マンション管理士は、マンションの維持管理に関わる国家資格の専門家で、令和2年3月時点では、全国で25,660人が登録されています。
マンション管理に関する知識のほかに人との折衝能力が求められるため、40代以上の中高年や定年前の高年齢者など幅広い経験を積んだ方に向いています。
独立開業して年収1,000万円を超える方もいるなど、やり方次第では定年後でも高年収を期待できます。
そこで当記事では、マンション管理士の概要と平均年収についてご紹介するとともに、1,000万を超える高年収を実現する方法などについて説明します。
マンション管理士はどんな資格?
マンション管理士とは、マンション管理組合の運営に関わる様々な問題や、大規模修繕工事等の技術的な課題への対応など、マンションを良好な状態に維持・管理するために必要なコンサルティングを行う国家資格の専門家です。
マンション管理士は独占業務でないため資格がなくても仕事はできますが、「マンション管理士」は名称独占資格であるため資格を取得していない方がマンション管理士や紛らわしい名前を名乗ること法律により罰せられます。
マンション管理士の仕事内容
日本にはマンションが多数あり、マンション管理士の仕事やニーズは尽きることがありません。
マンションにかかわることを広くサポートするマンション管理士には、大きく分けて3種類の仕事があります。
参考:積水工業株式会社「マンション管理士の仕事内容や給与について解説します」
管理組合の運営をサポート
マンションの維持や運営は、管理組合というマンションを購入した方の組合によって行われます。しかし管理組合の方々はマンションにかかわる法律に詳しいわけではありません。
マンションの管理会社と様々な事柄を決めていく際に、専門知識を持っている人が管理組合にいないと公平な立場で進めていくことができません。
そこでマンション管理士が立ち会うことで理事会や管理組合組織の運営、管理費・修繕積立金の会計監査などを行います。
マンションに関するコンサルティングがマンション管理士の大きな仕事です。
大規模修繕工事の計画立て
マンションは時間がたつほど壁面や配管など様々なところに老朽化が生じます。
特に高度経済成長期に建てられたマンションは老朽化に直面しており、大規模な修繕によってマンションを維持する必要があります。
この大規模修繕工事の計画を立てる際にも不動産の法律や会計実務に詳しいマンション管理士が活躍します。
また、マンションが大規模災害に遭った際にもマンション管理士が中心となり住民や管理組合への助言を行います。
住民トラブルの解決
マンションは1つの建物に多くの方が住むため、住民トラブルはつきものです。
上下隣の騒音問題にゴミ捨て場や駐車場など共用部の使い方、洗濯物に臭いがついてしまう喫煙マナーについてなど、日々発生する住民トラブル解決にもマンション管理士がかかわることがあります。
マンション管理士が立ち会う必要のある場合は当人同士だけでは解決できないことが多く、法律的な知見からトラブルの解決を図ることになるでしょう。
住民との信頼関係を築くこともでき、簡単には対処できない場面もありますが快適なマンションに大きく貢献することができます。
マンション管理士の将来性とは?
マンションを適正に維持管理していくためには管理組合の運営や建物のメンテナンスなどに関する専門知識が必要ですが、管理組合の構成員である入居者(区分所有者)はこれらの知識を十分に持ち合わせていないため、第三者である専門家による助言・指導が必要です。
マンション管理士は平成13年8月に国家資格に位置付けられた比較的歴史の浅い資格です。
近年、マンションの老朽化や入居者の高齢化などに伴う数々の問題に社会の注目が集まっていますが、今後さらに深刻化が予想されるこういった問題に対応するためにも、マンション管理士への期待がますます高まると見込まれています。
参考:公益財団法人マンション管理センター|マンション管理士とは?
マンション管理士の平均年収は約400万円
では気になるマンション管理士の平均年収は、どのくらいでしょうか?
