実務者研修ってなに?取得までの流れを解説! 更新時間 2023.08.09
介護福祉士実務者研修は、介護のプロを目指す方にとって、キャリアを大きく飛躍させるための重要な資格です。
この研修を受講することで、高度な介護スキルを習得し、介護の現場での活躍が可能になります。
さらに、国家試験への受験資格を手に入れ、専門職としての道を切り拓くことができるでしょう。
今回は、実務者研修の資格や取得方法、取得するメリットや将来への可能性をお伝えします。
実務者研修を取得して介護業界に飛び込みたい方、介護職においてキャリアアップを目指している方は、この記事を読み進めてみてください。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
そもそも実務者研修とは?
介護福祉士実務者研修は、介護の現場で実際に必要なスキルや知識を身につけるための資格です。
介護福祉士国家試験を受験する前に、この実務者研修を修了することが求められます。
では、介護福祉士実務者研修とは具体的にどんな資格なのでしょうか?
介護福祉士実務者研修ってどんな資格?
介護福祉士実務者研修は、介護の現場で必要な基本的なケアスキルやコミュニケーション能力を身につけるためのプログラムです。
この研修を修了することで、介護の実務経験を積み、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。
一方、実務者研修に近しい資格として、「介護職初任者研修」があります。
実務者研修は初任者研修の上位資格であり、初任者研修と同じように無資格から取得することが可能です。
介護福祉士国家試験に必須
介護福祉士実務者研修を受講し、修了することは、「介護福祉士国家試験」を受験するための前提条件です。
国家試験は、介護福祉士として正式に認定されるために必要な試験であり、実務者研修を経て初めて受験資格が与えられます。
つまり、介護福祉士を目指す人にとって、実務者研修は欠かせないステップなのです。
介護職をスタートさせるのに実務者研修は必要?
介護職を希望する方にとって、実務者研修は非常に重要です。
この研修を受けることで、介護の実務経験を積み、基本的なスキルを習得できます。
さらに、介護福祉士国家試験への受験資格も得られるため、将来的にはより高度な介護職に進むことも可能です。
介護職をスタートさせるためには、まず実務者研修を受講することを検討しましょう。
介護福祉士実務者研修を取得するメリット
実務経験を優先して、資格を取得せずに介護職をスタートさせる方も少なくありません。
資格や経験がなくても介護スタッフとして働くことは可能で、求人も多いからです。
しかし、そんな中でも実務者研修を取得するメリットとはなんでしょうか?
詳しくみていきましょう。
たん吸引と経管栄養の知識が身につく
実務者研修を取得する最大のメリットの一つは、たん吸引と経管栄養などの専門知識が身につくことです。
これらのスキルは、高齢者や障害者のケアにおいて非常に重要であり、安全かつ適切なケアを提供するために必要です。
実務者研修を受講することで、働ける業務の幅が広がり、患者の健康と生活の質を向上させる能力が向上します。
サービス提供責任者として活躍できる
実務者研修を修了すると、訪問介護事業所で「サービス提供責任者」として活躍できます。
サービス提供責任者とは、ケアマネージャーや医療関係者と連携し、コーディネーター役として活躍する職種です。
訪問介護サービスの計画策定と、ヘルパーへの指導などが主な役割になります。
具体的には、ケアマネージャーのケアプランに基づいて、訪問介護計画書を緻密に作成します。
利用者や家族と円滑なコミュニケーションを図り、ヘルパーの出勤管理やサポートを行ったり、サービス担当者会議へ積極的に参加したりすることもサービス提供責任者の仕事です。
応募できる高待遇の求人が増える
介護福祉士実務者研修を修了すると、高待遇の求人へ応募できるようになるのが大きなメリットです。
多くの雇用主は、実務者研修を受けた介護職員を積極的に採用し、高いスキルと専門知識を活かし現場で活躍してほしいと考えています。
実務者研修を持つことで、より良い条件での就業が実現しやすくなるでしょう。
家族の引っ越しなどで環境が変わっても、国内であれば多くの働き口が見つかります。
介護福祉士実務者研修を取得する方法とは?
