弁護士は様々なドラマや映画でも華々しい活躍を見せる、憧れの職業の一つです。
弁護士になるには難しい法律の理解や試験の突破が必要なイメージがありますが、弁護士資格はどうしたら取ることができるのでしょうか?
この記事では弁護士資格の取り方、各試験の難易度や合格率、弁護士とはどういったものかをご紹介します!
弁護士とは
弁護士法第一条によると「弁護士とは、様々な憲法や法令を使って基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命としている人のこと。」です。
弁護士というと法廷で戦うイメージが強いかもしれませんが、日常生活における紛争解決や法律に関する書面作成、法廷に立たなくても済むように問題を解決するなど、その仕事は様々なものがあります。
仕事場も、独立して個人事務所を立ち上げたりすでにある法律事務所に所属、会社の法務部などで働くインハウスローヤーなどがあります。
社会で困っている人を、法律という観点から救うことのできる職業が弁護士であり、非常にやりがいのある職業でしょう。
弁護士の仕事内容や年収相場
法律のエキスパートであり社会の味方である弁護士ですが、実際に弁護士になるとどのような待遇、環境が待っているのでしょうか。
弁護士になったら就職できる場所や年収、仕事内容を紹介します。
弁護士の就職先
弁護士の就職先は大きく分けると3つあります。
先ほども述べた事務所所属、独立開業、企業内弁護士がその3つですが、それぞれ働き方や扱う法律の種類が変わってきますので、自分に合った形を見つけることが大切です。
法律事務所所属の弁護士
弁護士になった方の多くは、法律事務所に所属して働きます。
弁護士資格を得るまでの過程で得た知識の他に、法律事務所では書類や尋問、実務など新たな学びを得ることができます。
法律事務所の規模は様々で、所属弁護士が一人のところもあれば500名以上の弁護士が所属する事務所もあります。
多様な業務に幅広く携わることができるのが法律事務所所属の魅力でしょう。
独立開業弁護士
弁護士には独立し、自分の事務所を構えて活動する方も少なくありません。
一般的には法律事務所で経験を積み、その後に独立するケースですが近年は司法修士生を経てすぐに独立するパターンもあります。
先輩や企業が蓄積させたノウハウやスキルを学ぶことができませんが新しい弁護士像を形成できる利点もあり、すぐに独立しても活躍できる方はいます。
独立弁護士は経営に関する仕事の負担が増えますが、仕事の裁量を全て自分で決められるため自由な働き方ができます。
企業内弁護士(インハウスローヤー)
企業内弁護士は、会社の法務部や総務部などで会社員として働きます。
仕事は主に契約書や知的財産の管理、紛争や不祥事への対応、予防になります。
法廷に立つことはまずありませんが近年は企業内弁護士の数も急増し、安定感のある就職先として人気があります。
弁護士の年収
弁護士は働き方によって年収が大きく変わります。
先に述べた3種類の働き方によっても違い、扱う仕事の種類、量によっても変わってきますが基本的には経験年数に応じて年収も上がっていきます。
弁護士の平均年収
日本弁護士連合会の調査によると、2018年の弁護士全体の平均収入はは2,143万円、所得は959万円となっています。
しかし平均年収は、一部の高所得者により大きく増加しますので弁護士の場合は特に参考にしづらい数値です。
弁護士の所得中央値は650万円となり、一般企業よりは高い収入を見込めます。
経験年数による収入の変化
弁護士は経験年数に応じて収入が増加していき、経験年数5年未満の弁護士の収入の中央値は600万円です。
しかし経験年数が25年〜30年の場合は中央値3,000万円となり、高収入を期待できます。
弁護士を目指す方、弁護士として活躍する方は生涯弁護士であろうとする方が多いので、地道に経験を積んでいくことでいづれは高収入となるでしょう。
働き方による収入の違い
先に述べた3つの働き方によっても収入は変わってきます。
法律事務所所属の場合は、アソシエイト弁護士なら700万円前後、パートナー弁護士になれば1,000万円以上の収入が期待できます。
企業内弁護士は750万円〜1,000万円程度を推移していて、収入の変化が少ない分安定して稼ぐことができます。
