行政書士の合格率はどれくらいなの?難関と呼ばれる理由や対策について徹底解説! 更新時間 2023.11.10
近年、行政書士試験の合格率は低い水準が続いており、難関な国家資格の1つと言われています。
本記事では、令和5年度の合格率や合格者の年齢層に焦点を当て、分析した結果をまとめました。
さらに、行政書士試験が難関と呼ばれる理由や試験内容、合格への効果的な勉強方法についても解説していきます。
合格への道のりが険しい中で、成功への手がかりを見つけましょう。
行政書士の合格率はどれくらい?
難関と呼ばれる行政書士試験について、合格率の推移や年齢層についてまとめました。
行政書士試験の合格者数・合格率の推移
平成26年から令和5年度までに至る、10年間の行政書士試験の合格者や合格率は以下のとおりです。
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和5年度 | 59460人 | 46991人 | 6571人 | 13.98% |
令和4年度 | 60479人 | 47850人 | 5802人 | 12.13% |
令和3年度 | 61869人 | 47870人 | 5353人 | 11.18% |
令和2年度 | 54847人 | 41681人 | 4470人 | 10.72% |
令和元年度 | 52386人 | 39821人 | 4571人 | 11.48% |
平成30年度 | 50926人 | 39105人 | 4968人 | 12.70% |
平成29年度 | 52214人 | 40449人 | 6360人 | 15.72% |
平成28年度 | 53456人 | 41053人 | 4084人 | 9.95% |
平成27年度 | 56965人 | 44366人 | 5820人 | 13.12% |
平成26年度 | 62172人 | 48869人 | 4043人 | 8.27% |
上のデータを見ると、受験者数は一時期減少傾向にありましたが、ここ3年で持ち直しているのが分かります。
一方で、合格者数は波がありますが、令和2年度の10.72%から令和5年度の13.98%まで上昇傾向です。
平成29年度には15.72%と最も高い合格率を記録しました。
この傾向から、行政書士試験は競争が激しくなりつつも、合格率は安定的に10〜14%を推移していると言えます。
行政書士試験の合格者の年齢層
次に、年齢層別に合格者のデータを見ていきましょう。
年齢層 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|
10歳代以下 | 570名 | 56名 |
20歳代 | 7810名 | 1178名 |
30歳代 | 10117名 | 1611名 |
40歳代 | 12430名 | 1513名 |
50歳代 | 11138名 | 1058名 |
60歳代以上 | 5785名 | 386名 |
まず、行政書士試験の合格者データから見ると、20代から40代にかけての合格者が多く、その中でも30代が最も多いことが分かります。
また、20代・30代ともに合格率が15%を超えており、若い世代の活躍が見られます。
一方で、受験者に関しては40代・50代が多い傾向です。
この結果は、中高年齢者が安定したキャリアを築いた上で行政書士の資格を目指している一方で、若年層も積極的に受験し合格していることを示唆しています。
40代と50代にフォーカスすると、両年代ともに受験者数は多いですが、合格率はやや低めです。
熟練のキャリアを有する中年齢層が行政書士を目指す際には、重点的なサポートや対策が求められるでしょう。
転職で資格をとりたい方は「転職で役に立つおすすめ資格!理由や難易度を徹底解説!」から詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください
行政書士試験が難関と呼ばれる3つの理由
行政書士試験が難関と言われている理由は、主に以下の3つです。
- 試験科目の多さと幅広い範囲
- 各科目ごとの合格基準点の厳しさ
- 出題の多様性と対策の必要性
では、それぞれ詳しく解説します。
1. 試験科目の多さと幅広い範囲
行政書士試験は「法令等科目」と「一般知識等科目」に大別され、法令等科目には基礎法学、憲法、行政法、民法、商法の5科目が含まれます。
一方、一般知識等科目には政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3科目が存在します。
問題数も法令等科目が46問、一般知識等科目が14問と非常に多く、広範囲な勉強が必要不可欠です。
2. 各科目ごとの合格基準点の厳しさ
行政書士試験では、各科目ごとに合格基準点が設けられています。
法令等科目では合計244点のうち122点以上、一般知識等科目では合計56点のうち24点以上、全体では300点のうち180点以上を得なければなりません。
つまり、得意科目だけでなく、不得意科目も充分に配慮してバランスよく得点する必要があるということです。
合格するには、得意・不得意科目の差をできる限り少なくし、均一に得点することが重要になります。
3. 出題の多様性と対策の必要性
行政書士試験の出題形態は多岐にわたり、難易度が高いとされています。
例えば、法令等科目の46問中40問が5肢択一式、3問が多肢選択式、3問が記述式となっています。
高配点の択一問題に加え、記述式も1問あたり20点という高得点のため、広域にわたる対策が必要です。
法科大学院入試の基本情報については「 法科大学院入試とは?試験科目や対策についても解説しています!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
行政書士試験の詳しい内容について
次に、行政書士試験について、概要や難易度、試験の種類について紹介します。
行政書士試験の概要
受験資格
年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験可能です。
