社会保険労務士についてネットで調べてみると、「仕事がない」「役に立たない」「大変」といったネガティブな検索キーワードが多くヒットします。
それゆえに国家資格の中でも難関の分類に入る社会保険労務士の資格を取得する価値があるのか、将来性に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「社会保険労務士は需要もなく仕事もないのか噂の真相や将来性」についてご紹介します。
IT化や電子申請義務化の影響により、社会保険労務士のニーズがどのように変化していくのか理解を深めましょう。
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社会保険労務士(社労士)は「仕事がない」「役に立たない」って本当?
社会保険労務士の資格を取得したとしても無駄になってしまうという噂は本当なのでしょうか。
結論から言うと、社会保険労務士の仕事がないという噂や役に立たない資格というのは事実とは異なります。
こちらの項目では、社会保険労務士の仕事がないと言われている以下の3つの理由についてご紹介します。
- 国家資格の場合必ず検索されるワードである
- 人数が多く1人当たりの仕事量が少ない
- 集客が難しく仕事を得にくい
社会保険労務士が役に立たないと考えられる理由や背景について具体的に解説していきます。
国家資格の場合必ず検索されるワードである
社会保険労務士の仕事がないという噂が生じる原因として「国家資格の場合必ず検索されるワードである」ことが挙げられます。
例えば、「社会保険労務士 仕事がない」と検索する人の多くが、社会保険労務士の資格を取得する前に将来的に稼げる資格なのかどうかを知りたい人であると推測できます。
実際「仕事がない」で検索してみると、「仕事がないは嘘」と仕事がない噂を否定する記事や「社会保険労務士の将来性は期待できる」と断言している記事がヒットします。
資格を目指している方にとって、取得した資格を活かして仕事ができるかどうか気になるものです。
そのため、「仕事がない・役に立たない・大変」といったネガティブワードは検索されやすい傾向にあります。
決して「仕事がない」と断定しているわけではなく「仕事がない可能性はあるの?」と事実を知りたいユーザーが検索することにより起こる現象です。
従って、ヒットした記事内容からも分かるように、社会保険労務士の将来性は心配しなくても良いと言えます。
人数が多く1人当たりの仕事量が少ない
社会保険労務士の仕事がないと噂される理由の2つ目として「人数が多く1人当たりの仕事量が少ない」という考え方があるからと言えます。
事実、社会保険労務士試験オフィシャルサイトの「過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女割合」によると、社会保険労務士の受験者数は毎年3万人を超え、長年安定した人気がある資格と言えます。
それゆえに、社会保険労務士の人口が需要を上回り、1人あたりの仕事量が少ないのではと不安に思う方も少なくありません。
しかし、同サイトによると、受験者全体に対する合格率は10%未満という国家資格の中でも非常に低い水準となっています。
そのため、社会保険労務士の合格者は毎年1,000〜4,000人程度と比較的少なく、仕事量が今後も減っていくというのは考えにくいでしょう。
集客が難しく仕事を得にくい
社会保険労務士の仕事がないと言われる理由の3つ目として「集客が難しく仕事を得にくい」ことが挙げられます。
事実、独立開業した場合に人脈が無ければ集客に苦労するケースが多く、安定して顧客を得るまで時間がかかります。特に難関資格を取得したことに満足してしまい、開業後も待っているだけで何も行動に移さない方は仕事がない状態になってしまうでしょう。
情報や手段の多様化が進む現代において、社会保険労務士だけでなくどのような職種でも集客を工夫しなければ仕事を得ることは出来ません。
従って、社会保険労務士の仕事自体が全くないわけではなく、集客を積極的に行わない場合に仕事を得るのは難しいと言えるのです。
社会保険労務士(社労士)の将来性は今後もある?
近年AI技術やITの急速な発展により、社会保険労務士の仕事がAIに奪われてしまうのではないかと将来性を不安視するような声も少なくありません。
こちらの項目では、社会保険労務士の将来性について以下の2点からご紹介します。
- 社会保険労務士はAIにとって代わられる?
- 社会保険労務士の仕事はなくなりつつある?
将来的に仕事が無くなると考えられる理由について具体的に見ていきましょう。
社会保険労務士はAIにとって代わられる?
社会保険労務士の仕事が「AIに代替されるのではないか」と将来性を不安視する声が多くなり始めています。
関連記事でもご紹介しているように、社会保険労務士の仕事には、主に労務管理の書類や帳簿を作成する1号業務と2号業務、労務・社会保険に関係するコンサルタントを行う3号業務があります。
これらの業務のうち、書類作成をメインとする1号業務と2号業務に関しては、電子申請義務化の背景もありAIを活用した人事労務管理ソフトの活用が大企業を中心に進んでいます。
一方で、専門的な知識を活用した相談業務や企業への指導を中心とする3号業務をAIが代替することは難しいと言えます。
3号業務では、複雑な法律の仕組みを理解した上で、個々の状況を判断してアドバイスするといった高度な理解力とコミュニケーション力が必要とされます。
しかし、最新のAI技術でも人の言葉の真意を理解し相互的にコミュニケーションを取ることを苦手としているため、個々に最適化したアドバイスを行うことは出来ません。
従って、社会保険労務士の仕事の一部はAIに取って代わられる可能性はありますが、全ての仕事が無くなるのは当分先となるでしょう。
社会保険労務士の仕事はなくなりつつある?
