高齢者や身体・知的・精神に障がいがある人に対し、日常生活を送るうえで困難なことを援助したり、ケアをするのが訪問介護員です。
その中でも重度の肢体不自由者で、サポートを必要とする人を支援するのが”重度訪問介護従業者”です。
重度訪問介護従業者の資格はどのような制度があり、どのようにして取得するのでしょうか?また、求人や年収についても検証します!
重度訪問介護従業者とは?
現在、求人の中でも特に数が多いのが『訪問介護員(ホームヘルパー)』です。
『訪問介護員』というのは正式名称ですが、一般的にはホームヘルパーと言われた方がピンとくるという方が多いかもしれませんね。
ホームヘルパーは、障がいを抱えている人や高齢者が日常生活を送るうえで難しいとされることを援助し、時には相談に乗ったりすることが仕事です。
それぞれの利用者に合った食事を作り、着替えや入浴、トイレの介助も行います。
利用者の中には、重度の障がいを抱えている人もいます。
そういった方たちのケアをするのが”重度訪問介護従業者”です。
重度訪問介護従業者は、次のような仕事をしています。
重度訪問介護従業者はこんなお仕事
重度訪問介護従業者は利用者の住まいを訪問し、食事や入浴、トイレの介助を行います。
また、食事を作ったり、洗濯や掃除をするなど家事を行い、利用者が外出する際は移動のサポートをします。
ここまでは、通常のホームヘルパーの仕事内容と同じですね。
では、重度訪問介護の制度を利用するのはどのような人なのでしょうか?
重度訪問介護の制度を利用できる人とは?
重度訪問介護従業者から介護サービスを受けるのは、障害程度区分が「区分4以上」の人です。
例えば2肢以上に麻痺などがあったり、難病(パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、リウマチなど)を患っている人や、脳性麻痺、脊髄損傷を負っているという方が多くいます。
他に、65歳未満の人も重度訪問介護の制度を利用できる場合があります。
原則として65歳以上の高齢者が受けられるサービスとなっていますが、若い年齢でも介護が必要となった方のために障害福祉サービスの制度は存在するのです。
このような方たちを介護する際は、十分な注意と、きめ細やかな配慮が必要とされます。
そのため、重度訪問介護従業者はしっかりと研修を受けることが大事です。
重度訪問介護従業者の資格はどうやって取得する?
重度訪問介護従事者の資格は、都道府県知事が指定している『重度訪問介護従業者養成研修』を受けることで取得できます。
受験資格などは特に定められておらず、重度訪問介護従事者になりたいと希望している人であれば誰でも受講することが可能です。
短期間での取得も可能
重度訪問介護従業者の資格を得るためには、基礎課程・追加課程というカリキュラムを学習します。
講義では、実際にホームヘルパーやガイドヘルパーとしてたくさんの経験を積んだ方や、自身も障がいを抱えながら、ピアカウンセラーとして障がい者の自立支援をサポートしている方から現場の生の声を聞くこともあります。
さらに指定重度訪問介護の実習もあり、障がいを持っている方を招いて利用者の立場に立った演習を行います。
利用者とコミュニケーションを取りながら学ぶので、介護サービスを利用する側の意見や思っていることを聞ける良い機会です。
重度訪問介護従事者の資格を取得すると、軽度から最重度の障がいを抱える方に介護サービスをすることが可能です。
「障がい者の介護の仕事を始めるにあたり、最も必要な資格」だと話している施設もあるくらいです。
また、旧ヘルパー2級と呼ばれる『介護職員初任者』の資格と比較しても、重度訪問介護従事者の資格は短期間で取得できます。
そのため介護経験がなく、「これから仕事をスタートする」という方にもおすすめの資格です。
介護の仕事と言っても自宅だけに留まらず、時には買い物などの外出を手助けするガイドヘルプの業務もあります。
利用者の生活を深く支えることができる、とても大切なお仕事ですね。
重度訪問介護従事者の求人は?
現代において介護に関する求人は星の数ほど存在し、人手が充分あるという施設の方が珍しいくらいです。
それは重度訪問介護従業者の求人も同様で、求人サイトを見ただけでも何千件とヒットします。
採用はパートやアルバイトであっても、場合によっては正社員になれるというものもあり、中にはシフトが自由に選べるという企業もあります。
また、募集をかけている時期も通年である場合が多く、新規の施設も次々とできています。
特にこだわりがなく、ホームヘルパーの仕事に従事したいと考えている方は、働く場所を探しやすいと言えます。
重度訪問介護従事者の年収は?
介護職のイメージとして、重労働であるにも関わらず低賃金という印象が強いかもしれません。
実はホームヘルパーの仕事は、正社員の雇用がそれほど多いわけではないのです。
アルバイトかパートとして働く人が大半で、給料も時給制となっています。
時給は勤務先によって違いますが、「身体介護」を担当している場合は、1件の利用者で時給が1,800円〜2,500円くらいです。
「生活援助」では若干下がり、時給が1,300円〜1,600円ほどとなっています。
訪問介護ではなく施設のスタッフとして勤務する場合は、時給が750円〜1,000円程度とされていて、日給に換算すると6,000円前後になることが多いようです。
正社員の場合は、平均して15万〜20万円ほどが月給ということが多いです。
年収は200万前後くらいですが、夜勤に入る回数やホームヘルパーの資格(介護職員初任者研修など)があるかどうかでも若干変わってきます。
夜勤手当がつく!
夜勤に入る場合は、「夜勤手当」というものが付きます。
大体いくらくらいが支払われるかと言うと、1回の勤務につき3,000円〜5,000円ほどとなっています。
介護職の中には夜勤を専門として働く人もおり、その場合は1日あたり8,000円〜10,000円とやや高めの収入がもらえます。
夜勤は肉体的・精神的にも疲労が蓄積されるので、なかなか進んでやりたいと願い出る人は少ないかもしれません。
体力に自信があり、収入を少しでも増やしたいと考えている方は希望してみるのも良いでしょう。
重度訪問介護についてのまとめ
現代の日本では、介護を必要としている人が年々増え続けています。
そのような中、採用されやすいことも理由の一つなのか、介護職を選ぶ人も増加しています。
年齢や障がいの有無に関係なく、誰もが居心地良く生活できることが何よりも大切です。
ホームヘルパーは、その支えとなる大切な役割を担う職種だと思います。
年収が高いとは決して言えませんが、実際に重度訪問介護の資格は短期間での取得も可能なので、介護の仕事に興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。