「定期運送用操縦士」とは、国内線や国際線で定期運行する飛行機を操縦する、いわゆる「パイロット」を指します。
ここでは、パイロットになるにはどのような学校へ行けば良いのか?学校の種類やかかる費用、年齢制限等について解説します。
パイロットになるには複数の資格が必要です。最上位の資格(機長クラス)である「定期運送用操縦士」は国家資格です。
パイロットになるには、どんな資格が必要?
パイロットには主に3つの資格があります。
航空会社のパイロットに必要な「定期運送用操縦士」、報酬目的で操縦士の業務に従事する場合(農薬散布、メディア空撮等)に必要な「事業用操縦士」、報酬を受けず個人で楽しむパイロットに必要な「自家用操縦士」です。
※「事業用操縦士」になるための方法や資格については<こちらのページ>で解説しています。
これらの資格を受験するには、一定の年齢に達していること、および一定以上の飛行経歴が必要となります。
JALやANAなどの機長パイロットになるには、最上位の資格である「定期運送用操縦士」が必須です。
そして、定期運送用操縦士を取得するには、副操縦士に必要な「准定期運送用操縦士」等の複数の資格試験に合格しなければいけません。
航空会社のパイロットになるには?
パイロットになるには大きく分けて3つのルートがあります。それぞれのルートについて詳しく見てみましょう。
大学卒業後に航空会社へ就職する
4年制の大学または大学院卒業(修了)後にパイロット志望としてJALやANAに就職する、いわゆる「自社養成」ルートです。
このルートでパイロットになるには、試験や適性検査をパスして採用された後、就職先の航空会社でパイロット養成訓練を受ければOKです。
機長クラスになるまでにはかなりの年月(15年前後)を要するものの「パイロットになりたい!」という強い意志と適性があれば専門知識がゼロの状態でも受験でき、給与をもらいながら訓練を受けられるため、このコースを選ぶ方が多いようです。
航空大学校へ進学する
「航空大学校」とは、日本で唯一の公的エアラインパイロット養成機関です。
出願資格は「身長158cm以上、年齢25歳以下、4年制大学に2年以上在学または短期大学・高等専門学校を卒業している」等細かな規定がありますので、航空大学校の公式Webページを前もって確認しておきましょう。
卒業するまでに「飛行機・事業用操縦士」と「計器飛行証明」のライセンスを取得可能です。
就職先はJALやANA、海外の航空会社・LCCはもちろん、官公庁(航空局や海上保安庁等)等多岐に渡ります。
大学ではないので、学士としての資格は取れません。大学卒業後に入学することも可能なので、自社養成試験に合格できなかった方が航空大学校へ進学するパターンもあるようです。
「日本航空大学校」という名前の学校がありますが、「航空大学校」とは全く異なりますので、その点は注意しましょう。
パイロット養成課程のある大学へ進学する
日本国内には、パイロット養成課程のある大学が複数存在しています。
各航空会社へ卒業生を推薦する制度があったり、機械工学が学べたりする等、大学によって特色が異なります。自分の目的や将来の夢に合う大学を選ぶと良いでしょう。
例えば、機械工学も学べる大学へ進学すれば、パイロットだけではなくエンジニアとして活躍できる道も開けます。パイロットには必須である英語や操縦技術を学ぶために留学制度のある大学もあります。
パイロットになるために必要な費用
パイロットになるには、当然ながら通う学校の学費が必要です。
仮に航空大学校へ進学してライセンスを取得する場合には、
・入学料 / 282,000円
・授業料 / 宮崎学科課程 668,000円、帯広フライト課程 802,000円、宮崎フライト課程 802,000円、仙台フライト課程 936,000円
・寄宿料 / 月額1,500円
・光熱食費 / 実費
以上の費用が必要です。
加えて、航空大学校に入学するには4年制大学に2年以上在学または短期大学・高等専門学校を卒業していなければならないので、別途その学費もかかることを念頭に置いておきましょう。
費用について心配な方は月額60,000円の奨学金を受けられる制度もあります(審査・選考有)ので、覚えておくと良いでしょう。
パイロットの年収
パイロットは高収入が期待できる職業として知られています。
厚生労働省がおこなう「賃金構造基本統計調査」をもとに見てみると、パイロット(航空機操縦士)の平均年収はおよそ1,000万円前後、さらに機長クラスになると1,700万円前後です。
もちろん、大手やLCCなど所属する航空会社の規模・勤務年数によって差はありますが、全体的に見て高収入の職業と言っても差し支えないでしょう。
パイロットになるための条件
日本でパイロットになるには158cm以上という身長制限がありますが、年齢制限は設けていない航空会社が多いようです。
TOEIC700点程度の英語能力等、各航空会社によって決められた条件があるので、あらかじめ受験する航空会社のWebページでチェックしておくと良いでしょう。
また、いくら受験対策をしても身体検査に通らない限りパイロットへの道は開けません。
特に日本の身体検査は厳しいことで知られており、「航空身体検査」は最大の難関とも言われています。「一般財団法人 航空医学研究センター」のWebページで航空身体検査の概要が公開されているので、前もって見ておきましょう。
パイロットになる方法や資格のまとめ
パイロットは年収が高いということもあり、とても人気の職業です。それだけに競争倍率が高く、日本国内ではどの航空会社も100倍以上の倍率だと言われています。
晴れてパイロットになるにはそれなりの費用や努力が必要ですが、それらをかける価値は十分にある職業だとも言えるでしょう。
一方で、LCCの増加や外国人観光客の急増により、パイロットは世界中で不足しているのが現状です。そのため、今後は採用募集状況に変化が起こるかもしれません。
今回の記事で紹介したことを参考にして、パイロットになるためのルートを選んでくださいね。