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予備試験の選択科目はどれがおすすめ?選び方や各科目を紹介

更新日:2024-03-05

予備試験の選択科目はどれがおすすめ?選び方や各科目を紹介

予備試験は、法科大学院を修了せずに最短ルートで法律家を目指せる国家資格です。

そんな予備試験では、2022年度から論文式試験にて選択科目が新たに開始され、戸惑っている受験生も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、予備試験における8つの選択科目をご紹介したうえで、おすすめの科目や選び方についても解説します。

選択科目についてどれを選べば良いか迷っている方やどのような科目があるか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

予備試験における選択科目のポイントを押さえ、しっかりと対策を立てていきましょう!

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予備試験の選択科目とは

予備試験の選択科目とは論文式試験にて行われる試験内容の1つで、以下の8つから選ぶ方式となっています。

  • 倒産法
  • 租税法
  • 経済法
  • 知的財産法
  • 労働法
  • 環境法
  • 国際関係法(公法系)
  • 国際関係法(私法系)

また、選択科目の試験概要は以下の通りです。

出題数 1問
配点 50点満点
試験時間 1時間10分程度

予備試験の目的は、8つの分野それぞれにおける基本的な知識の理解・法解釈・適切に表現する力を有するかを確かめることとされています。

司法試験の内容よりも基本的な内容を問うので、選択科目の試験勉強を行うことで司法試験対策の負担が減るメリットがあります。

選択科目にはどんなものがある?

選択科目に対して早めに対策を講じることが重要です。ここでは、以下の8つの選択科目における試験内容やどのような人におすすめかについて解説します。

  • 倒産法
  • 租税法
  • 経済法
  • 知的財産法
  • 労働法
  • 環境法
  • 国際関係法(公法系)
  • 国際関係法(私法系)

気になる科目については必ずチェックし、自分に合った選択科目を選べるようにしましょう。

倒産法

「倒産法」とは、民事再生法・破産法・会社法上の特別清算・会社更生法の4法の総称です。

選択科目では破産法・民事再生法が含まれ、民法や民事訴訟法など民事系の知識が中心となります。

それぞれで200を超える条文とそれに伴う手続きがあり、選択科目の中でも学習量が膨大なため民事系科目が得意な方におすすめと言えます。

また、倒産法は扱う法律事務所が多いため、将来的に実務上で活用できる可能性を視野に入れて勉強する受験生も少なくありません。

租税法

「租税法」では主に所得税法から出題され、他に法人税法及び国税通則法からも出題される傾向があります。

租税法の特徴として、租税法をメインに扱う事務所が少なく就活の際にあまりアピールポイントにならない場合があるため、受験者が少ないことが挙げられます。

そのため租税法対策の参考書も限られており、他の選択科目と比較すると勉強しにくい科目と言えます。

一方で、租税の知識は企業において実務上重要な知識であるため、企業法務にて活用できるというメリットもあります。

経済法

「経済法」では、主に独占禁止法から出題されます。

具体的には不当な取引制限(カルテル)・企業統合・私的独占などが挙げられます。

経済法は独占禁止法における条文が20個程度と覚えることが少なく、判例に基づき具体的な事案を正しく適用できるかどうかが高得点獲得の鍵となります。

例えばMicrosoftやLINE、任天堂など企業の事案が独占禁止法の規制の対象になるのかについて検討するような問題が出題されます。

それゆえ、理論的な学習や暗記重視科目よりも、憲法のような「あてはめ学習」が得意な人に向いている科目と言えます。

知的財産法

「知的財産法」とは、特許権や著作権など知的財産権を保護するための特別法を指します。

具体的には特許法・著作権法・実用新案法・商標法などが挙げられ、特許法と著作権法のみ出題されます。

予備試験では、特許権等の権利取得手続き・損害賠償請求の成否・権利侵害などが問われます。

また裁判事例を元にした内容も出題されるため、直近数年分の重要判例を確認することも対策となります。

特に特許法においては科学的な素養がなければ認定のできない事案が多いため、「当てはめ」で差がつくような問題は相対的に少なく、条文操作が得意な方に向いている科目と言えます。

労働法

「労働法」では労働組合法を中心とする集団的労使関係法と、労働基準法や労働契約法などの個別的労働関係法から出題されます。

集団的労使関係法の問題は労働法の制度が難しく、学習難易度が高いという特徴があります。

一方で、個別的労働関係法の問題に関しては労働者個人の事案が多く、理解しやすい事案が多いと言えます。

労働法全体としては、応用問題が出題されることは少なく有名判例に基づく問題が出題されます。

労働法は制度の概要や定義などインプット系の知識が多いため、暗記が得意でなければ合格点を取るのは難しいという特徴があります。

環境法

「環境法」では、以下に挙げる「環境10法」と呼ばれる個別法から出題されます。

  • 環境基本法
  • 環境影響評価法
  • 循環型社会形成推進基本法
  • 大気汚染防止法
  • 土壌汚染防止法
  • 水質汚染防止法
  • 廃棄物処理法
  • 自然公園法
  • 地球温暖化対策の推進に関する法律
  • 容器包装にかかる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律

