教育機会確保法とは?法に関する基本方針や今後の課題について紹介 更新時間 2025.01.08
日本では法律で、国民に等しく教育を受ける権利が保障されています。
その中で、教育機会確保法というものによって不登校の子どもに対する対応が見直されました。
教育機会確保法について言葉を聞いたことはあるけど、どんな内容なのか分からない という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このページでは、教育機会確保法の背景や今後の課題など含めて、どんな内容なのか詳しく説明していきます。
教育機会確保法について
いじめや人間関係など何らかの事情で、学校にいけない子どもが年々増加しています。
そこで、不登校の子どもに対応した法律が教育機会確保法です。
ここでは、教育機会確保法とは何か、どんな背景があり制定されたのかお話していこうと思います。
教育機会確保法とは?
教育機会確保法とは、不登校児童が教育の機会を失わないことを目的とした法律です。
不登校により、勉強の機会を失ってしまった児童・生徒に対して学校への投稿は強制せずに、それぞれの子どもにあった学習環境を保障しています。
教育機会確保法のポイントは以下の通りになっています。
- 学校以外でも様々な学び場を選択できる
- 「学校復帰」ではなく「社会的自立」を目指す
- 国、地方公共団体と民間の団体が協力し、子どもや親へ必要な情報を提供する
上記の通り、どんな子どもに対しても教育の機会を確保していくのが教育機会確保法です。
教育機会確保法制定の背景
冒頭でもお伝えしたように、日本では、憲法や教育基本法などの法律で、国民に等しく教育を受ける権利が保障されています。
しかし、不登校児童や生徒が毎年12万人以上いるのに対して、「教育を受ける権利」が十分に保障されてきませんでした。
また、戦後の混乱期に困窮のため義務養育を受けれなかった義務教育未修了者が一定数います。
上記の内容を踏まえて、教育機会確保法が平成28年に制定されました。
学校に通うことだけが学びの場ではないということ
ポイントでもお伝えしましたが、教育機会確保法は「学校復帰」ではなく「社会的自立」を目指す場であり、児童生徒全ての教室への通学を目指しているのではありません。
本人の状況によっては、学校を休んだり、安心できる場所で学ぶなど本人の状況に合わせての対策が認められています。
学校に行くこと自体が厳しい児童生徒には、フリースクールや教育支援センターなどで教育のサポートを受けることが可能です。
学校に行き、クラスのみんなと授業を受けることももちろん大切ですが、何か事情がありそれが難しい児童生徒がいることも忘れてはいけません。
そんな悩みを抱えるたるための児童生徒のためにできた法律が教育機会確保法です。
教育機会確保法の理念
教育機会には、以下の5つの理念があります。
- 全ての児童生徒が安心して教育を受けられる学校の環境の確保
- 不登校の児童生徒にそれぞれ必要な支援を提供
- 不登校児童生徒が安心して教育を受けられる学校の環境を整える
- 年齢・国籍にかかわりなく能力に応じた教育機会の確保
- 国、地方公共団体、民間の団体等との連携
ここでは、教育機会確保法の理念について詳しくお話していこうと思います。
全ての児童生徒が安心して教育を受けられる学校の環境の確保
すべての児童生徒が学校生活を豊かに送り、学校は勉強に専念できる環境を確保します。
いじめ、仲間外れ、体罰などを許さない学校作りや各児童や生徒に合わせた学習指導・サポートなど学校の環境の確保が重要となってきます。
少しでも学校の環境が変わるだけでも、学校に行きやすくなる生徒や児童は増えてくるのではないでしょうか。
不登校の児童生徒にそれぞれ必要な支援を提供
学校や担当教員は、不登校の児童や生徒の学習の進捗状況などを把握し、本人にあったサポートを求められます。
家庭訪問を行い、児童生徒と保護者の声をよく聞くことで状況の把握をしたり、児童生徒の意思を尊重した上での休学の許可など状況に応じたサポートをするのが重要です。
不登校児童生徒が安心して教育を受けられる学校の環境を整える
学校や担当教員には不登校の児童生徒の学習進捗だけではなく状況を常に把握し、状況に応じた支援を行うことが求められているのです。
カウンセラーとの連携や別室登校、保健室登校の許可など不登校児童生徒が安心して教育を受けられる環境を整えていくことが重要になります。
年齢,国籍にかかわりなく能力に応じた教育機会の確保
教育機会確保法が制定された背景でもお伝えしましたが、戦後義務教育が受けられなかった義務教育未修了者がいます。
義務教育を十分に受けることができなかった義務教育未修了である人が約12万8000人いることが確認されているのです。
