弁理士とはおもに知的財産に関わる法的な仕事をおこない、特許や商標、意匠などを発明者などに代わって特許庁に申請する手続きを代行します。
弁理士試験の合格率はおもに例年約6%~10%となっており、決して難易度が低いとは言えません。
一般的に弁理士試験の勉強法としては独学もしくは専門コースのある予備校に通って勉強するものが挙げられます。
そこで今回は弁理士試験が独学だと難しいとされる理由や弁理士試験のおすすめの勉強方法、参考書などについてご紹介します。
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弁理士試験に独学で合格するのが難しい理由
はじめにお伝えしたように、独学で弁理士試験に合格することは可能ですが非常に難しいです。
独学で合格された方もいますが、その数はとても少なく、合格者のほとんどは予備校や通信講座の利用者です。
独学で合格を目指すことは、非常に険しい道のりであることを念頭に入れておきましょう。
独学での合格が難しいといわれている理由は、主に3つが挙げられるので、それぞれ解説していきます。
理由①法律用語の理解が難しい
法学部出身の方や法務部などで働いている方はすでに法律の知識を持っていますが、法律の知識が浅い初学者の方にとっては非常に難しいものです。
独学の場合は法律用語を調べるだけでも多くの時間を要し、なかなか問題集や過去問集に辿りつけないでしょう。
また、法律用語の意味を誤って理解しても訂正してくれる第三者がいないため、誤った知識で試験に臨むことになりかねません。
理由②参考書の種類が少ない
そもそも参考書の種類が少ないため試験合格に必要な情報を網羅できない可能性があり、自分が使いやすい参考書が欲しいと思ってもなかなか見つからないのが現状です。
市販のテキストは自分で情報に網羅性や使いやすさを見極める必要があり、効率よく学習を進めることが難しくなります。
一方で、予備校や通信講座で使用されるテキストは、重要な部分がまとめられていて種類や内容が豊富です。
最新の情報に触れる機会が少なかったり参考書選びにこだわりがあったりする方にとって、弁理士試験の独学はかなり厳しいでしょう。
理由③論文式試験の対策が難しい
独学での合格が難しいといわれている一番の要因が、論文式試験の対策にあります。
論文式試験には絶対解がないため、自己採点の時に自分の書いた答えが何点取れるのかを判断することが難しいです。
市販のテキストなどに模範解答はありますが、何をどのように書けば合格点に達するのかなどを自分で考えるには限界があります。
文章の表現方法や考察の質によって点数が左右されるため、第三者による添削をしてもらう機会がないと独学は難しいです。
弁理士試験のおすすめ独学勉強法
短答式試験の勉強法
短答式試験では法律・条約の理解や、判例に対して適切な法的な判断が行えるかを問われます。
はじめに行うことは条文や判例を理解することで、丸暗記はせずに制度の本質と手続きの流れを意識しながら学習を進めましょう。
また、短答式試験では主要4科目の出題割合が6~7割と多く出題されるので、これらの科目を中心に学習することが重要です。
科目ごとに一定の点数が取れないと不合格になるので、バランスよく学習をしましょう。
論文式試験の勉強法
論文式試験は学習すべき事項の量が少ないので、インプットとアウトプットを並行して行う相互学習が効果的です。
インプット方法は基本書を読み込むことで、アウトプットの方法は過去問集や予想問題集を解くことです。
過去問は10年分ほどを何周も繰り返して解くことがおすすめです。
口述試験の勉強法
口述試験では、短答・論文式試験で出題された範囲から出題されます。
問題を耳で聞いて理解し、短い時間で解答を考えて口頭で説明する練習が必要です。
おすすめの学習方法はひたすら過去問を解いて問題に慣れることです。
弁理士試験の独学におすすめの法文書・参考書
弁理士試験は合格率8%前後の難関試験ですので、独学で合格を目指すには参考書選びは非常に重要です。
たとえば「文章が多くて読みづらい」「解説がない」といった参考書を選ぶと、効率的に学ぶことができずに合格が遠のいてします。
どの参考書を選べば良いか分からない方もいると思いますので、下記には独学におすすめの参考書をご紹介します。
短答式試験対策のおすすめの法文書
短答式試験の学習には参考書の他に、法文集と基本書が欠かせません。
特に基本書は様々なものがあり目移りしてしまいがちですが、あれもこれもと手を出すと情報を整理しづらくなるので、1つだけ用意すれば大丈夫です。
以下では短答式試験のおすすめの参考書と法文集、基本書をご紹介します。
エレメンツシリーズ(1)(2)(3)
参考価格 | 4,620円 |
エレメンツシリーズ(1)の購入はこちら |
参考価格 | 4,180円 |
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参考価格 | 3,300円 |
エレメンツシリーズ(3)の購入はこちら |
おすすめする短答式の参考書は、資格予備校の大手であるTACから出版されている「エレメンツシリーズ」一択です。
エレメンツシリーズは全3冊(1・2・3)の構成となっており、最新の法改正にも対応してるため自分で情報を集める手間が省けます。
テキスト内はシンプルなレイアウトと図を用いているため、非常に見やすく学習が進めやすいように作成されています。
標準特許法第8版
引用:有斐閣公式サイト
参考価格 | 2,860円 |
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標準特許法第8版は、特許法の解釈や判例について分かりやすくまとめられている基本書です。