具出題傾向として知識が問われるものは少なく、具体的な政策についての検討・環境政策の問題点の指摘・環境訴訟に関する問題が多く見られます。

また、行政事件訴訟法の差止めや義務付けなど行政法や不法行為法との重複があるため、行政法が得意な方に向いている科目です。

ただし、他の7法と比較して実務で使う頻度が低いため環境法を選択する受験生が多くないこともあり、予備試験や司法試験用に特化した教材が少ないというデメリットがあります。

国際関係法(公法系)

「国際公法」では国際法・国際経済法・国際人権法の3法について出題されます。

具体的には、条約や国際慣習法などの国際法関連、国連安保理や自衛権などの国際判例の解釈などが出題傾向にあります。

出題範囲が広く感じますが、国際経済法と国際人権法においては国際法の体系に属する内容に限るとされているため、他の選択科目と勉強量に差はないと言えます。

また国際公法の特徴として、基本書や判例集は多くある一方対策本が少ないため、過去問題の重要度が高い科目ということが挙げられます。

国際関係法(私法系)

「国際私法」とは、国境を越えた私人間の法律関係を対象とする法律です。

例年、家族法分野と財産権法分野から出題される傾向があり、通則法民事訴訟法・人事訴訟法の国際裁判管轄に関する規定について問われます。

また国際私法の特徴として、国際民事訴訟手続に関する規定も少なく、通則法の条文は全部で43個と相対的に少ないことが挙げられます。

そのため、民法に苦手意識がなく暗記が得意でない方におすすめできる科目です。

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選択科目の難易度に違いはある?

法務省の「司法試験の結果について」から直近3年間の合格率を計算し、それぞれの選択科目における難易度を見てみましょう。

選択科目 2021年 2022年 2023年
倒産法 38% 45% 46%
租税法 30% 34% 39%
経済法 35% 39% 43%
知的財産法 33% 38% 40%
労働法 37% 43% 45%
環境法 28% 29% 31%
国際関係法(公法系) 22% 27% 41%
国際関係法(私法系) 29% 35% 34%

上記の表より、例年合格率が高いのは倒産法ということが分かりました。

倒産法は対策本も比較的充実しており、近年難易度が易化傾向にあります。

一方で、最も合格率が低い環境法に関しては、近年企業におけるSDGsの需要の高まりから注目が集まっているものの、依然として受験者数の少なさから対策が取りにくいため難しく感じる受験生が多い科目です。

その他の科目は合格率に差がなく、難易度に関しても大きな差はないと言えます。

いずれの科目においても、過去問や参考書などからしっかりと学習することが重要です。

選択科目の選び方はどうする?

選択科目の選び方はどうする?

8つも選択肢があると、どれを選べば良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。

ここでは、選択科目を選ぶ際の5つのポイントについてご紹介します。

  • 得意分野や好きな科目
  • 受験者数や合格者数など過去の傾向を参考にする
  • 将来的に実務で活用できる知識

自分が最も重要視したい観点から比較・検討し、選択科目を選ぶようにしましょう。

選び方①:得意分野や好きな科目

選択科目を選ぶ基準の1つ目として「得意分野や好きな科目」が挙げられます。

予備試験の選択科目に充てることができる時間が限られている中で、苦手意識のある科目に学習を割く余裕はありません。

そのため、自分が安定して得点を狙える科目や興味を持って取り組める科目を選ぶようにすると、効率良く対策を取れます。

例えば暗記に自信がある方であれば知的財産法と労働法、条文の「当てはめ」が好きな方であれば経済法を選ぶと良いでしょう。

自分の能力とそれぞれの科目で求められる能力を照らし合わせ、選択科目を選ぶようにしましょう。

選び方②:受験者数や合格者数など過去の傾向を参考にする

選択科目を選ぶ基準の2つ目として「受験者数や合格者数など過去の傾向を参考にする」ことをおすすめします。

理由としては、受験者数や合格者数が多い選択科目は一定数以上の需要があるため基本書以外に参考書や対策本などの学習環境が整っているからです。

また同じ選択科目の受験生や合格した先輩と繋がりを持つことができるため、より多くの情報共有ができるというメリットもあります。

司法試験における選択科目の過去のデータは、法務省の「司法試験の結果について」を参考にすると良いでしょう。

選び方③:将来的に実務で活用できる知識

選択科目を選ぶ基準の3つ目として「実務で活用できる知識かどうか」を確かめると良いでしょう。

例えば、企業法務で役立つ知識を得たい方であれば近年のデジタル化に欠かせない知的財産法や労働法がおすすめと言えます。

また税理士や公認会計士などとのダブルライセンスを狙いたい方は、租税法を選ぶ傾向にあります。

自分の将来像や日本の動向を参考に、将来的に実務で役立つ科目を選ぶと良いでしょう。

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アガルートについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

予備試験の選択科目おすすめは?まとめ

今回は、司法試験の予備試験の選択科目においてどれがおすすめなのか、選び方や参考にすべき科目の特徴について解説してきました。

受験者数が多くて将来実務に役立ちそうという観点からすると、最もおすすめできるのが労働法、続いて経済法・知的財産法と言えます。

もちろん選択科目の選び方や得意・不得意は人によって異なるので、あくまでも参考としてくださいね。

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