社労士とは社会保険労務士法に基づく国家資格で、労務管理や社会保険のエキスパートです。
社労士になると、社会保険の管理や職場環境改善のコンサルティングなどの業務に従事することができます。
社労士は毎年多くの受験生がいる人気の国家資格の1つですが、その一方で合格率が低い難関資格でもあります。
こちらの記事ではそんな社労士を目指す際に知っておくべき試験の概要や合格に向けた勉強方法、また合格後の社労士の仕事内容について解説をしていきます。
社労士の仕事内容に興味のある方にとって役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
社会保険労務士試験におすすめの通信講座
社労士になるにはどうすれば良い?流れを紹介
社労士試験は毎年1回行われます。
そして試験合格後、社会保険労務士連合会の名簿に登録することで社労士としての仕事をスタートできます。
しかし試験には受験資格が設けられており、社会保険労務士連合会の名簿に登録するための実務経験や講習を修了させる必要があるなどの条件もあります。
以下で、社労士になるための流れを詳しくご説明します。
社労士試験に合格する
社労士試験は例年8月第4日曜日に行われます。
受験資格は以下の通りです。
- 大学・短期大学・専門学校・高等専門学校等を卒業していること
- 法人や社労士の補助などの実務経験が概ね3年以上あること
- 厚生労働大臣の認めた国家試験合格
上記のいずれか一つを満たしている必要があります。
試験申込み時に受験資格証明書を提出しなければならないため、試験を受ける方は早めに用意しておきましょう。
また試験の申込期間について、令和5年度の試験を例に挙げると以下のようになります。
郵送での申込期間 | 令和5年4月17日から5月31日まで |
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インターネットでの申込期間 | 令和4年4月18日から5月31日まで |
試験日 | 令和5年8月27日 |
合格発表日 | 令和5年10月4日 |
受験手数料 | 15,000円 |
事務指定講習を受ける(実務経験がない場合)
前述したように、無事に社労士試験に合格した後社労士連合会の名簿に登録されることで社労士としての活動をスタートできます。
しかし名簿に登録するためには下記いずれかの資格要件をクリアしなければなりません。
- 2年以上の実務経験
- 実務経験にかわる事務指定講習の受講
3年以上の実務経験をもって受験した方を除き、合格後に社労士として活動するために2年以上の実務経験を積むか事務指定講習を受ける必要があります。
事務指定講習について、令和5年(第43回)の講習を例に挙げると下記のようになっています。
申込期間 | 令和5年11月10日から12月1日 |
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講習内容 | 通信指導・eラーニング講習 |
受講料 | 77,000円(税込) |
こちらの事務指定講習を受ければ、2年以上の実務経験がなくても社労士としての活動ができるようになります。
社労士登録をする
社労士試験に合格して2年以上の実務経験をクリアまたは事務指定講習の受講が完了したら、社労士名簿に登録することで社労士としての活動を開始できます。
社労士名簿に登録するために届け出る社労士会は、開業する事務所もしくは勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県の社会保険労務士会です。
自身が入会を予定している社労士会に登録免許税・手数料とともに登録申請書類を提出しましょう。
都道府県社労士会が審査を実施し、審査が通れば全国社労士会から証票が発行され社労士として活動することが可能となります。
社労士試験の難易度・必要な勉強時間
社労士試験は八士業といわれる難関国家資格の1つで、難易度は非常に高いです。
試験内容は、空欄に当てはまる単語を選ぶ選択式試験が40点満点・問題の解答に適切なものを選択する択一式試験が70点満点となっています。
社労士試験の合格率
直近5年の社労士試験の合格率は下記のように推移しています。
令和5年度 | 6.4% |
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令和4年度 | 5.3% |
令和3年度 | 7.9% |
令和2年度 | 6.4% |
令和元年度 | 6.6% |
上記のように合格率は5~8%の間で推移しており、10人に1人も合格できないレベルです。
この合格率から判断すると、難易度としては「宅建士やFP1級より難しく税理士や司法書士よりは易しい」というレベル感と言えます。
社労士試験に合格するための勉強時間
社労士試験に合格するための勉強時間は1,000時間程度と言われています。
単純計算で1日8時間勉強すると125日、1日4時間勉強すると250日かかることになります。
生活スタイルによって1日に確保できる勉強時間は異なるため、自身にとって最適な勉強スケジュールを考えることが重要と言えるでしょう。
