2022年10月21日、小室圭さんがニューヨーク州の司法試験に合格したことが話題になり、日本人がニューヨークで司法試験を受験することに注目が集まっています。
また、アメリカは賃金が日本より非常に高くなっていることもあって、言語の壁を越えられるのであれば、アメリカで弁護士になった方が金銭的には得だという意見もあります。
そこでこの記事では、ニューヨークと日本の司法試験の違いを解説した後に、ニューヨークの司法試験の合格率、合格発表、難易度などの詳細をご紹介していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
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アメリカの司法試験の難易度
まず最初にニューヨークの司法試験の難易度と、日本とニューヨークの司法試験自体の違いを解説していきます。
ニューヨークと日本では司法試験の制度や難易度に大きな違いがあるようです。
司法試験の難易度は高い?他資格とのランキング比較や合格率・偏差値・勉強時間の目安について解説
アメリカの司法試験の合格率は約75%
日本とニューヨークの司法試験の合格率を比較すると、日本は40%前後、ニューヨークは受験生全体で約75%となっています。
また、外国人がニューヨークの司法試験を受験した場合、合格率は50%前後となっているようです。
ですので、合格率のみで比較した場合ニューヨークの司法試験の方が難易度が低いということになります。
しかし、日本人がニューヨークの司法試験を受験する場合、言語の壁もありますので日本で受験する方が難易度が低くなるでしょう。
アメリカの司法試験の受験生はロースクールの学生が多い
司法試験を受験するにあたって、ニューヨークでもロースクールに通いながら予備校にも通っている方が多くいらっしゃいます。
しかし、日本と大きく違うのはニューヨークの予備校とロースクールは協力関係にあるということです。
例えば、ニューヨークではロースクールの夏期休暇中に、大学内の講堂を予備校に貸し出し、学生を相手に予備校の授業を行っていたりします。
逆に日本では、ロースクールと予備校はどちらかというと商売敵のような関係にあるため、大学の講堂を借りるのではなく、オンラインスクールが発達しているのかもしれません。
アメリカの司法試験の概要
ニューヨークの司法試験の概要をチェックしましょう。
受験資格や日程、合格発表についてまとめました。
ニューヨークの司法試験は、日本のものと制度の内容が大きく違うことに注意してください。
アメリカの司法試験の受験資格
日本の司法試験では、2年制の法科大学院を卒業するか、予備試験に合格することで受験資格を得ることができます。
しかし、ニューヨークでは予備試験のようなものは存在せず、基本的には3年制のロースクールを卒業した人に司法試験の受験資格が与えられます。
日本からニューヨークの司法試験を受験する場合は、ニューヨークのロースクールで3年学ぶか、日本の法科大学院を卒業後ニューヨークのロースクールで1年勉強することになります。
どちらにしてもニューヨークのロースクールを受験しなければならないので、大学時代から英語の勉強も進めておく必要があります。
アメリカの司法試験の日程、合格発表
ニューヨークの司法試験は年に2回で、7月と2月にそれぞれ2日間の試験期間で行われます。
合格発表は主に試験が行われた月の3ヶ月後に発表され、審査委員会が公式HPに司法試験合格者リストを掲載します。
これは日本の司法試験の合格発表と似ており、日本からでも合格発表を確認することが可能です。
試験日程には違いがありますが、合格発表には違いがほとんどありません。
日本の司法試験は年1回で、期間が非常に長く、短答式試験が5月中旬に始まり、最後の口述式試験が11月初旬に行われるため、試験期間は半年間に及びます。
アメリカの司法試験が難しいと言われる理由
ニューヨークの司法試験が難しいと言われる理由をチェックしましょう。
- 州ごとに司法試験に合格する必要がある
- 入学試験はロースクールの上位20%が合格ライン
- 日本人は語学力も試される
理由①州ごとに司法試験に合格する必要がある
日本ではどこで司法試験を受験しても同じ内容になっていますが、アメリカは州ごとに法律が違っているため、アメリカの司法試験「Bar Exam」は州ごとに内容が異なっています。
そのためアメリカで弁護士として活動する場合、自分が司法試験を受験した州のみに限定されることになります。
また、外国人の受験を認めていない州も多数あるため、日本人がアメリカで弁護士になる場合、大抵はニューヨーク州かカリフォルニア州になるようです。
理由②入学試験はロースクールの上位20%が合格ライン
日本とニューヨークでは司法試験に合格するまでの関門が異なります。
日本では法学部出身でなくとも、予備校に通い予備試験に合格すれば司法試験を受験できますし、法科大学院も有名大学でなければ比較的容易に入学できることがあります。
