弁護士になるために司法試験合格を目指して勉学に励んでいる方の中には、弁護士になって後悔することはあるのか、うつ病になる方が多いのは本当なのか気になっている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、弁護士になって後悔することに何が挙げられるのかということや、弁護士にうつ病が多いのは本当なのか、弁護士になるデメリットは何かといった点についてご紹介していきます。
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弁護士にうつ病が多いのは本当?原因は何?
弁護士になった方の中には、さまざまなことが理由でうつ病を患ってしまい「弁護士になって後悔した」と感じている方も多くいるようです。
厚生労働省のデータによると、令和4年度時点で精神疾患に悩む方の人数は約419万人となっており、そのうちうつ病などの気分障害を抱える患者の数は100万人を超えています。
さらに、令和元年のうつ病などの精神疾患が原因による自殺者の総数は3,858人で、そのうち弁護士として働いていた方は3人です。
このデータには、独立開業した弁護士の人数は含まれていないため、実際にはもっと多くの方がうつ病に悩み弁護士になって後悔しているかもしれません。
では、弁護士がうつ病になる原因としては、どういったことが挙げられるのか確認していきましょう。
ストレスのかかる業務内容が多いから
弁護士を頼ってやってくる方たちは、非常に複雑な問題やトラブルを抱えていることが多く、そういった依頼者の負のオーラを一身に受けることになるためストレスがかかりやすいです。
また、弁護士の仕事は依頼者やその相手方の人生に大きな影響を及ぼすこともあり、そのプレッシャーが負担・ストレスとなってうつ病の発症につながります。
弁護士になって後悔しながらも、毎日辛い仕事と向き合わなくてはならず、その中で社会的な責任を背負うことにもなるため、結果的に辞めたいと思う方も珍しくありません。
長時間労働を強いられることが多いから
うつ病は、心身に強いストレスがかかることが要因の1つとされていますが、弁護士は先ほどの過酷な業務内容に加えて長時間労働を強いられることが多い仕事です。
毎日、仕事を終わらせるために夜遅くまで働くこともあれば、休みの日にも仕事をしなければならないこともあるため、ストレス過多に陥りやすく疲れを癒す時間もありません。
また、プライベートな時間を確保することができず、リフレッシュや自分の好きなことができないといったこともうつ病になりやすい理由といえるでしょう。
責任感が強く真面目な性格の人が多いから
弁護士として働いている人の特徴として、「責任感が強く真面目な性格の人が多い」というものが挙げられるのですが、それ故に一人で悩みを抱え込んだり周囲に相談できなかったりする方も多いです。
こうした性格の方は、そうでない方と比べるとストレスを溜め込みやすく、心のバランスを崩してしまってうつ病になりやすいと言われています。
弁護士になって後悔!辞めたいと思うのはどんなとき?
「人のためになる仕事に就きたい!」と思って目指した弁護士も、いざなってみれば思い描いていたような仕事ではなくて辞めたいと考えてしまうケースは少なくありません。
では、実際に弁護士になって後悔して辞めたいと思うのはどんなときなのでしょうか?
想像していたよりも収入が良くなかった
弁護士といえば、医師などに並んで高収入なイメージがあるかもしれませんが、近年では司法試験の合格人数増加などにより若手弁護士の平均年収が下降傾向にあるといわれています。
中には、年間所得が300万円台というケースも珍しくなく、何のために大変な労力をかけて弁護士になったのか分からなくなったという方も多いです。
1,000万円以上稼いでいる弁護士もいますが、そこに到達するためにはかなりの経験を積まなくてはならないため、想像していたよりも稼げない現実に直面して辞めたいと考えるケースもあります。
労働時間が長くワークライフバランスが実現できない
弁護士で高収入を稼げるようになったとしても、その分一日中働かなくてはならないこともあり、人によっては休み返上で働いている方や深夜まで業務をしている方も珍しくありません。
さらに、遅くまで働いたからといって残業代が支給されることもほとんどないため、ストレスだけが溜まっていきプライベートが充実しないケースも多いようです。
その結果、ワークライフバランスが実現できず、長時間労働やストレスに耐えきれなくなって辞めたいと思ってしまうことがあります。
就職先がブラック事務所だった
若手弁護士が辞めたいと思う理由としてよく挙げられるのが、就職先の給料が安かったり労働時間がかなり長かったり業務量が抱えきれないほど多かったりと、いわゆるブラック事務所と呼ばれるところに就職してしまったケースです。
中には、暴言やパワハラが横行しているような劣悪な労働環境に身を置いてしまう方もおり、心身の体調を崩して辞めたいという考えに至るようになります。
弁護士になって後悔する前に!弁護士にはどんなデメリットがある?