ネットの求人サイト「求人ボックス」では、正社員の平均年収は456万円でした。
不動産関連企業に就職すると、マンション管理士には資格手当が支給されることも多いので、一般のサラリーマンと同程度以上はの年収は期待できそうです。
マンション管理士は難易度が高い国家資格のため、定年後の再就職先も探しやすく、マンション管理会社、不動産会社、ビル管理会社、施工管理会社など、就職先の選択肢が幅広いのも特徴です。
独立するより企業で資格を活かして働くことが多い
マンション管理士の多くは正社員として働くため、サラリーマンと同程度の年収となります。
公益財団法人マンション管理センターの「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」では、マンション管理業や不動産業にかかわる会社員は34.6%、マンション管理士として就業している方は4.6%でした。
また、マンション管理士を本業としている方で年収400万円以上の方は18.8%、1,000万円以上の方は5.3%となっています。
この割合をみるとマンション管理士は稼げない資格なのかと感じるかもしれませんが、この内訳については次の理由があると思われます。
引用:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」
定年退職後の収入の1つとしてマンション管理士をしている
マンション管理士の年齢は60歳代が40.3%、70歳代が28.8%、80歳以上が3.6%と全体の7割以上が高齢者となっています。
マンション管理士が本業である方のうち、収入が100万円未満の方は37.3%、100~400万円未満の方は30.4%、無収入の方が10.6%ですがおそらくこの大部分は年金を受け取りつつマンション管理士の仕事で追加収入を得ている方でしょう。
マンション管理士として活動を行ったことがない方も75.8%存在するため、マンション管理士としてしっかり働こうと思っている方は一般的な収入は得られるでしょう。
マンション管理士を副業としている方もいる
マンション管理士の資格取得者のうち本業として活動している方は5.4%、副業として活動している方は7.7%です。
副業としている方の場合は年収100万円未満の方が58.7%になるため、後述する管理業務主任者や宅地建物取引士を本業として活動しつつ、マンション管理士の副業収入も得ている可能性があります。
一方で、100~400万円未満の方が12.7%、400万円以上稼いでいる方は1.9%いるため副業としてのマンション管理士であってもしっかり稼げる方は一定数存在します。
マンション管理士で年収1000万円を目指すには?
結論、マンション管理士の資格だけで年収1000万円を獲得するのは、難易度が高いです。
実際にマンション管理士の資格を持っていて、年収1000万円を獲得している人の多くは、他の資格とダブルライセンスで活躍していることが多いです。
そのため、マンション管理士の資格で年収1000万円を目指すためには、他の資格も並行して取得しておくことをおすすめします。
また、以下の方法でもマンション管理士として年収を上げられる可能性もありますので、試してみてください。
他のマンション管理士との差別化が必要
マンション管理士は資格を持たなければできない業務(独占業務)がないことから、関係する資格を他にも取っておくなどの差別化がポイントとなります。
ただしマンションの管理全般に関わる専門家として業務の範囲は非常に幅広くなっており、実際の現場では管理組合の役員の成り手不足を支援するために管理者や理事になる場合もあります。
またこれらの経験を生かした外部講師など、活躍のフィールドは多岐にわたります。
多くの仕事を任され、やがて他の管理組合からも声がかかるようになると、独立開業という選択肢が現実味を帯びてきます。
複数の顧問契約獲得により、1,000万円以上の高年収も十分視野に入ってくるでしょう。
管理業務主任者資格との併用で年収アップ!
他のマンション管理者と差別化することが重要なマンション管理士ですが、先ほどから登場している「管理業務主任者」は、併せてもっておくと非常に有利になることでしょう。
管理業務主任者はマンションの管理会社が管理組合等に対して、管理受託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格ですが、合格率20%と比較的ハードルが低いのでマンション管理士と併せて取得しておくのが定石です。
マンション管理士の管理業務主任者資格取得率も85.2%と高く、ほとんどの方がダブルライセンスで活動しています。
管理業務主任者には独占業務が4つあり、管理委託(受託)契約前の重要事項説明や、説明書や契約書への記名・押印、マンション管理組合の管理事務に関する報告は、管理業務主任者しか担うことができません。
マンション管理会社は、事務所ごとに管理委託を受けた管理組合30組合ごとに1名以上専任の管理業務主任者を設置する義務がありますので、マンション管理士と合わせて保有しておくと、その分年収アップも見込めます。
宅地建物取引士の資格取得率も高い
宅地建物取引士もマンション管理士の取得率が77.8%と高く、非常に人気の資格です。
マンション管理士がマンションの維持・運営に携わるのに対し宅建士は不動産の取引を生業としているため、両方の資格を持っていることで不動産を買うまでと買った後のどちらもサポートできます。
宅建士は合格率15~17%とマンション管理士に比べて高く、独占業務があり就職・転職にも強いため安定した収入を見込めます。
マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士のトリプルライセンスは試験範囲も重複しているため狙いやすく、年収1,000万円を目指すなら現実的な選択肢の一つとなるでしょう。
年収1,000万円達成に向けたおすすめ資格
これら以外にも、その他関連する法律系の資格(行政書士、司法書士など)、維持管理メンテナンス系の資格(二級ボイラー技士、昇降機検査資格者など)
は高収入を得たい!と考えている方なら合わせて持っておいて損のない資格となっています。
とはいえ、多くの顧問先が確保できるのであれば、すべて自分で保有する必要はありません。
こういった資格所持者を雇用するか、信頼できる他業者や有資格者に業務を委託できる環境にさえあれば十分です。
マンション管理士の将来性
マンション管理士の資格自体の将来性はあるといえます。
最近ではマンション開発も活発に行われていることもあり、マンション管理士の資格を持っている人を採用する企業も多いです。
またマンション管理士の資格自体、他の資格と比較して新しい資格であり、難易度も高く設定されています。
そのためまだ取得している母数も少ないですから、今のうちに取得しておいて損はありません。
定年退職後にマンション管理士として働けこともありますので、老後の収入確保にも活用可能です。
マンション管理士になるには?