しかし、ニューヨークの場合はロースクールに通わなければ受験資格が得られず、そのロースクールが非常に難しくなっています。
具体的には、推薦を得るためには日本で言う所のGPA(大学の成績)が3.7以上(4段階評価)、入学試験は上位20%が合格ラインと言われています。
つまり、ニューヨークでロースクールに入学するということは、日本で医学部に入学するようなもので、法科大学院とは難易度が違うということが分かるでしょう。
さらに日本人がアメリカで生活しロースクールに通うためには莫大な費用が掛かりますので、司法試験自体よりも厳しいという可能性があります。
理由③日本人は語学力も試される
日本人がニューヨーク州の司法試験に合格するためには、語学力も試されます。
英会話だけでなく、裁判の手続きや業務に使う書類作成の能力も必須でしょう。
ニューヨークで弁護士になるためには、並大抵の英会話だけでは乗り切れません。
弁護士はコミュニケーション能力も試される仕事です。
英会話の細かいニュアンスや伝え方などにも、力を入れてください。
アメリカの司法試験の難易度を他試験とランキングで比較
ニューヨーク司法試験の難易度を他のエリアのものと比べました。
司法試験 | 合格率 |
---|---|
ニューヨークの司法試験 | 約75% |
日本の司法試験 | 40%前後 |
カリフォルニア州司法試験 | 52%前後 |
ワシントン州司法試験 | 20%前後 |
ニューヨーク司法試験は、合格率が比較的高い傾向です。
しかし、日本の司法試験とは弁護士になるための方法が異なることに注意しましょう。
ほかにも、司法試験の合格率は、試験の難易度とはほとんど関係がありません。
アメリカの司法試験の種類・科目
ここからはニューヨークの司法試験の種類を解説していきます。
ニューヨークの司法試験の試験方式は、MBE(択一式)試験とMEE/MPT(論文式)試験の2種類があります。
配点はMBEが50%、MEEが30%、MPTが20%となっており、全体で400点中266点を獲得すると司法試験合格となります。
アメリカの司法試験の試験方式①:MBE
MBEは4択から正解を選ぶ試験で、試験範囲は以下の7科目となっており、日本の司法試験とは異なる科目もあります。
ニューヨークの司法試験範囲
- Civil Procedure 民事訴訟法
- Constitutional Law 憲法
- Contracts 契約法
- Criminal Law & Procedure 刑法及び刑事訴訟法
- Evidence 証拠法
- Real Property 不動産法
- Torts 不法行為法
試験は180分100問×2なので、択一式試験だけで6時間200問の試験が行われます。
問題の配分はContractsが28問・他の科目は27問となっていますが、実際試験の合否に関わるのは190問となっています。
残りの10問は試験の調査のために出題されるそうで、どれが調査問題なのかは明かされていません。
このMBEの勉強は非常に重要で、ここで得た知識をそのままMEEに活かすことが出来ます。
さらにMBEは得点しやすいと言われているので、MBEで高得点を狙いMEE/MPTを最低限で逃げ切るというのが最も推奨されている受験戦略のようです。
アメリカの司法試験の試験方式②:MEE
MEEは文章を読んで最大4問の小問に論述で解答する試験です。
6つの大問を180分で解くのですが、試験範囲が15科目とMBEより広くなっており、さらにその15科目から6~7科目がランダムで出題されます。
以下にMEEで加わった科目をご紹介します。
MEEで加わった科目
- Agency & Partnership 代理・組合
- Corporations 会社法
- Conflist of Laws 適用法選択の問題
- Family Laws 家族法
- Secured Transactions 担保権
- Trust 信託法
- Wills 相続
このMEEは出題範囲がギャンブルの要素を含んでいるため、アメリカの予備校ではどの範囲が出題されるかの予想を売っていることもあります。
しかし、ヤマを外した時のリスクが大きすぎるため、基本的には15科目全てを勉強していくことが重要なようです。
アメリカの司法試験の試験方式③:MPT
MPTはMEEよりもかなり長い文章を読んで、指定された形式の文章を作成する論述問題で、大問は2つ、試験時間は180分となっています。
そして、MPTはMBEとMEEの知識で解くことが出来る問題ですが、解答の作成の仕方をある程度学んでおかないと得点がしにくい試験方式です。
また、スピード感が求められる試験になっていますので、英語力が影響する試験にもなっており、日本人には少し不利と言われる試験のようです。
難易度の高いアメリカの司法試験に合格するポイント