たくさんの労力をかけて弁護士になっても、「こんなことならならなきゃ良かった」と後悔するのは悲しいものです。
ここからは、憧れの弁護士になって後悔することにならないように、本当に弁護士という仕事は自分が目指すべきものなのか、どんなデメリットがあるのか確認しておきましょう。
司法試験の受験などにお金がかかる割に成功が難しい
弁護士になるためには司法試験に合格する必要があり、司法試験予備試験に17,500円、司法試験に28,000円の受験手数料がかかることになるため、受験に失敗すればコストはどんどん膨れ上がります。
また、働きながら試験対策をする場合は予備校などに通う必要があるため、教材費などで100万円以上かかるケースも珍しくありません。
一方で法科大学院に通って司法試験を受ける場合、国立の法科大学院で年間授業料が約80万円、私立の法科大学院で55〜170万円かかり、法学部に通うためにも2年制で約180〜240万円、3年制で200〜300万円の費用が必要となります。
加えて、司法試験合格後は司法研修所で司法修習を1年間受ける必要があり、その間は給与が支払われることがないため、約300万円の貸付金を利用するか事前に同額程度を貯金しておかなくてはなりません。
弁護士を目指す方法にもよりますが合計で600万円近くかかることもあるのです。
お金がかかる割に独立開業をしても資金繰りが大変になり、成功を掴むのが難しく労力に見合わないと感じるケースもあるようです。
弁護士になるまでに長い年月が必要
法科大学院ルートで司法試験の受験資格を取得するためには、まず法学部で4年間学んだあとに法科大学院の既修者コース(2年制)を修了し、
司法試験合格後は司法修習を1年間受けることになるので、大学入学から弁護士になるまで約8年もの歳月が必要になります。
高校卒業後スムーズに大学へ進学できたとしても、弁護士になる頃には20代半ばを迎えており、場合によっては30代で弁護士デビューというケースも珍しくありません。
また、司法試験に合格できなければその分弁護士になるまでの期間も伸びることになるので、実際に弁護士になる頃には高年齢に差し掛かっているという年齢的なデメリットも挙げられます。
この他にも学生の期間が長いため、大学卒業後に一般企業に就職する学生と比べると社会に出るのが遅くなるといった点もデメリットの1つです。
慎重に日常生活を送る必要がある
弁護士には守秘義務がありますので、書類管理やセキュリティなどに一層気を遣う必要があるだけでなく、仕事や日常生活の中でちょっとしたミスをしてしまったとき「弁護士なのに」と世間的に叩かれてしまうリスクがあることもデメリットに含まれます。
さらに起こした問題の内容によっては弁護士資格の剥奪につながるケースもあるため、かなり神経を使いながら日常生活を送る必要があり、結果として大きなストレスを抱えることになってしまうことも考えられるでしょう。
弁護士になって後悔することや弁護士になるデメリットまとめ
弁護士になって後悔することには、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 想像していたよりも収入が少なかった
- 依頼者の負のオーラが凄まじく精神的にしんどい
- 労働時間が長くプライベートがほとんどない
- 弁護士になるためにお金や時間がかかった割に成功するのが難しい
- 気を遣い過ぎて日々の暮らしが窮屈に感じる
- 就職先がいわゆるブラック事務所だった
弁護士は、長時間労働によるプライベートの少なさや業務過多によってストレスがかかりやすい仕事のため、中にはうつ病を患ってしまう方も少なくありません。
その結果、弁護士になって後悔するだけでなく、実際に辞める決断を下してしまう方もおり、生半可な気持ちではできない仕事です。
もちろん、その分上手くいけば高収入を得られる仕事ではありますし、さまざまなトラブルを抱えた依頼者を救うことができればやりがいも感じられるでしょう。
いま司法試験合格を目指している方は、弁護士になって後悔しないためにもきちんとデメリットを把握し、対策を立てたうえでキャリアプランなどを考えることをおすすめします。