試験日及び時間
毎年1回、11月の第2日曜日、午後1時から午後4時まで
試験科目と内容等
「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
試験の方法
試験は筆記試験によって行います。出題の形式は、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式及び記述式、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式とします。
試験場所
毎年7月の第2週に公示します。現在のお住まい、住民票記載住所に関係なく、全国の試験場で受験できます。
受験手数料
10,400円(令和4年度改定)
一旦払い込まれた受験手数料は、地震や台風等により、試験を実施しなかった場合などを除き、返還しません。
行政書士試験の種類
先述したとおり、行政書士の問題は大まかに以下の2種類が存在します。
法律に関する問題も一般知識に関する問題も、行政書士としての職務に直結する内容が主に出題されます。
法律の問題では、民法や行政法など、行政書士の仕事と強く関連した法律科目から出題されます。
法律の問題は合計で46問あり、出題形式は5肢択一式、多肢択一式、記述式の3種類があります。
一方、一般知識の問題は全14問で、全て5肢択一式での出題です。
問題数は法律の問題の約1/3ですが、一般知識の問題だけでも足切りがあるため(満点の40%以上得点しなければ合格できない)、しっかりと勉強しておく必要があります。
行政書士試験の難易度
行政書士試験に合格することは、士業の中で比較的難易度が高くないとされています。
しかし、それでも合格率は低く、受かりにくい試験です。
近年の合格率は10~15%ほどで、非常に少ないですが、もう少し前は10%台を割ることもありました。
受験者数が減少していても、合格率が僅かながら上がっているのは、受験生の実力が向上しているからと考えられます。
合格率は上昇しているので、行政書士資格に興味がある方は積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。
行政書士試験の受験対策
行政書士試験の受験対策は、以下の3つがポイントです。
では、詳しく解説していきます。
1. 民法と行政法に焦点を当てる
総合点で60%を取得すれば合格できるので、効率的な勉強が大切です。
まず、あらゆる試験科目の中でも、民法と行政法が重要だということを念頭に入れましょう。
これらの科目で全点を取れば、188点を獲得し、合格点の180点を超えることができます。
行政書士試験は300点満点で行われるため、民法と行政法だけで合格点の60%を超えられます。
ただし、一般知識の基準点もクリアする必要があるので注意してください。
2. 一般知識等科目で40%の基準点をクリアする
一般知識等科目では、基準点に達しないと不合格になります。
40%と聞くと抽象的ですが、14問ある一般知識の問題で40%は6問以上の正解が必要です。
最近の試験ではオリンピック、コロナ対策、学術会議、ふるさと納税、先住民族、エネルギー問題、ジェンダーなど時事問題が頻出しています。
時事情報をこまめにチェックし、基準点をクリアできるように対策をしましょう。
3. 過去問を徹底的に利用する
知識獲得と同時に行うべきことは、徹底的な演習です。
そのためには、過去問の活用が重要です。
過去問は学習が進むにつれて使うものではなく、学習を始めた段階から頻繁に活用しましょう。
講師が指摘した重要な論点が、本試験でどのように出題されるか、テキストの内容がどのように問われるかを理解するには、過去問の活用が欠かせません。
過去問を解き、合格に必要な知識や範囲を練習することで、自信を持って臨むことができるでしょう。
40代からでも異業種に転職したい!という方は 「40代からでもやり直せるおすすめ資格はある?転職にも使える資格も紹介!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてください。
行政書士になるには3つの方法がある
行政書士になるには、試験に合格して資格を取得する以外にも方法があります。
ここでは、3つの方法について詳しく解説します。
① 行政書士の試験に合格する
行政書士になる最も一般的な方法は、行政書士試験に合格することです。
この試験は難関として知られ、その難しさから受験生たちは様々な対策を講じています。
受験資格がないため、学生や社会人など、多くの受験者が毎年チャレンジしている資格です。
② 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を持つルート
別の方法として、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士など既存の資格を持つ人が、試験なしで行政書士になるルートがあります。
ただし、最終学歴が中学校卒業の場合は、20年以上の経験が必要となります。
実際、長年行政事務に従事した経験を持つ方が、転職や退職に伴い行政書士に転身するケースが多いようです。
③ 公務員として行政事務を一定年数経験するルート
行政書士の資格取得には「特認制度」があり、条件を満たせば試験免除の道も存在します。
特認制度を利用するには、公務員として一定以上の年数を経験していることが条件です。
ただし、公務員は兼業が許可されていませんので、公務員職と行政書士業務を同時にこなすことはできません。
公務員から行政書士に転身する場合、退職後に行政書士登録が必要です。
特認制度を利用した場合、最低でも17年以上かかります。
従って、20~30代で行政書士資格を取得したい場合は、通常の試験合格を目指す方が最適です。
また、公務員としての経験があっても、行政書士会の審査を通過しなければ行政書士になることはできません。
自身の職務内容と特認制度の適用可能性を確認しましょう。