社労士は労務管理や社会保険制度全般のエキスパートで、その資格を活かしやすい業界は幅広いです。
不動産業界においても、社労士資格は社労士本来の業務以上に役立つ場面が数多くあります。
例えば不動産業界では長時間労働が常態化している企業が多く、労務環境を改善するために社労士の知識を活かすことができます。
また不動産営業の実務で社労士としての知見を活かせる場面は多いことから、不動産業界において社労士は活躍しやすいと言えるでしょう。
そこでこちらの記事では、不動産業界における社労士資格を活かせる場面や社労士ならではの強みなどを紹介していきます。
社労士資格を活用できる就職先を検討している方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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社労士の仕事内容
労務管理・社会保険のエキスパートである社労士は、不動産業界を含むどの業界でも必要不可欠な存在です。
そんな社労士の業務は主に下記の3が挙げられます。
- 雇用保険や労働保険に関する書類を官公庁に提出する「社会保険手続きの代行」
- 労働者名簿や就業規則の作成代行を行う「社会保険関係の書類作成・提出」
- 人材教育や従業員の給与や勤退管理、良好な職場環境の実現をサポートする「人事労務管理及び職場環境改善のコンサルティング」
社労士は会社内で必要不可欠な業務に従事しているのはもちろん、外部顧問などでも企業から頼られる存在と言えるでしょう。
不動産業界で社労士資格が活かせる場面
不動産業界は実力社会で、売上とノルマの追求意識が高い業界です。
それ故に、長時間残業の抑制や有給休暇の取得といった労務管理に意識が向かず身体を壊すまで働き続けてしまう人もいます。
職務環境が優れているとは言えない不動産業界において、社労士が持つ豊富な労務管理・社会保険の知識が活かせる場面は多いです。
不動産業界の長時間労働を社労士の知識で解決する
不動産業界は、業績が好調で契約に結びつく案件が複数あれば打ち合わせや契約準備・書類作成に時間を取られてしまいます。
また業績が低迷している場合は休日返上でノルマ達成に向けて努力をしなければならず、長時間労働が常態化している業界と言えるでしょう。
他にも会議・チラシの作成・顧客への挨拶などの業務をこなさなければならず、業務量は膨大です。
働き方改革でワークライフバランスが叫ばれている昨今において、残業時間の削減は喫緊の課題となっています。
社労士は労働法令に関する豊富な知識を有していることから、下記のような手法で不動産業界の長時間労働問題を解決に導くことができます。
- 労働時間管理方法を見直して残業時間を削減する
- 採用枠を多く確保して現場に人員を回す
- 業務を効率化するための事業投資を経営者側に提案する
社労士の知識を活かして人口動態に合わせた経営ができる
人口動態とは、出生・死亡・婚姻といった地方自治体に提出される届出書を元に作成される人口の増減などに関する情報です。
社労士資格があれば、この人口動態データを活用して不動産会社の経営への助言や自ら営業員として専門知識を活かすことができます。
- 自治体の出生数が多ければ、子供がのびのび過ごせるマイホームやマンションの需要が高まる
- 自治体への転入数や婚姻数が多ければ、新居として利用できるアパートなどの需要が高くなる
- 自治体からの転出数や死亡者数が多く居住需要が低いエリアでは、観光関係の需要を高めるホテルや施設の建設を検討する
上記のように、人口動態から今後の不動産需要を推測することができます。
不動産業界は人口動態に左右されやすい職種であるため、社労士は世間のニーズを見極めて会社の営業方針に助言できるという強みがあります。
不動産業界での社労士資格を活かした働き方
社労士の知識は、不動産業界で働く上で役立つものばかりです。
不動産会社で勤務する社員の管理をするのはもちろんのこと、豊富な社会保険の知識を活かして高額な不動産を購入しようとする顧客に効果的な助言ができます。
ここからは、社労士資格を持っていると不動産業界でどのような活躍ができるのか具体的にご紹介します。
不動産業界は給与形態が複雑で社労士の知識が活かしやすい
不動産業界は給与形態が複雑なため、社員1人1人の給与計算をするのは大変です。
そこで社労士に給与の管理・計算などを任せることができれば、会社の事務負担が少なくなります。
煩雑な給与計算業務などを社労士に任せることで、人員を有効活用できるメリットが期待できるでしょう、
企業内社労士として知識を活かす
不動産業界は業務内容が多岐に渡るため、インセンティブの付き方や残業手当の額などが部署によって異なることが多いです。
