実務者研修ってどのくらいの期間がかかるの?おすすめのタイミングを紹介 更新時間 2023.08.08
実務者研修の受講を考える際に、多くの方が気になるのが「どのくらいの期間がかかるのか?」ですね。
簡潔にお伝えしますと、無資格の場合、約6ヶ月が実務者研修の目安となります。
一方、初任者研修を保有している場合は、約4ヶ月で受講が可能です。
実務者研修の受講を検討する場合は、修了までにかかる日数を把握し、適切なタイミングで受講をスタートさせることが大切です。
この記事では、保有資格に応じた実務者研修の日数について詳しく解説しています。
資格の有無によっても所要時間が異なるため、自身の状況に合わせて計画を立てましょう。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
介護福祉士実務者研修にかかる期間は?
実務者研修を修了するまでの期間は、保有する介護資格によって異なります。
では、それぞれのパターンごとに、必要な日数を解説していきます。
①無資格の場合
無資格の方が実務者研修を受講する際にかかる期間は、最短でおおよそ半年ほどです。
厚生労働省が定めた指定基準によれば、最低でも6ヶ月間かかり、その間に450時間以上を学習しなければなりません。
実務者研修の受講科目と時間は、以下のように定められています。
領域 | 科目名 | 時間数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 | |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | |
介護 | 介護の基本Ⅰ | 10時間 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 | |
コミュニケーション技術 | 20時間 | |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 | |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 | |
介護過程Ⅰ | 20時間 | |
介護過程Ⅱ | 25時間 | |
介護過程Ⅲ | 45時間 | |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 | |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | |
障害の理解Ⅰ | 10時間 | |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | |
医療的ケア | 医療的ケア | 50時間 |
合計 | 450時間 |
通常のスクーリング期間は、おおよそ1週間ほどで十分です。
ただし、全ての科目を網羅的に学ぶ必要があるため、計画的に自宅での学習時間を確保しましょう。
②初任者研修の資格がある場合
初任者研修を既に取得している方は、実務者研修で重複する130時間分のカリキュラムが免除されます。
そのため、必要な学習時間は320時間になり、実務者研修をおおよそ4ヶ月で修了できます。
受講するカリキュラムは、以下の12科目です。
領域 | 科目名 | 時間数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | |
介護 | 介護の基本Ⅱ | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 | |
介護過程Ⅱ | 25時間 | |
介護過程Ⅲ | 45時間 | |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | |
医療的ケア | 医療的ケア | 50時間 |
合計 | 320時間 |
ただし、自宅学習に充てる時間やスクーリングの進度次第では、最短で1ヶ月で修了することも可能です。
最短期間で実務者研修を達成するためには、自宅での学習時間を最大限確保し、できるだけ早くレポートを提出するようにしましょう。
③保有資格によって受講時間が変わる
初任者研修以外にも、以下のような資格を持っていると実務者研修に必要な時間が免除されます。
中でも、介護職員基礎研修を保有している場合、50時間の医療的ケアを受講するだけで実務者研修を修了できます。
また医療的ケアでは、講義50時間とは別に演習を修了する必要があります。
実務者研修ってどんな資格?
介護未経験の方に向けて、実務者研修がどんな資格なのかを解説していきましょう。
初任者研修の上位資格
介護福祉士実務者研修は、適切で安定した介護を提供するため、より実践的な知識と技術を習得することを目的としている資格です。
初任者研修を既に取得している方にとっては、次のステップアップ資格になるでしょう。
初任者研修では基本的な介護スキルを学びますが、実務者研修ではより高度な介護技術や知識を習得する機会となります。
介護福祉士国家試験の受験要件の1つ
介護福祉士国家試験を受験するには、実務者研修を修了していることが条件です。
つまり、介護福祉士を目指す方にとって、実務者研修は必須のステップとなります。
国家試験は高度な介護知識とスキルが求められますが、実務者研修を経ていれば、その要件を満たすことが可能です。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
介護福祉士実務者研修の勉強方法
実務者研修においては、ほとんどを自宅学習で修了できます。
効率的な勉強方法や自宅学習のポイントについて、詳しく紹介していきましょう。
実務者研修にはスクーリングが必須
実務者研修を修了するには、スクーリング(通学)に参加する必要があります。
「介護過程Ⅲ」が5日間、「医療的ケア」が2日間で、合計7日間程度が一般的です。
介護職員基礎研修を修了した方は「介護過程Ⅲ」が免除され、医療的ケアに関しては、喀痰1号や2号の看護師は免除となります。
しかし、無資格の場合はスクーリングに参加しなくては、カリキュラムを修了できません。
多くのスクールでは、忙しい方に向けた柔軟なスケジュールを提供しているので、自分のペースに合わせて無理なく受講することができるでしょう。
自宅学習のポイント
自宅学習を進める際には、計画を慎重に立てることが肝要です。
学習進捗の目安はスクールから提供されますが、それを自身のスケジュールと組み合わせ、具体的な計画を策定し、着実に実行することが大切です。
計画を立てずに進めてしまうと、時間の圧迫や健康の悪化、急な仕事の予定との衝突など、様々な問題が生じる可能性があります。
また課題の提出期限を守らないと、修了が難しい場合もあるので注意してください。
余裕をもったスケジュールを計画し、できるだけ早く課題に取り組むことを心掛けましょう。
働きながら実務者研修は取得できる?
