弁護士は数ある国家資格の中でも難易度が非常に高く、司法試験に合格しなければならない職業です。
合格までに数年かかり、また学費なども非常に高額と言われている司法試験を突破した弁護士の初任給や年収はどのくらいなのでしょうか?
また、弁護士の収入は年齢や経験によって差が出るのでしょうか?
ここでは弁護士の初任給や平均年収などを、さまざまな項目ごとに詳しく解説していきます。
弁護士の初任給
厚労省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、弁護士の初任給は約39万円となっています。
こちらは「25〜29歳に対して決まって支給する現金給与額」ですので正確には初任給ではありませんが、およそこれくらいとみて問題ないでしょう。
ちなみに、賃金構造基本統計調査を行なった全ての労働者のうち、大学院修士課程修了者の初任給は約24万円、大学卒は約21万円、高専・短大卒は約18万円、高卒は約17万円となっています。
弁護士の初任給は一般的な初任給より大幅に高いことがわかります。
男女別・弁護士の初任給
同じく「令和元年賃金構造基本統計調査」の25歳〜29歳を見ると、男性の初任給は52.13万円、女性の初任給は26.66万円となっています。
弁護士は男女で大きな給与差はないのですが、25歳〜29歳に関しては倍近い差が生まれています。
厚労省のこの統計は母数が少ないため実態と違う可能性もありますので、参考程度にとどめておくのがいいでしょう。
30歳〜34歳の場合は男性が47.71万円、女性は45.19万円とその差は少なくなっています。
企業規模別・弁護士の初任給
続いて、企業規模別の初任給を見ていきましょう。
弁護士事務所は個人開業した小さい規模のものから大人数を抱える大きな事務所までありますが、10人〜99人の事務所は48.2万円、1,000人以上だと44.2万円です。
令和元年賃金構造基本統計調査においては少人数事務所の方が初任給が高いという結果になりました。
後ほど紹介しますが、年収としてみた場合は大規模な事務所の方が高くなります。
弁護士の平均年収
次に弁護士の平均収入について見ていきます。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によれば、弁護士の平均年収は728万とサラリーマンの平均年収と比べてもはるかに高い水準となっています。
また、弁護士の年収中央値を見てみると約1,200万と言われており、弁護士という職業自体高収入であることがわかります。
ただし、1,200万円というのは中央値であり、平均年収は728万円という事を見るに年収の幅がかなり広いという事が伺えます。
男女別・弁護士の平均年収
男女別の平均年収は、男性が約730万円、女性が約726万円です。
平均年収で見た場合性別による差はほとんどなく、男女問わず活躍が見込める職業であると言えるでしょう。
内訳としては、男性の方が基本給が高くボーナスが低め、女性は基本給は低いがボーナスが高めとなっています。
企業規模別・弁護士の平均年収
続いて、企業規模別の平均年収です。
企業規模10人〜99人の場合は平均年収765万円、100人〜999人は646万円、1,000人以上は770万円となっています。
月収が最も多いのは10人〜99人で約54万円、ボーナスが最も多いのが1,000人以上規模で約190万円となっています。
100人〜999人の企業規模が最も低い平均年収となっていますが、全ての事業所がこれに当てはまるとは限りません。
5大法律事務所は高い年収が見込める
弁護士事務所には、弁護士の所属人数が500人以上の大規模な事務所が存在し、その事務所を総称して5大法律事務所と呼びます。
5大法律事務所は弁護士の多くが憧れる法律事務所であり、人数の多さもさることながら収入も高くなっています。
多くの弁護士は1年目の年収が55万円前後ですが、5大法律事務所は所属1年目で年収が1,000万円を超えると言われています。
5大法律事務所は激務で有名ですが、それに見合う収入は得られるということでしょう。
年齢や経験は収入に関係する?