独立開業弁護士は扱う仕事や勤務地などで大きく変わり、年収300万円程度の弁護士もいれば1億円以上稼ぐ弁護士もいます。
五大法律事務所の収入
弁護士事務所には五大法律事務所という、雇用人数の規模が大きい5つの事務所があります。
これらの事務所は超激務であること必至ですが入社1年目でも1,000万円以上の収入が見込め、パートナー弁護士ならば数億円の収入も夢ではありません。
弁護士資格の取り方
弁護士資格の取り方は「司法試験」「司法修習」を合格していくことです。
「司法試験」に合格することで「司法修習生」になることができ、1年間司法修習をしたのちに試験に合格するとはれて弁護士資格を取ることができ、弁護士として活動できるようになります。
ここからはそれぞれの試験について、司法試験に合格するまでといった弁護士資格の取り方を掘り下げていきます。
弁護士資格の取り方:司法試験
弁護士になるために乗り越えなくてはいけないものとして最も大きなものがこの司法試験で、文系国家試験の最難関とも言われます。
司法試験を受験するためには予備試験合格もしくは法科大学院を修了する必要があります。
さらに受験可能期間は受験資格を得てから5年間で、受験回数も3回のみとされているため試験の内容に加え受験資格を得るまでの過程も最高難易度です。
司法試験は例年5月に4日間かけて行われ、法曹三者を目指す方は皆司法試験を受験します。
司法試験受験資格の取り方:法科大学院
司法試験を受験するためには2つの方法がありますが、一つが法科大学院を修了することです。
法科大学院は入学のためにも受験があり、大学入試と同じように試験勉強をして合格する必要があります。
法学部の卒業生は2年間、法学部以外の卒業生は3年間法科大学院で学び、修了すると司法試験の受験資格を得られます。
法科大学院の入試内容は既習者なら法律科目・小論文・面接で未習者なら小論文と面接だけです。
司法試験受験資格の取り方:予備試験
司法試験の受験資格を得る方法のもう一つが予備試験に合格することです。
予備試験とは正式名称が「司法試験予備試験」で、法科大学院修了レベルの知識があるか問うものであり、予備試験には受験資格がないため誰でも受験することができます。
短答式試験・論文式試験・後述式試験の3段階あり、それぞれ合格することで次の試験を受験できます。
予備試験合格者の司法試験合格率は高く、予備試験から司法試験を目指すのがオススメのルートです。
弁護士資格の取り方:司法修習
はれて司法試験に合格すると、1年間の司法修習を受けることになります。
司法修習では研修所での座学から各地方裁判所での実務研修などを行い、公務員と同じ立場で学びます。
司法修習の最後にあるのが「司法修習生考試」という試験で、司法試験の後にある2回目の試験であることから「二回試験」とも呼ばれます。
この二回試験に合格することで弁護士となる資格を得ることができます。
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各試験の合格率
弁護士になるまでにはいくつもの試験を乗り越える必要があり、どれも一筋縄ではいきません。
特に司法試験は受験資格を得てから5年以内に合格しなくてはならないため、できれば早めに合格したいものです。
各試験の合格率を見ていきましょう。
法科大学院の合格率
法科大学院は学校にもよりますが既習コースの場合は30%〜60%ほどの合格率です。
主な法科大学院のうち、2023年に最も合格率が高かったのは京都大学の法科大学院で、全体の合格率の約1.51倍でした。
近年法科大学院は受験人数が減少傾向にあり、多くが予備試験ルートに流れています。
予備試験の合格率
予備試験は、最終合格率4%の超難関試験です。
試験は3つに分かれますが短答式試験の合格率が20%前後、その後の論文式試験も合格率約20%と気を抜く暇がありません。
しかし予備試験は受験資格がないことから受験生も様々で、中にはレベルの達していない方もいるでしょう。
低い合格率ではありますが、試験形態が似ていることから法科大学院より司法試験に合格しやすく、予備試験受験者は年々増加傾向にあります。
試験年度 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和5年 | 13,372 | 479 | 3.5% |
