行政書士は1万種類以上の書類作成を行うことが出来るスペシャリストであり、不動産関係の仕事も行うことが出来ます。
しかし不動産に関わる仕事は弁護士や司法書士等別の職業も独占業務として関わっていることから、行政書士にはできない仕事があることも分かります。
そこでこの記事では、行政書士が相続・名義変更・登記といった不動産業界の仕事をどこまで出来るのか、やってはいけない仕事はあるのか、どんな仕事と兼業するのかなどを解説していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
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行政書士の不動産業界での仕事
まず最初に、行政書士が不動産業界で行う仕事内容を解説します。
司法書士や宅建士という不動産に対応した職業がある中で、行政書士はどんな仕事を行うのでしょうか?
営業許可の取得
営業許可は、行政書士に依頼しなくてもお店を営業するオーナーが自分で取得することが可能です。
しかし新しくお店を開業するにあたって、例えば飲食店などであればお店の工事や品物・材料の仕入れ・従業員の募集などやることが大量にあります。
そんな中、必要書類に記入するだけならまだしも申請に必要なお店の図面を用意したり衛生管理に必要な保健所との協議などが必要な営業許可の取得は非常に面倒な作業になってしまいます。
さらに必要書類が不足していたり不備があった場合、何度も役所に出向かなければなりません。
そこで行政書士に依頼すれば、費用は掛かるもののこれらの面倒な書類作成と役所への手続きを代行してくれるため労力を減らすことが出来ます。
また飲食店であれば外で客引きなどをしたり深夜に営業したりする場合はまた別の許可が必要になりますが、行政書士に依頼すれば必要な許可は全て代行してくれます。
これらの理由から各種許可の取得を行政書士に依頼する人が多く、行政書士としても許可取得をメインにしている方がいらっしゃいます。
不動産会社のバックアップ
行政書士のような士業は個人で依頼主を相手にする印象が強いかもしれませんが、司法書士などの他の士業と協力して仕事をすることも多くあります。
その代表的な仕事が不動産会社のバックアップです。
不動産会社の中には、顧客は多く獲得できているが多忙により書類業務が追いついていなかったり書類作成の知識がある担当者が少ない会社もあります。
そこで行政書士や司法書士がそれぞれ得意とする分野で不動産会社をバックアップして、不動産から報酬を得るという形で業務を行います。
行政書士のような士業は個人で活動する場合継続して顧客を獲得することが難しかったりしますが、この方法であれば個人で仕事を受けるより報酬は下がっても仕事と経験を獲得することが出来ます。
また「不動産関係の仕事の経験を積みたい」という人は、行政書士の資格を活かして不動産会社にそのまま就職することもあるようです。
農地転用
農地が無くなると人が生きていくための食糧が確保できなくなるため、自分の所有する土地であったとしても農地を勝手に開拓することは法律上出来なくなっています。
そのためもし農地を売ったり貸したり農地に何かを建てたいのであれば、その自治体の許可を得る必要があります。
その際行政書士は農地転用の届出を作成することが出来ますし、各自治体の農業委員会に許可も取ってくれます。
もちろん自分で許可を取ることも可能ですが、万が一農地法違反と判断されてしまった場合工事などを既に始めていても中止命令が出てしまうことがあります。
工事費用も高額になりますし、安心して農地転用をするために行政書士に依頼する人が多くなっているようです。
不動産関係のコンサルティング
行政書士は不動産のコンサルティングも行っています。
コンサルティングには、相談を受けた上で不動産の運営方法を企画する企画提案型と企画から実際に業務執行までを行う事業執行型の2種類があります。
大半の行政書士は企画提案型でコンサルティングをしていますが、宅建士などを取得しており不動産に特化した行政書士は他の行政書士と差別化して事業執行型でコンサルティングをしているようです。
行政書士は元々書類作成が得意分野のため、不動産に関する知識を持っていれば適切な提案書を作成しコンサルティングを行うことが出来るでしょう。
上手くいけば行政書士の基本業務より稼げるようになりますが、不動産の勉強を追加で行う必要があるため基本業務を軌道に乗せた後に始めると良いかもしれません。
行政書士が不動産業界でできない仕事は?
