メンタルヘルス・マネジメントは民間資格であり、取得すればメンタルヘルスケアに必要なスキルや知識があると示せる資格です。
近年、職場の定着力を向上させるために、メンタルヘルスの需要は高まってきているといわれています。
そこで今回は、メンタルヘルス・マネジメント資格について紹介します。
メンタルヘルス・マネジメント検定とは
メンタルヘルスマネジメント検定は心の健康を管理し、ストレスに対処するための専門的な資格です。
大阪商工会議所の登録商標であり、職場におけるメンタルヘルスケアに関する知識や対策を学ぶことができます。
近年、働き方改革や労働力の減少が進む中で、従業員の健康管理やメンタルヘルスケアの重要性が増しています。
健康経営や人的資本経営が注目される現代において、従業員が健康に働ける環境を整えることが求められています。
メンタルヘルスマネジメント検定を取得すれば、メンテナンスケアに関するスキルや知識を習得できるため、組織の活性化ができると考えられています。
メンタルヘルス・マネジメント検定の3つのコースの試験概要
メンタルヘルス・マネジメント検定には職種や専門性別に3つのコースがあり、いずれのコースも受験資格なくいうでも受験できます。
ただし受験費用は異なり、Ⅰ種は税込11,550円・Ⅱ種は税込7,480円・Ⅲ主は税込5,280円となっています。
ここでは、メンタルヘルス・マネジメント検定のコース内容について紹介します。
Ⅰ種(マスターコース)
人事労務を担当するスタッフや経営幹部を対象とした試験です。
社内のメンタルヘルス対策を推進することを目的としており、3つのコースの中で最も難易度が高いといわれています。
Ⅰ種(マスターコース)の内容を習得することで、メンタルヘルスケアに関する対策計画を策定し、産業保健サービスなどの外部専門機関と適切に連携を図ることができるようになります。
また、従業員向けにメンタルヘルスケアのトレーニングを実施する際にも役立ちます。
人事労務を管理するスタッフや経営幹部がこのコースを修了することでメンタルヘルスケアの対策計画を立案し、外部の専門機関と連携し、従業員に対してメンタルヘルスケアのトレーニングを行うことができるようになります。
Ⅰ種の出題範囲は以下の通りとなります。
出題範囲 | 出題形式 | 試験時間 |
・メンタルヘルス概論 ・メンタルヘルス問題の予防 ・メンタルヘルス問題への対応 ・メンタルヘルス・マネジメント制度 ・メンタルヘルス・マネジメントの実践 ・労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 ・その他関連法令 |
・選択問題(70%)…4肢択一・5肢択一 ・論述問題(30%)…記述式 |
180分 |
Ⅰ種(マスターコース)は、Ⅱ種やⅢ種と比較して難易度が高く、専門的な知識や理解力に加え、論理的思考力も求められます。
メンタルヘルス・マネジメント検定のサイトが示すデータによると、合格率は20%と3つのコースの中でも低めです。
試験は11月にのみおこなわれます。
Ⅱ種(ラインケアコース)
Ⅱ種(ラインケアコース)は、主に企業の管理職を対象としたプログラムです。
上司が部下のストレスや人間関係の問題に効果的に対処することを目的としており、部下の心身の健康状態を事前に把握し、問題が発生した際には迅速に対応するためのスキルを習得できます。
また、メンタルヘルスの問題により休職した従業員が復職する際に、適切な支援を行う方法についても学ぶことができます。
Ⅱ種の出題範囲は以下の通りです。
出題範囲 | 出題形式 | 試験時間 |
・メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割 ・ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識 ・職場環境等の評価および改善の方法 ・個々の労働者への配慮 ・労働者からの相談への対応 ・社内外資源との連携 ・メンタルヘルスに関する基礎知識 ・労働者のメンタルヘルスを守るための法令 ・職場環境の評価と改善 ・ストレスマネジメント ・メンタルヘルス不調者への対応 ・産業カウンセラー等の社内外資源 |
・選択問題(70%)…4肢択一・5肢択一 ・論述問題(30%)…記述式 |
180分
|
Ⅱ種の合格率は例年50%であり、2024年に開催された直近の試験では73.Ⅱ%といったかなり高い結果を出しているので挑戦しやすいでしょう。
Ⅲ種(セルフケアコース)
Ⅲ種(セルフケアコース)では一般社員を対象とした、自己のメンタルヘルスケアを促進するためのコースです。
Ⅲ種(セルフケアコース)では、自身のストレス状態を迅速に認識し、積極的に対策を講じることや周囲に支援を求めることの重要性について学びます。
具体的な内容には、メンタルヘルスケアの意義、基本的な知識、セルフケアの重要性、ストレスの認識方法やその対処法が含まれます。
出題範囲 | 出題形式 | 試験時間 |
