不登校とはどのような状態なのか?改善と対策 更新時間 2024.06.18
近年、不登校の問題が深刻化しています。
学校に通えない、通いたくないと感じる子どもたちは増加しており、その原因は多岐にわたります。
この記事では、不登校とは何か、その原因や影響、そして不登校を克服するための具体的な方法について詳しく解説します。
また、子どもが不登校になった場合、どのような支援を受けられるのか、どこに相談すればよいのかもまとめました。
不登校に悩む小中学生や高校生、そしてその親御さんにとって、有益な情報を提供できることを願っています。
不登校とは?定義や引きこもりとの違い
不登校は、学校に行けない、行かない状態が長期間続くことを指します。
この状態は、学業や社会生活に大きな影響を与えることがあります。
不登校の定義
不登校というと、長期に渡り学校に行かないこと、何らかの要因で長期間休むことと認識されている方が多いのではないでしょうか?
文部科学省によると、不登校は以下のように定義されています。
『不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。』
令和3年度の調査では、小・中学校における不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)で、調査開始以降最多の数となり、初めて20万人を超えました。
この増加率は24.9%で、調査開始以来最も高い割合です。
在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は2.6%で、全体の約55%が90日以上欠席しています。
引用:文部科学省「不登校の現状に関する認識」
引きこもりとの違い
引きこもりとは、仕事や学校に行かず、自宅に引きこもる状態が6カ月以上続くことを指します。
不登校が学校生活に限定されるのに対し、引きこもりは社会全体からの撤退を意味します。
つまり、引きこもりはより広範な社会的孤立を伴うことが多いです。
一方で、不登校は「学校に行けない」状態であり、引きこもりのように社会全体から隔絶されているわけではありません。
不登校になる予兆
不登校になる予兆には、いくつかの明確なサインがあります。
まず、学校に行く前に、頭痛や腹痛、倦怠感などの体調不良を訴えることが増えます。
これらの症状は、ストレスや不安からくる身体的な反応であることが多いです。
また、朝起きるのが難しくなったり、学校に行く準備が遅くなることもあります。
次に、学校や勉強に対する関心や意欲の低下が見られることがあります。
成績の急激な低下や、宿題の未提出が続く場合は注意が必要です。
さらに、友人関係のトラブルも予兆の1つです。
友達との交流が減ったり、いじめや孤立感を感じることが不登校の原因となることがあります。
家庭内でも、口数が少なくなったり、感情の起伏が激しくなったりすることが頻繁に起こると要注意です。
これらのサインを早期に察知し、適切なサポートを行うことで、不登校の深刻化を防ぐことできます。
何が不登校を引き起こすのか?不登校の原因とは
不登校の原因は多岐にわたり、それぞれの子どもに異なる要因が影響しています。
以下に、代表的な不登校の原因を説明します。
学校の勉強や試験がストレスになる
学校の勉強や試験がストレスになることは、不登校の大きな原因の1つです。
高い学業成績を求められるプレッシャーや、授業についていけないと感じることで、子どもは学校に行きたくないと思うようになります。
特に、成績が悪化することで自己評価が低下し、さらに登校への意欲が失われることがあります。
また、親や教師からの期待やプレッシャーも、ストレスを増幅させる要因となります。
いじめや人間関係
いじめや人間関係の問題も不登校の主要な原因です。
クラスメートとのトラブルやいじめに遭うことで、学校生活が苦痛に感じられ、登校を避けるようになります。
友人関係がうまくいかず、孤立感を感じることも不登校を引き起こす要因となります。
特に、いじめは深刻な精神的ダメージを与え、長期間にわたって影響を及ぼすことがあるので、早期の対応が必要です。
無気力
無気力ややる気の喪失も不登校の原因です。
学校生活に対する興味や関心を失うことで、登校意欲が低下します。
これは家庭環境や個人の性格、精神的な要因が絡み合って生じるケースもありますが、原因が特定できないことが多いのが特徴です。
また、過度のストレスや疲労、生活リズムの乱れも無気力を引き起こす原因となります。
無気力の状態を「甘え」「怠け」と捉える親御さんも多いようですが、適切な休息と子どもへの理解が必要です。
不規則な生活
不規則な生活習慣は、不登校を引き起こす一因です。
夜更かしや朝起きられないといった生活リズムの乱れが続くと、学校に行くのが困難になります。
不規則な生活は体調不良や集中力の低下を引き起こし、学校生活に支障をきたします。
ゲームのやりすぎやスマホの見過ぎなどに注意し、健康的な生活習慣を維持することが重要です。
ただし、中には「起立性調節障害」という病気を抱えているケースもあります。
午前中の調子が悪い、めまいや立ちくらみがするという場合は、病院で適切な治療を受けましょう。
起立性機能障害については「起立性機能障害とは?起立性機能障害に通信制高校がおすすめな理由を紹介!」の方でも詳しく説明しているので参考にしてみましょう!