そのため社員数が多いとその分給与計算や社会保険手続きは複雑になり、専門的な知識を有していない社員が管理することは困難です。
そんな中企業専属の社労士が豊富な知識を活かして勤怠管理や給与計算を業務を統括すれば、スムーズに職場が回るでしょう。
また前述したように長時間労働が常態化している不動産業界では、心身に不調をきたす社員が出てきてもおかしくありません。
社労士として労務管理に関する意見を経営陣に具申し、社員が働きやすい職場環境を構築することも重要な業務の1つとなります。
マイホームを購入する顧客に社会保険制度を説明する
社労士の知識は、会社の中だけで活用できるだけでなく自ら顧客に対応する時にも役立ちます。
現在住宅市場は中古・新築ともに人気があり、マイホーム購入を検討する家庭は増えています。
マイホームを購入する顧客に対して社会保険制度の知識をもって購入を後押しすることで、会社の業績上昇に繋げることができます。
マイホームを購入する顧客は基本的に高額なローンを組むため、契約には慎重になります。
そのような不安を抱えている顧客に対し、怪我や病気で働けなくなった際には健康保険の傷病手当金が支給される旨や遺族年金で遺族の生活はある程度保証されている点の助言をすることで、お金に対する不安を解消することが可能です。
社会保険制度に精通している点が社労士の強みになるため、得た知識は有効活用できるでしょう。
投資用不動産を売るときに知識が役立つ
アパートやマンションといった投資用不動産を売る際にも、社労士の知識は顧客を獲得する上で強力な武器となります。
日本では少子高齢化が今後も進展する可能性が高く、今後年金額は先細っていく懸念があります。
年金に頼らず自ら老後を不自由なく過ごせる資産を確保する上で有力な手段となるのが、投資用不動産を購入して家賃収入を得ることです。
老後に不安を抱える顧客に対しては、社労士が持つ社会保険の知識を活かして「投資用不動産による家賃収入があれば安心」といった説得力のある助言ができるでしょう。
年金受給額を計算し、老後はいくらあれば安心かファイナンシャルプランを並行しながら顧客とコミュニケーションをとることで信頼を獲得できる可能性が高まります。
働き方改善の提案を行う
日本は転職時代と言われており、会社の福利厚生や長い労働時間が改善されなければ優秀な人材はどんどん離れてしまいます。
特に時間外労働が多い不動産業界においては、働き手がいなくなり人材難から市場から撤退せざるを得なくなる企業も出てくるでしょう。
社労士は世間で叫ばれる働き方を改善し経営陣に適時適切な提案を行うことで、自社を魅力ある会社に押し上げる役割が期待されています。
社労士が提案する働き方には、実際の労働時間に関係なく既定の労働時間に従事したとみなす制度である「裁量労働制」・労働者が出勤/退勤時間を定時からずらして勤務できる「フレックスタイム制度」などが挙げられます。
特に裁量労働制は経営者側からすれば無駄な残業時間を抑えられるほか、自社でこの働き方を採用することをPRして優秀な人材を確保できるメリットが期待できます。
社労士の専門的知識を活かして裁量労働制を導入するに当たっての厳格な労務管理・手続き・複雑な給与計算に対応できれば、会社にとって非常に頼れる存在として認識されるでしょう。
企業にとって、自社を成長させるための優秀な人材の確保や社員の高い士気を維持することは非常に重要です。
労務管理に関する多彩なアドバイスができる社労士は、働き方改革が求められている不動産業界において重要な役割を果たせる可能性があります。
人口減少や少子高齢化などの社会情勢に合わせた提案を行う
新築至上主義における新築物件の乱立から、親世代が亡くなった家に住む人がおらず空き家が多くなっています。
また2008年をピークに日本の人口は減少の一途をたどっており、家族世帯より単身世帯が多くなっています。
不動産業界に所属する社労士は、そのような社会情勢を見ながら時代のニーズに合った提案を行うことができます。
例えば空き家を安く買い取ってリノベーションを行うほか、親の土地を相続した単身世帯から他の家族世帯への土地売買を仲介するといった方法があります。
いずれも人口動態を読み解ける社労士ならではの強みと言えるでしょう。
不動産業界での社労士資格の活かし方まとめ
ここまで、不動産業界における社労士資格の活かし方について詳しく説明してきました。
社労士の資格を通じて得られた知識は、社労士本来の業務だけでなく営業職として働く上でも役立つものばかりです。
会社の就労環境を整える役割を果たせるのはもちろん、社会保険や社会情勢を踏まえた上で説得力のある営業ができる点も社労士ならではの強みと言えるでしょう。
社労士として不動産業界での就職や転職を検討している方は、こちらの記事を参考にしながら不動産業界で活躍できるシーンをイメージしておくと良いでしょう。