現在の日本では60歳で定年退職を迎えますが、年金は65歳から支給される仕組みになっています。
その空白の5年間を埋めるために再雇用制度がありますが、誰もが再雇用してもらえるわけではない上再雇用されたとしても給料は大幅に減少します。
そこで注目を浴びているのがマンション管理士です。
マンション管理士は資格さえあれば60歳以上でも活躍できるため、定年後も安心して生きていけると言われています。
この記事ではそんなマンション管理士について仕事内容を詳しく解説し、定年退職する60歳からでも活躍できるのかどうかを求人と共にご紹介していきます。
マンション管理士の仕事内容は?
最初にマンション管理士の仕事内容を解説していきます。
マンションを管理するとは具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?
また、本当に年齢をあまり気にせず働くことが出来る仕事内容なのでしょうか?
マンション管理組合の適切な運営方法をアドバイスする
マンションにはそのマンションに住んでいる人たちで構成されたマンション管理組合というものがあります。
マンション管理組合は定期的に会議を行い、共用スペースの適切な管理などといったマンションを快適に保つ働きをし担っています。
しかしマンション管理組合は特別な資格やノウハウを持った人たちで構成されているわけではありません。
ただそこに住んでいる人たちが集まった組合であるため「何をどうすれば良いのか分からない」といったケースも少なくないのです。
そこでマンション管理士がそのマンションの規模やマンション管理組合からの要望を受け、マンションの適切な管理が出来るようにアドバイスしていきます。
マンションではペット関連・駐車場トラブル・住民間でのトラブルといった多くの問題が発生するため、マンション管理士は需要がある仕事だと言えます。
マンション修繕に関する仕事
マンションでは住人の安全を守るために定期的に修繕工事が行われています。
この修繕工事では多額の費用が掛かるため意思決定をマンション管理組合で行いますが、ここでもマンション管理士が仕事をします。
仕事内容としては工事業者を選ぶことや工事内容を決めること、そして工事料金が適切な価格かどうかを判断することです。
マンション管理士がいなければ、相場よりはるかに高い料金を請求されたり不適切な工事が行われたりする可能性があるということですね。
また適切な修繕工事が行われていれば、マンションの価値が下がりにくくなります。
マンションは戸建てと違い売り払うことを前提に購入する方もいらっしゃるため、修繕工事は住人にとって非常に重要になっています。
マンション管理組合のお金を管理する
マンション管理組合では運営予算・修繕費用の管理といったお金の管理も行っています。
しかし一マンションの住人つまりお金の素人が管理をすると、使い込みの問題が起きたり管理ミスでお金を無くしたりとトラブルが発生することがよくあるのです。
また正しく管理できたとしても、マンション管理組合の方に多大な労力を掛けるかもしれません。
そこで第3者であるマンション管理士が責任をもって費用を管理し、住民からどのくらい金銭を徴収するのかといったアドバイスまで行います。
住民同士のトラブルを解決する
マンションでは住民同士のトラブルがよく起こります。
例えば共用スペースの使い方の問題・隣の住人による騒音問題・決められた駐車場を誰かに勝手に使用されているなど、こういった問題が無いマンションの方が非常に少なくなっています。
そんな時に住民同士で問題を解決できれば良いのですが、時間的に忙しかったり性格的に強く言えないタイプだったりとなかなか上手くはいきません。
そこで、マンション管理士が間に立って規約と照らし合わせながら第三者の立場で問題を仲裁します。
当事者同士では言い争いにしかならなくても、マンション管理士が間に立つことで冷静に話し合いを進めることが出来るのです。
マンション管理士の仕事に年齢はあまり関係ない
以上の仕事内容から、マンション管理士には体力を必要とする仕事がほとんどなく年齢に関係なくこなせる内容になっていることが分かるかと思います。
しかしマンションの修繕工事を行う事業者との繋がりや高額なお金の管理、そのマンションに合った組合の運営方法など、様々なノウハウが無いと勤まらない仕事になっています。
そのため求められている人材も限られており、仕事を獲得するのは容易ではないようです。
60歳以上のマンション管理士の求人はある?
マンション管理士に関わらず60歳以上の求人は少ないものですが、60歳以上のマンション管理士の求人はどれくらいあるのでしょうか?