次に、実務者研修を取得する方法について解説します。
実務者研修の受講内容やカリキュラム
実務者研修の受講科目と時間を一覧にまとめました。
領域 | 科目名 | 時間数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 | |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | |
介護 | 介護の基本Ⅰ | 10時間 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 | |
コミュニケーション技術 | 20時間 | |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 | |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 | |
介護過程Ⅰ | 20時間 | |
介護過程Ⅱ | 25時間 | |
介護過程Ⅲ | 45時間 | |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 | |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | |
障害の理解Ⅰ | 10時間 | |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | |
医療的ケア | 医療的ケア | 50時間 |
合計 | 450時間 |
大きく4つの領域に分かれ、実践的な介護の知識やスキルを磨きます。
実務者研修の受講資格
介護福祉士実務者研修の受講要件はありません。
介護経験がなくても、誰でも受講可能です。
初任者研修の上位資格になるため、「初任者研修の資格がある人しか受講できない」と思われているかもしれませんが、無資格でも問題ありません。
ただし、受講時間が450時間と長いため、無理のない学習計画が必要になるでしょう。
なかには研修の内容に追いつけない可能性もあるため、介護職未経験者やスキルに自信のない方は、初めに初任者研修を受けてみることをおすすめします。
ただし、「できるだけ短時間で介護に必要な資格を身につけたい」「少しでも転職で有利になりたい」という方は、初めから実務者研修にチャレンジする方がいいでしょう。
実務者研修に必要な勉強時間
実務者研修のカリキュラムを受講する時間は、合計で450時間です。
しかし、他の介護資格を持っていた場合、カリキュラムを免除することができます。
免除可能なカリキュラムは資格により異なり、受講時間は以下のように削減されます。
受講時間に伴い必要な費用も変わってくるので、有資格者にとって有利になっています。
介護福祉士実務者研修の難易度や合格率
介護福祉士実務者研修の難易度や、試験の合格率について解説します。
実務者研修に修了試験はない
介護福祉士実務者研修を受ける際、修了試験を受ける必要はありません。
実務者研修は、実際の介護現場での実務経験を積むことを主眼としたプログラムであり、修了試験は設けられていないからです。
そのため、研修期間中に特定の試験をクリアする必要はなく、授業をきちんと受けレポートを提出していれば確実に取得できます。
スクールによって試験がある場合もある
実務者研修に修了試験はありませんが、スクールや研修機関によっては、独自の評価試験を行う場合もあります。
しかし、授業をしっかり受けて内容を理解していれば、試験自体も決して難しくはないでしょう。
仮に不合格だった場合でも、多くのスクールでは再試験を実施しているので、受講費用が無駄になることはありません。
実務者研修の合格率はほぼ100%
実務者研修の合格率については、ほとんどのスクールが公表していません。
しかし実際には、非常に高い傾向にあります。
実務者研修を受けた受講生の多くが、研修修了証を取得しています。
これは、実務者研修が実務経験を積みながら学ぶプログラムであり、特別な試験をクリアする必要がないためです。
したがって、実務者研修を修了することは比較的容易で、合格率がほぼ100%に近いと言えるでしょう。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
働きながら実務者研修を修了できる3つの理由
転職を見据えて、仕事を続けたまま実務者研修を受講したい方も少なくないでしょう。
ここでは、仕事と資格取得が両立できる理由について、詳しく解説します。
働く人向けのコースが充実している
実務者研修を働きながら受講できるのは、コース設計が非常に柔軟で、働く方々のスケジュールに合わせているためです。
スクールや施設のほとんどは、夜間や週末に授業を行うなど、仕事と両立しやすい環境が整備されています。
急な予定などに備えたキャンセル対応、振替システムも充実しており、途中で挫折してしまうリスクを抑えることを目的としてそのようなサービス面が多くあります。
実務者研修には修了試験がない
実務者研修には修了試験が存在しないので、試験勉強に追われることはなく、学びながら実務経験を積むことが可能になります。
この実務者研修の特徴は、働きながら資格取得を目指す方々にとっては非常に魅力的です。
資格取得にストレスを感じることなく、実践的なスキルを身につけられるのが、実務者研修の大きな利点といえるでしょう。
合格率はほぼ100%!
