介護福祉士に受験資格はある?資格取得までの流れと受験資格について徹底解説 更新時間 2023.10.10
近年、介護サービスへの需要が高まり、介護に関連する資格が注目を集めています。
その中でも、ひときわ注目されるのが「介護福祉士」の資格です。
介護福祉士は介護系資格唯一の国家資格で、取得するにはさまざまなルートがあります。
学歴や職歴で異なるため、ご自身に適した受験資格を理解しましょう。
本記事では、介護福祉士の受験資格を詳しく解説しながら、介護福祉士の仕事内容や取得のメリットについても紹介します。
また、介護福祉士国家試験の概要や難易度についても詳しく説明していますので、介護福祉士を目指している方はぜひ参考にしてください。
介護福祉士の資格について
介護福祉士を目指す場合は、国家試験に合格する必要があります。
ここでは、介護福祉士国家試験について、合格率や難易度を解説します。
介護福祉士は介護系唯一の国家資格
介護福祉士は、他の介護資格とは異なり、国家資格として唯一の存在です。
介護福祉士国家試験に合格し、登録を行うことで、国が認めた介護職員として活動できます。
介護福祉士は、専門知識と技術を駆使し、利用者様の身体的・精神的なケアや、現場職員の指導・育成を担当する職種です。
その専門性から、就職・転職の際にも有利なポジションを得ることができます。
一度取得すれば全国どこでも通用し、更新の必要もないため、一生ものの資格です。
介護福祉士国家試験の合格基準
介護福祉士の試験は年に1回行われ、筆記と実技の2つの試験で構成されています。
筆記試験は1月下旬に実施され、実技試験は3月上旬に行われます。
合格基準は筆記・実技ともに約60%です。
ただし、年度によって課題の難易度が異なるため、合格点は補正されることもあります。
介護福祉士国家試験の配点は1問1点で、合計125問の問題が出題されます。
筆記試験には全11科目があり、どれか1科目でも得点を逃すと合格が難しくなるため、十分な準備が必要です。
試験の難易度や合格基準については、受験前に詳細な情報を確認するようにしましょう。
介護福祉士国家試験の難易度と合格率
厚生労働省によると、2022年度の介護福祉士国家試験の合格率は84.3%でした。
「合格率が高いから難易度も低いのでは?」と思う方もいるでしょう。
実は難易度が低いのではなく、受験資格に「実務者研修」が必須になり、受験者のレベルが上がったためです。
介護福祉士国家試験の1発合格を目指すのであれば、早めの受験対策が必要になります。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
介護福祉士の受験資格を得るための4つのルート
では、介護福祉士の受験資格を得る方法を解説しましょう。
受験資格を得るためのルートは、以下の4つです。
①養成施設ルート
②福祉系高校ルート
③実務経験ルート
④経済連携協定(EPA)ルート
では、それぞれ詳しく解説していきます。
①養成施設ルート
福祉系の大学や専門学校を卒業することで、介護福祉士国家試験を受験することができます。
通学期間は通常2年以上ですが、社会福祉士や保育士の養成施設を卒業している場合、1年以上で資格が得られます。
未経験者や高校卒業後に資格を目指す人に最適です。
2017年3月までの卒業生は、介護福祉士国家試験を受験する必要はありませんでした。
卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できましたが、それ以降の卒業生は試験に合格する必要があります。
②福祉系高校ルート
福祉科や介護福祉コースのある高校への入学は、介護福祉士の受験資格を手に入れる一つの方法です。
卒業後、実技試験が免除され、筆記試験に合格すれば資格を取得できます。
特例高等学校の場合、卒業後には9カ月以上の実務経験が必要で、その後筆記試験と実技試験を受験します。
既に就職を考えている中学生や、卒業資格を備えたい高校生に適したルートです。
③実務経験ルート
介護の現場で実務経験を積みながら、資格を取得する方法もあります。
この実務経験ルートでは、実技試験は免除され、特定の条件を満たせば介護福祉士の受験資格が得られます。
- 介護の現場で3年(1,095日)以上勤務し、かつ540日以上従事していること
- 実務者研修の講座を修了していること
実務者研修は全国のスクールで提供され、通学や通信講座で受講可能です。
費用はスクールによって異なります。
介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了している場合、実務者研修の修了が免除されます。
実務経験ルートは、中学校や高校を卒業してから目指す人や未経験者、仕事をしながら資格を目指す人に最適です。
④経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)は、締約国同士が経済活動を連携強化するための協定です。
この協定に基づき、インドネシアやフィリピン、ベトナムなどの締約国から、EPA介護福祉士候補者の受け入れが進んでいます。
ただし、日本人は対象ではありません。
そもそも介護福祉士とはどんな人?