ここでは60歳以上に絞ったマンション管理士の求人の特徴をご紹介していきます。
そもそもマンション管理士の求人はとても少ない
今後はバブルの時代に建てられ老朽化したマンションが増えていくためマンション管理士の需要は増えると言われていますが、現状年齢に関係なくマンション管理士の求人はあまり多くありません。
これはマンション管理士という資格が独占業務を持っておらず、「マンション管理士です」と名乗らなければ誰でも同じ仕事が出来てしまうという点が原因となっているようです。
さらにマンション管理士は将来的に独立を考える人も多いため、出ていく可能性が高い人を雇いにくいという現状もあります。
そこに「60歳以上」という条件が加わると求人はさらに少なくなっていきます。
契約社員としての採用が多い
60歳を超えてからマンション管理会社で働く場合、契約社員として採用されることが多くなっています。
これは60歳を超えると病気などの原因で突然働けなくなる可能性があり、また長期の労働に耐えられるかどうかを見定めることが難しいからです。
また若手のように育てることで将来的に会社にメリットがあるわけでも無いため、正社員として雇用されることは難しいでしょう。
そして退職時期は65歳に設定されている所がほとんどで、65歳以上でも働きたい場合は独立するしかないようです。
年収はどれくらいになるのか
仕事内容や地域によって差はありますが、マンション管理士の給与は多くの場合時給2,500~3,000円ほどに設定されているようです。
仮に時給3,000円だったとすると、月収が48万円で年収が576万円になります(契約社員なのでおそらくボーナスはありません)。
60歳以上の再雇用枠で年収576万円あれば、年金が支給されるまでの5年間十分生活していけるでしょう。
さらにその後マンション管理士として個人で仕事を受けることが出来れば、65歳以上になっても安定して稼ぐことが出来ます。
60歳以上のマンション管理士に仕事はあるの?
上記で60歳以上のマンション管理士の求人の特徴をご紹介しましたが、全ての人に仕事があるわけではありません。
それでは一体どんな人が60歳以上のマンション管理士の求人で求められているのでしょうか?
ここでは求められている人物像や求められるようになる方法をご紹介します。
未経験者はかなり厳しい
マンション管理士は資格を取得すれば60歳からでも働けると言われていますが、未経験者が就職するのはかなり厳しいのが現実です。
60歳からの求人のほとんどがマンション管理会社経験者の方を求めており、逆に経験があればマンション管理士の資格が無くてもいいという求人もあります。
前述したように管理士はマンション管理組合にアドバイスをしなければならず資格を取っただけでは仕事にならないため、経験が重要視されているということですね。
そのためマンション管理士の資格を取得してもマンション管理士にはなれず、マンション管理人としてアルバイトをする方もいらっしゃるようです。
他には、仕事を紹介してくれるエージェントと相談し資格を生かせそうな仕事を探す人もいます。
経験さえあれば年齢にとらわれず働くことが出来る
一方マンション管理会社で働いていたり管理業務主任者などの経験があれば、60歳からマンション管理士の資格を取得しても働くことができます。
この際、これまでに培ってきた人脈や経験を生かし個人のマンション管理士としてコンサル業務を行うことも可能です。
しかしその場合、いくつかのマンション組合を掛け持ちで見られない限り高い収入は期待できないでしょう。
そのため、年金がもらえる65歳までの間ということであれば、他の仕事と併用するか貯金を崩しながら生活することになります。
60歳以上未経験者が仕事を獲得するには?
前述したように未経験者の方がマンション管理士の仕事を獲得するのは非常に難しいですが、不可能というわけではありません。
マンション管理士の資格を取得したら、まずは経験を積むところから始めましょう。
具体的な方法としては、自分で営業をするかエージェントを利用して仕事を探し「初めは無賃でも良いので」と交渉しましょう。
それが通るかは分かりませんが、経験が無く年齢も高い分費用を下げて交渉するしかありません。
最初は稼ぎが無いかもしれませんが、経験を積むことが出来れば次に見つけたマンションでは経験と資格をアピールし稼げるようになるかもしれません。
マンション管理士は60歳以上のセカンドライフに役立つ?
資格があれば年齢を気にせずに働くことが出来るマンション管理士ですが、60歳からの取得をお勧めできるのは以下のような方々です。
- 元々マンション関連の仕事をしていて資格だけ持っていなかった方
- 人とコミュニケーションを取ることに自信があり根気強くやれる方
元々マンション関連の仕事をしており経験がある方は、60歳からでも十分将来性のある仕事だと言えます。
個人事業主として複数のマンションと顧問契約が出来れば、会社勤め時代と変わらない程の収入が得られるかもしれません。
またコンサル業務が主体となるため、未経験であってもコミュニケーション能力に自信があれば仕事を獲得できる可能性はあるでしょう。
しかし、マンション管理士試験の合格率は10%以下と非常に難しいにもかかわらず60歳というスタートラインではその勉強が無駄になる可能性も低くはありません。
そのため「65歳の年金支給まで生活の足しにしたい」ということであればマンション管理士はお勧めできないでしょう。
マンション管理士は60歳以上でも活躍できる?求人状況と仕事内容まとめ
今回この記事ではマンション管理士について仕事内容を詳しく解説し、定年退職する60歳からでも活躍できるのかどうかを求人と共に解説しました。
マンション管理士の仕事はマンション管理組合にアドバイスすること、マンション管理に必要なお金や事業者についても管理することでした。
60歳以上の求人としては契約社員での採用が多いですが、会社での仕事を獲得できれば年収は500万円前後と考えて良いようです。
しかし未経験者が60歳でマンション管理士の資格を取得して、いきなり相場通りに働くことは難しいため、まずは経験を積むところから始める必要があります。
自分がいつまでにどれくらい稼ぎたいのかを明確にして、マンション管理士資格取得の労力がそれに見合うかどうかをよく確認してみて下さい。