マンション管理士はどんなお仕事?資格試験や業務内容についてご紹介! 更新時間 2024.03.22
マンション管理士は、集合住宅の管理や運営に関する専門家です。
マンション管理士として働くには資格が必要で、国家試験に合格しなくてはなりません。
この記事では、マンション管理士の仕事内容や資格試験、年収や将来性などについて詳しく解説します。
マンション管理士を目指す方やその仕事に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
マンション管理士のお仕事とは?
マンション管理士は、マンションや集合住宅の管理・運営に関する専門家です。
住民の生活環境を整えるために、建物の維持管理や施設管理、経理業務など幅広い業務を担当します。
マンション管理専門の国家資格
マンション管理士は、国家資格であり厳しい試験を経て取得します。
試験は、管理業務や法律知識、建築・設備に関する知識など、幅広い分野にわたる知識が求められる内容です。
また、定期的な研修や勉強会にも参加して、最新の情報や技術を学び続ける必要があります。
管理業務主任者との違いは?
管理業務主任者とは、マンション管理士と似ているようですが、実は立場が違います。
マンション管理士は、管理組合のアドバイザーとして運営をサポートする役割を担っています。
一方、管理業務主任者は不動産管理会社から管理組合に対して、管理委託契約の重要事項説明や管理業務の報告を行う立場です。
具体的な業務としては、以下のようなものがあります。
- 管理組合に対する管理事務の報告
- 管理委託契約に関する重要事項の説明
- 設備管理や組合運営のマネジメント
両者はともにマンション管理に関する資格ですが、役割や立場は異なるので注意しましょう。
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マンション管理士の仕事内容
マンション管理士の具体的な業務内容は、以下の3つです。
①マンション管理組合の運営
②修繕工事の計画作成、進行
③住民間のトラブルやアドバイス対応
では、それぞれ詳しく解説します。
マンション管理組合の運営
マンション管理士は、管理組合の運営に関わります。
マンションの管理組合は、多くの場合、住民が運営を担っていることが多いのが現状です。
組合員といっても、マンション購入者の集まりであるため、法律や設備管理に関する専門知識はありません。
そのため、マンション管理士が管理組合の役員からの相談に応じ、マンション運営のサポートをするのです。
定例の総会や理事会の運営支援や議事録の作成、決議事項の実行管理などを行い、住民の意見や要望をまとめて組合として反映させる役割を担っています。
修繕工事の計画作成、進行
マンション管理士は、建物の状態を把握し、修繕工事の計画を立てることも重要な役割です。
建物の定期点検や設備の保守管理、修繕工事の入札手続きや業者の選定、工事進行の管理などを行い、安全で快適な住環境を維持するための取り組みを行います。
経年劣化やひび割れを放置した場合、内部の鉄筋も劣化し、建物の一部が崩落するなどの危険性があります。
マンション管理士は、工事を依頼する事業者の選定についてのアドバイスをしたり、具体的な修繕計画を立てたりといったサポートを提供します。
住民間のトラブルやアドバイス対応
マンション管理士は、住民間のトラブルや問題解決にも対応します。
マンションには子どもから高齢者まで、幅広い年齢層が生活しているため、騒音問題や共用施設の利用に関するトラブルなどが生じます。
実際に、騒音やゴミ出しのルールを守らないといったトラブルは、あなたの身近でも起こっている問題の1つでしょう。
契約上の問題などにアドバイスを行い、円滑なコミュニケーションを促進し、住民の生活環境を守ります。
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マンション管理士になるには
マンション管理士試験は、2時間で全50問の4肢択一をマークシートで回答する形式です。
「法令関係」の出題数が圧倒的に多く、「民法・その他法令」「区分所有法等」「マンション標準管理規約」が約半数を占めます。
合格のためには、これら法令関連の攻略が欠かせません。
「管理組合の会計・税務」では、マンション管理に必要な会計・税務の知識が問われます。
基本的な簿記知識を身に付けるとともに、問題のパターンに慣れて確実に正解する必要があります。
「建築・設備・維持保全」では、建築材料や建築方法、給水や換気、電気などマンション設備の知識が問われます。
範囲が広く、高難易度の問題も出題されるため、全てを習得するのは難しいでしょう。
試験の難易度や合格率
過去10年間の、マンション管理士試験の合格率についてまとめました。
マンション管理士試験の合格率は大体9%前後であり、10人に1人しか合格しない難関試験です。
同じ不動産系の資格である宅建士や管理業務主任者と比較しても、難易度が高いとされています。
ただし、これらの資格を持っている方であれば、合格のハードルはやや低くなるでしょう。
試験の概要
マンション管理士試験は、毎年1回のみ実施されています。
試験地は全国の主要都市がメインですが、東京都や大阪市では数カ所で実施されています。
申込期日や申込方法を確認し、手続きが遅れないように注意しましょう。
マンション管理士として働く魅力やメリット
マンション管理士の資格を取得して働くことで、どのような魅力やメリットがあるのでしょうか?
