マンション管理士とはマンション管理の専門的知識を有していることを証する国家資格で、令和3年度の合格率は9.9%と高難易度です。
しかし、取得したわりには役に立たないという噂話もあるため、マンション管理士は無駄な資格では?と言われることもあります。
また、「需要がないので廃止されるかもしれない・・・」という憶測もあり、不安視している方も多いでしょう。
この記事ではマンション管理士が役に立たないと言われている理由や、廃止されるかどうかを中心に解説します。
マンション管理士が役に立たない無駄な資格とされる理由
マンション管理士は需要があることを前述しましたが、それにも関わらず「役に立たない資格」と言われるのは何故でしょうか?
この章では「マンション管理士の資格が無駄だ」と考えられる理由について解説します。
独占業務がないから
マンション管理士には、管理業務主任者のようにマンション管理に関する独占業務がありません。
マンションの管理組合や住民へのアドバイスは資格を持っていなくてもできてしまうので、「わざわざ資格を取っても役に立たない」と言われるのです。
そのため、宅地建物取引士・管理業務主任者・司法書士・行政書士といった資格を取ってダブルライセンス所有者になり、「マンションに関する総合コンサルタント」という立場にならないとマンション管理士の資格を充分に活かせないかもしれません。
マンション管理組合がコンサルを望んでいない
管理組合としてはなるべく費用はかけたくないため、マンション管理士に現状の問題点をコンサルティングによって洗い出すという依頼をかけにくいようです。
そのため、苦労してマンション管理士の資格を取得したにも関わらず、マンション管理士としての活動がほとんどどできず無駄と思われることもあります。
マンション管理士は無駄ではない理由
マンション管理士の資格は廃止される見込みがないものの「せっかく資格を取っても無駄」という噂がネット上で流れていますが、本当でしょうか?
結論から言うと、マンションの戸数が増加傾向にあることから、マンション管理士は無駄ではなく需要がある資格です。
マンションの戸数が増えれば、マンションに関する最適な管理方法やメンテナンス方法を知りたいと考えている管理組合は今後も増え続けると思われます。
需要増加の背景を受け、マンション管理士資格を取得・保持すべき理由について解説します。
理由①就職・転職に有利になるから
マンションの管理規約や使用細則、長期修繕計画作成のアドバイスができるマンション管理士は即戦力として期待できます。
そのため、資格を保持しているだけで無駄になることはなく、実務経験が浅くても就職や転職に有利です。
また、マンション管理士として活動していた場合は実際に書類作成やマンション管理のアドバイスの経験があるため、給与面が良くなる可能性もあります。
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理由②取引先が倒産することが滅多にないから
マンション管理士の取引先はマンション管理会社であり、マンションが存在する限り管理会社も存在し続けます。
そのためある日突然マンション管理会社が倒産するという事態は滅多に起こらず、急に取引先を失うこともないと言えるでしょう。
安定して業務を遂行できるため収入も安定しやすく、資格を取ったからといって足を引っ張るばかりで役に立たないということはあり得ません。
理由③将来性があるから
国土交通省によるとマンションのストック戸数は670万戸以上あり、今後も増加する傾向にあると言われているため、マンション管理士の需要も同様に伸び続けると思われます。
需要があるのに資格が役に立たないなんてことはあり得ませんから、「取るだけ無駄」という意見に耳を傾ける必要はないです。
マンション管理士として活躍できるシーン
マンション管理士の資格は決して無駄で役に立たないということはなく、しっかり活かせる場所があります。
マンション管理士の活躍の場について、就職先を例としてご紹介します。
マンション管理士事務所に就職する
マンション管理士の就職先の王道として挙げられるのはマンション管理士事務所です。
マンション管理士の資格所有者が所属して、各マンションから要望を受けて管理運営に対して相談に乗ったうえで提案を行います。
管理コストや管理規約の見直し、長期修繕計画の作成や管理組合会計の監査など、多岐にわたる業務に携わります。
「マンション管理士として必要な知識を網羅的に身に付けたい」「さまざまな業務が行えるようになりたい」という方は、まずマンション管理士事務所に就職しましょう。
不動産会社・不動産開発会社に就職する
不動産会社や不動産開発会社も、マンション管理士の就職先として挙げられます。
不動産会社というと街に小さな店舗を構えてアパートを中心に賃貸の管理をしているイメージが強いですが、近年ではアパートの他にマンション管理にも力を入れているところも多いです。
また、不動産開発会社の中にはブランド力を高めるために、マンションの販売から管理まで一括で請け負っている会社もあります。
「ただマンションだけではなく、アパート管理にも挑戦してみたい」「マンションの管理以外の仕事も気になる」という場合は、不動産系の会社に就くのも一手です。
マンション管理士として開業・独立する
マンション管理組合から良い評判を広げてもらい、継続的な付き合いや数多くの人脈を確保したうえで、マンション管理士として独立して働くという手段もあります。
前述したような事務所や会社に所属して充分な経験を得てから個人事務所を開業すれば、資格が無駄になることはあり得ず、自由な働き方を実現しつつ年収アップが期待できます。
マンション管理に関する幅広いノウハウや豊富な実績があれば成功するかもしれませんので、実力がついたと思ったら開業も視野に入れましょう。
マンション管理士の資格は廃止される?