前述したようにAIや電子申請の活用が進む中で、「社会保険労務士の仕事はなくなりつつあるのか」という不安を抱く方も少なくありません。
社会保険労務士は、企業の義務である労務書類や帳簿の作成を行う唯一の専門家であり、他の士業が出来ない独占業務を行うことが出来ます。
独占業務である1・2号業務は、AIや電子申請ソフトの活用が押し進められていますが、資金や人材が限られる中小企業においては変わらず社会保険労務士の存在が欠かせません。
また、働き方改革を始め場所や時間に縛られない自由な働き方に注目が集まる中で、日本企業の古い制度を改善するために社会保険労務士へコンサルティングを依頼する企業も増えています。
従って、AIソフトや電子申請ソフトが普及し社会保険労務士の仕事は時代に即して変化しますが、仕事が無くなることはないでしょう。
社会保険労務士(社労士)の現状
これまでにも解説してきたように、他の国家資格と比較しても社会保険労務士の需要は年々高まりつつあります。
企業の課題解決を行うコンサルティング業務だけでなく、法改正によって複雑化する人事労務の分野においても社会保険労務士の存在に注目が集まっています。
例えば、2020年4月から「同一労働同一賃金」が施行されましたが、企業の人事やAIソフトは労働法や社会保険などで頻繁に起こる法改正を常に把握し迅速に対応していくことが出来ません。
そのため、企業における人事や労務、社会保険関係への専門的なアドバイザーとして活躍の場が広がっています。
どの職業にも言えることですが、社会保険労務士においても時代の流れと共に需要がある分野は変化していくので、柔軟に対応できるスキルを身につけましょう。
社会保険労務士(社労士)の需要は拡大している?
これまでにもご紹介してきたように、社会保険労務士は安定した需要があります。
こちらの項目では、将来的にどのような需要増加が見込まれるのかについてご紹介します。
- 働き方改革による需要の増加
- テレワークなどの労働環境での需要の増加
- コンサルとしての需要の増加
社会保険労務士の活躍できる分野を理解し資格取得後に活かしましょう。
働き方改革による需要の増加
社会保険労務士は「働き方改革による需要の増加」が期待されます。
近年企業において優秀な人材を確保することや企業のブランディング効果を狙い、働き方改革の取り組みが注目されています。
例えば、育児休暇や未払い残業代、有給休暇など企業の制度を改善し働きやすい職場を整えるために社会保険労務士に相談するケースが増えつつあります。
特に、中小企業においては就業規則がない企業や現場視点ではない就業規則になっている企業も多く、社会保険労務士の需要は今後も安定していると言えます。
テレワークなどの労働環境での需要の増加
社会保険労務士は「テレワークなどの労働環境での需要の増加」も期待されます。
最近では新型コロナウイルス感染症の対策として、様々な業界でテレワークやフレックスタイム制度などのライフワークバランスを重視した労働環境への見直しが進んでいます。
特に中小企業では既存業務のデジタル化や現場の理解などテレワークの導入検討に関して課題を抱えているケースが多く、社会保険労務士への相談が増加傾向にあります。
前述の働き方改革と同じく、社会保険労務士の専門的知見が活かされるため労働環境の改善に関する需要は今後も期待できるでしょう。
コンサルとしての需要の増加
社会保険労務士は「人事と労務の専門コンサルタントとしての需要の増加」も期待できます。
具体的には、働き方改革や福利厚生、シニア・外国人採用に関して専門知識やノウハウのない企業に対してコンサルティングを行います。
最近では、モラハラやセクハラ、マタハラといった職場で起こるハラスメント対策に関する相談も増えてきています。
AIやITによって置き換わる業務が多く需要の減少が懸念される1・2号業務とは対照的に、コンサル業を中心とする3号業務は需要の増加が見込めます。
今後、社会保険労務士として生き残っていくためには、企業が抱える課題や経営状況を正確に把握し解決するコンスタント業務にも積極的に取り組むことが重要です。
社会保険労務士(社労士)になるには
社会保険労務士(社労士)になるには、社労士試験に合格し、社労士登録をする必要があります。
社労士試験は国家資格試験の1つで、合格率が約5%前後と非常に高い難易度となっているので、しっかりとした試験対策が必要です。
社労士試験の合格を目指すなら、時間と労力がかかる独学ではなく、効率よく学習ができる通信講座の利用がおすすめとなります。
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引用:アガルート公式サイト
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社会保険労務士(社労士)の需要や将来性まとめ
今回、社会保険労務士の「仕事がない」「役に立たない」といったネガティブな噂の真相や将来性に関して解説してきました。
資格が役に立たないという事実はなく、むしろ働き方改革の取り組みが活発に行われる中、社会保険労務士の企業コンサルティングにおけるニーズが高まっています。
一方で、従来主流であった労務の書類作成業務はAIやIT化の影響を受けて需要が減少傾向にあるという事実も否定できません。
今回ご紹介した将来的に需要が高まる分野を極めて、社会のニーズに応えることができる社会保険労務士を目指しましょう。