実務者研修にチャレンジする方の中には、働きながら学習に取り組む方もいるでしょう。
働きながら資格取得を目指すのは、決して簡単なことではありません。
しかし、仕事と勉強を両立させ、実務者研修の資格を取得することは十分に可能です。
実務者研修の受講要件
実務者研修を受講する際の特別な要件はありません。
つまり、働きながらでも実務者研修を受講することができるという訳です。
研修施設やスクールが、働く方のスケジュールに配慮した受講方法を提供している場合が多いため、効率的に学びながら仕事を続けることができます。
実務者研修に修了試験はない
実務者研修には、修了試験は存在しません。
修了の際に試験を受ける必要はなく、一定の研修日数を修了することで研修終了となります。
試験がないことは、働きながら資格取得にチャレンジする方にとってメリットとなるでしょう。
実務者研修の難易度は?
実務者研修は、基本的な介護技術や知識を習得する研修です。
研修内容は初任者研修よりも高度であり、介護の実務経験を積みながら学ぶため、難易度は高めと言えます。
しかし、研修施設やスクールでは、わかりやすいカリキュラムや資料、質問に答えてくれるサポートが充実しているため、熱意と努力さえあれば乗り越えられるでしょう。
スクールによっては、修了試験のようなテストを用意している施設もあります。
しかし合格率はほぼ100%と言われていますので、誰でも安心してチャレンジできるでしょう。
実務者研修の資格を確実に取得する方法
余裕を持った学習計画を立てる
実務者研修の資格を確実に取得するためには、余裕を持った学習計画を立てることが重要です。
スケジュールを詳細に計画し、研修期間中に予期せぬトラブルや遅れが生じても対応できるように心掛けましょう。
分からないところは徹底して復習する
学習中に分からない部分や難しいテーマがあれば、徹底的に復習しましょう。
質問があれば、講師や指導員に遠慮せずに尋ねることが大切です。
理解が深まるまで繰り返し学習し、知識を確実に身につけましょう。
自分に合ったスクールを選ぶ
実務者研修を受講する際には、自分に合ったスクールを選ぶことが成功への近道です。
スクールのカリキュラムやスケジュール、サポート体制を検討し、自身の生活スタイルに合った選択をすることで、効果的な学習が可能となります。
介護福祉士実務者研修を取得するメリット
介護福祉士実務者研修のメリットは、以下の5つあります。
- 国家資格の介護福祉士試験が受験資格が得られる
- 収入アップや資格手当が期待
- たん吸引・経管栄養の基礎知識
- サービス提供責任者になることが可能
- 就職・転職で有利に進められる
国家資格の介護福祉士試験の受験資格が得られる
介護福祉士実務者研修を取得すれば、国家資格の介護福祉士試験の受験資格を獲得することが可能になります。
介護福祉士試験に合格することが出来れば、介護福祉士としての活動が可能となって、介護分野でのキャリアを築いていくことが出来るでしょう。
介護福祉士は介護業界ではとても希少な存在ですので、働き口に困ることはほとんどございません。
収入アップや資格手当が期待
介護福祉士実務者研修を取得すれば、介護職でスキルアップし給与面に大きく反映されます。
さらに、施設によって資格手当を支給される場合もあるため、給与アップの可能性を持っています。
資格を取得していると応募できる求人が増えるため、時短勤務や夜勤なしの勤務など、自分のやりたい・働きたいスタイルで就職先を選択できるでしょう。
サービス提供責任者に慣れる
介護福祉士実務研修を修了するとサービス提供責任者になる資格を得ることが可能です。
サービス提供責任者とは、訪問介護サービスの責任者のことを指します。
新人ヘルパーの教育担当になったり、訪問介護サービスの計画立案を実施したりするのがメインとなり、介護サービスのマネジメントや調整役を任されています。
たくさんの人とかかわりながら調整を行っていくため、大変な部分も多くありますが、その分だけ、関わってきた多くの人たちから感謝されるやりがいのある役職です。
サービス提供責任者は、介護サービスの計画や運営に関わるとても重要なポジションでもあり、キャリアアップを目指す方におすすめできます
転職や就職で有利になれる
就職や転職の際に、実務者研修を取得することで評価を得られ、希望する職場・就職先での就業がスムーズに進められることでしょう。
介護未経験であっても、実務者研修に挑戦した実績は、職場や就活でも高く評価されます。さらに、採用側は一から介護職のノウハウを指導・教育する必要がないため、実務者研修を修了した人材は積極的に採用される傾向があります。
「少しでも好条件な職場で働きたい」「どうしてもここで働いてみたい」という場合は、企業側からの高い評価を得られるようにするためにも資格取得を検討していきましょう。
介護福祉士実務者研修にかかる費用について
ここでは、実務者研修に必要な費用について解説しています。
費用は条件によって大きく変更するため、よく確認しておきましょう。