理解しやすく印象に残りやすい具体例が挙げられているため、興味を持って学習を進められます。
また、難しい法律専門用語を分かりやすく解説しているので、初学者の方でも安心して学習を進められます。
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説
引用:特許庁
参考価格 | 11,550円 |
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工業所有権法(産業財産権法)逐条解説は、特許庁の基本書であり「青本」として知られています。
条文の立法趣旨や旧法からの変化などが記載されているので、条文を深く理解することができます。
ただ、2,400ページ以上とボリュームがあり重いため、使用する際は自宅に置いておき少しずつ読み進めていくと良いでしょう。
令和5年改正知的財産権法文集 令和6年1月1日施行版
参考価格 | 3,080円 |
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令和5年改正知的財産権法文集は、特許法や実用新法案から短答式試験の範囲に含まれる全ての法律と条文を網羅することができる法文集です。
文庫本サイズで小さいため持ち運びがしやすく、毎年改訂版が出版されるので、法改正にもしっかり対応しています。
弁理士試験 体系別短答式 枝別過去問題集 2024年度
引用:TAC出版
参考価格 | 6,050円 |
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短答式の過去問集をお探しの方には、体系別短答式 枝別過去問題集がおすすめです。
過去15年間の弁理士試験短答式試験の問題を厳選して、学習しやすいように体系別に並べ直しています。
短答式試験で出題される科目が1冊にまとまっているので、全法域の過去問演習ができる点が特徴です。
また、問題が枝別にテーマごとに分類されているため、学習段階に合わせた学習を行えます。
論文式試験対策におすすめの参考書
論述式試験の解答は問題文に沿って、記載すべき文章を論理的にブロックで組み立てなければなりません。
文章のブロックの組み立ては、ある程度は自分で考えて回答することはできますが、正確さが必要になるので多くの時間を費やします。
この文章のブロックを分かりやすい形でまとめてくれている参考書があれば非常に便利ですよね。
以下ではおすすめの論述式試験の参考書をご紹介します。
弁理士試験 論文マニュアル (1) (2) 第4版
引用:TAC出版
参考価格 | 4,235円 |
弁理士試験 論文マニュアル(1)の購入はこちら |
参考価格 | 4,114円 |
弁理士試験 論文マニュアル(2)の購入はこちら |
弁理士試験 論文マニュアルは早稲田経営出版から出版されている論述式の参考書で、全2冊の構成です。
論文式試験の答案の作り方を基礎から解説されている参考書ですので、論文を初めて書く方におすすめです。
テキスト内はテーマと模範解答で構成されており、シンプルなつくりなため繰り返しの学習が行いやすくなっています。
模範解答の中には「暗記ポイント」と「重要ポイント」が記され、設問で何が問われているかを理解することが可能です。
弁理士試験論文マスターノート 特許法・実用新案法(第3版)
引用:中央経済社
参考価格 | 6,160円 |
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弁理士試験論文マスターノートは、論文式試験で必要な知識を深めることを目的とした1冊です。
文章のブロックが重要度順に記載されているので、論文式試験に必要な知識の多くをインプットできます。
重要部分のみを学習するといった効率の良い学習を行うことも可能です。
口述試験対策におすすめの参考書
口述試験は「落ちない試験」だと言われていましたが、近年は難化傾向にあるため油断のできない試験になってきています。
口述試験の対策では、どのように問われ、どのように回答するかをイメージすることが大切です。
以下では、おすすめの口述試験対策の参考書をピックしてご紹介します。
弁理士試験 口述試験バイブル 第8版
引用:TAC出版
参考価格 | 5,808円 |
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口述試験バイブルは「何が問われ」「どのように回答すればよいのか」という視点から分析して作成されているため、効率よく学習を進められる参考書になっています。
質問と解答が分かりやすく色分けされており、視覚的に理解しやすい内容です。
とにかく理解のしやすさと読みやすさを重視した参考書ですので、弁理士試験の参考書選びに悩んだらこの1冊は抑えておきましょう。
弁理士試験 口述試験過去問題集 2024年度
引用:TAC出版
参考価格 | 6,600円 |
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口述試験の様子がQ&Aの形で再現されており、どのように答えたら良いかを端的に解説している過去問集です。
口述試験突破のための8つのポイントも記載されているので、口述試験の対策をしっかり行うことができます。
また、最新の法改正にも対応しているので、安心して利用することが可能です。
弁理士試験を独学で勉強するのに向いている人
弁理士試験に限ったことではありませんが、独学には向き不向きがあります。
独学を行う上で向き不向きを確認しておかなければ、効率の良い学習を行えません。効率の悪い勉強ばかりしていると、合格するまでに10年以上かかることもあります。