介護福祉士について詳しく知りたい方へ、仕事内容や役割、年収などを紹介します。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士は、主に利用者の自宅や特別養護老人ホーム、身体障害者施設などの社会福祉施設で、身体介護や生活支援を行います。
高度な専門知識と技術を有し、現場ではリーダーとしても活躍することが可能です。
同時に、要介護者の家族から相談を受け、介護方法などについてアドバイスも提供します。
具体的な仕事内容は以下の通りです。
- 身体介護:食事や入浴、排泄などの介護を介護専門資格を持つ者が専門性を発揮。
- 生活援助:炊事や洗濯、買い物などの家事を代行し、利用者の状況に合わせたサポートを提供。
- 相談・助言:介護サービスに関する相談や保険、要介護認定などに関する助言を行い、利用者と家族の窓口となります。
- 社会活動支援:地域のサークル活動の情報提供や就労支援を通じ、孤立しないようサポートし、安定した社会生活と対人関係の構築を支援します。
介護福祉士の年収
介護福祉士の給料は、勤務先や場所により異なりますが、おおよその月給(基本給)は22万~30万円程度です。
手取りにすると18~25万円ほどになり、年収に換算すると340~400万円が一般的です。
資格や経験、事業所の規模によっては、30万円以上で、年収400万円を超える場合もあります。
厚生労働省による平均給与額では、訪問介護や通所介護、グループホームでは約29万~32万円とされています。
一方、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは約35万~36万円と、他の施設よりもやや高めの傾向です。
これは夜勤の割合が多いなど、勤務体制の違いに起因しています。
少しでも多く稼ぎたい方は、夜勤のある施設で働くといいでしょう。
介護福祉士になるメリット
介護福祉士になると、給与面での優遇が期待できます。
介護福祉士の資格保持者は、無資格者に比べて1ヶ月の平均給与(手当・ボーナス含む)が約52,000円(※)高くなります。
さらに、資格取得により、職業選択の幅も広がります。
サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど、事業所で必要な役職に就くためには介護福祉士の資格が必要です。
介護福祉士はさまざまな介護現場で必要とされる資格であり、就職・転職の際に有利な要素と言えます。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
介護福祉士国家試験のための勉強法
介護福祉士国家試験を突破するには、毎日の学習や準備が欠かせません。
ここでは、1発合格を目指すための勉強法について解説します。
独学で学ぶ
介護福祉士国家試験に独学で挑戦する方法があります。
まず、試験範囲を理解し、過去問やテキストを活用して自己学習を進めましょう。
計画的なスケジュールを組み、定期的な自己評価を行いながら、弱点を克服していくことが重要です。
また、オンライン学習リソースや専門書を活用して、詳細な知識を身につけましょう。
通信スクールで勉強する
通信スクールを利用することで、資格取得のサポートを受けながら効果的に学習できます。
専門の講師による授業やテキスト、オンラインプラットフォームを通じた対話型学習が魅力です。
通信スクールでは、適切な勉強計画やアドバイスを提供してくれるため、自己管理が難しい方にもおすすめです。
定期的な模擬試験やフィードバックを通じて、着実に知識を蓄積していくことができます。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。