社労士は独立開業を目指せる難関国家資格ですが、それだけでは心もとないという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時にダブルライセンスとしてお勧めされるのが中小企業診断士です。
この記事ではそんな社会保険労務士と中小企業診断士のダブルライセンスについて、年収は上がるのか、ダブルライセンスのメリットは何なのかなどを解説していきます。
またどちらもまだ取得していないという方はどちらの資格を先に取得すべきなのでしょうか?
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社会保険労務士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリットは?
初めに社労士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリットを解説していきます。
両資格とも簡単に取得できるものではありませんが、その難易度に見合った利点はあるのでしょうか?
業務の幅が広がる
社労士の資格を持っていると企業の雇用や保険に関する書類作成の代行を行うことが出来ますが、コンサル業務に関しては知識や経験が不足していることがあります。
そこで中小企業診断士の資格を持っていれば中小企業の労働環境について的確なアドバイスが出来ますし、その説得力も変わってきます。
また労働環境だけではなく中小企業診断士の強みとして経営に関してもコンサルが出来るため、独立開業している場合受けられる仕事の幅が大きく広がります。
これらの理由によって、中小企業の専門家になることで安定した仕事の確保を実現することが出来るようになります。
自分の市場価値が上昇する
社労士と中小企業診断士の資格は、相性が良いだけではなく両方とも難関国家資格であるため持っているだけでも市場価値が高まります。
特に士業事務所での実務経験を持っている方であれば、より良い待遇で大手のコンサル系企業に転職できるほど市場価値が高くなります。
「新卒カード」などと言われるように就職先はある程度学歴で決まる時代になっていますが、このダブルライセンスは社会人になってから自分を大きく高めることができます。
将来性を確保することが出来る
AIの発達による業務の自動化は様々な業界で進むと言われており、現在社労士の独占業務となっている就業規則の作成などの書類業務は代替されてしまう可能性があります。
そこで近年独立開業し事務所を構える社労士はコンサルに特化している所もあり、将来性を確保するのに必死になっています。
そんな中で中小企業診断士の資格を持っていればコンサルの仕事で大きな武器になりますし、将来性の確保にも繋がります。
また企業からの信頼を得やすくなり仕事が継続して入ってくることも将来性に繋がると考えられます。
社会保険労務士と中小企業診断士のダブルライセンスは年収に影響する?
年収に関して、ダブルライセンスの方の平均年収データが得られなかったため正確な数値は出せませんでした。
しかし社労士の平均年収が484.9万円、中小企業診断士の平均年収は773万円と言われており、一般的なサラリーマンと比較すると中小企業診断士はかなり高くなっています。
その点を考慮するとダブルライセンス保有者の年収はより高いと予想でき、さらに独立開業している場合年収1,000万円を超えることも珍しくないでしょう。
中には社労士・中小企業診断士に加えて税理士などの資格を取得し、年収2,000万円を超える方もいらっしゃるようです。
社会保険労務士と中小企業診断士はどっちが先?同時に取得できる?
次に、社労士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得する際にどちらを先に取得すべきなのかを解説していきます。
また試験日程が被らなければ同時に取得することは可能なのでしょうか?
先に取得すべきは中小企業診断士!
社労士と中小企業診断士は難易度がほとんど同じ試験だと言われています。
試験内容としては社労士試験がほとんど暗記、中小企業診断士試験は暗記と理論が半々と言われているため、得意な方を受験するというやり方がお勧めされることがあります。
しかし実は社労士試験と中小企業診断士試験には試験制度に大きな違いがあるのです。
それは、中小企業診断士試験には科目合格制度があるということです。
科目合格制度は各試験科目に合格ラインが設定されており、試験自体が不合格だったとしても合格ラインを超えている科目に関しては次回以降の受験が免除されるという制度です。
つまり、中小企業診断士は年数をかけることによって合格の可能性が上がっていくということになります。
そのため先に中小企業診断士を取得して安定を取ってから社労士を目指す方が精神的にも安定すると考えられます。
また中小企業診断士は受験資格が無いため、誰でも気兼ねなく挑戦することが出来ることも魅力ですね。
同時取得はやめた方が良い
社労士と中小企業診断士は受験日が被っていないため、理論上は同じ年に受験しダブルライセンスを達成することが可能です。
しかし社労士と中小企業診断士は共に合格率6%前後の難関国家資格であり、社労士は勉強時間が約800~1,000時間、中小企業診断士は約1,000時間必要とされています。
被っている試験範囲もあるため両試験の勉強時間を800時間、勉強期間を1年としても1,600÷365=4.38…となり1日4時間以上の勉強が必要になります。
これらのことから、同時取得を目指すと2つとも不合格になってしまう可能性が出てくるため相当自信のある方以外はダブル受験は控えることをお勧めします。
社労士の資格の取り方
中小企業診断士の資格を取得した後に社労士の資格取得を目指すことになった場合、通信講座や予備校を利用すると便利です。
社労士になるには基本的に社労士試験に合格しなければいけませんが、社労士試験は合格率が6~7%の難関資格試験です。
効率よく勉強を進めていかなければ合格までに何年もかかってしまいます。
社労士試験に最短合格したい方は、充実した学習カリキュラムで1発合格も狙えるアガルート・アカデミーがおすすめです。
ダブルライセンス取得後の働き方は?