ここでは、主に5つのメリットをピックアップしてみました。
マンション住民の暮らしをサポート
マンション管理士として働く魅力の一つは、マンション住民の暮らしをサポートできることです。
建物の維持管理や施設の運営管理を通じて、住民の快適で安心な生活環境を提供することができます。
定年後も長く働ける
マンション管理士は年齢に関係なく活躍できる職種です。
定年後も需要があるため、長期的なキャリアプランを描くことができます。
また、経験やスキルを活かして活動の幅を広げることも可能です。
独立・開業が目指せる
マンション管理士としての経験や実績を積み重ねることで、独立や開業を目指すことができます。
自らが管理組合のコンサルタントとして活躍したり、管理会社を設立して新たなビジネスを展開することも可能です。
収入アップやキャリアアップが期待できる
マンション管理士として働くと、収入やキャリアのアップが期待できます。
マンション管理の専門知識や経験を積むことで、高い評価を得て昇進や昇給が可能です。
また、独立開業する道も開けるため、将来的なキャリアアップも見込めます。
幅広い業務を経験できる
マンション管理士は多岐にわたる業務を担当します。
建物の管理や施設の運営、住民のトラブル解決など様々な経験が積めるため、業務の幅が広がります。
社会的なやりがいやコミュニケーション能力向上といった、新しいスキルや知識を身につけるチャンスも広がるでしょう。
転職で資格をとりたい方は「転職で役に立つおすすめ資格!理由や難易度を徹底解説!」から詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください
マンション管理士の年収や将来性
最後に、マンション管理士の年収や将来性といった情報について触れたいと思います。
年収
マンション管理士の平均年収は約528万円です。
大規模企業では570万円程度、小規模事業所でも465万円程度が支給されます。
独立開業者は年収が低めで約300万円ですが、実務を行っていない高齢者も含まれるため、正確なデータは不明です。
令和4年度の給与所得者全体の平均年収は458万円ですから、サラリーマンとして企業に就職することで、日本の平均年収よりも高い収入が獲得できるでしょう。
キャリアパス
マンション管理士は、管理業務主任者とのダブル受験ができることがメリットです。
マンション管理士と管理業務主任者は、共にマンション管理に関する資格ですので、試験範囲が重複しているのが特徴です。
そのため、どちらかの試験に合格した場合、もう一方の受験において「マンション管理適正化法」に関する問題が5問免除される仕組みになっています。
また、他資格とのダブルライセンスの相性が良く、組み合わせによって仕事の幅が広がります。
将来性
マンション管理士の将来性は高いと言えます。
国土交通省の調査では、築30年を超えた分譲マンションの数が、今後増加すると発表されています。
2021年度では249.1万戸だったのに対し、20年後には588.4万戸と倍以上に増加する見込みです。
老朽化や防災対策の需要が高まる中、マンション管理士への需要もさらに増加していくでしょう。