マンション管理士になるには、マンション管理士試験に合格することと、公益財団法人マンション管理センターにマンション管理士として登録することが必要です。
マンション管理士試験は誰でも受験することができますが合格率は10%以下と低く、難関試験と言えるでしょう。
合格者の平均年齢は47.7歳で中高年に人気のある資格ですが30代までの方も受験しており、年齢や性別にとらわれず幅広い方が目指すことのできる資格です。
マンション管理士試験について
マンション管理士試験は全50問、4肢択一のマークシート方式で、以下4つの分野から出題されます。
- マンション管理に関する法令や実務
- 管理組合の運営の円滑化に関すること
- マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
マンション管理士試験は合格基準点が決まっていて、例年37点前後得点できれば合格となりますが合格率が10%を上回ることはなく、万全の対策が必要となります。
また、後ほど紹介もする管理業務主任者という資格を持っていると50問中5問が免除される制度があり、ダブルライセンスでも役に立つため管理業務主任者試験を合格した後にマンション管理士試験を受験する方もいます。
管理業務主任者試験は合格率が20%前後で、試験範囲もマンション管理士試験と重複しているためマンション管理士試験合格を狙うなら先に管理業務主任者試験の合格を狙うことはオススメです。
令和4年の試験はいつ?
マンション管理士試験は例年11月下旬に開催されていて、令和3年は11月28日(日)の開催だったため例年通りであれば2022年11月27日(日)の開催となるでしょう。
試験会場は札幌市・仙台市・東京都・名古屋市・大阪市・広島市・福岡市・那覇市並びにこれらの周辺地域となると思われ、遠方の場合は宿泊など別の準備が必要になるかもしれません。
6月の上旬には正式に発表されますのでそちらを待ちましょう。
⇒【2022年度】マンション管理士の試験日程はいつ?試験会場や受験資格についても解説!
アガルートアカデミーならダブルライセンスの最短ルート!
マンション管理士はその他の資格と一緒に持つことで高い年収を期待できる資格ですが、せっかくなら他の資格もまとめて取得してしまいたいですよね。
通信講座のアガルートアカデミーは、マンション管理士試験と管理業務主任者試験の両方に1つのカリキュラムで対策をとることができ、同じ年にダブル合格も狙えます!
アガルートアカデミーは2015年に開講した通信講座で法律系資格に強く、合格率も高いため安心して受講することができます。
ここからはアガルートアカデミーのカリキュラムについて紹介します。
ダブル合格のために合理化されたカリキュラム
マンション管理士試験と管理業務主任者試験は試験範囲が8~9割重複しているため並行学習がしやすくなっています。
資格としての立場は真逆であるため科目の比重が異なりますが、アガルートであればどちらの試験に対しても対策をとることができます。
教鞭をとるのはマンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士・宅地建物取引士の試験全てに独学で一発合格を果たした工藤美香講師。
自身の経験も生かし、学習の継続しやすさ、要点のわかりやすいまとまった講義、受講生目線でのテキスト制作に力を入れています。
ダブル合格カリキュラム | マンション管理士試験 合格カリキュラム |
管理業務主任者試験 合格カリキュラム |
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[マン管]総合講義 [共通]35時間+[マン管]9時間 |
○ | ○ | × |
[管業]総合講義 [共通]35時間+[管業]3時間 |
○ | × | ○ |
[マン管]過去問解説講座 8時間 |
○ | ○ | × |
[管業]過去問解説講座 8時間 |
○ | × | ○ |
[共通]総まとめ 10時間 |
○ | ○ | ○ |
[マン管]模擬試験 全2回 |
○ | ○ | × |
[管業]模擬試験 全2回 |
○ | × | ○ |
料金 | 87,780円(税込み) | 54,780円(税込み) | 54,780円(税込み) |
高い合格率で安心の受講
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管理業務主任者試験でも全国平均の2.67倍である51.8%の合格率で、アガルートは合格率が高いことがわかります。
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既に働いている方の資格取得が多いマンション管理士試験、管理業務主任者試験ですがストレスなく日々の学習を続けるならアガルートはオススメです。
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通信講座は独学に近い形になりがちですが、アガルートなら最後まで講師と一緒に合格を目指すことができます。
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マンション管理士の平均年収まとめ
マンション管理士という資格の概要とその可能性についてご紹介してきました。
社会人として幅広い経験を積んだシニアにとって、定年後、マンション管理のアドバイザーとして活躍できる姿が少しイメージできたのではないでしょうか?
マンション管理者の平均年収については、400~500万円程度は十分可能ですし、さらに他の関連資格を併せて持つことで、年収1,000万円も夢ではありません。
将来有望な資格のひとつとして、マンション管理士取得にチャレンジする価値は十分にありますので、この記事が参考になれば幸いです。