”騎手”とは、競走馬とともにトレーニングを重ね、競馬レースに出場することが仕事です。
騎手になるためには養成学校に入学しなければなりませんが、身長や体重、視力などに決まりがあるため、その詳細をご紹介します!
また、ほとんどが男性ばかりの騎手の世界ですが、最近では徐々に増えつつある女性騎手についてや、競走馬が背負わなければならない重量(斤量)についても見ていきましょう。
騎手とは何をする人?
”騎手”とは、競走馬と呼ばれる競走用に改良された馬とともにトレーニングを重ね、競馬のレースに出場することが仕事です。
騎手には「中央競馬の騎手」と「地方競馬の騎手」の2パターンがあります。
年収も高い職業であり、騎手を志す人も増加しています。
騎手になるためには、養成学校に通って『騎手免許』の国家資格を取得しなければなりません。
試験を受けるためには、どうすれば良いのでしょうか?
騎手免許の試験を受けるには?
「中央競馬」と「地方競馬」にはそれぞれ騎手免許があり、試験を受けるためには次の事柄に当てはまる人物となっています。
1・競馬学校に通い、騎手過程を学んだことがある者。
2・日本の厩舎(調教師が管理する施設や組織のこと)で、馬の扱いや騎乗技術について学んだことがある者。
3・海外で騎手見習いの経験がある者。
続いては、現在日本に2校ある騎手の学校についての詳細をご紹介します。
入学や騎手の資格を取るために、必要な条件などがあります。
騎手の学校とは?
騎手になるためには、日本に2校ある競馬学校のどちらかに入学しなくてはなりません。
専門の学校がわずか2校しかないうえ、どちらもかなり倍率が高いことで知られています。
それぞれの学校に入ることが、どれほど難しいのかを見ていきましょう。
入学は、狭き門
騎手になるには、なりたい人の全員が国家試験に合格すればなれるわけではありません。
その前に、騎手の養成所に入学すること自体が難関なのです。
まず1つめの学校は、千葉県白井市にある日本中央競馬会(JRA)の「JRA競馬学校」ですが、こちらは毎年、およそ150人ほどの希望者が受験し、実際に合格できるのはわずか10名ほどです。
2つめの学校は、栃木県那須塩原市にある地方競馬全国協議会(NAR)の「地方競馬教養センター」ですが、こちらも毎年、およそ150人ほどが受験し、合格できるのは10名から15名ほどと狭き門です。
さらに、「地方競馬教養センター」と比較すると「JRA競馬学校」に入る方が難しいとされています。
「JRA競馬学校」に合格が叶わなかった希望者が、後に「地方競馬教養センター」の受験に挑むことも多く、何としてでも騎手の夢を叶えんとする熱い思いが伝わってくるようです。
2つの学校の特徴は次のとおりです。
JRA競馬学校
まずは「JRA競馬学校」についてです。
このJRA競馬学校に入学後は、3年間にわたって騎手として成長するために学んでいきます。
入学する際には、中学卒業以上の学歴であること、年齢が20歳未満であることが条件として挙げられています。
また、騎手といえば”体重”のことが重視されています。現在は令和2年の4月に入学する騎手課程生徒について、以下の年齢と体重制限が出ています。
JRA競馬学校の年齢と体重制限
年齢・平成14年3月31日以前に生まれた人 体重・48.0キログラム
年齢・平成14年4月1日から平成15年3月31日の間に生まれた人 体重・47.0キログラム
年齢・平成15年4月1日から平成16年3月31日の間に生まれた人 体重・46.0キログラム
年齢・平成16年4月1日以降に生まれた人 体重・45.0キログラム
ちなみにJRA競馬学校では、身長に関する制限は設けられていません。
視力も大切
騎手として活動するためには、視力も重視されています。
JRA競馬学校においては、裸眼の視力が左右ともに0.8以上という規定となっており、眼鏡やコンタクトレンズの使用は不可です。
また、健康状態も良く、色別力や聴力においても騎手として働くうえで支障のない人でなくてはなりません。
地方競馬教養センター
続いては「地方競馬教養センター」についてです。
地方競馬教養センターでは、2年間に渡って騎手の勉強をしていきます。
入学の際はJRA競馬学校と同様に、中学卒業以上の学歴であること、年齢は20歳以下であることが挙げられています。
現在は令和元年10月に入学する希望者に対し、次のような年齢と体重の制限が発表されています。
地方競馬教養センターの年齢と体重制限
年齢・平成15年10月1日~平成16年4月1日までの間に生まれた人 体重・44.5キログラム
年齢・平成15年4月2日~平成15年9月30日までの間に生まれた人 体重・45.0キログラム
年齢・平成14年10月1日~平成15年4月1日までの間に生まれた人 体重・45.5キログラム
年齢・平成14年4月2日~平成14年9月30日までの間に生まれた人 体重・46.0キログラム
年齢・平成13年10月1日~平成14年4月1日までの間に生まれた人 体重・46.5キログラム
年齢・平成10年4月2日~平成13年9月30日までの間に生まれた人 体重・47.0キログラム
また、視力に関してはメガネやコンタクトレンズを使用しない裸眼で0.6以上という規定になっています。
「甘い世界ではない」と予め明記
地方競馬教養センターでは、あらかじめサイト内で騎手の世界が甘いものではないと明記されています。
とくに最近では、ゲームや雑誌などで得た情報をもとに、憧れだけで騎手の世界に飛び込んでくる人が多いそうです。
しかし、厳しい訓練や生活に耐えきれず、せっかく合格したにも拘らず辞めてしまう人もいると言います。
それを地方競馬教養センターでは、様々な理由があるとしたうえで「騎手になるという意志の弱さが一番の原因」だとしています。
誰かが合格したということは、誰かが不合格となっています。ましてや高い倍率を突破して合格を掴み取ったのであれば、生半可な気持ちであることは余計に許されません。
どちらの競馬学校へ入学することを決めても、絶対に夢を諦めないという強い意志がある人のみが受験しましょう。
斤量(きんりょう)とは?
ここで、競馬の世界でよく耳にする”斤量”について少しご紹介します。
斤量とは、競馬のレースを行ううえでの施行条件によって、競走馬がレースに出走する時に背負う”負担重量”のことを指しています。
斤量は騎手の体重と、騎手が身につけている勝負服やプロテクターなどに加え、所定の馬具(鞍など)の重量によって変わってきます。
女性騎手について
現在、女性の騎手は10人近くいます。
とくにJRAでは、およそ16年ぶりとなる生え抜きの選手として藤田菜七子さんが活躍しており、大人気の騎手となっています。
まだまだ女性騎手の人数も少ないですが、人気職ゆえに、今後どのような人材が出てくるのか楽しみでもありますね。
騎手の体重・身長についてのまとめ
騎手になるには厳しい体重制限があることで知られていますが、身長の制限は設けていない場合もあります。
それでも、高い身長で40キロ台の体重をキープすることは容易ではないため、やはり小柄な人の方が騎手として向いていると言えるでしょう。
競馬学校に入学することも難関ですが、日々の生活と訓練の中で規定の体重を維持し、競走馬とともにトレーニングを重ねるのはよほど騎手という職業に情熱がなければ難しいでしょう。
小柄でありながらスポーツが好きで、馬と一緒に自分も成長していきたいと考えている方は、騎手の道を志すというのはいかがでしょうか。