発達障がいや学習障がい
発達障がいや学習障がいも不登校の原因となります。
これらの障がいにより、授業についていけなかったり、友達と上手くコミュニケーションが取れなかったりすることが、不登校を引き起こします。
早期発見と適切な支援・理解が必要であり、個々のニーズに応じた教育環境の整備が重要です。
スクールカウンセラーや専門家に相談することで、症状の悪化を防ぎ、不登校の防止に役立ちます。
不登校になるとどんな影響がある?
不登校は子どもの生活全般にさまざまな影響を及ぼします。
以下に、不登校が与える具体的な影響について説明します。
学力
不登校になると、授業に参加できないため学力が低下する可能性が高まります。
授業の進行に遅れをとり、宿題やテストの成績も影響を受けることがあります。
長期間の欠席が続くと、基礎的な学習内容の理解が不十分になるため、復帰後の学習の遅れを取り戻すのが困難です。
不登校に関する調査でも、将来的な就職や暮らし向きにおいて、雇用形態は正規雇用より非正規雇用や無職になる傾向があると発表されています。
社会的な影響
不登校は社会的な影響も大きく、友人関係の断絶や孤立感が生じることがあります。
学校での人間関係が希薄になることで、他者とのコミュニケーション能力が低下し、社会的スキルの発達が遅れてしまうかもしれません。
そうなると、不登校から引きこもりに移行し、社会との関係を完全に遮断してしまう可能性も懸念されます。
学校や家庭以外に、社会とつながれる場所を見つけることが重要です。
精神面
不登校は、子どもの精神面にも深刻な影響を与えることがあります。
長期間にわたる不登校は、自己肯定感の低下や自信喪失を引き起こすことがあります。
また、将来に対する不安や抑うつ状態、ストレスが増大し、こころの健康に悪影響を及ぼすかもしれません。
早期の介入とサポートが、精神的な健康を維持するために重要です。
不登校を克服するために周囲ができること
不登校を克服するためには、家族、学校、専門家が連携し、総合的なサポートを提供することが重要です。
以下に、具体的な支援方法を説明します。
家族の理解とサポート
家族の理解とサポートは、不登校の克服において最も重要な要素の1つです。
子どもが不登校になる原因を理解し、無条件の愛と支援を提供しましょう。
家族が子どもの気持ちを尊重し、安心して話せる環境を作ることで、子どもは自分の悩みを打ち明けやすくなります。
また、日常生活のリズムを整え、規則正しい生活習慣を維持するサポートも重要です。
家族が一丸となって子どもの成長を支える姿勢が、子どもの自信回復と学校復帰につながります。
また、不登校中の学習に関しては「不登校中におすすめの勉強方法を紹介!」の方でも詳しく解説しているので参考にしてみましょう!
学校との連携と協力
学校との連携と協力も不登校克服の鍵です。
学校は子どもの状況を理解し、個別のニーズに応じた対応を行う必要があります。
例えば、登校時間や授業内容の柔軟な調整、保健室登校などが考えられます。
また、スクールカウンセラーや教師との定期的なコミュニケーションを通じて、子どもの進捗状況や心の状態を把握し、適切な支援を提供することが重要です。
学校と家庭が協力し合い、子どもが安心して学校生活を送れる環境を整えることが求められます。
専門家のカウンセリングや治療
専門家のカウンセリングや治療は、不登校の原因を根本から解決するために重要です。
心理カウンセラーや精神科医、ソーシャルワーカーなどの専門家の支援を受けることで、子どもは自身の問題を客観的に理解し、適切な対処法を学ぶことができます。
専門家のカウンセリングは、子どもの心の傷を癒し、再び学校に通う意欲を取り戻す手助けをします。
専門家の支援を積極的に活用することが、不登校克服への1歩となるでしょう。
不登校時の勉強サポート方法
不登校の子どもが学習を続けるためには、家庭や外部のサポートが重要です。
以下に、不登校時の勉強サポート方法について説明します。
塾や家庭教師を利用する
塾や家庭教師を利用することは、不登校時の勉強サポートとして非常に有効です。
特に個別塾では、専門の教師がマンツーマンで指導してくれるため、子どもの学力に応じたカリキュラムで学習を進めることができます。
また、家庭教師は自宅で指導を提供するため、子どもがリラックスした環境で学習に取り組めることがメリットです。
塾や家庭教師の利用は、学校で遅れた分を補い、学力の維持や向上に役立ちます。
フリースクールに通う
フリースクールは、不登校の子どもに特化した教育機関で、柔軟な学習環境を提供する学びの場です。
ここでは、個々のペースに合わせた学習ができ、ストレスの少ない環境で学びを続けることができます。
フリースクールでは、通常の学校とは異なるアプローチで教育を行い、子どもの興味や関心に基づいた学習を促進します。
社会性を育むための活動や友達との交流も盛んで、学校復帰への橋渡しとしても効果的です。
フリースクールについては「フリースクールの基礎知識を教えて!入学までの手順・費用・選び方まで徹底解説」の方でも詳しく説明しているので参考にしてみましょう!
