司法試験と同様に「予備試験」においても非常に難易度の高い試験であるため、毎年多くの受験生が不合格となってしまいます。
そのため、一発合格を目指して不合格にならないための対策や、不合格になる受験生のパターンを知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では「予備試験が不合格になってしまう理由」について、短答式・論文式・口述それぞれに分けて合格率と共にご紹介します。
合格する可能性を少しでも上げるために、予備試験に再チャレンジ予定の方や現役の予備試験受験生の方は、ぜひ最後までお読み下さい。
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司法試験予備試験に不合格は普通?
難易度の高い「司法試験予備試験」において、不合格になってしまうのは当たり前のことなのでしょうか。
まずは、直近3年間の予備試験の合格率をご覧下さい。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年 | 3.58% |
令和4年 | 3.62% |
令和3年 | 4.0% |
上記の圧倒的な合格率の低さから、司法試験の予備試験は決して簡単な試験ではなく「不合格でも当たり前」レベルの難関試験であると言えます。
予備試験の合格率が低い原因の一つに、予備試験は1種類の試験ではなく、「短答式・論文式・口述式」の3つをクリアできる高いスキルが求められることが挙げられます。
これから、3つの試験それぞれに細分化して不合格になる理由を解説しますので、ご自身の予備試験勉強の参考としてご覧下さい。
予備試験の短答式試験の合格率と不合格になる理由
比較的難易度が低いと言われる「短答式試験」の時点で、不合格になってしまう受験生も少なくありません。
実際のところ、以下の「直近3年間の短答式試験の合格率」から分かるように、半数以上の方が短答式試験の段階で不合格という結果になっています。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年 | 20% |
令和4年 | 21.7% |
令和3年 | 23.2% |
上記の結果を踏まえて「短答式試験の時点で不合格になってしまう理由」について、以下の3つをご紹介します。
- 十分な勉強時間を確保できなかった
- 合計得点を下げる科目があった
- 理解やインプットが追いついていなかった
「それぞれの原因を防ぐためにどのように対策すれば良いのか」についても簡単に解説していきます。
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十分な勉強時間を確保できなかった
短答式試験で不合格になる理由の1つ目として「十分な勉強時間を確保できなかった」ことが挙げられます。
多くの対策本やスクールにて解説があるように、予備試験の山場は「論文式試験」であるため、短答式対策が不十分になってしまう受験生も少なくありません。
とは言え、短答式試験に合格しなければ、その後の論文式試験を受験することすら出来なくなるため、短答式対策も時間をかけて行う必要があります。
特に独学で予備試験合格を目指す方は、短答式対策に全勉強時間の2割を配分し、論文式対策に7割を充てると良いでしょう。
比較的易しい短答式においても、抜かりなく対策を行うことで合格へ近づくことが出来ます。
合計得点を下げる科目があった
不合格になる理由の2つ目として「合計得点を下げる科目があった」ことが挙げられます。
短答式試験の合格点は例年160点〜170点の間で調整され、270点満点中6割以上を得点できれば合格できます。
法律7科目で各30点分と一般教養で60点分出題されるため、合格点以上を得点するためには1つの科目に偏りすぎず均等に勉強しなければなりません。
過去に試験や模試を受け合計得点を大きく下げる科目があったという方は、これから解説する原因が考えられるため併せてご確認下さい。
理解やインプットが追いついていなかった
不合格になる理由の3つ目として「理解やインプットが追いついていなかった」ことが挙げられます。
短答式試験においても単に暗記するだけでは不十分で体系的に理解ができていないと、問題の本質が掴めず得点を逃すケースも少なくありません。
