行政書士の仕事内容は?職業に向いてる人や仕事の特徴について徹底解説! 更新時間 2023.11.10
「行政書士の資格に興味があるけど、実際何する人なんだろう……?」
「行政書士の具体的な仕事が知りたい」
と思ったことのある方もいるのではないでしょうか。
行政書士ができる業務は沢山ありますが、具体的にどんな仕事をしているのか、何を専門とした職業なのか、気になっている方も多いでしょう。
この記事では、行政書士の主な仕事や、具体的な業務内容について詳しく解説していきます。
さらに、行政書士に向いている人の特徴や将来性についても紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
行政書士って何をする人?
行政書士は、日本の法律に精通した専門家であり、主に行政手続きに関連する業務を専門的に担当しています。
行政書士は、国家資格として行政書士法に基づき認定されている職業です。
主な業務は、他者や法人が提出する書類の作成や申請を行うことが挙げられます。
多くの場合、一般の人々や企業は、書類作成が難しかったり、知識不足で手続きが難しいと感じることが少なくありません。
こうした場合、行政書士は迅速かつ正確に書類作成を代行し、手間を省くお手伝いをするのです。
行政書士は、「街の法律家」とも呼ばれていて、その存在は弁護士とは異なります。
仕事の幅は非常に広く、行政に提出される書類だけでも1万種類を超えています。
単なる事務処理だけでなく、顧客の要望や必要な手続きについて丁寧にヒアリングし、最適な提案を行うことも行政書士の大切な仕事の一環です。
行政書士は紛争解決のスペシャリストではなく、争いごとを未然に防ぐための相談や必要な書類の作成を通じて、コミュニティ全体に貢献しています。
転職で資格をとりたい方は「転職で役に立つおすすめ資格!理由や難易度を徹底解説!」から詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください
行政書士の主な仕事内容
行政書士の仕事は、大きく3つに分類されます。
書類の作成業務
行政書士の主な仕事の一つは、さまざまな法令や規則に基づいて必要な書類を作成することです。
これには契約書、訴訟関連の文書、企業の登記簿などが含まれます。
行政書士は法的な専門知識を駆使し、クライアントが法的なトラブルや手続きにスムーズに対応できるよう支援します。
許認可申請の代理
行政書士は、クライアントが特定の許認可を取得するために必要な手続きを代理で行います。
例えば、新しい事業を始める際の各種許可や申請手続き、建設許可、飲食店営業許可などです。
行政書士は法的なプロセスを理解し、クライアントの代わりに交渉や手続きを進め、許可を取得するサポートを提供します。
相談・コンサルティング業務
行政書士は法的な問題や手続きに関する相談を受け、クライアントに対して適切なアドバイスを提供するのも業務の一環です。
また、ビジネスや個人の法的なリスクを最小限に抑えるためのコンサルティング業務も行います。
クライアントの立場に立ち、的確で効果的なアドバイスを通じて法的なトラブルを未然に防ぐことが行政書士の役割です。
法科大学院入試の基本情報については「 法科大学院入試とは?試験科目や対策についても解説しています!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
行政書士ができるビジネス関連の業務
行政書士の職務は、大きく「ビジネス」に関する業務と「暮らし」に関する業務とに分類されます。
まずは、「ビジネス」に関する業務から紹介していきましょう。
1. 会社設立関連業務
行政書士は会社設立において、定款作成や必要書類の作成・申請など、準備段階からサポートします。
他資格者との連携も可能で、単独で業務を進めるメリットがあります。
2. 外国人雇用に関する書類作成、申請代行
外国人雇用に際しての書類作成や申請代行も、行政書士の仕事です。
特定研修を受けた「申請取次行政書士」が、外国人の代理として出入国在留管理庁への申請を代行します。
3. 各種許認可申請の代行手続き
行政書士はビジネスにおいて必要な各種許認可申請の代理・代行手続きも行います。
建設業、飲食業、運送業など、さまざまな業界で対応可能です。
4. 知的財産権保護
知的財産権に関する仕事も行政書士の業務の一環です。
知的資産経営とは、財務諸表に記載がない企業固有の技術や人材などを活かして、収益拡大や事業成長を目指す手法です。
その他、著作権登録申請業務や知的財産権に関するアドバイス、確認など、多岐にわたります。
5. コンサルティング業務
経営課題や法務問題に対して幅広い知見をもとに、コンサルティングを提供するのも行政書士の仕事です。
行政書士は単に中小企業の設立手続きを代行するだけでなく、企業が承継期や再生期に直面する際にもコンサルティングとして活躍します。
会社への戦略的なアドバイスや助言によって、中小企業の持続的な発展に寄与します。