オンライン学習サービスを利用する
オンライン学習サービスの利用も、不登校時の勉強サポートに適しています。
インターネットを通じて、自宅で好きな時間に学習ができるため、生活リズムに合わせた勉強が可能です。
多くのオンライン学習サービスは、ビデオ講義やオンラインテスト、個別指導など多様な学習コンテンツを提供しており、子どもの学力や興味に合わせて選ぶことができます。
また、オンライン学習は自己管理能力の向上にもつながり、将来的な自主学習の基盤を築く助けになります。
子どもの不登校はどこに相談したらいい?
子どもの不登校に悩んだとき、どこに相談すればよいのかを知ることは重要です。
学校の先生やスクールカウンセラーと話し合っても、今後の道筋が見えなければ、以下の相談先に問い合わせてみましょう。
教育支援センター
「教育支援センター(適応指導教室)」は、主に小中学生が長期欠席した場合に利用できる公的機関です。
教育委員会が設置した公的機関であり、一部のセンターでは高校生も受け入れているようです。
文部科学省のデータによると、全国に1,142ヶ所設置されており、63%の自治体に存在します(平成29年度調査)。
教育支援センターでは、教員免許を持つ職員や臨床心理士、社会福祉士などの資格を持つ専門家が指導にあたります。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理や福祉の専門家も配置されており、子どもの総合的なサポートが行われています。
児童家庭支援センター
児童家庭支援センターは、地域の子どもと家庭を総合的に支援する機関です。
不登校の問題に対しても、専門的なカウンセリングや相談を提供しています。
子ども自身の悩みだけでなく、家庭環境や親子関係の改善に向けたアドバイスも受けられる施設です。
必要に応じて、児童相談所や児童福祉施設等との連絡調整を行い、地域に根差した子ども支援活動を行っています。
教育相談センター
教育相談センターは、学校教育に関する相談を受け付ける専門機関です。
不登校やいじめの問題についても、福祉職やカウンセラーが親身に相談に応じます。
また、お子さんの発達に関する相談や、家庭での困りごとなどの相談も可能です。
相談方法は地域によって異なりますが、電話相談や対面での面接相談ができ、匿名での問い合わせにも応じてくれます。
ひきこもり地域支援センター
ひきこもり地域支援センターは、年齢を問わず、ひきこもりに悩む本人やその家族が相談できる窓口です。
さまざまな問題に対して、県や市町村の専門機関と連携し、丁寧なサポートを提供します。
専門的な相談員や、NPOなどでサポート経験が豊富なアドバイザーが無料で相談に応じます。
また、ひきこもりを経験したことのある方やその家族の話を直接聞くことも可能です。
匿名での相談も受け付けていますので、ぜひ気軽に活用してみてください。
不登校は学校や支援機関に相談しながら焦らずに改善させましょう
不登校は子どもやその家族にとって大きな問題ですが、焦らずにスモールステップで進むことが大切です。
まずは、子どもの気持ちを尊重し、否定せずに理解することが重要です。
そして、学校や地域の支援機関に相談し、専門的なアドバイスとサポートを受けましょう。
家族、学校、専門家が連携して子どもを支えることで、再び学校生活に戻るための道が開かれます。
子どものペースに合わせた柔軟な対応と温かい支援が、不登校の克服に繋がります。
子どもが安心して成長できる環境を整えるために、周囲の理解と協力が欠かせません。
親御さんは、「早く学校に行ってほしい」「不登校は良くない」と考えず、お子さんの心をしっかりと休ませることを優先しましょう。