「マンション管理士の資格は廃止されるかもしれない」という憶測が出ており不安に感じますが、その心配はしなくてよいでしょう。
マンション管理士が国家資格として誕生したのは2001年のことで、国家資格の中ではかなり歴史が浅い部類に入ります。
国が丁寧に時間をかけて法整備して国家資格化したため、そう簡単にマンション管理士の資格が廃止されることはありません。
「せっかく頑張って勉強したのに、資格取得後に廃止になったらどうしよう…」と考えるのは杞憂ですから、廃止の噂は気にしなくていいでしょう。
マンション管理士の今後の需要・将来性
「資格を取っても役に立たない」という噂はあるものの、マンション管理士の需要は今後も増え続けると思われます。
この章では今後マンション管理において起き得る問題と、マンション管理士の資格が無駄にならず役立つ場面について解説します。
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マンション老朽化対策の需要は今後大きくなる
マンションの耐用年数は鉄骨造で30~40年と言われていますが、国土交通省によると築40年のマンションが2028年には197.8万戸、2038年には366.8万戸にも上ると言われています。
今後は今以上にマンションの修繕や建て替えなどを検討する機会が増え、住民同士が話し合いを行う機会も増えていくでしょう。
ですがマンションを建て替えるには建築会社の選定から住民の移住場所、移住スケジュール作成など多くの決めごとがあり、ノウハウを持たないマンション住民だけで取り纏めるのは非常に難しい問題です。
そのため、マンション管理士には住民の意見を取り纏めつつ専門的な意見を展開し、法的に問題のない計画を立案するという需要があります。
住民の高齢化による工事や規約対策の需要が増える
少子高齢化によりマンション住民の高齢化が進むため、バリアフリー工事や安否確認のルール設定など、マンション側は住民の年齢に応じた管理規約や使用細則に修正していかねばなりません。
しかし、具体的な工事方法や規約の決め方などを理解している住民は少ないことから、専門知識を持った人が介入することで必要となるでしょう。
そのため、マンション管理士が高齢な住民のための修繕工事の計画を作成をしたり、マンションの管理規約を変更したりするというニーズが発生すると考えられます。
性別・障害に対応したマンション環境の必要性が出てくる
今後日本において、国籍や性別をはじめ障害者といった社会的弱者や少数者も安心して暮らせるような社会の実現が求められており、マンション運営も例外ではありません。
しかし前から住んでいる住民の中には入居者のルール変更に抵抗がある方もいるため、マンション管理士が住民の声を幅広く聞き入れてルールの変更内容をすり合わせる必要があります。
住民の多様性を受け入れることで健全なマンション運営に貢献できるため、社会の多様化が進むと見込まれる今後の日本でもマンション管理士は需要があるでしょう。
空室が課題のマンションが今後増える
空室が増えるとマンションの維持費が少なくなり、「傷んでいても修繕できない」「利便性が悪くなっていく」「デザインが古臭くなる」といった結果になりかねず、入居率が悪化する恐れがあります。
こうした悪循環を防ぐためにも、マンションは定期的にリフォームやリノベーションをして入居率を改善したり、悪化させないよう改善したりしていくことが必要です。
工事会社の選定方法や修繕費用の計画など具体的なリフォームの提案ができて、入居率を安定もしくは向上させるためのノウハウを持っているマンション管理士であれば非常に重宝されるでしょう。
マンション管理士は今後需要が増えていく可能性が高い
マンション管理士の需要は今後大きく増加し活躍の場も多岐にわたるため、取得・保持したからといって決して無駄にはなりません。
マンションの老朽化や入居率の改善対策は住民だけで解決することが難しく、どこかのタイミングでプロの意見を取り入れる必要があります。
マンション管理士は建物や住民などマンション全体の問題解決にアプローチでき、役に立たないということはないため保持しておいて損はない資格です。
また、国家資格が廃止されることは滅多に起こらないので、その噂も鵜吞みにしないようにしてください。
これから取得しようか考えている方、現在所有していて今後活かせるか心配な方は、「資格が無駄になる」という意見は気にしないようにしましょう!
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