難易度の高いニューヨークの司法試験に合格するポイントを紹介します。
- BarBri模試を活用する
- 日本人ノートで勉強する
- ニューヨークの法律に詳しくなる
ニューヨークの司法試験対策で非常に重要なのは、BarBri模試と日本人ノート(テキスト)です。
ポイント①BarBri模試を活用する
BarBriとは、40年以上の歴史を持つ司法試験対策予備校で、多くの受験生が年1回7月に行われるBarBri模試で実力を確かめます。
特にMPTに関してはBarBri模試のみで対策するという方もいらっしゃるほどで、その重要性が良く分かります。
ポイント②日本人ノートで勉強する
日本人がニューヨークの司法試験を受験する場合に大切になるのが日本人ノートです。
日本人ノートは、ニューヨークの司法試験で合格した人たちが残した、日本語で解説された勉強方法や解答が載っているテキストです。
日本人が作成した物であるため非常に読みやすく、ニューヨークの司法試験を受験する多くの人が読み込んでいます。
ネットで手に入るので、ニューヨークの司法試験を検討している方は是非活用してみて下さい。
ポイント③アメリカの法律に詳しくなる
ニューヨークの司法試験に合格するためには、ニューヨークの法律に詳しくなりましょう。
過去の事件の内容や判例をチェックし、法律知識を身につけてください。
法律の知識は、判例を確認することでも勉強できます。
アメリカの司法試験で注意したいことは、州ごとに試験内容が異なることです。
求められる最低知識や要件はどれくらいか、早い段階で確認しましょう。
アメリカで働く弁護士の平均年収
ニューヨークで弁護士として働けば、1,000万円以上の年収が期待できるでしょう。
日本の弁護士の平均年収は、971.4万円です。
経済活動が盛んなアメリカであれば、それ以上の金額が期待できますね。
弁護士として有名になれば国際的な活動も可能です。
実績はキャリアを積むことで、1,000万円以上の年収は夢ではありません。
アメリカで働く弁護士の将来性
ニューヨークで働く弁護士の将来性はおおむね安定しています。
法律にかかわる業務の中には、弁護士しかできない仕事も数多くあります。
国際的な活躍が求められるアメリカの弁護士は、日本人からの需要も高いです。
ニューヨークで働く弁護士は、日本だけで仕事をしている弁護士よりも、幅広い仕事ができます。
大手法律事務所に所属すれば、これからも仕事が無くなることはないでしょう。
アメリカの司法試験の独学合格が難しい理由
ニューヨーク州の弁護士になるには、独学ではほぼ不可能と言えます。
以下の理由からも、個人ひとりでの挑戦はお勧めできません。
- ロースクールLLMの卒業が最低条件
- 弁護士としての実務能力・職業倫理が必須
ここからは、それぞれの理由を見ていきましょう。
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独学が難しい理由①ロースクールLLMの卒業が最低条件
ニューヨーク州の弁護士になるには、ロースクールLLMの卒業が最低条件です。
LLM(Master of Laws(マスター・オブ・ロー))は、ロースクールの留学生向けコースです。
どれだけ日本で活躍していても、ロースクールに通わなくては司法試験は受験できません。
ロースクールの通学をしながら、法律事務所への訪問やインターンなども経験しましょう。
独学で対応できる範囲には限りがあります。
独学が難しい理由②弁護士としての実務能力・職業倫理が必須
Skills Competency Requirement(弁護士としての実務能力・職業倫理)を満たす必要があります。
日本人弁護士であれば、1年以上フルタイムで働いたという実務経験が必要です。
ニューヨーク州の弁護士になるには、個人の力だけでは難しいでしょう。
試験に合格しても認められる要件を満たさなければ、ニューヨーク州の弁護士として登録できません。
アメリカの司法試験は受験の条件が決まっている
この記事では、ニューヨークと日本の司法試験の違いを解説した後に、ニューヨークの司法試験の合格率、合格発表、難易度などをご紹介してきました。
ニューヨークの司法試験は、予備試験のような試験が無く、ロースクールを卒業する必要があり、日本の法科大学院を卒業していても1年はロースクールに通わなければなりません。
さらに択一式試験と論述式試験を2日間で行うため、それぞれに合否は無く、総合得点のみで司法試験の合否が判断されます。
試験以外の違いとしては、ロースクールの入学が非常に難しいことや、ロースクールと予備校が協力関係にあることなどが挙げられていました。
試験内容としては、択一式試験のMBE、論述式試験のMEE/MPTがあり、MBEをしっかり学習することが重要だと言われています。
ニューヨークで日本人が司法試験を受験するのは敷居が高いですが、弁護士になることができれば年収3,000万円も夢ではありません。
是非挑戦してみて下さい。