令和4年 | 13,004 | 472 | 3.6% |
令和3年 | 11,717 | 467 | 4.0% |
令和2年 | 10,608 | 442 | 4.2% |
令和元年 | 11,780 | 476 | 4.0% |
司法試験の合格率
司法試験の合格率はおよそ30%前後、令和4年は45.5%という高い合格率になっています。
予備試験と比較するととても難易度の低い試験のように思えますが、司法試験は法科大学院を修了もしくは予備試験に合格している方しか受験できないため、相当の知識を持ってしても40%しか合格できない高難易度の試験と言えます。
また、司法試験の論文式試験は予備試験よりもボリュームが多く、3日間連続して取り組まなくてはならないため相当難易度の高い試験となります。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 最終合格率 |
---|---|---|---|
令和5年 | 3,928 | 1,781 | 45.3% |
令和4年 | 3,082 | 1,403 | 45.5% |
令和3年 | 3,424 | 1,421 | 41.5% |
令和2年 | 3,703 | 1,450 | 39.2% |
令和元年 | 4,466 | 1,502 | 33.6% |
司法修習生考試の合格率
司法試験合格後に司法修習生として1年間の修習を受けることになりますが、その最後に待っているのが司法修習生考試です。
司法修習生考試は起案作業や起案に関する設問を解いていきますが、100ページほどの事件記録を元に「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目に取り組みます。
合格率は99%で、司法修習生までの学習をきちんとしていれば基本的に落ちることはありません。
しかしだからと言って簡単なわけではなく、日々の学習や試験対策でしっかりと準備する必要はあります。
弁護士資格取得の難易度
弁護士資格を取得するまでの道のりはお分かりいただけたでしょうか。
弁護士になるまでにはいくつもの試験や学習を超えていく必要があり、簡単に辿り着くことはできません。
弁護士資格取得の難易度は高い?
弁護士資格取得は、難易度の高いものだと言えます。
多くの資格のように合格してすぐ働けるわけではなく、試験も複数あり、全ての難易度が高い上に年数もかかります。
しかし、弁護士には年齢制限もなく、予備試験は誰でも受験することができます。
合格できるのは相当な努力をした方のみですが、弁護士になるチャンスは誰でも手にしています。
弁護士資格は最短何年で取得できる?
弁護士資格を最短で取るには、予備試験を利用した取り方がいいでしょう。
予備試験は通信講座などを利用することで最短1年で取得することができます。
予備試験と司法試験は日程が被っているため1年後の司法試験に合格し、その後1年間の司法修習を受けることになるため、弁護士になるための学習を始めてから最短で3年で全ての試験に合格、4年目からは弁護士として働けるようになります。
中には高校生のうちに予備試験合格、19歳で司法試験に合格している方もいるので20歳のうちに弁護士として働くことも不可能ではありません。
大学生の間に弁護士になるための勉強を始めても、25歳前後で弁護士としてのキャリアをスタートできます。
弁護士資格取得にオススメの方法
弁護士資格を最短で取得したいなら、予備試験に合格することです。
そして予備試験合格には通信講座などを利用した対策をした方が有利ですが、中でもオススメするのは「アガルートアカデミー」の予備試験対策講座です。
アガルートの予備試験対策講座を利用すれば予備試験に合格することも夢ではなく、その後の司法試験にも臨むことができます。
弁護士資格の取り方とは?試験の合格率や難易度|まとめ
弁護士資格の取り方は、司法試験に合格して司法修習を修める以外に道はありません。
いくつもある試験の難易度は高く、簡単になれる職業ではありませんが最短3年間で弁護士として活動できるようにもなります。
アガルートアカデミーを利用して、ぜひ弁護士として活躍するための第一歩を踏み出してください。