自分に厳しくできるからといって、独学に向いているわけではありません。独学に向いている方は以下の特徴が当てはまります。
①法律を学んだことがある方
司法書士や行政書士など、法律系の難関資格を保有している方は独学に向いています。
向いている理由は、法律を学ぶ上で効率の良い学習方法を知っていることが多いからです。
さらに、すでに十分な法律知識を持っているため学習時間を短縮できます。
②難関資格を独学で取得した方
法律系でなくても、難しい資格を独学で取得した経験のある方なら弁理士の独学に向いています。
どんなペースで学習をすれば良いか判断でき、試験直前期でも焦らず着実に学習を進められるなど、すでに独学で合格するためのノウハウを持っているためです。
また、一度難関資格を独学で合格できたという自信があるため、モチベーション高く学習できる特徴があります。
③ある程度大雑把な性格の方
学習を始めた当初はやる気に満ち溢れているものの、時間が経つにつれてやる気が出なくなり、挫折してしまう方が多くいます。
ある程度大雑把な方は、多少やる気のない時期があっても上手く割り切れることができ、挫折しにくい傾向にあります。
しかし、あまりにも大雑把すぎると危機感を覚えにくいので、独学に向いている方は「適度に」大雑把な性格の方と念頭においておきましょう。
弁理士試験を独学で勉強するのに向いていない人
一方で、独学に向いていないのはどのような特徴がある人なのでしょうか。
独学で弁理士試験に合格することは非常に難しいため、下記の特徴に当てはまる方は通信講座や予備校などの利用をおすすめします。
①モチベーションが保てない方
勉強や試験に対するモチベーションが保てない方は独学に向いていません。
弁理士試験の合格に必要な時間は非常に長く、特に忙しい時はモチベーションを保ちにくいので挫折しやすい傾向にあります。
当初の学習意欲が時間の経過や仕事が忙しくなるとともに低下して、「仕事が忙しいから」などと何かと理由をつけて勉強が進まない期間が出てくるでしょう。
②調べることが苦手な方
分からない法律用語が出てきたときに、すぐにインターネットや参考書で調べることが苦手な方は独学には向いていません。
独学の場合は、法改正などの情報を自分で調べる機会が多くあります。
調べることが苦手な場合、第三者のサポートが必要になるため、調べる習慣が日頃からついていないと独学で弁理士試験に合格することは難しいでしょう。
独学で弁理士試験の合格を目指すメリット
予備校や通信講座の利用が多い中、独学で弁理士試験の合格を目指すメリットはどのようなものがあるか気になりますよね。
以下では独学のメリットをそれぞれ解説していくので、確認してみてください。
①費用を安く抑えられる
独学の最大のメリットは、費用を抑えられることでしょう。
予備校や通信講座の利用する場合、15万円~30万円の費用がかかる傾向にあります。
しかし、独学でかかる費用は主にテキスト代で、テキストを多く購入したとしても3万円程度に抑えることができます。
②好きなペースで学習できる
自分の好きなペースで学習できる点も独学のメリットといえるでしょう。
論文式の学習を重点的に行って短答式の学習は軽く済ませるというように、自分の理解度に応じて学習を進めやすいです。
独学は時間や場所に縛られないため、自分に合った自由な学習スタイルを確立できます。
独学で弁理士試験の合格を目指すデメリット
独学で合格を目指す際には、リスクや注意点にも目を向ける必要があります。
独学を考慮している方は、しっかりとデメリットについても確認をしておきましょう。
①学習スケジュールが乱れやすい
予備校の場合は用意された学習スケジュールに沿って学習を進めていくので、学習スケジュールが乱れる心配はありません。
ただし独学の場合は、自分で自分のライフスタイルに合わせた学習スケジュールを立てることになります。
独学に慣れていない方は、週によって学習時間が大きく異なるスケジュールになるかもしれません。
最悪の場合、弁理士に関する知識が不足したり、上手な解法が分からなかったりする状態で試験当日を迎えるおそれがあります。
②最新の法改正に対応できない
弁理士試験の主要範囲である特許法や実用新案法などは、頻繁に法改正が実施されます。
市販のテキストは予備校のテキストとは異なり、即座に法改正の内容が反映されずに、法改正が実施されたことに気づかない可能性があります。
ですから、自力で情報収集をする必要があり、勉強以外に調査時間がかかるので注意しましょう。
③モチベーションを保ちにくい
予備校の場合は、周りに合格を目指す仲間がいるので、学習に関する不安や悩みがあっても、相談や励ましあうことができるかもしれません。
ですが、独学では長期間にわたり自分を鼓舞し続けて学習を進めないといけません。
また、質問できる相手がいないので、難解な法律用語や専門的な内容の理解に苦しんで挫折してしまう危険性があります。
弁理士試験対策におすすめな通信講座
弁理士試験は合格率が8%前後と難易度の高い国家試験のため、独学のテキスト学習のみで合格するのは非常に難しいでしょう。
そこで、効率的な学習方法で弁理士試験の合格を掴みたい方は通信講座の利用がおすすめです。
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合格のために必要な学習時間は3,000時間と多くの時間が必要で、2~3年はかかるといわれています。
独学は学習にかかる費用を安く抑えることはできますが、モチベーションが保ちにくいというデメリットもあります。
また、独学で大切なことは、参考書をしっかりと選ぶことや、ゆとりのある学習スケジュールを立てることです。
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