体系的に理解しインプットができていれば、初見や応用問題にも対応できるようになるため、短答式だけでなく論文式でも安定して得点することができるでしょう。
短答模試で成績が良くない方や、過去の予備試験にて短答式で不合格になってしまった方は、まずはインプットを重点的に行うことをお勧めします。
予備試験の論文式試験の合格率と不合格になる理由
論文式試験は闇雲に勉強するだけでは合格することは難しく、予備試験の中でも特に合格率の低い試験です。
以下の「直近3年間の論文式試験における合格率」から見ても、例年合格率が20%を超えることはなく難易度の高さが見て取れます。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年 | 19% |
令和4年 | 17.8% |
令和3年 | 18.1% |
上記の合格率を踏まえて、「予備試験の論文式試験で不合格となる理由」について以下の4つをご紹介します。
- 論文式試験の勉強が疎かになってしまった
- 試験科目が多く学習が偏ってしまった
- 試験の時間が足りず得点を逃した
- 記述方法が誤っている・やってはいけない記述をしてしまった
最難関の論文式試験においても難なく合格するために、それぞれの対策についても簡単に解説していきます。
論文式試験の勉強が疎かになってしまった
論文式試験で不合格になる理由の1つ目として「論文式試験の勉強が疎かになってしまった」ことが挙げられます。
論文式試験は短答式試験の2ヵ月後ですが、短答式試験が始まる前から論文式試験の対策を始めなければ間に合いません。
理由の一つとして、解答形式が記述式となり解答の難易度が上がることに加え、科目が増えるため更に広範囲の知識をインプットする必要があるからと言えます。
短答式試験以上に学習時間が必要な試験であるため、前述したように論文式の学習時間に最も多く時間を割くスケジュールにすると良いでしょう。
試験科目が多く学習が偏ってしまった
論文式試験で不合格になる理由の2つ目として「試験科目が多く学習が偏ってしまった」ことが挙げられます。
論文式では10科目が出題され、合計点における合格基準が定められているため網羅的に学習を行う必要があります。
試験範囲が短答式よりも膨大であるため、苦手な科目の勉強が疎かになり合格点を満たせなかったという受験生も少なくありません。
論文式を攻略するためには、過去問を中心に偏りなく勉強することが重要と言えます。
試験の時間が足りず得点を逃した
論文式試験で不合格になる理由の3つ目として「試験の時間が足りず得点を逃した」ことが挙げられます。
論文式試験では、2時間程度で2科目をこなす必要があります。
一見すると時間に余裕があるように思えますが、応用問題も多く1問1問にしっかりと解答時間が必要なため、途中解答となり本来の力が発揮できない受験生も多くいます。
試験の時間が足りずに合格を逃してしまう方は、日頃から時間を意識した問題演習が足りていないことが一番の原因です。
模擬試験や過去問演習の際には、本番と同様の時間配分や解く順番で練習することをお勧めします。
記述方法が誤っている・やってはいけない記述をしてしまった
論文式試験で不合格になる理由の4つ目として「記述方法が誤っている・やってはいけない記述をしてしまった」ことが挙げられます。
例えば、「シャーペンで解答用紙に記載してはいけない」や「略字禁止」などのように、論文式試験には公文書に習って定められた細かなルールがあります。
そのため、ルール違反となるような記述方法や、記述内容を記載してしまうと、正確に解答していたとしても不合格になるため注意しなければなりません。
間違った記述をしないためにも、採点実感の確認や予備校・通信講座などの活用をお勧めします。
予備試験の口述式試験の合格率と不合格になる理由
口述式試験は合格率の高さから一般的に「不合格にならない試験」と言われていますが、実際のところはどうでしょうか。
以下の「直近3年間の予備試験における口述式試験の合格率」によると、実際に毎年10名〜20名近くの受験生が口述式試験で不合格となっており、絶対に合格できる試験とは言い切れません。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和5年 | 98.3% |
令和4年 | 98.1% |
令和3年 | 98.1% |
上記を踏まえて、「予備試験の口述式試験にて不合格となる理由」について以下の5つをご紹介します。