スクールの中には、独自の修了試験を用意しているスクールもあります。
試験と聞くと緊張してしまう人も多いと思いますが、実務者研修の修了率や合格率が非常に高いです。
たとえ不合格だったとしても、無料で再試験を受けられるスクールが多くあるため、心配せずにチャレンジしていきましょう。
介護福祉士実務者研修を取得するとできること
介護福祉士実務者研修を取得すると、どんな業務や職業につけるのでしょうか?
詳しくみていきましょう。
サービス提供責任者になれる
サービス提供責任者とは 、訪問介護サービスの責任者を指しています。
ヘルパーと利用者間の調整を行うとともに、作成した訪問介護計画書に基づきヘルパーに指導をするのが主な業務です。
新人ヘルパーを教育したり、訪問介護サービスの計画立案を実施したりと、強いやりがいを感じられるでしょう。
さまざまな人と関わりあいながら調整を行うため、大変な面もありますが、多くの人から感謝されるのもやりがいにつながるはずです。
サービス提供責任者には夜勤は一切なく、正社員採用の求人が多いのもメリットと言えます。
一般的な介護スタッフよりも体力的な負担が少なく、長く続けることが可能な職業です。
医療的ケアができる
実務者研修を修了すると、医療的ケアの知識も身につきます。
医療的ケアとは、経管栄養、痰の吸引などの医療的介助行為に当たります。
資格がない人と比べると、要介護度が高い施設でも働くことが可能です。
要介護度が高い施設は、給料も高めで高収入を期待することが出来ます。
実務者研修と初任者研修はどちらを取るべき?
実務者研修と初任者研修、「介護初心者はどちらを取ったらいい?」と疑問を抱えている人もいると思います。
ここでは、どちらを選択すべきかのポイントを紹介していきます。
介護未経験者なら初任者研修がおすすめ
介護の経験がなく、初めて介護職に就く場合は、初任者研修がおすすめです。
初任者研修は、介護の基本的な知識やスキルを習得するためのコースで、未経験者向けに設計されています。
基本から学びたい方や、介護職へのキャリアスタートを考えている方に適しています。
実務経験があるなら実務者研修がおすすめ
既に介護の実務経験がある場合、実務者研修がおすすめです。
実務者研修は、初任者研修を修了した者や同等の知識・スキルを持つ者が対象で、より高度な介護技術や知識を学ぶことができます。
実務者としてスキルを向上させたい方や、キャリアアップを目指す方に適しています。
介護福祉士実務者研修にかかる費用はどれくらい?
最後に、実務者研修にかかる費用について解説します。
受講費用は、どのレベルの介護資格を保有しているかによって異なるため、よく確認しておきましょう。
無資格の場合
無資格の状態から介護福祉士実務者研修を受講する場合、受講料は13万〜23万円ほどが目安です。
具体的な費用はスクールや研修機関によって異なりますが、初任者研修よりも高くなるのが一般的です。
初任者研修の資格保持者の場合
初任者研修の資格を持つ場合、実務者研修の受講費用が割引され優遇されることがあります。
受講するカリキュラムが免除されるので、費用は10万〜20万円ほどになるでしょう。
ホームヘルパー1級の資格保持者の場合
ホームヘルパー1級を持っている場合、450時間かかる授業が95時間まで免除されます。
そのため費用も安くなり、6万〜10万くらいが目安になります。
介護職員基礎研修を修了している場合
介護職員基礎研修を修了している場合も、実務者研修の費用に優遇措置が取られます。
基礎研修を経ていることで、研修プログラムの受講時間が450時間から50時間に軽減され、費用も大幅に削減されます。
受講料の目安は3万〜5万円ほどで、わずかな負担で実務者研修を習得できるでしょう。
介護業界で働くには実務者研修資格が必要?
