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裁判官の求人や就職はどうする?司法修習中の流れを詳しく解説

更新日:2024-02-25

裁判官の求人や就職はどうする?司法修習中の流れを詳しく解説

司法修習後、最終試験である司法修習生考試に合格し、晴れて法曹三者への切符を手にする事が出来、裁判官への道が開けるのですが、どうしたら裁判官になれるのでしょうか。

裁判官に任官される為には司法試験や司法修習での成績が優秀でないと採用されないという噂もあります。

裁判所に掲示されない裁判官の求人状況や就職状況、司法修習中の採用に向けての流れについて詳しく解説していきます。


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裁判官の求人状況とは

裁判所インターンシップ・採用

引用:裁判所公式サイト採用情報より

裁判官には司法試験合格の後、司法修習を1年間受け、最終試験である司法修習生考試(通称:二回試験)に合格して、裁判官を希望する旨を書類に示して選考されて初めて採用されるかが決まります。

求人数として、例年約100人程度が新任判事補として各地の裁判所に採用され、任官していましたが、近年採用人数は減少し100人を切ることも少なくありません。

人員不足が叫ばれている中、裁判官の求人状況が減少しているのにはどういった理由があるのでしょうか。

採用基準が厳しい

裁判官は法曹三者の中でも、検察官や弁護士を相手に納得させられる判決を出す事が仕事です。ですから同じ司法試験に合格した者の中でも、突出して優秀であらねばなりません。

その為、司法修習の実務修習や集合修習での起案作成は、基本的にすべて優秀な成績(A.B.C段階のA)を取らなければいけないのです。

その他、適性があるか、本人のやる気、日頃の素行、協調性等が問われ、司法修習中に教官が見極めてスカウトし求人応募の働きかけをする事もあります。

大切なのは成績だけじゃない

司法試験や司法修習の成績がいくら優秀であっても、裁判官の適性が無ければ採用される事はありません。

司法修習中には生活態度や素行もしっかりチェックされていますので、いくら裁判官になりたいとやる気があっても、遅刻や同期への態度が悪いと採用されません。

裁判官という職務に応じた勤勉さや真面目さ、公平さや良心の有無が裁判官に採用されるかどうかを決めるのです。

弁護士任官を目指す

弁護士から裁判官に採用される方法の求人も近年増加しています。裁判官の人員不足を補い、幅広い視野を持つ裁判官の育成・採用の為に作られた制度です。

常勤任官に採用される為には、希望する旨を弁護士会に申し出て、弁護士任官推薦委員会に書類を提出し審議してもらいます。可決されれば最高裁判所へ裁判官採用選考申込書を提出し、下級裁判所裁判官指名諮問委員会で審議され、内定すれば採用されます。

2001年からスタートした制度ですが、2016年で52人の弁護士任官者が執務しているので、年に3人程が採用されているのが現状のようです。

裁判官から他業種への求人状況

裁判官を続けずに他業種へ転職しようとした時、弁護士の求人が最も多くなっています。

その他、企業法務を扱う、事業再生や法令調査、大学教授等、これまでの実務で培った知識を使えるような仕事の求人が多くあり、採用する側の受け皿はかなり増えています。

年齢を重ねてしまうと弁護士や大学教授のような職種以外は難しくなりますが、司法書士や行政書士等のなら法学の知識を活かせるので、試験に合格し起業する事も可能です。

裁判官の就職状況

裁判官として採用されてすぐに、全国各地の地方裁判所に配属され民事事件・刑事事件を担当する部署で3年3ヵ月程、OJT(オンザジョブトレーニング)や合議体での裁判を経験していきます。

その後は外部経験として民間企業に出向し研修を受けたり海外留学、行政官庁への出向する、簡易裁判所判事に採用され簡易裁判所にて判事として勤務する、地方・家庭裁判所の判事補として勤務する等、就職してからも異動等があります。

裁判官の就職状況にはどんな事があるのでしょうか。

新任判事補採用の割合

司法修習終了年 司法修習終了人数 裁判官任官者数
2018年(第71期) 1,517人 82人
2019年(第72期) 1,487人 75人
2020年(第73期) 1,468人 66人
2022年(第74期) 1,458人 73人
2023年(第75期) 1,325人 76人