弁護士の収入は、年齢や経験の差によって収入に差は生まれます。
基本的には年齢を重ねるにつれて弁護士は収入は上がって行き、50歳半ばごろにピークを迎えます。
弁護士は何歳からでもなれるため一概には言えませんが、基本的には年齢を経るほど経験年数も豊富なため、経験と年齢に比例して収入は増加していきます。
年齢別・弁護士の平均年収
年齢別の平均年収は、男女で分けた表で確認していきましょう。
年齢 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
決まって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
年収 | 決まって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
年収 | |
25〜29歳 | 52.13万円 | 23.86万円 | 649.42万円 | 26.66万円 | 61.47万円 | 381.39万円 |
30〜34歳 | 47.71万円 | 98.36万円 | 670.88万円 | 45.19万円 | 179.17万円 | 721.45万円 |
35〜39歳 | 54.40万円 | 140.2万円 | 793.0万円 | 38.55万円 | 134.12万円 | 596.72万円 |
40〜44歳 | 56.64万円 | 274.04万円 | 953.72万円 | – | – | – |
45〜49歳 | 81.07万円 | 624.3万円 | 1597.14万円 | – | – | – |
50〜54歳 | 168.91万円 | 0 | 2026.92万円 | 111.71万円 | 516.01万円 | 1856.53万円 |
55〜59歳 | 19.53万円 | 59.40万円 | 293.76万円 | 23.04万円 | 63.20万円 | 339.68万円 |
60〜64歳 | 20.56万円 | 50.10万円 | 296.82万円 | 21.85万円 | 58.20万円 | 320.4万円 |
このように、男女ともに50歳〜54歳に年収はピークを迎え、2000万円前後の収入となります。
女性は統計がありませんが、40代以降の年収は上がり幅が広く、経験を積むことで一気に収入を増やしていくことができます。
55歳以降は年収がガクッと落ちますが、これは体力の低下や、それまでの収入の蓄えから仕事を減らすことが考えられるでしょう。
弁護士は続けていくほどできる仕事が増え、収入も上がっていく、やりがいに溢れた仕事でしょう。
働き方による年収の違い
弁護士にはさまざまな働き方がありますが、大きく分けると3つの働き方があります。
1つが法律事務所に所属する働き方、1つが企業に雇われて、その企業専属の弁護士となる企業内弁護士、もう1つが独立開業です。
働き方による年収の違いも見ていきましょう。
アソシエイト弁護士の年収
アソシエイト弁護士は法律事務所に所属する弁護士であり、多くの弁護士が最初はアソシエイト弁護士として働きます。
アソシエイト弁護士はパートナー弁護士の部下として働き、経験を積んでいくことでパートナー弁護士を目指します。
アソシエイト弁護士の平均年収は約700万円で、全体の平均年収と同程度の収入となります。
パートナー弁護士の年収
パートナー弁護士は法律事務所を共同経営する立場の弁護士で、マネジメントや採用など弁護士以外の仕事も行います。
アソシエイト弁護士を部下にもち、一緒に仕事したり案件を割り振ることで業務をこなしていきます。
タスク量はかなり多いですが弁護士の多くはパートナー弁護士を目指し、年収は1,000万円を超えます。
パートナー弁護士としての経験を積めば、独立も視野に入れられるでしょう。
企業内弁護士の年収
企業内弁護士はインハウスローヤーとも呼ばれ、所属企業の法務や知的財産、コンプライアンスなどの業務にあたります。
一般的な弁護士のような業務を行うことはまずないですが、企業から給与が支払われるので安定感のある働き方です。
年収の幅は広いですが、750万円〜1,000万円が最も多く、次に500万円〜750万円程度の年収が多くなっています。
大きな昇給などは見込めませんが、業務も収入も安定しているため働きやすいでしょう。
独立弁護士の年収
独立開業した弁護士の年収はピンキリで、200万円〜300万円の方もいれば数億円稼ぐ弁護士もいます。
独立弁護士が稼ぐには広告やブランディング、仕事を行うばしょなどさまざまな要素を検討しなくてはいけません。
かなり広い視野を持って活動しなくてはならないため、弁護士以外のスキルも身につくことでしょう。
大変な分やりがいもあり、高収入も狙えるのが独立弁護士です。
弁護士の主な仕事内容
一般的なサラリーマンよりかなり高い収入が見込める弁護士ですが、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?
