水泳の心得がある人が一度は考える職業に、スイミングスクールの水泳コーチがあるのではないでしょうか。
また、子供に教えるのが好きな人にとっても、憧れの職業でしょう。
一方で水泳コーチには「実績がないとダメ?」「資格が必要?」「若い時にしかできない」というイメージもあるかもしれません。
この記事では、スイミングスクールの水泳コーチがどんな仕事なのか、リアルな大変さとやりがいを紹介します!
水泳コーチのリアルな仕事内容
最初にお伝えしておきたいのは、水泳の先生はプールの中で泳ぎ方を教えているだけではないということです。
人によっては水泳のインストラクターは、朝から晩までずっとプールの中で水着を着て、子供から大人を対象に、泳ぎ方を教えているイメージがあるかもしれませんね。
確かに一般の職業の人に比べて、圧倒的に陸にいる時間は少ないですが、実際には泳ぎ方を教える以外にも多くの仕事を抱えているのか水泳の先生の実態です。
では具体的に水泳の先生にどのような業務があるのか、あるスポーツクラブを例に出して紹介していきましょう。
水泳の指導
1つ目は最も水泳の先生のメインとなるプールの中で実践で泳ぎ方を教える仕事です。
ほとんどのスクールでは、泳ぎ方のレベルに合わせてクラス分けがされています。
水に慣れることを目的とした超初心者コースから選手育成コースまで、何十級にも分かれているのがスイミングスクールの特徴です。
また年代によって分けられていることもありますね。
お母さんと一緒に行うベビースイミングから、ジュニアコース、成人コース、シルバーコースなど、パワーの違う生徒さんが重ならないように、上手に時間や曜日を分けてカリキュラムが組まれています。
一口に水泳の指導といっても、スイミングスクールのコーチは各レベルに適した指導方法を行わなくてはいけません。
水泳以外の指導
スイミングスクールのコーチは、水泳以外にも教えなくてはいけないことが結構あるのです。
例えばジュニアコースであれば、プールのマナーや水泳を習う上での心構えなど、精神論的な指導も求められます。
他にわかりやすい例を挙げると、フィットネスクラブがあります。
フィットネスクラブで泳ぎを教えるコーチは、上手に早く泳げるようになることを目的としたスイミングスクールとは違って、体力の向上や筋力をつけること、綺麗に痩せて太りにくい体を作ることを指導していくことがメインです。
また最近では、発達障害などの生徒を受け入れ、水泳を通して社会生活を送る上での適応能力を教えていくスイミングスクールもあります。
このように指導する目的別に様々な知識を求められるのが、スイミングスクールのコーチの幅広い指導内容です。
デスクワーク
水泳の先生で意外に多いのが、デスクワークなどの事務作業です。
中にはコーチングの合間をぬって、水着のまま事務所でデスクワークをこなす先生もいます。
もちろんスイミングスクールによっては、事務専用の職員も在籍しています。
しかしコーチにしかできない事務作業もあるので、最低でもExcelやWordを使いこなせるだけのパソコン技術は求められるでしょう。
具体的には以下のようなデスクワークがあります。
これらのデスクワークはあくまでも一部にすぎません。
規模が小さいスクールであれば、生徒から受け取った月謝の管理や、新しいコーチを募集するための求人広告作成など、こんなことまで先生がやるのか…ということまで任されている場合があります。
施設の管理
水泳の先生が最も気を遣う仕事のひとつです。
水泳の指導の傍ら担当を順番に決めて、施設内の設備の点検や補修依頼を行っています。
また数分ごとに行う水質チェックも重要な仕事です。
これらの施設チェックはマニュアル化されていて、いつ誰がどこの部分を担当するのかシフトで割り当てられています。
スイミングスクールで一番気を使わなくてはいけないのは、利用者の安心と安全。
事故が起こってからでは遅いので、事前に不備がないかを厳しい目でチェックするのもインストラクターの大切な仕事です。
水泳コーチの大変さ