上記でご紹介した通り、行政書士は不動産業界でも十分活躍することが出来ます。
しかしあくまで行政書士の仕事は書類作成と役所への申請代行であり、司法書士や宅建士と比較すると不動産業界で動きにくいパターンも多々あります。
ここでは、行政書士が不動産業界で出来ない仕事をご紹介していきます。
不動産の登記
不動産の登記とは「誰がどんな不動産を持っているか」を登録することを指し、権利関係などを明確にします。
登記が必要なタイミングとしては、家を買ったり会社を設立したりといった不動産を取得した時や住所変更・結婚によって姓が変わった時などです。
そしてこの不動産の登記は行政書士には行うことが出来ず、司法書士の独占業務となっています。
つまり会社の設立などに行政書士が関わる場合、定款の作成といった必要書類を作成するだけで登記は行っていないのです。
相続での不動産に関する業務
相続登記は不動産を相続した際にその不動産の持ち主に名義変更することを指します。
この相続登記と相続の放棄、そして争いに発展した場合の家庭裁判所に提出する申立書の作成は司法書士にしか行うことが出来ません。
また、不動産の相続によって発生する相続税に関しても、税理士のみが扱える業務となっています。
基本的に、相続分野における不動産には行政書士が関わることは出来ないと考えておきましょう。
不動産の個人間売買
不動産の個人間売買が行われる時、活躍するのは行政書士ではなく司法書士です。
稀に行政書士に依頼する方もいらっしゃるようですが、行政書士が出来るのは個人間売買の契約書作成までになります。
そのため、売買が行われた後不動産の登記は自分たちで行うか司法書士に依頼することになります。
しかし、いずれ司法書士に依頼するのであれば契約書作成の時点から依頼する方が効率が良いでしょう。
つまり、不動産の個人間売買は行政書士には出来ないと言っても過言ではないのです。
行政書士と相性の良い兼業は?
行政書士の業務範囲は幅広く不動産業界でも仕事がありますが、不動産に関する全ての業務を行うことは出来ません。
そこで個人で働いている行政書士は、他の資格を取得して行政書士と兼業という形で業務範囲を拡大し自分で最初から最後まで仕事を受けられるようにすることがあります。
ここでは不動産分野において行政書士と兼業で相性の良い資格をご紹介していきます。
司法書士
司法書士の資格を取得する最大のメリットは、会社設立業務を1人で請け負うことが出来るようになることです。
顧客の立場に立って考えた時、会社設立の手助けを行政書士と司法書士別々の事務所に頼むのは非常に面倒ですよね。
そこで会社設立に必要な書類作成と登記の両方ができることをアピールしておけば、会社設立の依頼が舞い込んでくるようになると考えられます。
最近では行政書士と司法書士の試験範囲が被っていることもあり兼業している方が多いため、行政書士の資格しか持っていないと会社設立の依頼を引き受けるのは難しいかもしれません。
また相続に関しても、司法書士の資格を持っていると相続税以外の業務であれば対応できるため行政書士の書類作成の経験を活かしながらスムーズに相続の依頼を受けることが出来るようになるでしょう。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は建物や土地を分析・調査して依頼に応じて図面を作成したり、不動産の登記を行う士業です。
行政書士は営業許可の取得依頼などで建物の図面を用意することがあり、また土地家屋調査士の取得で登記が可能になるため農地転用の依頼を1人でこなせるようになります。
さらに相続の際にも「相続する土地を分割する際に測量する必要がある」「土地の境界が不明」といった事態に対応することが可能になります。
業務の幅はかなり限定されますが、表示に関する登記業務は土地家屋調査士の独占業務のため他の行政書士に仕事を奪われる心配もありません。
試験に関しては司法書士と比較すると範囲はあまり被っていませんが、不動産の範囲では有利に立てると言われています。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は所謂宅建士のことで、不動産分野に特化するのであれば行政書士業務にも役立てることが可能です。
例えば司法書士と協力して不動産会社のバックアップをする際、担当する行政書士に不動産の知識があれば連携が取りやすくなります。
さらに不動産に関係する書類を作成する時や不動産関係のコンサルティングにも宅建士の知識を活かすことが出来ますし、顧客に不動産関係の知識があることをアピールできます。
しかし残念ながら試験範囲はあまり被っていないため、行政書士の資格を持っているからといって試験で有利になることはないようです。
行政書士資格は不動産業でも活かせる?まとめ
この記事では、不動産業界において行政書士が出来る仕事の範囲・やってはいけない仕事・どんな仕事と兼業するのかなどを解説してきました。
不動産に関連していて行政書士が出来る仕事は、飲食店などの営業許可取得・不動産会社のバックアップ・不動産に関するコンサルティングなどが挙げられます。
一方出来ない仕事は、不動産の登記や相続での不動産に関する業務や不動産の個人間売買などです。
また相性の良い兼業としては会社設立のワンストップ営業が出来る司法書士や農地転用で役立つ土地家屋調査士、不動産のスペシャリストになれる宅建士があります。
兼業するためには多大な労力が必要になりますが業務の幅が大きく広がるため、行政書士として上を目指したい方は是非挑戦してみて下さい。