出典:日本弁護士連合会 司法修習終了者の進路別人数

2023年に司法修習を終えた司法修習生1,325人の内、76人が新任判事補として採用され、全国各地の地方裁判所へ新任判事補として就職していきました。

上記の表を見ていただいてもわかるように、希望通りに裁判官として就職することが狭き門であることが表れています。

ですから裁判官を目指しながらも他業種(弁護士等)への就職活動をしている司法修習生も数多く散見されます。

各地の地方裁判所

裁判官として最初に就職するところである地方裁判所は、各都道府県庁所在地に函館市・旭川市・釧路市を合わせた全国50ヵ所に設置されています。

2019年1月に就職が決まった新任判事補達の就職先の詳細は東京(20人)・横浜(4人)・さいたま(5人)・千葉(4人)・水戸(1人)・静岡(1人)・甲府(1人)・長野(1人)・新潟(1人)・大阪(8人)・京都(3人)・神戸(2人)・奈良(1人)・大津(1人)・和歌山(1人)・名古屋(2人)・富山(1人)・広島(3人)・山口(1人)・鳥取(1人)・松江(1人)・福岡(3人)・佐賀(1人)・長崎(1人)・大分(1人)・熊本(1人)・鹿児島(1人)・宮崎(1人)・仙台(1人)・福島(1人)・山形(1人)・青森(1人)・札幌(2人)・函館(1人)・旭川(1人)・徳島(1人)・高知(1人)・松山(1人)の38ヵ所83人です。

配属されていない裁判所があるのは、すでに人員が埋まっていたり、指導・育成の為の人員確保ができない等の理由がある為です。

71期新任判事補任命時の閣議書(平成31年1月8日付)

出典:弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)のブログ

裁判官から他業種への就職状況

裁判官から他業種に転職する際の就職状況ですが、近年弁護士が増えている事から、弁護士に就職するのは難しいと言われています。

ですが、一般企業が海外進出していたり、行政庁も含めコンプライアンス意識の向上等により、企業内弁護士の需要が高まっている為、個人弁護士や弁護士事務所に所属するよりも企業内弁護士として就職される方が増えているのです。

大学教授はというと、校数が限られ生徒数も減少していて求人も減少すると思われるので、これからは企業に就職する方が有益だと言えそうです。

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裁判官になる為の流れ

実際に裁判官として採用される為には司法修習中からしっかりとアピールし、求められる適性通りに生活していく必要があります。

志望書の提出もそうですが、やはり教官からのスカウトや推薦がある方が採用・就職には有利に働くのです。

裁判官の求人枠に入る為にどういったことをすれば、採用されやすいのかをご紹介します。

司法修習中

先述しましたが、裁判官として必要な資質であることの証明になる起案作成の成績を全てA判定にする事が必要です。もちろん司法試験の成績も上位で修めましょう。

成績が優秀で生活態度や素行も認められれば、教官から裁判官に任官しないかとスカウトされる事があるのです。

その他、司法修習中に聴取があり希望を聞かれるので、はっきりと裁判官希望ですと教官に伝わるように熱意をもって伝える事や、進路希望調査票に高いパーセンテージを記入する事が大切です。

そして修習中には教官に熱意があることを伝える為に、何でもかんでも質問するのはいけませんが、疑問に思った事柄を適切に質問しましょう。

司法修習中~終了後

集合修習が終わると願書を提出します。その願書は下級裁判所裁判官指名諮問委員会で審議されるのですが、その願書に必要なのが実務修習の成績・集合修習の成績・動機や熱意、人格・その他能力なのです。

実務修習の際にお世話になる裁判官や担当教官に、積極的にアピールしていきましょう。

そして司法修習終了後の司法修習生考試の結果と共に諮問委員会の審議を受けるので、考試でも優秀な成績を残せるようにしなくてはなりません。

裁判官の求人・就職状況を詳しく解説!まとめ

今回は裁判官の求人や就職状況についてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

裁判官は求人数が少なく、狭き門ではあるのですが、しっかりとした適性や優秀な成績があれば採用される職業で、就職先は全国各地の地方裁判所になります。

司法試験受験者や合格者も減少傾向にはありますが、その分熱意が伝われば採用される可能性も高くなります。

この記事が裁判官を目指す方の参考になれば幸いです。