前項で紹介したように、 いかに水泳の先生が多忙で大変な仕事を担っているかお分かりいただけましたね。
それ以外にも、水泳の先生には目に見えない大変さがいくつかあるので、リアルな例を3つ挙げて紹介します。
これから転職を考えている人も参考にしてみてください。
人命を預かる大変さ
水泳は数あるスポーツの中でも、人の命に大きく関わることがある大変な競技です。
特に小さな子供や高齢者を相手にしている場合は、少し目を離した隙に重大な事態に発展しまうことが少なくありません。
楽しく指導をしながらも、一瞬たりとも気を抜かずに目を光らせていなくてはいけない大変さがあります。
またインストラクターは非常事態に備えて、人命救助の訓練を日常的に行っています。
脅してしまうようですが、事故の内容によっては家族から訴訟を起こされる場合もあり、精神的にもとても疲れる大変な仕事です。
保護者の対応の大変さ
特にジュニアコースを受け持つインストラクターに多い悩みが、子供の親への対応です。
親によってはモンスターペアレンツもいて、自分の子供だけを特別視するような困った要望を言ってくる保護者もいます。
これは利用者側に「高いお金を払って通わせている」という驕りがあるのかもしれません。
一方でモンペと対照的に、心配性すぎる保護者への対応にも骨を折ります。
些細なことを心配して頻繁に連絡を入れてくるので、インストラクターの他の業務が滞ってしまう時があります。
いずれの場合も生徒だけが対象ではないことが、インストラクターの職業の大変さです。
同じような悩みは、保育園や学校の先生も抱えていますね。
給与面での大変さ
最後にリアルな大変さをもう一つ…。
それは水泳の先生の給料面での問題です。
はっきり言うと、水泳のインストラクターの平均年収は決して高いものではありません。
所属する団体が株式会社だとしても、平均的なサラリーマンの収入と変わらないか、それより少し低めの水準なのが現状です。
中には独立してパーソナルトレーナーとして活躍するコーチもいます。
ここまで来れば自分で料金を設定することもできますし、上客がつけばそれなりの年収を望むことができます。
しかしここまでなれるのは、どんなに経験を積んだインストラクターでもごく一部です。
また体力面や精神面での負担が大きい割に、平均年収が一般のサラリーマンと変わらないこともネックかもしれません。
本当に好きではないと務まらない仕事ですね。
それでもやっぱり水泳が好き!水泳コーチのやりがい
色々大変さを並べてしまいましたが、それでもやっぱり水泳コーチになるべくしてなる人はたくさんいます。
最後にこれぞ水泳コーチのやりがい!を2つ紹介します。
生徒の上達
「水が怖くなくなった」「泳げるようになった」「痩せた!」など、目に見えた成長がはっきりと分かるところが、水泳コーチの仕事の一番のやりがいです。
特に水泳は、子供のうちから習っておくと基礎体力がつき体が丈夫になるスポーツです。
努力次第で級が上がっていくので、水泳を通して得た忍耐力に本人だけではなく、親御さんからも感謝されることが多いやりがいのある仕事です。
教え子の活躍
選手育成コースを受け持っていると、思いがけない逸材に出会えることがあります。
そのような子がメキメキと成長し大会で記録を作っていくと、コーチとしては俄然やる気が増していきますね。
名選手が必ずしも名コーチになれるとは限りません。
自身はスポーツ選手としての実績はなくても、有名水泳選手の指導者として名前が世に知れ渡る水泳コーチもたくさんいます!
一生懸命仕事をした結果が、思わぬ事態に発展することも夢ではありません。
スイミングスクールの先生の大変さとやりがいまとめ
水泳コーチの大変さややりがいについて紹介してきました。
ちなみに水泳コーチとして働くには、必ず取得しなければいけない特別な資格はありません。
スイミングスクールの規定によって各々の採用基準がありますが、その気になれば誰でもなることができる職業です。
「我こそは!」という人は、未来のスイマーのために一肌脱いでみてください!