実務者研修と初任者研修、「介護初心者はどちらを取ったらいい?」と疑問を抱えている人もいると思います。
ここでは、どちらを選択すべきかのポイントを紹介していきます。
介護未経験者なら初任者研修がおすすめ
介護の経験がなく、初めて介護職に就く場合は、初任者研修がおすすめです。
初任者研修は、介護の基本的な知識やスキルを習得するためのコースで、未経験者向けに設計されています。
基本から学びたい方や、介護職へのキャリアスタートを考えている方に適しています。
実務経験があるなら実務者研修がおすすめ
既に介護の実務経験がある場合、実務者研修がおすすめです。
実務者研修は、初任者研修を修了した者や同等の知識・スキルを持つ者が対象で、より高度な介護技術や知識を学ぶことができます。
実務者としてスキルを向上させたい方や、キャリアアップを目指す方に適しています。
介護福祉士実務者研修の年収は?
実務者研修の資格を取得してから収入がどれぐらい変わるのか、ま た年収はどれくらいの目安になるのか、気になる方も多いかと思われます。
ここでは実務者研修を取得してる場合としていない場合、また初任者研修取得者の2つを比較しながら解説していきます。
実務者研修の資格の有無で2万円の差額が発生する
厚生労働省の調査では、無資格の方と比較すると平均給与額が約27,000円も差がありました。
資格を持っている場合、現場で必要な知識やスキルを活かし、幅広い業務を取り組むことが出来るため、通常は資格を持っている方が高い給与を貰える傾向にあります。
ただし、勤務先や経験年数によっても給与に差が発生するため、金額だけの判断では注意が必要です。
初任者研修との収入差は約10,000円
初任者研修修了者と実務者研修修了者では約10,000円ほどの収入差があると言われています。
年間で換算すると12万円差、さらに賞与などのボーナスでも収入差は大きくなるため、実務者研修の取得はメリットしかありません。
実務者研修は、初任者研修より幅広いスキルと知識を身につけられるため、その分収入面でも優遇されることが多いでしょう。
介護職の給与アップの条件について
介護職員処遇改善加算を算定している事業所は就業規則等のキャリアパス要件で定められています。
実務者研修の取得や介護福祉士の資格取得をキャリアパス要件に組み込んでいる事業所は多く設置されており、そのような事業所では実務者研修の取得や介護福祉士の資格取得がキャリアアップ及びキャリアアップに伴う給与アップに繋がります。
資格手当5h>
実務者研修の取得や介護福祉士の資格取得を条件に資格手当の支給を実施する事業所も数多く存在しております。
役職に就く5h>
介護事業所では介護主任等の役職を定められている場合、役職に就くことで給料が上がります。
勤続年数5h>
勤続年数による昇給制度を導入している事業所では、勤続年数に応じて昇給する仕組みが整っているため、長く務めることで給与アップに繋がります。
実務者研修を受講して介護のプロを目指そう!
介護福祉士実務者研修は、介護の現場で活躍するプロフェッショナルを目指す方にとって、重要なステップとなります。
この資格は、介護福祉士国家試験への受験資格を取得し、高度な介護スキルや知識を習得するためのプログラムです。
実務者研修の魅力は、その受講資格に制限がないことです。
無資格の方でも受講が可能で、介護職未経験者からスタートできます。
また、初任者研修や介護職員基礎研修を修了している方には、受講費用が割引される場合もあり、ステップアップがスムーズです。
実務者研修を修了することで、介護福祉士国家試験への受験資格を獲得でき、介護職のプロとしてのキャリアを築くことができるでしょう。
介護の需要がますます高まる現代社会において、実務者研修を受講して介護のプロを目指し、社会に貢献する道を選ぶことは非常に意義深い選択です。
実務者研修を受講して、介護のプロフェッショナルとしての道を切り拓きましょう。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。