- 対策をする時間を確保しなかった
- 法文の暗記が足りなかった
- 入室や退室などの訓練不足
- 空白の時間や試験官とのコミュニケーションエラーが発生した
- 服装や態度がふさわしく無い
最後の最後で不合格になってしまわないように、「口述式で不合格を避けるための対策」も簡単に解説していきます。
対策をする時間を確保しなかった
口述式試験で不合格になる理由の1つ目として「対策をする時間を確保しなかった」ことが挙げられます。
論文式終了後から口述式まで3ヵ月程、そして論文式の合格発表から口述式本番までは2週間という短いスパンで行われます。
論文式の合格率や自己採点を甘く見た結果、論文の合格発表・口述式の試験日ギリギリまで準備をしなかったという受験生も少なくありません。
その結果、口述式用の対策が不足し当日に上手く解答できずに失敗したというケースもあります。
口述式は論文式と出題傾向が異なることからも、前述した論文式の合格率に関係なく対策を行うことをお勧めします。
法文の暗記が足りなかった
口述式試験で不合格になる理由の2つ目として「法文の暗記が足りなかった」ことが挙げられます。
論文式では試験中に試験用法文を確認することができますが、口述式の場合は試験官の許可が必要な上に確認回数が多過ぎると減点対象となります。
そのため、ある程度条文について回答できるようになっておかなければなりません。
緊張感のある環境でも条文を思い出せるように、スクールや通信講座などの口述模試を利用すると良いでしょう。
入室や退室などの訓練不足
口述式試験で不合格になる理由の3つ目として「入室や退室などの訓練不足」が挙げられます。
口述式はいわば面接ですので、一般的な面接試験と同様に入退場のマナーや話し方、回答の仕方も点数に直結します。
そのため、法律知識を完璧にするだけでなく、基本的なマナーの面でもしっかりと練習しておかなければなりません。
特に面接に相応しい話し方やマナーは一朝一夕で身につくものではないので、先ほども述べたようにしっかりと本番を想定した対策を行う必要があります。
空白の時間や試験官とのコミュニケーションエラーが発生した
口述式試験で不合格になる理由の4つ目として「空白の時間や試験官とのコミュニケーションエラーが発生した」ことが挙げられます。
口述式試験で一番やってはいけないのが、沈黙が長く続くような空白の時間を作ることです。
過度な沈黙により減点されないためにも「少々お時間いただきます」等と、一言面接官に伝えるだけでも印象が異なります。
また、予備試験合格者は将来的に様々な人の話を聴き適切な回答を出す立場であるため、スムーズなコミュニケーションが求められます。
例えば、威圧的な話し方や面接担当者の話を遮断するなど、司法を担うものとして相応しいコミュニケーションが取れない人物と判断された場合には不合格になります。
印象の良くない解答や、コミュニケーションエラーを避けるために、口述模試を利用することをお勧めします。
服装や態度がふさわしく無い
口述式試験で不合格になる理由の5つ目として「服装や態度がふさわしく無い」ことが挙げられます。
試験時の服装に指定はありませんが、面接試験におけるTPOをわきまえなければなりません。
最近はカジュアルタイプのスーツスタイルもありますが、面接においてはジャケットと襟付き白シャツのビジネス用のスーツスタイルが相応しいです。
また、アイコンタクトを取ることや、横柄な態度で椅子に座らないなど、面接時の態度にも気を使う必要があります。
服装や態度が著しく悪い場合にも、減点対象となる可能性がありますのでTPOに相応しいかどうかセルフチェックを行うと良いでしょう。
予備試験で不合格になってしまう理由や対策方法まとめ
今回「予備試験で不合格になってしまう理由」について以下の内容を解説してきました。
短答式 | 論文式 | 口述式 |
---|---|---|
十分な勉強時間を確保できなかった
合計得点を下げる科目があった 理解やインプットが追いついていない |
勉強が疎かになった
学習が偏った 試験の時間が足りず得点を逃した 記述方法が誤っている |
対策時間不足
法文の暗記不足 入室や退室などの訓練不足 空白時間・コミュニケーションエラーが発生した 服装や態度が不適切 |
それぞれの試験において異なる原因と対策方法がありますので、今回ご紹介した内容を参考に試験の特徴に合わせて適切な対策を行いましょう。