行政書士ができる暮らし関連の業務
続いて、暮らしに関連する業務を詳しく解説していきます。
1. 契約書作成
日常生活でのさまざまな場面で必要とされる契約書の作成を、行政書士が担当します。
書類は個人で作成・提出することが可能ですが、提出書類の多くは記入事項が複雑で時間がかかかります。
また、さまざまな必要書類を自分で全て用意するのも時間がかかり大変です。
行政書士に依頼することで書類作成にかかる時間を短縮して、申請手続きをスムーズに行うことができます。
例えば「贈与契約書」や「金銭消費貸借契約書」などが一例です。
これは、法的トラブルを未然に防ぐためにも重要な業務と言えます。
2.自動車関連の行政書士業務
行政書士は自動車の諸手続きや書類作成、申請代行も担当します。
名義変更手続きやナンバー変更、車庫証明書の申請などの手続きや許可申請が含まれます。
運輸支局での手続きが基本ですが、登録された行政書士は出張封印が可能で、運輸支局に車を持ち込む必要がありません。
交通事故や保険金請求にも対応する、自動車諸手続きのスペシャリストのような行政書士も存在します。
3. 遺言・相続関係
行政書士は「遺言書の作成支援」「遺産分割協議書の作成」など、遺言や相続に関連した業務も行います。
日本の少子高齢化に伴い、今後ますますニーズが増加する分野です。
4. 成年後見関係
成年後見制度において、判断能力が低下した人をサポートするのも行政書士の仕事です。
行政書士が成年後見人となり、契約締結や財産管理などのサポートを行います。
高齢者の認知症対策としても注目されています。
5. 土地活用
土地活用において、行政書士は農地転用の許可申請や農地の売却に関するサポートを提供します。
相続対策として、土地活用を検討する人々から頼りにされる存在です。
6. 内容証明郵便
内容証明は内容証明郵便とも呼ばれ、例えば「貸したお金が返ってこない」や「名誉棄損で損害賠償請求をしたい」といったお悩みに対処する手段として利用されます。
内容証明郵便を受け取った郵便局が公的に意思表示を証明し、法的な裏付けを提供します。
内容証明が成立すると、相手に対してプレッシャーをかけ、債務履行を促す要因となります。
行政書士は内容証明郵便の作成を代行し、お客様の法的なトラブル解決に寄与します。
7. 国籍取得支援
外国人が日本国籍を取得する際のサポートも、行政書士の業務の一環です。
外国人が法務局に帰化申請を行うのは難しいため、行政書士の専門知識が必要になります。
40代からでも異業種に転職したい!という方は 「40代からでもやり直せるおすすめ資格はある?転職にも使える資格も紹介!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてください。
行政書士に向いている人の特徴
行政書士の仕事は専門性が高いため、向き不向きが大きく左右します。
ここでは、行政書士の仕事に向いている人の特徴を3つご紹介します。
コミュニケーション能力が高い
行政書士事務所での仕事は、多くの顧客とのコミュニケーションが不可欠です。
行政書士や補助者、事務職員全てが関与する中、スムーズな意思疎通が欠かせません。
コミュニケーション能力があり、人とのやり取りを苦にしない人が最適です。
デスクワークが得意
行政書士事務所ではデスクワークが主体となります。
書類作成やリサーチが日常業務であり、バックオフィス業務も同様です。
デスクワークに長けているか、または苦にならない方が行政書士事務所に適しています。
責任感が強い
行政書士事務所での業務は、許認可や事実証明・権利義務に関わる大切な書類の取り扱いが含まれます。
顧客に重大な影響を及ぼす可能性があるため、書類の正確性や提出先・タイミングに対する責任感は重大です。
重要な書類を扱う行政書士事務所での仕事には、責任感がないと務まらないでしょう。
AI時代の行政書士の将来性
近年、「AIの発達によって士業がなくなる」との議論が広がっています。
AIやITツールの進歩が行政書士の業務を簡単にするという意見もありますが、行政書士の業務は「独占業務」であり、簡単に置き換えられるものではありません。
紙から電子化しても、官公署への申請書類や権利義務に関する書類作成が必要な限り、行政書士には一定の需要があります。
また、法改正や技術進化に伴う業務増加も見込まれます。
行政書士の特徴は、広範な業務範囲です。
得意分野を持つと、安定的な収入につながります。
単純な書類作成業務はAIが進むと予想されますが、相談やコンサル業務の重要性が高まるでしょう。
AIで対応できない相談業務に注力することが重要であり、経験を積んで対人スキルを伸ばすことで、さらなるキャリアアップが期待されます。
改正行政書士法では法人の設立条件が緩和され、1人でも行政書士法人を設立できるようになり、特定行政書士には行政不服審査の手続代理権が認められました。
また、報酬額の提示にも柔軟性が生まれ、収益向上が期待できます。