そのため、年齢や国籍に関係なく、そういった人たちも義務教育が受けられる環境を確保することが求められるのではないでしょうか。
国,地方公共団体,民間の団体等との連携
不登校児童生徒に対して、学校や担当教員だけが解決に動くのではなく、国や自治体とも協力して解決していくことも重要だと考えられています。
不登校児童生徒の支援を、学校、教育委員会、及び教育機会を提供する民間団体との連携など学校側と国や自治体が協力して補完し合いながら行うことが求められていくでしょう。
教育機会確保法の現状と課題
教育機会確保法を制定しましたが、不登校児童生徒が減少傾向にならないのが現状です。
また不登校児童生徒が減少傾向にならないことだけではなく、サポートする側にも課題があるのです。
そこで、どんな課題や問題があるのかということを詳しく説明していきます。
教員への負担
教育機会確保法では、家庭訪問で不登校児童生徒の状況把握など、不登校児童生徒に細やかな配慮が必要になります。
担当教育が不登校児童生徒に対して、激務の中どこまで対応できるのか、さらには教員への負担の重さが負担となっています。
不登校児童生徒へだけではなく、サポートする側にも目を向けていかなければなりません。
フリースクールが少ない
フリースクールは東京や大阪といった大都市には多くありますが、各地方のおけるフリースクールの数は1〜5施設程度とかなり少なくなっています。
地方では、アクセスの都合上フリースクールに通うのが厳しい児童生徒も少なくはないです。
そのため、地方の不登校児童生徒もフリースクールに通いやすい環境を作っていくことも今後の課題として重要になってくるのではないでしょうか。
不登校への理解がない
現代社会では、まだまだ不登校の児童生徒への理解があるとは言い切れません。
教育機会確保法についてわかってはいるけど、保護者の中には学校に通わせたいと考える人もいます。
また、教育機会確保法が施行後に設置された不登校特例校は2校で、全国で12校にとどまります。
不登校児童生徒を受け入れる特別な措置の学校の設置も少なく、学校側の理解も深めていかなければいけません。
学校に行ってほしい気持ちも親にはあると思いますが、それを思っての行動が余計に学校に行かせたくない気持ちにさせてしまう場合もあります。
不登校や引きこもりで悩んでいる方は、こちらをぜひ参考にしてみてください!
「不登校や引きこもりの親が実はやってはいけない行動6つ」夜間中学の設置が進まない
教育機会確保法の施行を受け、夜間中学の設置が推進されていますが、実現には依然として多くの課題が残っています。
文部科学省の調査によれば、令和5年10月現在で夜間中学は17都道府県に44校設置されている一方で、全ての都道府県や指定都市に最低1校という目標には達していません。
夜間中学は、経済的理由や外国籍などの事情で義務教育を十分に受けられなかった人々に学び直しの場を提供する重要な施設です。
しかし、設置にはスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置といった人材確保が必要であり、これが大きな障壁となっています。
また、運営にあたる自治体には財政的負担が生じるため、予算や体制の整備も課題です。
文部科学省は、設置促進に向けて手引きを改訂し、設置事例や工夫を共有していますが、全国的な展開にはさらなる取り組みが求められます。
夜間中学の重要性を広く周知し、社会全体で支援する姿勢が不可欠といえるでしょう。
通学日数が少なくても勉強ができる!おすすめの通信制高校
不登校の方の中には、学校に通いたくても理由があり通えなく将来に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
通信制高校であれば学校に通う回数は少なくても、しっかり学習サポートが受けられる学校も多くあります。
さらに通学の必要が無い高校もあるため、自分の状況に合わせて学校に通うことができます。
ここでは、おすすめの通信制高校を紹介していきます!
通信制高校について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください!
「通信制高校とは?」- 鹿島学園高等学校
- 一ツ葉高等学校
- 第一学院高等学校
鹿島学園高等学校
鹿島学園高等学校は様々なコースがあるため、自分に最適なコースを選択することができます。
一週間に一回学習センターに通学して、指導を受けられるコースからネット指導制や、さらには家庭教師がきて勉強を教えてくれるコースがあります。
通学をしなくてもしっかり学習サポートが受けられるので、通学が苦手な方にもおすすめです。
学校に通えるコースもあれば、学校に通わないコースもあるので自分の状況に応じて選択することができますね!