無資格の場合
資格を所持していない場合、介護福祉士実務者研修にかかる受講費用は、13~23万円ほどが目安になってきます。
初任者研修の資格を取得済みの場合
初任者研修の資格を取得済みの場合は、実務者研修の受講費用が割引されて優遇を受けられる場合があります。
理由としては、受講するカリキュラムで初任者研修と実務者研修で内容が被る部分があるためです。
免除されたカリキュラムの分だけ免除され、費用としては10~20万円ほどで済ませられます。
ホームヘルパー1級の資格を取得済みの場合
ホームヘルパー1級を取得済みの場合は、450時間受ける必要のあるカリキュラムを大幅に免除され、受講時間が95時間で済ませることが出来ます。
受講料も大幅に下げられ、料金は6~10万円ほどで受講できます。
介護職員基礎研修を修了済みの場合
介護職員基礎研修を修了済みの場合は、実務者研修の費用を優遇措置が適用されて受けることが出来ます。
基礎研修を修了済みであれば、研修プログラムの受講時間の450時間を50時間に大幅削減をすることができ、費用も大きく削減できます。
受講料の目安として3~5万円ほどまで抑えられ、わずかな負担で実務者研修を習得することが可能になるでしょう。
介護福祉士実務者研修の費用に関する注意点
介護福祉士実務者研修を受講する際は、以下の要点を抑えて慎重に選んでいきましょう。
- 費用の安さだけでスルールを選ばない
- 自身が介護職に適性があるのかしっかり見極めてから受講する
- 働きながらスクールを受講するなら選び方が大事
それぞれの内容を解説していきます。
費用の安さだけでスクールを選ばない
実務研修を受講するときは、費用の安さの基準だけでスクールを選ばないようにしましょう。
安価であることもスクール選びに重要ですが、費用が安い分、質がひく教育や、サポート体制が十分に提供されていない可能性があります。
また、費用が高いスクールに関しては、振り替え授業が無料だったり、就職サポートまで整っていたりと、充実されたサービスを利用することが出来る場合があります。
受講料のみではなく、教育内容や口コミ、合格率などを総合で気に評価・判断をして、自身の理想に最も近いスクールを選ぶことが重要です。
自身が介護職に適性があるのかしっかり見極めてから受講する
介護実務者研修とは、介護職の人間として従事する上で自信のスキルをより溜めていく資格です。
受講する前に、自身が介護職に適性があるのか、判断することがとても肝心になってきます。
介護職のお仕事は、とてもやりがいのあるものですが、同時に精神的・身体的な負担も伴ってしまうこともあるため、自己評価をして自身としっかりと向き合い、適切な判断を取りましょう。
働きながらスクールを受講するなら選び方が大事
実務者研修のスクールを選ぶ際に、本業に勤めながらでも通えるスクールを選択しましょう。
受講スケジュールの時間帯、土日に受講可能か、オンライン講座の有無など自身が働く時間を考慮したうえで条件の整っているスクールを選びましょう。
カリキュラムを柔軟に組むことが出来るスクールは、仕事で忙しい方でも、カリキュラムを円滑に受講することが可能です。
実務者研修のスクール選びのポイント
最後に、実務者研修を受講するスクール選びのポイントを紹介します。
スクール次第では、モチベーションが維持できなかったり途中で挫折したりする可能性があるので、慎重に選択することが大切です。
実績のある介護スクールを選ぶ
実務者研修のスクールを選ぶ際には、過去の実績や評判を確認することが重要です。
実績のあるスクールは、信頼できる教育を提供する可能性が高く、質の高い研修を受けることが期待できます。
振替サポートの有無
忙しい日常生活の中で実務者研修を受講する場合、予期せぬスケジュールの変更が生じることがあります。
そのため、スクールが振替サポートを提供しているかどうかを確認することが大切です。
振替制度があれば、予定が狂っても安心して学習を続けられます。
講師の質
スクールの講師の質は、学習の成果に大きな影響を与えます。
専門知識や経験豊富な講師が指導するスクールを選ぶことで、理解が深まりやすくなります。
講師陣の質を知るには、スクールを受講した先輩の口コミや評判が有効です。
スクールのサイトや口コミサイトを参考にし、教育水準の高いスクールを選びましょう。
実務者研修の期間は6ヶ月!資格保有者なら最短1ヶ月も可能
実務者研修にかかる期間について、保有資格ごとの学習時間を解説しました。
介護関連の資格があれば、実務者研修のカリキュラムの一部が免除され、最短1ヶ月で取得することも可能です。
無資格の場合は半年以上かかるため、「介護福祉士」の国家試験を検討している方は、スケジュールを逆算して受講するといいでしょう。
修了試験がある場合も加味して、余裕を持って早めに受講することがおすすめです。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。