
MBA取得者の全てが企業に就職するわけではなく、起業や新規事業の立ち上げのために取得を目指す方も少なくありません。
実務経験やビジネススクール等で培ったスキルや知識は将来起業や独立する際に必ず役に立つため、一般的に言われている企業内でのスキルアップや昇給・昇格を受けるための手段以外の用途でもMBAの資格は活用することができます。
在学中にはビジネスに有利な人脈を形成するチャンスがたくさんあるので、在学中に出会った方と一緒に起業するケースもあります。
また、在学中にヘッドハンティングされる機会というのもあるでしょう。
海外MBA取得者に人気の就職先ランキング
それではMBA取得者に人気の就職先ランキングについて見ていきましょう。
傾向としてはIT関連企業や金融企業、またコンサルティングが主にランキング上位を占めています。
なお、以下のランキングはmoney.cnn.com調査の順位となっています。
第1位:Google
MBA取得者に最も人気のある就職先は世界的大手IT企業である、Googleです。
多くのIT関連企業が本社を構えるアメリカのシリコンバレーに本社があり、全世界各国に支社を構える誰もが知る検索エンジンを始めとする情報技術を提供する多国籍企業です。
MBA取得者にとっても最難関の就職先とも言われており、独自の就職面接やテストを実施していることで有名です。
第2位:McKinsey&Company
日本国内における認知度はそれほど高くありませんが、アメリカ最大のコンサルティングマネジメント企業である、McKinsey&Companyが第2位にランクインしました。
大阪にも支社を構えているMcKinsey&Companyは主に自動車や半導体、エレクトロニクスなど幅広い分野の企業に対してコンサルティングを行っており、世界各国の経済発展に貢献している企業です。
第3位:Apple
iPhoneやMacでお馴染みの、AppleがMBA取得者に人気の就職先第3位になっています。
Google同様アメリカのシリコンバレーに本社を構えるAppleは、MBA取得者にはもちろんのことシステムエンジニアやプログラマーなど専門職の方にとっても就職したい企業であり、世界を代表する多国籍テクノロジー企業です。
第4位:Amazon
GoogleやApple、Facebookと並ぶ大手起業、Amazonが人気の就職先として第4位に入っています。
Amazonは私たちもよく利用する通販の他に、クラウドコンピュータサービスや書籍の出版など、非常に幅広い事業を手がけています。
特にクラウドコンピュータサービスであるAmazon Web Service(AWS)は、米Googleなどを抑え業界No.1のシェアを誇ります。
第5位:Bain&Company
Bain&Companyは、アメリカのボストンを本拠地とするコンサルティング会社です。
東京にもオフィスが存在し、世界31ヵ国48拠点に事業所を展開しています。
従業員の投票によってランク付けされるGlassdoor 2022「働きやすい企業」では第3位を獲得し、2009年のランキング開始以来、常に4位以内をキープしています。
MBA取得者を高く評価し、MBAホルダーのための求人も用意されています。
新卒のMBA取得はおすすめできる?
現在大学生の方の中には、新卒の段階MBA取得のために経営大学院に通い、スキルを身につけたいと思う方もいるでしょう。
しかし基本的には、大学卒業後にそのまま大学院に通い、MBAを取得することはおすすめしません。
多くのMBA大学院、特に海外MBAの大学院は実務経験があることを出願要項にしており、新卒ではなく社会人を求めていることがわかります。
もちろん新卒でMBAを取得することで差別化は図れますが、基本的にはおすすめしない理由を紹介します。
MBAでの授業は実務経験が前提
MBA大学院での授業は、基本的に学生が実務経験を経ていることを前提に進んでいきます。
授業は、ビジネス経験で得た知識や問題意識をもとに学生のグループディスカッションにより進行していきます。
実務経験のない新卒の場合、経験に基づく意見を述べることが難しく、対等に交流できない可能性があります。
教師が教壇に立ち講義するような形式とは違うため、新卒では能動的なアクションがしづらいといえるでしょう。
繋がった人脈が活かしきれない
MBAに入学する学生の多くは社会人で、ビジネスにおける交流や意見交換が活発に行われます。
在学中に新たな契約が決まったり採用につながることもありますが、新卒の場合は、交流を仕事に直結できる可能性が低くなるでしょう。
しかし、在学中に成果を残し、他の学生の目にも留まるようなことがあれば良い条件での新卒採用につながる場合もあるでしょう。
一般的に企業への就職は若い方が有利
多くの企業は、若い人材を求めます。
特に新卒採用となれば多くは22歳であるため、大学院へ進むと早くても24歳からの働きはじめになります。
国内MBAであれば社会人が働きながら通えるところがほとんどですが、大学からそのままMBAに入学すれば働くことは難しいでしょう、
22歳からの2年間、会社で働いたほうが得られるものが多い可能性も十分にありますので、慎重にどちらを選ぶか検討したほうがいいでしょう。
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