入学できる都道府県 | 22都府県から入学可能 |
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制服 | あり 希望者のみ。私服でも通学OK |
スクーリング | あり |
クラブ活動 | あり |
一ツ葉高等学校
一ツ葉高等学校には、通学ゼロコースというものがあります。
どういったものかというと、夢と高卒資格をどちらもあきらめたくない生徒のために、限りなく通学0で卒業を目指すといったコースになっています。
在宅だけど全日制に負けない学習内容やプラスαの学習教材で在宅のまま進学が目指せる進学 コースなど様々なコースが選択できるため、自分の将来に合わせた学習が可能です。
開講以来、卒業率も100%のため安心して卒業を目指すことができるので安心して授業を受けることができますね!
入学できる都道府県 | 47都道府県 |
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制服 | あり |
スクーリング | あり |
クラブ活動 | あり |
第一学院高等学校
Mobile HighSchool(通信コース)があります。
このコースは、ネットを使用して学ぶので学校に通う必要がありません。
またレポートや課題等もネットで提出できるので、気軽に提出することができます。
さらに日本全国海外からでも入学が可能で、インターネットが使用できるところであればどこでも授業が受けられるのでそれも魅力的ですね!
入学できる都道府県 | 全国から入学可能 |
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制服 | あり ※着用は自由 |
スクーリング | あり |
クラブ活動 | あり |
紹介した通信制高校以外にもおすすめの通信制高校を知りたい方はぜひこちら参考にしてみてください!
「通信制高校おすすめランキング!失敗しない通信制高校選び」教育機会確保法に該当する教育機関以外の学習施設
教育機会確保法に基づき、学校以外でも多様な学びの場が提供されています。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- フリースクール
- 学びの多様化学校(不登校特例校)
- ホームスクール
これらの施設は、不登校や障害を抱える子どもたちを含む多様な学習者に向けて教育の機会を広げる役割を担っています。
以下では、代表的な4つの施設について詳しく解説します。
教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センター、または適応指導教室は、不登校の小中学生や高校生に対する支援を目的に各市区町村の教育委員会が運営しています。
基本的に無料で利用でき、元教師や臨床心理士などの専門家が指導を行うため、カウンセリングや日常の支援も充実しています。
この施設では、生徒が学校生活に戻るための準備や社会適応を促進する活動が行われています。
また、保護者への相談や支援も行っており、親同士の交流を通じた支え合いの場としての役割も果たしています。
フリースクール
フリースクールは、不登校や障害を持つ子どもたちに居場所を提供する民間の学習施設です。
NPO法人や個人が運営しており、教育方針やカリキュラムは各施設で異なります。
特定のカリキュラムに縛られず、個々のニーズに応じた柔軟な学習が可能です。
ICTを活用したオンラインフリースクールも増加しており、学びの選択肢が広がっています。
また、教育以外にもカウンセリングや医療機関との連携を通じて、ひきこもりや心理的なサポートも行っています。
学びの多様化学校(不登校特例校)
学びの多様化学校は、不登校児童生徒への特別な教育を実現するために設置された学校です。
従来の不登校特例校から名称が変更され、柔軟なカリキュラムの導入や少人数制による指導が特徴です。
生徒の学びの速度や興味に応じた教育が可能であり、学び直しや社会復帰の橋渡しとして重要な役割を果たしています。
また、文部科学省の支援により、各地で設置が進められています。
ホームスクール
ホームスクールは、家庭を基盤として教育を行う形態で、特に欧米で広く採用されています。
日本では義務教育の枠組みの中で、不登校などの特別な事情を抱える子どもたちを対象にした支援として注目されています。
親が直接教える場合もあれば、家庭教師やオンライン教材を活用できます。
家庭環境に合わせた個別対応が可能で、柔軟性のある教育スタイルとして広がりつつあります。
教育機会確保法を理解し不登校でも安心して通える通信制高校選びが大切!
子どもには、教育を受ける義務があります。
日本には、義務教育があるため「学校に行くのが当たり前だ」という見方があります。
しかしいじめや人間関係で悩んでいたり、家庭の事情でストレスを抱えていたり、様々な悩みを抱えた子供たちがたくさんいます。
こうした子供たちの状況を理解して学校や教育機関が、児童生徒たちが過ごしやすい学校生活を送れるようにサポートしていく必要があります。
教育機会確保法で、不登校児童生徒への対応が見直されてはいますが、まだまだ不登校児童生徒が減らないのが現状です。
教育機会確保法の制定で行政や教育関係の組織による話し合いも活発に行われるようになったのも事実なので、今後も課題改善に努めていって欲しいです!