・メンタルヘルス概論: メンタルヘルスの重要性、概念、関連法令 ・ストレスマネジメント: ストレスのメカニズム、セルフケア方法、ストレスチェック制度 ・メンタルヘルス不調の理解: メンタルヘルス不調の種類、サイン、セルフケア ・セルフケア: 生活習慣、睡眠、運動、食事、リフレッシュ方法 ・コミュニケーション: コミュニケーションの基本、傾聴、アサーション ・職場環境: 職場環境とメンタルヘルス、ハラスメント対策 ・メンタルヘルス資源: 産業医、カウンセラー、相談窓口 |
・選択問題(70%)…4肢択一・5肢択一 ・論述問題(30%)…記述式 |
60分 |
Ⅲ種の合格率は例年70%であり、15時間程度の学習時間で合格できるといわれています。
メンタルヘルス・マネジメント検定を取得するメリット
ここでは、メンタルヘルス・マネジメント検定を取得するメリットについて紹介します。
ハラスメントの防止・対処ができる
ハラスメントの防止および対処において、メンタルヘルスマネジメント検定で習得する知識やスキルは非常に有効です。
ハラスメントは多くの場合、メンタルヘルスの不調を引き起こす精神的な攻撃であり、直接的な被害を受ける従業員だけでなく、その周囲の従業員にも悪影響を及ぼします。
職場においてハラスメントが蔓延している場合、組織の文化として軽視されることが多く、被害者の声に耳を傾けることが重要です。
メンタルヘルスマネジメント検定のⅡ種(ラインケアコース)では、個々の労働者への配慮や労働者からの相談への対応などが出題されており、ハラスメントの被害者を見つけ出し、話を引き出すためのスキルや知識を習得することができます。
ハラスメントを効果的に防止し対処することで、職場環境を改善し、従業員の定着率を向上させることができ、結果として企業の生産性を高めることが可能です。
休職・離職率の低下につながる
従業員の休職や離職率の低下を図るためには、メンタルヘルス・マネジメント検定の取得が非常に有効です。
部下が抱えるストレスや悩みを早期に察知し、適切に対応することで、休職や離職を未然に防ぐことが可能です。
また、メンタルヘルスの不調は過重労働や人間関係の問題など多岐にわたる要因によって引き起こされるため、ストレスチェックや面談を通じてその原因を明らかにすることが重要です。
メンタルヘルス・マネジメント検定を取得することで、従業員のメンタルヘルスの問題を効果的に予防・対処できるようになり、欠員の発生を抑えるだけでなく、企業の信頼性も向上させることができます。
メンタルヘルス・マネジメント検定を学ぶことで、従業員のエンゲージメントが高まり、高いパフォーマンスを引き出すことが可能となります。
キャリアアップにつながる
メンタルヘルスマネジメント検定は、キャリアの向上に寄与する資格です。
現代のさまざまな業界において、メンタルヘルスケアの重要性が増しており、この検定を取得した人材は非常に価値があります。
個人のメンタルヘルスを守るだけでなく、部門や組織全体の予防や対応ができるスキルと知識を持つことで組織の生産性や定着率を向上させることができます。
個人のメンタルヘルス対策を実施する能力に加え、チームや組織全体を効果的にマネジメントするスキルは、転職活動や人事評価においても高く評価されることでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント検定の学習方法
ここでは、メンタルヘルス・マネジメント検定の学習方法についてご紹介します。
セミナー・講座を受講する
メンタルヘルスマネジメント検定の受験対策は、受験対策講座を受講することで実施できます。
大阪商工会議所が主催する公式な受験対策講座は、日時と会場が限られていますが、メンタルヘルスマネジメント検定試験に対する効果的な準備ができます。
また、オンライン授業を通じて講義を受けることができるサービスもあり、自宅で計画的に試験対策を行うことができます。
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独学で勉強する
メンタルヘルスマネジメント検定は、独自に学習を進めて合格を目指すことができます。
市販の参考書や問題集を利用して試験対策を行うことで、自分のペースで学習し、通学にかかる費用を抑えることができます。
しかしながら、独学での学習はモチベーションの維持が難しく、自ら学習時間を確保し、効果的な学習方法を確立するための自律性が求められます。
メンタルヘルス・マネジメント検定を受験しよう
今回はメンタルヘルス・マネジメント検定について紹介してきました。
メンタルヘルス・マネジメント検定を取得することで、従業員のメンタルヘルスの予防や対応が可能となります。
心の不調によるミスやトラブルを事前に防ぎ、ハラスメントの防止にも寄与するため、生産性や定着率の向上が期待できます。
職場の活性化に加え、資格を取得することで自身のキャリアの向上にもつながるため、多くの利点があります。
メンタルヘルス・マネジメント検定は独学で学ぶことができますが、コースによっては合格率が低いため、十分な対策が必要です。
しかし、他の類似資格に比べて受験資格がないため、取得を目指しやすい点が魅力です。