ここでは、ダブルライセンス取得後にどう働くべきかをご紹介していきます。
働き方に迷っている方やダブルライセンス取得後のイメージが付きにくい方はぜひ参考にしてみて下さい。
コンサルタントとして独立する
ダブルライセンスを取得すると実務経験がある場合独立開業することが推奨されています。
その場合社労士として書類作成や帳簿作成の代行を行う業務は将来性に欠けるため、両方の資格を生かすためにもコンサルタントとして事務所を構えましょう。
これまでの経験とダブルライセンスを生かすことが出来れば、安定して仕事を獲得することが可能です。
規模の大きいコンサル会社に転職する
人脈が上手く作れていなかったり独立開業に不安があり低リスクでキャリアを築いていきたい方は、規模の大きいコンサル会社に転職するという方法があります。
この場合ある程度の実務経験とそれなりの若さが必要になりますが、社労士と中小企業診断士のダブルライセンスであれば十分可能な選択肢となっています。
またコンサル会社を経由して経験と人脈を得た後に独立開業することも出来るため、一度目指してみるという形も取りやすくなっています。
社労士・中小企業診断士として地盤を固める
年収を大幅にUPさせるためには独立開業や規模の大きい企業への転職が必要ですが、年収にこだわりが無い方は今の働き方を固めるという手段もあります。
例えば現在社労士として働いている方が中小企業診断士の資格を得た場合、コンサルとして独立するのではなく社労士としてそのまま働きましょう。
その際今までこなしてきた書類作成・帳簿作成などの代行業務も続けつつ、中小企業診断士の資格を活かし顧客にアドバイスなどもしていくことで顧客の満足度を社労士として高めることが出来ます。
そして将来的には社労士としてアドバイスしてきた経験を活かしコンサル業務に注力すれば、仕事も安定して得られるでしょう。
つまり、ダブルライセンスを取得したからと言って突然働き方を変える必要は無いということですね。
ダブルライセンスの意味がないことはある?
社労士と中小企業診断士のダブルライセンスは確かに強力ですが、実は取得してもあまり意味が無い人もいらっしゃいます。
ここではダブルライセンスを取得しなくて良い場合をご紹介していきます。
事務所や企業に勤務していて転職する気が無い人の場合
1つ目のパターンは、既に社労士もしくは中小企業診断士の資格を生かし事務所や企業に勤務している人で、転職する気があまり無い人です。
この場合仕事は会社や事務所の信用で請け負いますし、個人でダブルライセンスを持っていても両方生かすことは難しいでしょう。
また転職する気が無い場合はダブルライセンスであるメリットがほとんどなく、勉強に費やした労力や時間に見合う成果を得られなくなってしまいます。
コンサルに興味が薄い社労士・人事に興味が無い中小企業診断士の場合
前述したように、社労士の方が中小企業診断士の資格を取得することで得られるメリットはコンサル業務の大幅な強化ができるということです。
そのため現在社労士として働いているがコンサルにあまり興味が無いという方は、中小企業診断士の資格を得ても社労士として成長することが期待できません。
また中小企業診断士として人事・労務方面でコンサルを受ける場合は社労士が役に立ちますが、経営方面でのみ仕事をしている場合はあまり役に立たないようです。
つまり、社労士と中小企業診断士の業務で被っている分野の仕事を受けないのであればダブルライセンスのメリットはほとんど無いということになります。
社労士と中小企業診断士のダブルライセンス取得の順番まとめ
今回この記事では社会保険労務士と中小企業診断士のダブルライセンスについて、年収は上がるのか、そのメリットは何なのかなどを解説してきました。
まずダブルライセンスのメリットとして、市場価値が大きく上昇することや将来性を確保できることなどが挙げられていました。
そして年収への影響に関してはほとんどの場合上昇し、独立開業していれば1,000万円を超えることも現実的になっています。
またダブルライセンスを目指している方は先に中小企業診断士の資格を取得することをお勧めします。
これは、中小企業診断士の方が不合格になっても保険がきくからですね。
このダブルライセンスはコンサル方面に強く相性も非常に良くなっていますが、場合によっては意味があまりないこともあるため、自分の働き方や将来をよく考えて受験するかどうか決めましょう。