弁護士の仕事内容を簡単に紹介していきます。
法律の専門家として依頼者と法律相談
弁護士は法の専門家として顧客の様々な問題の相談に乗り、アドバイスをします。
顧客の問題は金銭トラブルから、離婚、労働問題など多種多様な問題を対応します。
これらの問題を法的に解決するアドバイスをすることが弁護士の仕事の一つとなっています。
裁判手続きや交渉
弁護士の仕事として裁判での交渉をイメージする方が多いですよね。
依頼者の代わりに権利を実現するために裁判という場において交渉をするのも弁護士の仕事です。
また、原告と被告人が和解するような場合にも弁護士は間に立って話を進めていきます。
法律に関する書類の代行作成
弁護士は法律相談の他に法律に関する書類作成も主な仕事となっています。
依頼者からの課題を法律の観点から見て、どこが法律的に問題なのか分かるように書類を作成します。
このように法律に関する知識を活かして書類を作成して、契約者なども分かるように噛み砕いて文章化したりします。
他にも弁護士の仕事はありますが、これらの3つが主な仕事内容となっています。
弁護士になるには
これまで弁護士の仕事内容や、初任給などについて紹介しました。
やはり、弁護士は法の専門的知識を生かす仕事で他の仕事と比べても初任給は高めとなっています。
次は、そんな弁護士になる方法について詳しくみていきます。
司法試験に合格する必要がある
弁護士になるには司法試験を突破しなければ、資格を得ることができません。
さらに、司法試験は誰でも受けられるわけでは無く、司法試験を受けるまでの道のりも困難なものとなっています。
以下では、司法試験の受験資格を得る方法について紹介します。
法科大学院からのコース
まず、一つ目としては法科大学院を卒業して司法試験を受けるコースです。
法科大学院を卒業することによって、司法試験の受験資格を得ることができます。
しかし、法科大学院に入学するための勉強や、入学して2年在籍しないと行けないので司法試験を受けるまでに時間はかかりますね。
司法予備試験からのコース
2つ目としては、司法予備試験を合格して司法試験を受けるコースです。
司法試験は法科大学院を卒業する他に司法予備試験を合格することで受験資格を得る方法となっています。
また、法科大学院と違って入学する際の勉強や、年数の縛りがないので司法予備試験に合格することができれば、受かってから5年間以内であれば何回でもチャレンジすることができます。
司法試験対策ならアガルート
前述した通り、司法試験はかなり難易度の高い国家資格となっており、独学での対策を不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は通信講座を利用してみるのがおすすめとなっています。
アガルート通信講座では司法予備試験、司法試験をはじめとした難関国家資格を専門に扱う通信講座となっています。
合理的な司法・司法予備試験対策
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また、司法予備試験を突破しても、アガルートでは司法試験の対策も行えるも魅力的ですね。
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司法試験において、アガルート受講生の合格占有率は36%でした。
司法試験合格者の約2人に1人がアガルート受講者と司法試験受験者から圧倒的支持を得ているようですね。
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弁護士の年収|まとめ
いかがだったでしょうか?今回は弁護士の初任給や、年収について紹介してきました。
弁護士の初任給は他の職業と比べてもはるかに高くなっており、年齢が上がるにつれて収入も上昇していくようです。
弁護士になるには司法試験を突破しなければなりませんので、通信講座を利用するのがおすすめです。
アガルート通信講座では司法試験も司法予備試験の対策も行うことができ、合理的なカリキュラムから高い合格率を誇っているのが特徴です。