また事前知識の有無や勉強の進捗度も個人によって差があります。
そのため、スケジュールを立てる際にはできるだけゆとりを持って計画することを意識してみてください。
社労士の仕事内容
社労士の仕事は、大きく下記の3つに分けられます。
- 社会保険等の手続き代行(1号業務)
- 社会保険関係の書類作成・提出(2号業務)
- 人事労務管理・職場環境改善のコンサルティング(3号業務)
上記のうち、1号業務及び2号業務は社労士にしか業務を行うことが許されていない独占業務です。
それぞれの業務内容について、以下の項目で詳しく解説していきます。
社会保険手続きの代行
社会保険手続きの代行では雇用保険・労働保険・厚生年金等に関連する書類を作成して官公署へ提出します。
社会保険のプロフェッショナルである社労士が社会保険手続きを代行することで、会社は本来の業務に集中できます。
また手続きに不慣れな会社の場合は書類作成に失敗してしまうことがあるため、社労士が頼られる場面は多いです。
社会保険労務士に必要な手続きを任せることで、法律違反となってしまうことを未然に防ぐことができるメリットがあります。
正しい社会保険手続きを支援することは、社会保険労務士の大切な仕事と言えるでしょう。
社会保険関係の書類作成・提出
社会保険労務士は、社会保険関係の書類作成と提出を行うこともあります。
具体的には労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の帳簿や就業規則の作成代行が該当します。
これらの書類は従業員の業務管理を行い社内ルールを徹底するために必要ですが、作成が煩雑であることから社会保険労務士が代行するケースが多いです。
人事労務管理
人事労務管理とは、主に下記が挙げられます。
- 企業の採用活動
- 入退社に伴う社会保険手続き
- 人材教育
- 従業員の給与や勤怠管理
社員が安心して働く上で、労務管理は非常に重要です。
社会保険労務士は会社から相談の依頼を受けるほか、労務管理ができていない会社に対して必要な指導を行うこともあります。
職場環境改善のコンサルティング
近年は働き方改革やワークライフバランスが重視されています。
優秀な人材を確保するためには、職場環境の見直しをはじめとした改善を行うことが大切です。
社会保険労務士は、社員の声をヒアリングし会社の方針や規則と折り合いをつけながら最適な職場環境作りに貢献しています。
社会保険労務士として中立的な立場から専門的なアドバイスをすることで、様々な企業から頼られるようになるでしょう。
社労士資格の取得方法
前述したとおり、社労士試験は合格に必要な勉強時間が1,000時間と言われる難関試験です。
社労士資格を取得するための勉強方法はいくつかありますが、自分に合った勉強法を把握して合格を目指していきましょう。
独学で勉強する
独学は、学習費用が削減でき自分が選んだテキストを用いてマイペースに勉強できるメリットがあります。
しかし費用や勉強時間の調整がしやすい一方モチベーションの維持が難しく、挫折しやすいデメリットがあります。
また疑問点や不明点があっても気軽に質問できないため、そのまま放置してしまいがちです。
自分を律しながら勉強できる自信がある方は、独学が向いている可能性が高いと言えるでしょう。
通信講座を受講する
通信講座とは、自宅に郵送されるテキストを用いて受講する勉強法です。
基本的に通学はせず、パッケージ化された教材を用いて勉強を進めることになります。
優れた教材を用いながら自分のペースで効率的に資格勉強を進められる点が大きなメリットです。
独学よりは費用が掛かりますが、サポートも充実しているため独学で勉強を続けられるか不安な方にはおすすめの勉強方法となります。
通信講座スクールとして有名なのは、下記の講座です。
- 生涯学習のユーキャン
- フォーサイト
- 資格の大原
- アガルート
それぞれ特徴や使用するテキストが異なるため、自分に合った通信講座スクールを選ぶことが重要です。
スクールに通う
資格取得スクールに通学して資格勉強に励む方法もあります。
費用は1番かかる方法ですが、下記のように様々なメリットが期待できます。
- プロの講師の生授業を聞ける
- 同じ目標を持つ仲間と勉強できる
- 質問がしやすい
- モチベーションを保ちやすい
なお大手のスクールとしては資格の学校TAC・資格の大原・LECなどが挙げられます。
各学校に強みがあるため、自分に合った学校を探してみてください。
社労士になるための流れまとめ
この記事では社労士になるための流れ・試験の難易度・仕事内容などについて詳しく解説してきました。
社労士になるためには、合格率が低い難関試験を突破しなければなりません。
社労士になるのは難しいものの、社労士の仕事は経営者と労働者の架け橋となるため大きなやりがいを感じることができるでしょう。
独学でも勉強は可能ですが、本気で社労士になりたいと考えている方は通信講座やスクールの利用がおすすめです。
こちらの記事を参考にしながら、効率的な勉強法や自分が社労士に向いているかどうかを判断してみてください。